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2018年度 茨城県公立高校入試【理科】解説

平均60.8点
問題はコチラ→PDFファイル

大問1(小問集合)

(1)イ
*皮ふで触覚を感じ、感覚神経から脊髄(せきずい)と通じて大脳へ。
ふたたび脊髄を通過して運動神経から筋肉を動かす。
脳と脊髄は中枢神経。感覚神経と運動神経は末梢神経の1つ。
アのように、大脳を経由しないのは反射

(2)エ
*力のつり合いは、1つの物体にかかる力関係。
作用・反作用は、2つの物体にかかわる力関係。
『雨粒にはたらく重力と空気の抵抗』は、雨粒という1つの物体に注目した
重力と空気抵抗の関係性なので、力のつり合い。

『ロケットがガスを押す力とガスがロケットを押す力』は、
ロケットとガスの2つの物体の相互関係に着目する作用・反作用の関係。

(3)ウ
*水の分解式。
2H2O→2H2+O2

(4)ウ
*火成岩はマグマが冷えて固まった岩石。
火成岩は様々な鉱物から構成され、鉱物は角ばっている
クラウドゼミより。これらの含有率の違いから、火成岩の種類が分けられる。
堆積岩の粒子は堆積作用から角が削られ、丸みを帯びている

@風化@
風化とは岩石がボロボロに崩れていくこと。その作用は風で削られるだけではない。
先のように、岩石は多様な鉱物から成り立ち、鉱物ごとで膨張率が異なる。
膨張率が異なる鉱物がひしめきあっている岩石が昼の膨張と夜の収縮を繰り返すと、
鉱物同士の間にスキマが生まれる。そこに雨水が垂れ込むことで鉱物の結びつきをほどき、風化がすすむ。
また、植物が根を張る過程で根から産出する酸でも風化が起こる。

↑植物の力はバカにできない。

ア:火成岩の火山岩。急速な冷却で結晶が育たない斑状組織
『小さな鉱物の集まり』→斑晶『ガラス質の部分』→石基
イ:火成岩の深成岩。ゆっくり冷えるので結晶が大きく育つ等粒状組織
エ:有色鉱物が多いと岩石は黒っぽくなる。
マグマの粘り気が小さく、噴火は穏やか。
無色鉱物が多いと岩石は白っぽく見える。

大問2(小問集合2)

(1)①ア ②青紫色-A 赤褐色-D
*情報整理!
デンプンは糖。
ヨウ素液はデンプンに反応して青紫色になる。
ベネジクト液は糖に反応して赤褐色の沈殿ができる。
だ液に含まれるアミラーゼはデンプンを分解して糖にする酵素。
ベネジクト液は沸騰石を入れて加熱処理を行う
②完全解答。
青紫色に変化する→デンプンが残ったまま→アミラーゼなし→A
赤褐色の沈殿→糖の検出→アミラーゼによりデンプンが分解→だ液あり→D

(2)①2.5g/cm3  ②E
*①密度=質量÷体積
42.5g÷17cm3=2.5g/cm3
②同じ金属→同じ密度
A:20g÷2cm3=10g/cm3
E;10g÷1cm3=10g/cm
3

(3)①CO2 ②エ
①炭素Cを含む大気中の気体といえば二酸化炭素
化学式で答えること!
炭素循環。先にA~Cを埋めておく。
【あ】だけ矢印が双方向に伸び、大気中のCO2を取り込んでいる。
ここから、 光合成を行う植物がAにはいる。
生物学では、二酸化炭素と水をもとに有機物を作る反応を炭酸同化炭素同化)といい、
植物は光合成による炭酸同化で、大気中の二酸化炭素を有機物に変換する。
B・Cは食物連鎖の兼ね合いからCはBを食べるので、Bが草食動物、Cが肉食動物。
生産者である植物の有機物を摂取することで、動物の体内に炭素原子Cが移る
動植物の呼吸を通じて、大気中にCが戻る(A・B・Cから大気中の気体Xに伸びる矢印)。
動植物の身体はタンパク質で構成され、タンパク質には炭素原子Cを含み、死骸や糞にもCがある。これを分解者が食べることで大きい粒子である有機物を細かくちぎり、無機物に変えていく。分解者も生き物なので呼吸をする(矢印う)。
あ-光合成 い-呼吸 う-呼吸

