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2018年度 千葉県公立高校入試【前期】国語解説

平均63.2点

大問1(リスニング)-71.9%

与えられた詩をもとに答える。
(1)(2)は15秒、(3)は18秒の解答時間が設けられている。
(1)エ 94.2%
*「桜の木よ」の読み方。4回でてくる。
エ:抑揚とは、調子を上げたり、下げたりすること。

(2)ウ 78.1%
*対句表現を探す。第3連と第4連。
どんなときでも桜の木が生徒とともにあったという話。
ア:「設立当時から」が余計。

(3)来る年も来る年も 34.3%
*歳月の流れを反復表現を使って表しているところ。

(4)イ 80.9%
*「コウジョウ」は同音異義が多いので、読み手に伝わりにくい。
そこで、「成長」の方が良いのではないかと新しい提案をしている。

大問2(漢字読み)-69.7%

(1)くわ(しい) 98.9%  (2)いこ(い) 78.4%
(3)こうせつ  22.3%!  (4)ざんてい  79.1%
*シビアなのは、3・4だろう。
巧拙・・うまいのとヘタクソ。【巧】は「タクミ」と読む。
【拙い】と書いて、「つたない 」。下手という意味。
暫定・・一時的な。とりあえずの。”暫定的1位”だったら、今のところの1位。
「ゼンテイ」と読むミスが多い。
【暫く】と書いて、「しばらく」。
ちなみに、【漸く】は「ようやく」と読む。
【暫時】(ザンジ)→しばらく 【漸次】(ゼンジ)→次第に
混同しやすいので、大学入試に出てくる。

大問3(漢字書き)-72.0%

(1)率(いて) 74.5% (2)険(しい) 86.6% (3)模型 79.3%
(4)設備  68.5%  (5)油断大敵 51.2%
*(3)模”形”じゃないよ!
(5)四字熟語は例年、正答率が低い。油断は大きな敵。

大問4(知識問題)-75.4%

(1)解答例:取り組んだことです 67.7%
*主語と述語が呼応していない。「~していたことは、~したことです」

(2)ウ 67.4%
*文法。過去の助動詞「た」を選ぶ。
地味に見分けがつけにくいが、過去の「た」は選びやすい。
ウ:「昨日」とあるので過去文。英語でもyesterdayがきたら動詞は過去形ですよね。
イ:完了の「た」。英語の現在完了(完了用法)と一緒。「たった今」がヒント。
アエ:存続の「た「~している」に置き換えが可能
「空にかかっている虹」「風景が描かれているカレンダー」

(3)解答例:いただきました 85.5%
*「もらう」の謙譲語。動作の主体が自分のときに謙譲語を用いる。

(4)ア 80.9%
*ア:百聞は一見にしかず…実際に見て確かめるのが一番良い。
イ:目は口ほどにものを言う…目は口でしゃべるより、気持ちを伝える。
ウ:木を見て森を見ず…木ばかりを見て森を見ない。一部に気をとられ全体を見失う。
エ:人のふり見て我がふり直せ…他人の挙動から、自分を改める。

大問5(説明文)-54.5%

(1)イ 54.3%
*傍線部Aの直前「ところが冒頭で述べたようにこの特徴的だった日本語の語彙の豊かさ」。冒頭ははじめ。2文目、『もともと日本語というのは語彙が豊富な言語で、同じ意味のことでも、さまざまな言葉や言い回しがあり、その中のどれを使うかによって、いろいろなことが想像・・』
傍線部Aの手前の段落にも似た内容がある。『私たちは無意識の中で、そのような多様な言葉を見聞きしながら、実は言葉のニュアンスを感じて、言葉以上のものを推理したり想像したりしてる』日本語は同じ意味の多様な言葉や言い回しがあり、各々のニュアンスの違いから言葉以上の内容を推察できる。
エ:1つの言葉が多様なニュアンスを持つのではなく、ニュアンスの異なる多様な言葉があるということ。

