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2018年度 海城中学過去問【理科】大問1解説

問題PDF
次の文章を読んで、以下の各問いの答えなさい。

数値で答えるものは必要であれば四捨五入して、整数で答えなさい。
また、各物質の1cm3あたりの重さは次の表の値を用いなさい。

液体中の物体は、その物体がおしのけた液体の重さに等しい大きさで、上向きの力を受けます。
これをアルキメデスの原理といい、液体から受けるこの力を浮力といいます。
浮力について、以下の【実験1】~【実験3】を行いました。

【実験1】
水の入ったビーカーがある。
このビーカーを台はかりにのせたところ、300gを示した。
図1のように、体積100cm3の円すい型のアルミニウムのおもりをばねはかりでつり下げ、
円すいの頂点の高さが水面の高さと同じになるように、水中で静止された。

問1:【実験1】について、次の(1)~(4)に答えなさい。
(1)おもりが受ける浮力の大きさは何gですか。
(2)ばねはかりが示す値は何gですか。
(3)台はかりが示す値は何gですか。
(4)ばねはかりをそっと引き上げ、おもりを水から出していきます。
おもりの頂点が水面から引き上げられた高さに応じて台はかりの値はどのように変化しますか。
その変化を最もよく表すグラフを選びなさい。

【実験2】
図2のように、水と食塩水に体積100cm3の氷を浮かべ、その様子の違いを観察した。

問2:【実験2】について、次の(1)~(3)に答えなさい。
(1)氷が溶け始める前に液面の上に出ている氷の体積を比べたとき、
どちらに浮かべた方が何cm3だけ大きいですか。
解答欄に合うように答えなさい。

(2)水に入った氷がすべて溶けたとき、
液面の高さは氷が溶け始める前と比べてどうなりますか。
ア:高くなる イ:変わらない ウ:低くなる

(3)食塩水に入った氷がすべて溶けたとき、
液面の高さは氷が溶け始める前と比べてどうなりますか。
ア:高くなる イ:変わらない ウ:低くなる

【実験3】
水に浮かぶ135gの直方体型のアルミニウムのおもりを糸でつるしたところ、
氷につるされたおもりは図3のように静止した。

問3
【実験3】について、次の(1)~(3)に答えなさい。
ただし、糸の体積と重さは考えないものとします。
(1)図3のようにおもりが静止しているとき、
氷とおもりの重さの和が、氷とおもりにはたらく浮力の和に等しくなっています。
氷の体積が2000cm3であるとすると、液面の上に出ている氷の体積は何cm3ですか。

(2)おもりが沈んでいかないためには、氷はある体積より大きくなくてはなりません。
その体積は何cm3ですか。

(3)氷がすべて溶けたとき、液面の高さは氷が溶け始める前と比べてどうなりますか。
ア:高くなる イ:変わらない ウ:低くなる


@解説@
本問はアルキメデスの原理をうまく使う。
浮力=物体がおしのけた液体の重さ
問1

(1)100g
浮力の大きさは、物体がおしのけた液体の重さ。
すなわち、円錐のアルミニウムがおしのけた分の水の重さ。
アルミニウムは100cm3。おしのけられた水の体積も100cm3
水の密度は1g/cm3なので、100cm3の水の重さは100g→浮力も100g。
水中部分の物体の体積=水が押しのけられた体積=浮力の大きさ

(2)170g
アルミニウムの重さを求める。
アルミは1cm3=2.7g。100cm3で270g。
100g分は浮力で減るので、ばねはかりは270-100=170g。

(3)400g
水+ビーカーは300g。
上向きの力である浮力にも作用反作用の法則が適用されるので、
浮力により下向きに100gの力が加わる。
よって、台はかりは、300+100=400g

(4)キ
円錐のおもりを水から出していくと、水中に浸る部分が減っていく。
おもりによって押しのけられる水の重さが減るので、浮力が小さくなり、
浮力の反作用による下向きの力が減少するから、台はかりの値は徐々に小さくなっていく。
→オ・カ・キのどれか。
円錐の先端部分から引き上げられるので、はじめは浮力の減少度合いは小さいが、
円錐の底にいくほど体積が大きいので、浮力の減少度合いは次第に大きくなっていく。

問2

(1)食塩水に浮かべた方が15cm3だけ大きい。
アルキメデスの原理を使って、水からでている部分の氷の体積を求める。
氷の重さは、氷1cm3あたり0.9gなので、100×0.9=90g。
氷が浮いているということは、氷の重さと氷にかかる浮力がつり合っている
氷の重さが90gだから、氷にかかる浮力も90g。
アルキメデスの原理から、浮力=物体が押しのけた液体(水)の重さなので、
氷が押しのけた水の重さは90g。
水は1cm3あたり1gだから、氷が押しのけた水の体積は90cm3
換言すれば、水中部分の氷は90cm3
液面の上にでている氷の体積は、100-90=10cm3
【氷の重さ=浮力=押しのけられた水の重さ→押しのけられた水の体積→水面上の体積】

食塩水も求め方は同様だが、重さから体積への変換に注意!
氷にかかる浮力90g。氷が押しのけた食塩水の重さも90g。
食塩水は1cm3あたり1.2gなので、
9
0gの食塩水の体積は、90÷1.2=75cm3…食塩水に浸かっている氷の体積
液面上の氷の体積は、100-75=25cm3

液面上の氷は水で10cm3、食塩水で25cm3なので、
食塩水に浮かべた方が15cm3だけ大きい。

(2)イ
氷が溶けても水面の高さは変わらないと知識で知っていれば即答可。
計算で求めると…状態変化は体積が変わっても重さは変わらないから、
90gの氷が溶ければ90gの水になる
90gの水は90cm3で、これは氷が押しのけていた水の体積と同じだから、
100cm3の氷が溶けても水面の高さは変わらない。

(3)ア
90の氷が溶ければ90gの水になる。90gの水は90cm3だが、
前問より、氷が押しのけていた食塩水の体積は75cm3しかないので、
15cm3分のかさが増す。よって、水面は高くなる。

問3

(1)115cm3
先に重さと体積を求めておく。
氷は2000cm3。重さは、2000×0.9=1800g
アルミの重さは135g。体積は、135÷2.7=50cm3
浮力の和は、1800g+135g=1935g。
アルキメデスの原理から、氷とアルミが押しのけた水の重さも1935g。
押しのけられた水の体積は1935cm3(氷とアルミの水中部分)。
このうち、アルミが50cm3なので、水中部分の氷は1935-50=1885cm3
液面の上に出ている氷の体積は、2000-1885=115cm3

(2)850cm3
重さが決まっているアルミから考える。
アルミは135g、50cm3
アルミが押しのけた水は50cm3、50gなので、
アルミには50gの浮力がかかる。
135-50=85gの浮力を追加すれば、おもりは浮く

氷は1cm3あたり0.9g。氷にかかる浮力も0.9g。
水は1cm3あたり1gなので、
氷を1cm3ずつ増やすと1-0.9=0.1g分の浮力が増していく
85g÷0.1g×1cm3=850cm3の氷を浮かばせれば、おもりは沈まない。

(3)ウ
氷だけだと、問2(2)より、水面の高さは変わらない。
氷が溶けると、氷が水中に使っていた部分の体積と等しくなるといえる。
氷を○、水中部分をAとすると、↓の感じ。

一方で、アルミのおもりを氷につるすと、
氷が下へ下がり、水中部分BはAよりも大きくなる。
氷が全て溶けるとAの水になるが、これはBを満たせない量なので、
満たせない分は水面が下がってしまう。
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