問題PDF
あまいお菓子(スイーツ)には、砂糖以外の材料や作り方によって、いろいろな種類があります。たとえば、バターを使ったパイやパウンドケーキ、クッキーなどです。
みなさんは生クリームの作り方を知っていますか。もともとは、しぼりたての牛乳を放置し、表面に浮かぶ上がってきた層を生クリームとして利用していましたが、今は①別の方法を用いて、短時間で作っています。生クリームには、製品によって異なりますが20~45%の油が含まれています。生クリームをペットボトルに入れて強く振ると、さらに大量の水分が離れて固体の油が現れます。これがバターです。バターの中には約15%の水分が含まれています。牛乳の中の油やバターの中の水分は、それぞれ小さな粒になっています。
問1
生クリーム・バター・牛乳を、油の割合の多い順に並べなさい。
問2
下線部①について、生クリームを短時間で作る方法と関係のある現象として最も適当なものを選びなさい。
ア:海水を天日にさらして塩を取り出す。
イ:コーヒーの粉に湯を注いでコーヒーを作る。
ウ:ゴマを押しつぶして油をしぼり出す。
エ:泥水を入れたバケツを振り回して泥と水を分ける。
小麦粉には主にデンプンとタンパク質が含まれています。小麦粉と水を混ぜてパイ生地を作ると、タンパク質どうしはつながってグルテンと呼ばれるやわらかく弾力のあるものに変わります。グルテンはそのまま焼くとかたくなります。このグルテンを含んだパイ生地にバターをはさむと、図1のようにパイ生地が2層になります。これを二つ折りにすると、図2のように内側の生地どうしはくっついてしまうので、パイ生地は3層になり、図3のように三つ折りにするとパイ生地は4層になります。このようにバターをはさんだパイ生地を、平らに伸ばしてから再び折りこむことを何度かくり返して、200℃~220℃の高温で素早く焼き上げると、たくさんのうすい層を持つパイができあがります。
問3(1)
図1のパイ生地を2回三つ折りにするとパイ生地の層は何層になりますか。
(2)
図1のパイ生地を5回三つ折りにするとパイ生地の層は何層になりますか。
問4
パイ生地にバターをはさんでオーブンで熱を加えて焼くと、ふくらんでパイになります。
その理由として最も適当なものを選びなさい。
ア:バターが熱で融けてやわらかくなるから。
イ:バターの中の水分が水蒸気になるから。
ウ:パイ生地が焼けて層が多くなるから。
エ:タンパク質がつながりやすくなるから。
問5
パイを焼き上げる時には100℃ではなく、200~220℃の高温で素早く焼き上げます。
その理由として最も適当なものを選びなさい。
ア:バターが短い時間で融けて、パイ生地全体にしみこむから。
イ:バターが短い時間で燃えて、パイ生地が焼けるから。
ウ:パイ生地が短い時間で焼けて、水蒸気をとじこめるから。
エ:パイ生地が短い時間で焼けて、水蒸気が外に出やすくなるから。
小麦粉、バター、卵、砂糖を同じ重さずつ混ぜて作るケーキは、パウンドケーキと呼ばれています。パウンドケーキを作るときには、まず、砂糖を加えたバターをあわ立て器で混ぜ、②白っぽくなるまで空気を含ませます。そこに溶き卵と小麦粉を軽く混ぜ合わせて、四角い型に入れて180℃で焼いて作ります。また、③クッキーの生地は最初から、小麦粉、バター、卵、砂糖を短時間で混ぜて作ります。
問6
下線部②でバターに空気を含ませたのはなぜですか。
次の文中のa~dについて、それぞれ〔 〕内の語句から適当なものを選びなさい。
きめ細かいパウンドケーキを作るために、多くのa〔ア:大きい、イ:小さい〕空気のあわを作り、加熱された生地の中で発生したb〔ウ:二酸化炭素、エ:水蒸気〕が、そのあわのc〔オ:体積、カ:数〕を増加させて、生地をd〔キ:均一、ク:不均一〕にふくらませる。
問7
180℃より高い温度や低い温度で焼いたときには、完成したパウンドケーキの大きさはどうなりますか。次の文中のa~dについて、それぞれ〔 〕内の語句から適当なものを選びなさい。