(2)ニュアンスの差を考慮する 82.5%
*「怒られる」という言葉には、「大目玉を食らう」「戒められる」など似た言葉があるものの、今、現実の中に残っているほとんどが、「怒られる」の一言に集約されてしまっている。傍線部B以降を読み進めると、「小言」と「諭」の違い、「大目玉を食らう」と「諫められる」の違い、それらのニュアンスの異なる言い回しはほぼ、「怒られる」一つに統一されてしまった。
つまり、言葉を使う側も、言葉を受けとめる側も、ニュアンスの差を考慮することがなくなってしまったのである』
ニュアンスの差を考慮して、「怒られる」の類語を使い分けせず、「怒られる」だけになってしまった。言い換えの接続詞「つまり」の後ろや言い切りの形で終わるところは筆者の主張が詰まっている

(3)感受性 40.5%
*『語彙の減少は、( c )の鈍化につながっているからである』
使う言葉の数が少なくなると、何かが鈍っていく。新しい提起なので、答えは後ろにある。若い人の「よかったですね」。友人の「よかったわぁ」と感想を一言で済ます例題が続き、『私はその感動を深く掘り下げて感じ、言語化しているだろうか』と自省し、畏怖(いふ)する。
『私たちはつまり、』から始まる段落で、自説を展開。
『日々押し寄せる膨大な量の新しい情報・・それらを処理することのみに追われながら、
人間の感性や思考を育む部分では、大幅な手抜きをして生活しているのである
『確かに情報には強い人間になるかもしれない。
けれども、・・感受性や思考能力は、どんどん衰えてゆきはしないだろうか
『日本語の語彙が減少 してきている・・事実は、私たちの感性がいかに鈍くなってきたかを表している』語彙の減少で鈍化する三字は「感受性」となる。

(4)Ⅰ:大幅な手抜き 70.0%
Ⅱ:解答例)心で深く感じ、適切な言葉で表す (15字)
4点-20.0% 1~3点-13.9% 無答-24.1%
*Ⅰ:『「よかった」「面白かった」の一言で済ませてしまうような〔 Ⅰ 〕をせず 』
一言で済ますとは、どういうことか。
前問がヒント。 感受性の鈍化について述べている↑の下線部をさぐる。
Ⅱ:感受性を鈍化させないようにするためにはどうするべきか。
指定語句は「心」と「言葉」。最大の難所は、字数がかなり厳しいところ。
問題文をよく読もう
『自分が得た感動を、(手抜きをせず)、〔 Ⅱ 〕ことを繰り返すことが大切である 』
【自分が得た感動を】心や言葉でどうするのか。
自省の段落にヒントがある。
『私はその感動深く掘り下げて感じ、言語化しているだろうか』
「深く掘り下げて感じ」→”(感動を)心で深く感じる”
「言語化している」→”(感動を)言葉で表す”
制限のある記述は、本文の該当箇所をいじくれば指定字数以内でおさめることができる。
どこをいじくるか。感受性の鈍化を解決する策がどこで述べられているのかを探す。

(5)エ 59.8%
ア:「よかった」の具体例は一般的にいえる事実の摘示(てきし)というより、個人の体験談。
イ:前問の通り、解決策を複数呈示しているわけではない。
どちらかというと、語彙の減少で人間の情感が鈍くなっていることに対する警告が多い。
ウ:ニュアンスの異なる多様な言葉の使い分けをしなくなったことが、誰もが感じる疑問であるとは書かれていない。むしろ、あまり疑問と感じられていないからこそ、「怒られる」のような一言で終わらす人が増えたともいえる。
エ:怒られ方も様々な言い回しがあるのに「怒られる」で統一される。
どう「よかった」のかを具体的に表すことができない。
ニュアンスの差を考慮せず、陳腐な一言で済ませるのに慣れてしまうと、
我々の感受性や思考能力が衰えていくことへの警鐘を鳴らしている。

