公立高校入試の手引き

今更ですが、公立高校入試の解説を読むにあたり、心に留めておいてほしいことを書きます。
主に自学自習で高校受験を目指す中学生に向けてです。

●中学以降は数学と英語の先取りが大切です。
技術的な教科で積み重ねを要し、仕上げるのに時間がかかるからです。
●数学でとりわけ正答率が低く、差がつきやすい単元は図形分野なのですが、
要となる相似、円周角、三平方の定理を習う時期が中学3年の後半に偏っています
上位校を狙いたいのであれば、公立中学のカリキュラム通りに進めると後れを取ります。
同じ3年間でも中学と高校では学ぶべき分量が大きく違います
量の話だけでなく、質の面でも教科書レベルが飛躍的に難しくなるのです。
難関大学を志す場合は高校受験の本番を迎える前までに、
英数は教科書レベルの高校1年生半ば、できれば高1修了まで着手しているとゆとりが生まれます。
●中学の教科書を全課程先取りして基礎力の確認をしたい場合は、公立高校入試の問題がうってつけです。
勉強が苦手な生徒にも最低限の得点を保障するため、難易度のバランスが練られており、
単元の構成や設問形式も私立より癖っ気が少ないからです。
●ただし、公立入試にも傾向はあります。
自分が住む県ではそこそこ得点
を叩き出せても、隣の県に初見で挑んだら思いのほか伸びなかった
これは普通によくある話です。私も初めて全国の解説を書いたときは驚きが多かったです。
また、平均点は変動します。4割を切るケースも見かけますので、年度ごとで難易度を把握するのが肝要です

以下、教科別に留意点を列挙します。

数学

●ここで紹介している解法は一例です。
別解を付記することもありますが、思いついたすべての解法を書いてはいません。
処理量が最も少ない解法=ベストな解法とは限りません。よく誤解されるところです。
まずは王道の解き方を優先してください。
数学が得意でない人は演習で何度も練習した、本番で再現できる解法で臨むべきです。
発想を駆使して簡便な方法を探るのはそのあとです。無理をしてはいけません。
●もちろん、別解の探求は数学力を伸ばすのにとても有効です。余力のある人はぜひ挑戦しましょう。
●分数の表記についてです。

分子→分母の順です。単項式ではそのまま文字をつけています。
文字を分母に含ませるときは()でくくります。多項式は丸ごと()でくくります。
平面図形の証明問題ですが、私の解説では流れを感覚的につかむことを重視しています
×=90°の等角や、あいだの角をひいた等角の指摘も簡略した書き方をしています。
ですが、試験本番ではきちんとした数学的表現で記述すべきです。表現力は別個の力量です。
詳細は公式解答を参照したり、最寄りの数学教師をお尋ねください。
●図形問題はパズルのように解きがいがあり、数学上位勢には人気のある単元です。
Youtubeでも平面図形に偏りのある数学や算数のチャンネルが散見されました。
幾何は思考力の醸成に役立つので学習量はある程度多くて構いませんが、特定単元の偏重は禁物です。
ペーパーテストの世界は複数の教科、複数の単元をどれだけ網羅できるかの勝負
リミットを超えて学びたい際は、その分を勉強時間にカウントしない方がいいです。
●私のブログでは
数量変化と名付けていますが、グラフ問題の解説で旅人算やダイヤグラム、
グラフ上の相似活用といった中学受験の解法をよく紹介しています。
しかし、最初は中学数学の王道である、2直線の交点座標を求める方法で解けるようにしましょう
中学受験の解法は処理が楽になりますが、習得はその後です。
公立高校入試の場合の数・確率の問題は、どうやら自力で調べられる範囲に収まっているようです。
初学者は表や樹形図を用いて、過不足なく調べあげる力を養うことが優先事項です
一方、私立高校では
順列Pや組合せCを使い、思考力を駆使して計算で求められないと詰む設問が出ます。
この単元は問題設定のバリエーションが多く、条件を少し変えるだけで別問題となる手強い部類です。
無理は禁物ですが思考力向上のチャンスとして、計算式で求める練習をしておきたいところです。
中学受験組はみっちり仕上げてきます。

理科社会

高校受験生は中学受験生と比べ、理社に大きな後れを取っていると言われています。
これは中学受験の詰め込み量がはなはだしいのもありますが、高校受験では国立や一部私立を除くと、
内申点を得るための定期テスト対策や出題範囲が教科書に限られる公立高校入試対策がメインになるからです。
●公立高校入試の難易度は高くありません。
単元の幅広さと受験生の学力のレンジから、自ずと設問レベルは広く浅くになります。
平均点が下がる年度では難しくなりますが、難問といえるのは出題されても1~2問。網羅勝負です。
●最初から理社を捨てている人もいます。
受験戦略では英数優先なのですが、基礎知識がないと高校入学後に苦労します。
科目数の多い国公立大学を志望する場合は負担が大きくなります
●義務教育の範囲内は5教科満遍なく学ぶことが理想です。
それに、受験から離れても活きるのは理科や社会の知識・知見だと個人的に思っています。
●社会の解説は1万字以上あります。自分でいうのもなんですが明らかにオーバースペックです。
基礎知識が足りない人は手元の教科書や問題集を大切に!また、試験直前期に読むものでもありません
●解答に必要な知識から展開して、高校範囲やそれ以上の関連知識を紹介しています。
社会や理科は教科書外の教養が興味の起爆になりえます。ワクワク大事です。奥行きを感じてください。
すべてを無理に覚える必要はありません。そそられた箇所だけつまむのが良いと思います。
●理科の計算問題は基礎レベルでも正答率の低さが目立ちます。
苦手意識から避けやすいところです。典型題からコツコツと積み重ねましょう。

英語

●サボは大袈裟な表現が苦手なのですが、そんなサボでも英語の難化をひしひし感じています
年度を追うたびに、今まで登場しなかった英単語や表現が増えているのです。
主な要因は小学校に前倒しされた単語が履修済みとされたからです。
学習指導要領の改訂により、高校から下りてきた文法事項もあります。
●英語の成績分布は緩やかなM字カーブを描いたり、上位層と下位層の二極化が進んでいます。
単語力は不可欠です。習得に長いスパンを要するので、計画的に覚えてください。
●高校の文理選択でいずれに転がっても配点率の高い教科は英語です。
●英検3級は中学卒業程度とされますが、取得者が高校受験に太刀打ちできるわけではありません。
また、英会話教室が人気を博していますが、受験英語の書き取りに耐えうるかは別問題です。
●サボの英語の解説は文法問題や英作文を除き、本文の訳が占めています。
細かい点までは及んでいません。困ったら最寄りの英語教師を頼ってください。
●長文読解で読解速度を上げるのは、ある程度の精読ができてからです。
はじめは辞書的なぎこちない言い回しでOKです。
●解説の訳文は必ずしも逐語訳ではありません。
なるべく自然な日本語訳を意識していますので、研究してみてください。
Push B button to jump Mario.
『マリオをジャンプするためにBボタンを押して』→『Bボタンを押すとマリオがジャンプする』
速読にはピリオドから折り返さないことです。
*後日、気づいたことがありましたら付記します。

 

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