@化石燃料@
石炭や石油といった化石燃料は、太古の生物(有機物)の死骸だといわれている。石炭は古生代の石炭紀で地球を覆っていた巨大なシダ植物が、大地の圧力と熱によって炭化したことで石炭となり、古期造山帯(古生代の造山運動でつくられた山々)付近で採掘される。
石油はプランクトンや魚などの死骸が地層のなかに埋もれ化学変化し、可燃性の液体に変わったもの。

資源エネルギー庁より。
石油は地殻変動の激しい新期造山帯(新生代の造山運動でつくられた山々)の背斜部から採掘されやすい。
背斜部とは、地層が横からの圧力を受け、クネっと褶曲した山なりの部分。
石油は比重が軽く、石油を通さない地層の下までしぼり出されてくる。
油田のある場所の下は、うえのような地層構造になっている。

石炭も石油も化学結合をしており、燃焼などの化学反応を通じてエネルギーを得られる。
太古のエネルギーが化石のように地下深くに眠っていることから化石燃料とよばれる。
化石燃料の燃焼は二酸化炭素を放出するのでやり過ぎは地球温暖化との兼ね合いで問題となる。

@窒素循環@
高校生物では窒素循環も習う。
北関東のどこかで、『植物の生育に必要な元素のうち、H・O・Cは大気や水から供給されやすいが、
N(窒素)は大気中にたくさんあっても植物が利用できる形ではないので豊富な元素とはいえない。
Nの量こそが地球の定員を決める元素だ』、・・みたいな国語の問題がありました。
大気中の窒素を窒素固定という過程を経て、はじめて植物は窒素を吸収することができ、
有機窒素化合物として植物の重要な体づくりに役立てられる。
多くの植物は自力で窒素固定をすることができないが、動植物の遺物に含まれるアンモニウム塩を
硝化細菌が硝酸塩に変えることで、根から窒素を吸収できるようになる。

ちなみに、『雷が多い年は豊作になる』と言われるが、これにはちゃんとした科学的な裏づけがある。雷による空中放電で大気中のN分子がO分子やH分子と結びついてNO3-(硝酸塩)やNH4+(アンモニウムイオン)に変わり、植物が利用できる窒素の肥料が自然発生するという。

(4)ウ、火星
*完全解答。

『太陽型の主な惑星』で、太陽からの距離が昇順に並んでいるので、
素直に〔ア-水 イ-金 (地) ウ-火  エ-木  オー土〕
地球型惑星は水星~火星まで。木星以降は、質量が大きくて密度がスカスカの木星型惑星
ア~ウのなかで密度が最も小さいのは【ウ】の火星。

@天王星@
7番目の惑星、ウラヌス(Uranus)。
実はコイツだけ横向きに寝ながらグルグル回っている。

国立科学美術館より。
天王星の公転周期は84年。自転が縦方向となる天王星では昼が42年続き、夜が42年続く。
体に悪い(つω`*)
天王星が横向きなのは、隕石か何かにぶつかってゴロンと傾いたといわれている。

(5)①140mA ②イ
*①電流計の読み方。
-端子を500mAにつないでいるので、一番下の目盛りを読む。
②図4のように、抵抗を直列につなぐと電流は流れにくくなる。
よって、抵抗を並列につなぐ図3のア・イいずれか。
並列つなぎの合流地点にある【イ】が最も電流量が大きい(キルヒホッフ第一法則)。

(6)①熱(エネルギー) ②7.8kWh
*①光っている白熱電球は触るとものすごく熱い。
これは、電気エネルギーの全てが光エネルギーに変換されず、
熱エネルギーとして外部に漏れ、無駄が生じている証。
この点、LEDは触ってもさほど熱くなく、効率的なエネルギー変換が行われ消費電力が小さい。

