問題PDF
太郎くんは、千葉の海岸へ磯の生き物を観察しに行きました。磯の観察をするときは、潮の満ちひきを考えて行動しなければなりません。海水面の高さは1日に2回、緩やかに高くなったり低くなったりしていて、一番高くなることを満潮、一番低くなることを干潮といいます。地球では、潮の満ちひきは主に月の影響によって起こり、月に面した側とその反対側で海水面を高くする作用が強くなります。
(1)
月は24時間50分経つと空の同じ位置に見えます。
同じ海岸では、満潮から次の満潮まで何時間何分かかりますか。
(2)
磯で観察するには、干潮の前後の時間帯が適しています。太郎くんが磯に行った日の干潮時刻は11時45分でした。3日後の日中に再び同じ磯へ行くとすれば、その日の干潮時刻は何時何分ですか。
時刻は0~24時で答えなさい。
(3)
太郎くんが磯の観察に行った日は満月でした。この日から一週間後のおよその月の位置は図1のア~クのどれですか。また、その位置にある月が南の空にきたときに見える形は図2の①~⑧のどれですか。それぞれ答えなさい。
磯には、海藻、カニ、貝、魚などの様々な生き物がすんでおり、とくに海水がわずかに残った潮だまりでは、生き物がたくさん観察できます。太郎くんは、潮がひいたときの磯で観察したことを、図3のようにまとめました。
(4)
磯では、図3のように高さによって生き物の種類が大きく違います。それはなぜですか。
(5)
図3のAのような場所にいる生き物の中で、硬い殻をもつフジツボのように、岩にはりついてじっとしている生き物に必要な体の特徴は何ですか。Bのような場所にいる生き物と比べて考えたとき、ア~キの中からふさわしいものを2つ選びなさい。
ア:太陽の光を効率よく受けるために、黒っぽい色の体をしている。
イ:太陽の光で高温になるため、乾燥に耐えられる体のつくりをしている。
ウ:海水に浸っている時間が短いため、肺で呼吸をしている。
エ:岩の隙間で生活するために、柔らかい体のつくりをしている。
オ:外敵から身を守るために、トゲがある。
カ:エサを海水中からとる時間が短いため、少ない栄養で生きていける。
キ:激しい温度の変化に耐えられるように、体温を調節できる。
(6)
図3のAのような場所よりBのような場所の方が、多くの種類の生き物がいます。それは、Aに比べてBの方が生き物にとって過ごしやすい環境だからです。しかし、ここで生き残るには大変なこともあります。それはどのようなことですか。考えられることを2つ書きなさい。
@解説@
(1)12時間25分
リード文では『1日に2回』満潮、干潮がおとずれ、
『月に面した側とその反対側で海水面が高くなる(=満潮)』とある。
ここから、月の周期の半分ごとに満潮が起きると考えられる。
24時間50分÷2=12時間25分
@潮汐@
満潮や干潮を引き起こす現象を潮汐という。
潮汐は月の引力と遠心力から起こる。
気象庁より。地球を覆う水は力を受けると形を変える。
月の引力に引っ張られると、月に面した側の水位が上昇して満潮となる。
その反対側は月から遠いので月の引力は小さくなる。
地球の遠心力が勝り、外側に水が引っ張られて満潮になる。
両サイドが水が引っ張られると、真ん中の水位が減少して干潮となる。
上の図では地球を横からみた図なので干潮が上と下しかないが、
立体的にみると手前も奥も干潮である。(イメージでいえばラグビーボールみたいな感じです)
(2)14時15分
前問より、12時間25分周期で満潮になるということは、干潮も同じ周期でおとずれる。
〔半日+25分〕だから、3日間では〔半日+25分〕×6=〔3日間+150分〕
つまり、3日後では干潮時刻が150分(2時間30分)遅れる。
11:45+2:30=14:15
(3)オ・⑦
月の約27日。7日間は約4分の1周なのでオ。
太陽に面している半分が光り、地球から見ると左側が光って見える(下弦の月)
(4)高さにより磯の環境が大きく異なるから。
磯の生物が多様な理由。
磯は潮位の変化が激しく、陸地になったり海中なったりと狭い場所で環境が大きく変化する。
生物は自分に適した環境に住むので、環境の変化(多様性)が種の多様性につながる。
(5)イ・カ
フジツボを思い浮かべれば、いくつも消去できる。
黒っぽい色をしていない×。硬い殻は乾燥から身を守る〇。
肺呼吸のはずがない×。
中身は柔らかいのかもしれないが、硬い殻でまとい、動かないので不適×。
トゲはない×。
哺乳類や鳥類類といった恒温動物(体温を一定に保つ動物)ならまだしも、
殻におおわれたフジツボに体温調節機能はついているだろうか?×
フジツボは貝ではなく、エビやカニといった甲殻類の仲間だそうで、
浮遊しているプランクトンを食べている。
潮が満ち、海水につかった時間帯のみ食事ができるので、
少ない栄養で生きているようになっている。○
(6)エサや住処を奪い合うこと。天敵からの捕食の危険性が高いこと。
熱帯地域もそうだが、生物が過ごしやすい環境はライバルとの競合関係が触発されやすい。
また、食物網が複雑になり、自身を捕食する天敵との遭遇率も高くなる。
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