大問6(物語文)-67.8%

(1)解答例:兄には負けられない(9字)
4点-65.2% 1~3点-3.6% 無答-11.1%
*兄弟で世継ぎ争いをしていた。

(2)ウ 69.0%
*跡継ぎをめぐって兄にメラメラと対抗心を燃やしていた光圀だったが、
弱った自分のところに赴(おもむ)き、顔を見せる兄に対して、
今までの憤りが嘘のようにパーッと晴れてしまった。
空欄Bには兄が光圀にしたことが入る。選択肢の正誤判定は慎重に。
ア:兄は医者ではない。治療はしない。
イ:手前に、『激しい憤りを感じられなくなっていた』とあるので選びたくなるが、
憤りがゼロだからこそ、和らげるべき憤りはない。
エ:「諭す」とは、言い聞かせること。何かを諭すシーンではない。口調が穏やかであっても嫌いだった奴に諭されたら、わだかまりが晴れることもないだろう。
ウ:Bのうしろが『ひと月ほどして』とカットが変わってしまうが、読み進めていくと、兄も同じ病気にかかったことがあり、孤独のなかで死病と闘っていたはずだ、との描写がある。兄が感じたであろう孤独を理解した光圀は、兄が自分の孤独を救ってくれていると感じた。

(3)素直に 53.3%
*兄が死病を患(わずら)ったときは弟たちの誰一人も見舞いにいかず、
むしろ死に損ないと貶(けな)していたのに、同じ立場に立たされた自分の世話を献身的に行う兄貴。兄がくれた犬人形には謝れたが、直接兄に謝罪を口にすることはできなかった。流れさえつかめれば、人形には”素直に”謝れるが、兄には”素直に”謝れない、とわかるはず。
本文2行目『闘病生活で弱り切っているせいか、これまでになく素直に感心した』

(4)ア 72.8%
*自分から『稽古をしようよ』と兄に投げかけるシーン。
そこには、どのような兄への思いが隠されているのか。
兄に対する気持ちが180度転換し、あまりの急変ぶりに謝りたくても謝れない不器用な光圀は、兄に気持ちを素直に伝えられずに先延ばししてしまい、機をうかがっていた。
そして、ぽっととでできた一言が稽古のお誘い。掠れた声にも兄は反応し、快諾の返事を受け、『ぱっと光圀の中で花でも咲いたような明るさが湧いた』。
虚心坦懐、明鏡止水。モヤモヤがスッキリとした表れ。
どうにかして、今までの謝罪と感謝の念を兄に伝えたかった
よって、アが正答となる。
エ:前半部分の「~不安を消し去ってくれた」が誤り。

(5)エ 72.1%
*兄が真顔になり、父上のことを話す。光圀も真面目な顔をして「おれは大丈夫」と応える。注釈を読むと『父の肝試し、体力試し』とは武士としての度胸をつけるための厳しい試練のこと。快方に向かっているとはいえ、その後待ち受ける厳しい試練を考えると不安になると思われるが、光圀の「おれは大丈夫」という言葉には、どことなく自信に満ち溢れている
それは兄という力強い味方ができたから。心の底から兄を信じられるようになって、
もし自分がまた倒れそうなったときでも、頼りになる兄がまた自分を支えてくれるだろうと。その安心は強力な後ろ盾となり、どんな試練であっても立ち向かえる、強い意志を得られた。
傍線部Eのうしろ、『頑張れ、子龍。兄は優しく微笑みながらうなずいてくれた』。
男兄弟の深い絆が感じられる。
ア:前問の通り、兄への感謝の念はあるが、傍線部Eは父の厳しい試練の話題で、
兄弟が真剣な顔をして、「おれは大丈夫」と光圀が応えるシーン。この兄がいれば試練も乗り越えられると思えるほどの強い信頼関係への昇華が伺(うかが)える。

(6)ア  74.2%
*2人の性格をとらえる設問。
弟の光圀は、競争心が強く、世子の立場を兄に取られることに焦り、
精神が不安定になったりと、やや自己中心的で精神的な幼さが目立つ。
対して、兄の頼重は、自分が病にかかったときは誰も面会にこなかったにもかかわらず、
献身的に弟へ付き添い、弟を思いやる器量の大きさが感じられる。
もっとも、本文の出来事を通じて、弟も人間的に大きく成長したはずです。
 
