問題PDF
一辺が10cmの立方体の消しゴムがあります。図1のように、消しゴムの各辺に沿って、上下方向、左右方向、前後方向とよぶことにします。また消しゴムは変形しても直方体とみなせるものとします。
問1
図2のように左右方向に対して垂直な面を、ある大きさFのカで両側から押すと、消しゴムは左右方向に縮み、左右方向の長さは9.99cmになりました。カの大きさを変え、両側から押すと、消しゴムは左右方向にもとの10cmから0.002cm縮みました。このとき両側から押した力の大きさはFの何倍ですか。押した力と消しゴムの縮み(縮んだ距離)の間には比例関係が成り立つものとします。
問2
今度は先ほどと同じ消しゴムを2個用意し、図3のように左右方向にくっつけて、問1の大きさFのカで両側から押しました。このとき左右方向の消しゴムの全長 (長さの和)は何cmですか。
消しゴムが両側から押されたとき、その方向の長さの変化がわかれば消しゴムの体積変化を簡単に計算できそうに思えます。しかし左右方向に両側から押された場合、消しゴムは直方体の形に変形し、上下方向および前後方向の消しゴムの長さも変化するので、計算はそれほど簡単ではありません。
問3
図2のように消しゴムが左右方向に両側から押されたとき、消しゴムの①上下方向および②前後方向の長さはそれぞれどうなりますか。伸びる場合はA、縮む場合はBとそれぞれ答えなさい。
図2のように1個の消しゴムが左右方向に両側から押されたとき(上下方向の伸びまたは縮み)÷(左右方向の縮み)の値をaとします。このとき、(前後方向の伸びまたは縮み)÷(左右方向の縮み)の値もaとなります。aの値は、消しゴムの素材によって異なります。
問4
問1の消しゴム1個ではa=0.48でした。このとき問1の大きさFのカでその消しゴム1個を両側から押すと、消しゴムの体積は何cm3減りますか。小数第2位まで答えなさい。ただし、xとyがともに1に比べてとても小さな数のとき (1-x)×(1+y)×(1+y)を1-x+2×yのように計算してかまいません。これを近似計算と呼びます。近似計算では例えば、
(1-0.0003)×(1+0.001)×(1+0.001)=1.0017003997を1-0.0003+2×0.001=1.0017
としてよいことになります。
問5
どんな立方体の消しゴムも、両側から押されたとき、体積は必ず減少することが知られています。このことから、aの値はある値以上になりえないことがわかります。ある値を答えなさい。必要であれば問4の近似計算を使って かまいません。
@解説@
問1:0.2倍
【押した力】と【縮んだ距離】は比例関係。
1F→0.01cm縮んだ。
0.002cm縮ませるには、1×0.002/0.01=0.2F
Fの0.2倍。
問2:19.98cm
①左側面がFで押される。
②右が左をFで押す。③左が右をFで押す。(②と③は作用・反作用)
左右で0.01cmずつ縮むから、20-0.01×2=19.98cm
問3:①A②A
本問は変形しても直方体とみなすが、もし指で左右を押したら上図のような感じで膨らむ。
左右が押されてもゴムの分子量は変わらないので密度が高まり、
上下方向や前後方向に少し押し出される。
問4:0.04cm3
式に当てはめると、前後/上下の伸びは、0.01×48/100=0.0048cm
直方体とみなすので、消しゴムの体積は(10-0.01)×(10+0.0048)×(10+0.0048)
【近似計算】
(1-x)×(1+y)×(1+y)=1-x+2×y
x=0.01、y=0.0048と代入したいが、問題は(10-〇)ではなく(1-〇)の公式であること!
1辺を10cm→1cmあたり(体積1cm3)に変えると、x=0.001、y=0.00048になる。
(1-0.001)×(1+0.00048)×(1+0.00048)
≒1-0.001+2×0.00048
=1-0.00004→1cm3から0.00004cm3少ない体積。
実際の変形前の消しゴムは、10×10×10=1000cm3だから、
体積の減少分は、0.00004×1000=0.04cm3
問5:0.5
近似計算において、-xが減少分で+2yが増加分である。
x=2y→x:y=2:1のときに体積が変わらない。
a=y÷x=1/2=0.5
体積は必ず減少するので、aは0.5以上になりえない。
@余談@
数学になりますが、
(1-x)(1+y)(1+y)
=(1-x)(y2+2y+1)
=y2+2y+1-xy2-2xy-x
xとyがとても小さな数で、小さな数に小さな数をかけた数はさらに小さな数になるから、
近似計算では定数項の1、1次の+2y-xを抜き出して、1-x+2yになるのだと思います。
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