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2024年度 灘中学過去問【理科】大問4解説

問題PDF
試験管に入れた水を冷やして、水の温度変化と水のようすを調べました。

その結果、冷やした時間と水の温度の関係は図1のようになりました。

問1
水がこおりはじめる(試験管内に固体が生じはじめる)のは、図1の点A~Eのいずれの点か、
記号で答えなさい。

問2
点Cでの試験管内の水のすがたを答えなさい。

次に、試験管に食塩水を入れ、水と同じように冷やしたときの温度変化とそのようすを調べました。
食塩水について、水20gに溶かす食塩の量を変えて、4種類の異なる水溶液を用意し、
それぞれについてこおりはじめる温度を調べると、表のような結果になりました。

また、食塩0.5gを溶かした水溶液について、こおりはじめてから図1の点Cにあたるところまで実験を続けると、水溶液の温度は図2のように変化しました。

問3
水100gに食塩6gを溶かした水溶液を冷やしたとき、何℃でこおりはじめますか。

問4
図2で、こおりはじめる温度の-1.6℃は点F、Gのいずれの点の値か、記号で答えなさい。

問5
図2から、水溶液がこおりはじめてから試験管内で何が起こっていると考えられますか。
次の中から記号で答えなさい。
ア:水と食塩が混ざった、食塩水がこおっている。
イ:水だけがこおっている。
ウ:食塩だけが固体となって出てきている。

問6
水20gに食塩0.5gを溶かした水溶液を-5℃まで冷やしたとき、試験管内に固体は何g生じていますか。


@解説@
問1:B

グラフが折れるBから状態変化が始まる。
水の凝固点(液体→固体になる温度)は1気圧下で0℃。

@状態図@

WIKIBOOKSより。圧力により融点(凝固点)や沸点が変わる。
温度・圧力をもとに物質の状態変化を整理した図を状態図という。
固体と液体の境界線がその圧力下における融点をさす。
1.013×105Pa(パスカル)は1気圧で、このときの水の融点が0℃、沸点が100℃。
一般的に圧力をあげると固体を維持しやすくなって融点もあがるが、水の場合は逆に融点が下がる。
なお、三重点で
は固体・液体・気体が併存する。

問2:固体と液体が混ざっている。

分子は熱を受けると運動する(熱運動)。熱を奪うと(温度を下げると)熱運動は弱まっていく。
液体の水分子(H2O)はバラバラに動き回り、熱を奪うと水分子同士が結合して氷になる。
液体の水→固体の氷に状態変化するとき、水は周囲に熱を放出する(凝固熱)。
B~D間で温度が変わらないのは、冷却で奪われる熱と状態変化で生まれる凝固熱がつり合っているため。

問3:-3.84℃
水100gに食塩6gを混ぜた→水20gあたり食塩1.2g

表を見ると、【食塩0.5gで凝固点が-1.6℃下がる】
食塩1.2gの凝固点は、-1.6×1.2/0.5=-3.84℃

問4:G
問5:イ

グラフが折れ曲がる温度で凝固熱が発生、温度の低下が和らぐ→凝固点はG
状態変化は物理変化であって、別の物質に変化する化学変化ではない。
凝固点に達すると水分子同士が結合して氷になる。食塩は水に溶けたまま

食塩で凝固点が下がる(凝固点降下)の理由は、食塩が水の結合を邪魔するから
冷却を続けると食塩の量は変わらず、水だけが減っていく。
食塩水の濃度が高まり、残りの水はより結合しにくくなる。
→凝固点は下がっていき、グラフでは右下の直線になる。
食塩が溶けきれないほど水が少なくなると、食塩が析出する。

問6:13.6g
図2は図1のCまで実験した→試験管内の固体は氷だけ。

与えられた情報は、食塩の濃度と凝固点の関係しか与えられていない…。
どれほど凝固が進むかわからないので、方針としては-5℃のときの水を求めて残りの氷を出す

水20gで凝固点を-5℃にするのに必要な食塩の量を求めると、
0.5×5/1.6=25/16g
【水20g+
食塩25/16g⇒凝固点-5℃降下】
実際に食塩は0.5gしか入れていないので、水の一部が凝固している。
水が凝固しても食塩は0.5gのまま。
今度は、食塩0.5gで凝固点を-5℃にするには何gの水が必要かを求める

食塩が25/16:0.
5=㉕:⑧だから、20×⑧/㉕=6.4g
【水6.4g+食塩0.5g→凝固点-5℃降下】
食塩0.5gで-5℃のときに水6.4gだから、凝固した氷は20-6.4=13.6g

 

@余談@
凝固点が降下した度合いを凝固点降下度といいます。
高校化学では以下の公式を習います。
凝固点降下度(Δデルタ)=モル凝固点降下(K)×質量モル濃度(m)
モル(mol)は物質量の単位でここでは割愛。モル凝固点降下は液体ごとに値が決まっています。
(水のモル凝固点降下は1.85K・kg/mol)
が定数なので、残りの凝固点降下度(Δt)と質量モル濃度(m)は比例関係です。
本問でいえば、水20gに溶かした食塩の量に応じて凝固点が下がります。
質量モル濃度は、ざっくりいうと食塩÷水の値。

凝固点降下度→5℃:1.6℃=25:8
比例から質量モル濃度(=食塩÷水)の比も25:8
食塩が0.5gで一定ゆえ、水の比は逆比で⑧:㉕
つまり、-1.6℃のときの水20gを㉕とすると、-5℃のときの水は⑧、氷は⑰になる。

20×⑰/㉕=13.6g
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