のちに徳川光圀は2代目藩主として水戸藩を治めることとなる。
水戸黄門は光圀をモデルとした時代劇。
ドラマでは典型的な勧善懲悪を披露しているのに、
黄門様も幼いころはヤンチャしてたのですね(゚∀゚)
なぜ、兄の頼重が家督を継げなかったのか。
今回のストーリーで詳細はつかめませんが、精神的にガキんちょの光圀には
兄にはない、大名の跡取りとしての大きな才能に恵まれていたのでしょう。
問題児が大物に化けた裏にはお兄ちゃんのバックアップがあったということですね。

大問7(古典)-58.5%

(1)いわく 95.6%
*お馴染みの変換。先頭以外のハ行は、「ワ・イ・ウ・エ・オ」。

(2)太鼓の下稽古 43.6%
*太鼓奏者の一行が大阪で演奏を披露し、宿に着き、
弟の五左衛門と弟子たちは何をしたのか。
後ろを読むと、金七だけは扇を使ってわずかの下稽古を済ませ、
それが終わるとぷらぷらと遊び歩き、宿にはいなかった。
よって、弟と弟子たちは、宿に残り、太鼓の下稽古をしていたことになる。
後半の金七の言葉『予が弟も何れも方も、太鼓の下稽古めさるる、
悪しきことにてはない』から抜き出す。

(3)イ 59.5%
*ちょっとした下稽古しかしていないのに、立派な演奏を成し遂げた金七は褒められる。
弟子たちはこのことを言い出して、『及ぶべからず』といった。
「師匠には及ばない、かなわない」という意。

(4)解答例:太鼓とともにある(8字) 4点-35.3% 1~3点-12.1% 無答-17.8%
「一日中、~~~」なので、本文の『二六時中(一日中)、胸中に太鼓なきときあらず』を訳せばいい。 現代語に直訳すると、「胸の中に太鼓がないときはない」→常日頃、太鼓とともにある。手前を訳すと、「稽古が終わってバチを下に置かれるのは、もはや胸の中に太鼓がない」。
稽古のときだけでなく、稽古をしていないときでも太鼓を胸の中にしまう。
これが平生(へいぜい)の心持ち。平生とは、”いつも、ふだん”という意味。

 
@二六時中@
かつては昼夜の各12時間を6等分、1日を12等分し、ね・うし・とら・う・・の十二支で表していたので、
2×6=12から、二六時中=一日中・終日を意味していた。
現在は時間を十二支では表さないので、24時間制に合わせた4×6=24から【四六時中】といわれる。

大問8(条件作文)-17.4%

12点-17.4% 8~11点-29.1% 4~7点-20.6% 1~3点-9.1% 無答-4.1%
図書館のマナー向上にかかるポスターを改めたところ、マナーの改善がみられるようになった。
前段では2つのポスターの違いに触れながら、工夫した点を述べる。
後段は、その工夫がなぜマナーの改善につながったのか、自分の考えを述べる。
問題文が短く、違いも見つけやすいので取り組みやすかったのではないかな?

@前段@
2つのポスターの相違点を見つける。
ポスター1では、「~しないこと」と禁止事項の羅列だったか、
ポスター2では、柔らかい言葉で前向きな表現に置き換えている。
知恵を栄養に例えたり、本を擬人化したりと、
ユニークで面白い創意工夫もみられる。

@後段@
なぜ、ポスター1ではダメだったのか。
人は命令されると、それに抗(あらが)いたくなる生き物・・。
ストレートな命令口調ではルールの縛りを強く感じ、
マナーを遵守しようと思いづらくなる。
柔らかく前向きな言葉は、人を素直な気持ちにさせる。
また、禁止文言の羅列は単調な印象を持ち、風景の一部となって注目されにくい。
創意工夫されたキャッチーな言葉は、人の心に深く残りやすく、
これがマナーの向上につながったといえる。
 
あまり淡泊な説明だと、短い文章で終わってしまうので、
説得力を増す肉付けができるようにしましょう。

トイレの男便所でも、「汚さないでください」より、
「きれいに使っていただきありがとうございました」の方が効果が良いらしい。
人の心理をうまく突いた手法ですね。
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