@エネルギーの行方@
生物が活動するにはエネルギーが必要。その起点は太陽の光エネルギーにある。
植物が光エネルギーを吸収して有機物をつくることで化学エネルギーを生成する。
我々動物は植物(もしくは他の弱い動物)を食べ、化学エネルギーは他の生物に譲渡される。
化学エネルギーは化学反応により生命活動に必要なエネルギーを放出するが、
その際、熱エネルギーの放出を伴う(人間の体温もエネルギーの変換によってもたらされる熱)。
やがて、熱エネルギーは生体の外へ逃げていき、地球の熱収支のなかに組み込まれ
最終的に熱エネルギーは宇宙空間へ放出される。エネルギーはグルグルと循環しない

電力(W)×5時間(h)×30日
白熱電球の消費電力量からLEDの消費電力量をひく。
60×5×30-8×5×30
=(60-8)×5×30
=52×5×30
=7800kWh

大問3(酸とアルカリ)

(1)液面の高さ-A・ゴム球の押し方-C
*完全解答。
メスシリンダーは中央付近の目盛りを真正面から読む。
端っこの水面が高く見えるのは、水が表面張力で内壁にひっつくから。
Dみたいにゴム球だけつまむと駒込ピペットがぶれて危険。
駒込ピペットは長細いので、Cのように手でしっかりと固定する。

(2)イ
*フェノールフタレイン溶液はアルカリ性を検出する指示薬(無色→赤)。

ウ: pHペーハー値)7は中性。7未満が酸性、7より大きいとアルカリ性
pHは水素イオン指数といい、水素イオンの割合が高い溶液は強い酸性を示す。
10-x(10の-x乗)のxの値がpHをとなる。詳しくは高校化学で。

(3)水酸化物イオン
*水酸化ナトリウム水溶液なのでNa(ナトリウムイオン)かOH(水酸化物イオン)のいずれか。
(厳密にいえば、水酸化ナトリウム水溶液は〔水酸化ナトリウム+水〕だが、水は除外

10mLまで塩酸との中和反応で相殺されてゼロのままだから、答えは水酸化物イオンとなる。
10mLを超えると水酸化物イオンが余り、溶液はアルカリ性を示す。
ナトリウムイオンは中和反応と関係ないので、水酸化ナトを加えたときから増える(グラフは原点0から比例)。

問題文から〔塩酸15mL:水酸化ナト15mL〕のときにBTB溶液が緑色 → 中性を示すので、
両者が1:1のときに中性となる。最初に塩酸は10mLいれたので水酸化ナト10mLまで中和反応が起きる。

(4)あ:アルカリ性 い:中性
*ここも完全解答だが、基本問題が続く。
BTB溶液黄→酸性 緑→中性 青→アルカリ性
1:1で中性なので、〔塩酸10mL:水酸化ナト15mL〕の状態から塩酸5mLを足して中性にした。

(5)HCl+NaOH→NaCl+H2
*ここの大問は全部とりたい。
HCl(塩酸)+NaOH(水酸化ナトリウム)→NaCl(塩化ナトリウム)+H2O(

大問4(光)

(1)屈折

(2)実像
*レンズの反対側にあるスクリーンに映し出される像。上下左右反対。
虚像はレンズ越しで、物体と同じ方向に映し出される像。虫眼鏡とか鏡とか。

(3)20cm
*これも基本。教科書で確認してみよう。
同じ大きさの像ができたので、凸レンズから焦点距離の2倍のところに光源とスクリーンを配置した。
詳しい説明はコチラ→HelloSchoolさん(2;凸レンズ(4)を参照)

(4)ウ

*一番上が図2、すなわち焦点距離の2倍の位置で光源と像の大きさが同一である状態。
スクリーンを右にズラすと、スクリーン上で光が交差しない。だから、像が映らない。
光源を右にズラすと像が映るようになる。☆は像の大きさ。先ほどの☆より大きい。

