2019年度 市川中学入試問題【理科】大問3解説

 市川市内には、谷の奥に見られる湧水(ゆうすい)と小川、そして谷を囲む台地を含めた「谷津やつ」と呼ばれる地形がよく見られます。図8は夏の谷津の風景です。中心が谷の奥となり、中心から左下に向かって小川が流れています。

 両側に見られる谷を囲む大地の斜面には、シラカシはアカガシなどの常緑樹や、クヌギやコナラなどの落葉樹からなる林ができています。これが斜面林です。斜面林を外から見ると、緑の葉がうっそうと繁った林に見えますが、葉は木の上部にだけついており、下部にはありません。斜面の側面にはカラスウリやフジなどのつる性植物や、ミゾソバやススキなどの草本が多く見られました。斜面林の中は湿度がとても高く、林床(りんしょう;林の斜面)には山菜などの下草やキノコが生えています。
 湧水や小川の中には水草やプランクトンが生息しています。それをサワガニやメダカ、ホタルやトンボの幼虫などの水生動物が食べます。さらに、アオサギやカワセミが水生動物を食べます
 小川の両岸には、アシやガマなどの植物が生えている湿地が見られます。湿地のなかには乾燥が進み、ハンノキのような樹木が生えているところもあります。
 周辺の集落では薪(まき)や炭を作ったり、山菜やキノコなどを採取したり、水田を作ったりと、谷津を人の手によって管理してきました。
 このようにして、谷地形や湿地、その周辺の斜面林や畑、多くの動植物、そして人の集落が一体となって、谷津の自然が保たれてきました。ところが、都市化による開発が進みにつれ、谷津の自然は失われていきました。残されている谷津の自然を守るために、わたしたちにできることは何でしょうか

(1)
谷津の自然のように、人が管理することで保たれている環境を何といいますか。
ア:奥山 イ:自然林 ウ:里山 エ:原生林

(2)
下線部①のカラスウリやフジなどのつる性の植物の成長のしくみとして正しいものを選びなさい。
ア:つる性植物は、光を少しでも多くあびるために、
 他の植物や構造物に寄りかかって、高くなろうとする。
イ:つる性植物は、強い光から逃れるために、
 他の植物や構造物によって日が当たらない所にのびようとする。
ウ:つる性植物は、他の植物に栄養をあたえるかわりに、
 他の植物の成長にあわせて、くきや幹をのばしてもらう。
エ:つる性植物は、自分のくきや幹に栄養が伝わらないので、
 他の植物から吸収するためにからみつく。
オ:つる性植物は、自分では体を支えることができないため、
 他の植物が上にのびるときに引っ張ってもらう。

(3)
下線部①のカラスウリやフジなどのつる性植物や、ミゾソバやススキなどの草本をとりのぞくと、斜面体では枯れる木が見られるようになりました。このことから、これらの植物には斜面林を保つための重要な役割があることがわかります。この役割を本文を参考にして15字以内で答えなさい。

(4)
下線部②のような関係を何といいますか。

(5)
最近では、アメリカザリガニやミシシッピアカミミガメのように、もともと日本に生息していない植物が、この谷津でも見られるようになりました。このような生物を何といいますか。

(6)
図9の矢印のように、斜面林では、幹の地表近くに板のような根(板根ばんこん)を形成している木が見られます。板根が形成される理由として正しいものはどれですか。


ア:地表に沿って根がのびるから。
イ:土の表面が固いから。
ウ:日の当たる方向に根がのびるから。
エ:雨が降ると土が流出するから。

(7)
下線部③について、「谷津の自然を守るためには、人が一切手を加えるべきではない」という考え方があります。谷津の自然に手を加えなければ、どのようになると考えられますか。
ア:生息する生物の種類が増える。
イ:湿地が乾燥し草原になる。
ウ:若木が育ちやすくなる。
エ:全体的に樹木の高さが低くなる。


@解説@
(1)ウ
【里】があるので、なんとなく里山だとうと想像できる。。
里山…里の
近くにあり、人の管理が及んでいる山。

奥山…人里から遠く離れた山。
自然林(天然林)…自然にできた林。反対は人工林。
原生林…昔から現在まで一度も人の手がつけられていない林。
  白神山地はブナの原生林として自然遺産に登録されていますね。

(2)ア
つる性植物の強みは、しっかりした茎を持ち合わせていなくても、
他の物体にからみついて柔軟に動くことで、光を獲得するところ。

 

@屈性@
植物が外部からの刺激を受けて、一定の方向に曲がる性質を屈性という。
重力に向かう屈地性、水のある方に向かう屈水性。
つる性植物は何かに触れるとそれに巻きつこうとする。
これを屈触性くっしょくせい)という。

(3)斜面林の湿度を一定に保つ役割。
読解問題。
だいたいは同じ段落内にあるので、的は絞りやすい。
「つる性植物や草本が生えている斜面林の中は湿度がとても高い」
これらの植物が土壌を覆うことで水分の蒸発を防いだり、蒸散作用で水を放出することで、
斜面林の湿度を保っている役割を担っていると考えられる。
なお、生物学では草のことを草本そうほん)という。

(4)食物連鎖
食う-食われるの関係。
食物連鎖は1対1の関係だが、実際の生態系は食物連鎖が複雑に交差するので、
その様子が網目のように絡み合うことから、食物網という言葉がよく使われる。

(5)外来種(外来生物)
人の手によって外から持ち運ばれた生物。植物だと帰化植物という用語もある。
1992年の国連環境開発会議で採択された生物多様性条約では、第8条(h)『生態系、生息地若しくは種を脅かす外来種の導入を防止し又はそのような外来種を制御し若しくは撲滅すること』とあり、国内法では外来生物法特定外来生物の飼養や栽培、輸入規制、防除などの定めがある。

(6)エ
通常、根は地中にあるが、板根は地表にむき出しになっている。
斜面林は雨が降ると土砂が崩れ、斜面の下の方に倒れてしまうおそれがあるため、
板根が木を支えている。マングローブでも板根が見られるそうだ。

(7)イ
それっぽい誤答もあり、難しい。
植生(植物の集団)は時間とともに様子が変化していく。
これを遷移せんい)という。
ア:人の手が及ばなければ生物の種類が増えそうではあるが、必ずしもそうなるとは限らない。
 生態系が変化することで、いなくなる生物もでてくる。
イ:湿地は乾燥して草原になる。これが正答。
 湿性遷移といい、自然の湖沼や湿地は底に堆積物が蓄積されて水深が浅くなっていき
 最終的に草原となる。「池」や「沼」がつく地図上の湖や沼が草原にはならないのは、
 浚渫(しゅんせつ)で水底の堆積物を取り除いて、水深を確保しているため。
ウ:人為的な介入がないと、生態系が豊かになって若木が育ちやすくなりそうだが誤り。
 草原はやがて森林となり、はじめは明るければ素早く成長する陽樹が増えるが、
 木の数が増えると地表に差し込む光の量が減るので、次第に日陰でも育つ陰樹が占める。
 陰樹でないと若木は育ちにくくなる。
エ:光を得ようと、樹木は高さを伸ばし、うっそうと繁っていく。
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