180℃より高いと早く焼けすぎて、上部がa〔ア:かたく、イ:やわらかく〕なるので、180℃で焼いたときよりもふくらみb〔ウ:やすく、エ:にくく〕なる。180℃より低いと上部が焼けるまで時間がかかり、気体がとじこめられc〔オ:やすく、カ:にくく〕なるので、180℃より焼くよりふくらみd〔キ:やすく、ク:にくく〕なる。
問8
下線部③について、クッキーはサクサクとした食感が特徴ですが、バターが少ないとかたくなってしまいます。クッキーの生地に含まれるバターの役割として、最も適当なものを選びなさい。
ア:バターの中の水分が、タンパク質どうしをつながりやすくする。
イ:バターの中の水分が、タンパク質どうしをつながりにくくする。
ウ:バターの中の油が、タンパク質どうしをつながりやすくする。
エ:バターの中の油が、タンパク質どうしをつながりにくくする。
@解説@
問1:バター>生クリーム>牛乳
搾りたての生乳の表面に浮かびあがってきた、
上澄みの層を生クリームとして利用していたということは、
牛乳の成分のなかでも比重の小さい油(油脂)を生クリームに加工すると考えられる。
その生クリームから水を分離させて得た固体の油がバターなので、
油の割合の多い順は、バター>生クリーム>牛乳となる。
生クリームがどういう形で販売されているのか、知らない小学生は多いと思われる。
問2:エ
ボトルを振って水と油を分離するので、遠心力で泥と水を分けるエが正答。
イは昨年のコーヒー問題の名残りか?
@ホモジナイズ@
牧場の体験コーナーで、牛乳をいれたペットボトルをシャカシャカ振るとバターになったのに、
スーパーで買ってきた牛乳をシャカシャカ振ってもバターになってくれない…(;´Д`)ナゼ
搾りたての生乳に含まれるタンパク質や脂質の分子は大きさが不均一で、
シェイクして分子同士を衝突させると膜が壊れて互いにくっつきあい、バターに変わる。
一方、スーパーの牛乳は分子の大きさを均一にする処置が施されているのでバターにならない。
この工程をホモジナイズという。
ホモジナイズすると味のムラがなくなり、乳製品への加工がしやすくなる。
問3:(1)10層(2)244層
パイ生地の層を数える設問。
(1)
〇がパイ生地の層。
あいだにはさまれるバターに注目しよう。
植木算でいう”間の数がバター”に相当する。
三つ折りすると、バターの層は3のベキ乗で増えていく。
2回三つ折りすると、バターの層は3×3=9
これがパイ生地の間の数なので、パイ生地の層は9+1=10層
(2)
5回三つ折り→3の5乗
3×3×3×3×3+1=244層
問4:イ
『ふくらむ』ということは、空間のなかにある何かが膨張し、
内側から外側に向かって力が働いたということ。
その正体は水。バターの中の約15%の水分がパイ生地をふっくらさせる(๑´ㅂ`๑)ŧ‹”ŧ‹”
問5:ウ
前問の続き。
100℃で水は水蒸気になるが、低温で焼くとグルテンが固くならない。
ネチョネチョの生地から水分が抜けていくので、ふっくらしない。
短時間の高温により、水分の膨張とともに生地をしっかり焼きあげて風船のように膨らむ。
問6:a-イ、b-エ、c-オ、d-キ
今までのおさらい。
きめ細かいパウンドケーキを作るには、バターに空気を含ませて小さな気泡をたくさん作り、
バターの水蒸気が膨張して、生地を均一に満遍なくふくらませる。
問7:a-ア、bーエ、c-カ、d-ク
180℃より高温だとグルテンがすぐ固くなる。
生地が固くなって膨らみにくくなる。
一方、180℃より低温だと生地が柔らかいので水蒸気がじわじわ出ていき、
気体が閉じ込められにくいので、生地が膨らみにくくなる。
温度の加減が大事なんですね( ˘ω˘ )
問8:エ
クッキーはパウンドケーキと異なり、泡だて器で空気を含ませる作業をしない。
もし、小麦粉のタンパク質同士がつながってしまうと、空気が入るポケットが少なくなり、
クッキーがカチカチに固くなってしまう。
タンパク質同士をつながりにくくするには、小麦粉と水があまり接触しないよう、
バターの油脂でタンパク質をおおうことで水との結合を防ぎ、グルテンの発生を抑制する。
このようなバターの作用をショートニング性というようだ。
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