(5)公式解答参照↓

*この手の問題では像を求めるものが多いが、本問は焦点を定める。
①Aから凸レンズの中心にむけて直線をひく。スクリーンとの交点をBとする。
②Aから凸レンズにむけて平行線をひき、そこからBに直線。光軸との交点が焦点。
③Bから凸レンズにむけて平行線をひき、そこからAに直線。光軸との交点がもう1つの焦点。

大問5(植物)

(1)網状脈
*図1の葉脈。双子葉類は網状脈。単子葉類だと平行脈

(2)ア
*ホウセンカは双子葉類。双子葉類の維管束は輪っか状になっている。
内側が導管、外側が師管なので、内側が赤く染まる。
単子葉類は【ウ】のように維管束がバラバラ。

(3)胞子、エ
*完全解答。
シダ植物の葉の裏側には胞子のうがあり、なかに胞子がつまっている。
胞子は湿り気のあるところに落ちて発芽する(ゆえに、シダ植物は湿り気のある場所でみられる)。
胞子は水分を吸収して成長し、やがてハート型の前葉体になる。
前葉体の造精器でつくられた精子が水中を泳ぎ、造卵器の卵子と受精
胞子をつくる胞子体となり、これが成長すると我々がよくみるシダ植物となる。

ラブリーアースJAPANより。胞子から前葉体、ここで受精して胞子体となる。

ア:花粉 イ:子葉が果実になり、胚珠が種子となる。ウ:りん片は裸子植物

(4)ホウセンカ・・A、イヌワラビ・・D
*基本の確認。ケアレスや知識不足で落としたくはない。
A:双子葉類 B:単子葉類 C:裸子植物 D:シダ植物 E:コケ植物

(5)解答例:被子植物は胚珠が子房に包まれているが、裸子植物では胚珠がむき出しになっている。
*被子植物と裸子植物の違い。
【被】は”被(かぶ)る”。胚珠が子房を被っているのが被子植物
胚珠が【裸】なのが裸子植物。胚珠を中心に捉えると違いがわかりやすい。

大問6(水蒸気)

(1)蒸発
*蒸発はどの温度でも液体の表面で起こる(気温が高いほど蒸発量は大きい)。
対して、沸騰は沸点以上で液体内部からも激しい気化が起こる。

(2)67%
*乾球は普通の温度計と同じ。湿球は乾球に塗らしたガーゼをかけて湿らせる。
湿球は乾球よりも温度が低くなる。図でいうと乾球は23℃、湿球は19℃。
あとは表読み。

(3)9.7g/m3
*表2から、気温20℃の飽和水蒸気量は17.3g/m3。この56%が答え。
17.3×56/100
=968.8/100  ←約分せず、分母は100で維持する。
=9.688 → 9.7g/cm3

(4)解答例:(部屋の中では、窓ガラス付近の空気の温度が、)
下がることで飽和水蒸気量が減り、露点に達すると空気中に溶けきれなくなった水蒸気が
(水滴となって、窓ガラスにつくため。)
*出だし前の読点が気になるが(無視しました)、ようは【温度が下がる→飽和水蒸気量が減る→溶けきれなくなった水蒸気が液化する】という流れでいいと思う。水蒸気が空気に溶けきれず、あふれ出るかどうかの境目となる温度が露点

(5)エ
*上昇気流が起こるポイントは低気圧。
空気は温まると密度が小さくなり、風船のようにプワ~と浮いて軽くなる。
空気が軽いので、その場所の大気圧も下がり、低気圧が発生する。
風は高気圧から低気圧に向かって吹くので、
低気圧の中心付近では四方八方から吹く風がぶつかり、空気は上昇を試みる。

空気が上昇して高度が上がっていくと、気圧が下がって空気は膨張する(断熱膨張)。
これは空気が周りから押される力が低下することで、空気内部から外側に向かう力の方が強くなるから。
ポテトチップスの袋が山頂で膨らむのと同じ原理

膨張で空気は外側に仕事をすると熱エネルギーを消費するので、空気の温度は次第に下がり、
露点以下になると凝結して雲のもとができあがる。
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