2025年度 都立高校入試問題過去問【社会】解説

平均59.9点(前年比;+4.4点)

問題はこちら→東京都教育委員会

大問1(小問集合)-66.4%

(1)イ 83.1%

*Dから右手を見る。写真では右側に弓なりの海岸線が見える→イ?・ウも一応。
ルートマップの方位は上が北ではないことに注意
上を北にすると、Dから斜め右上に向かって道路がまっすぐ伸びるイが正答。

(2)エ 64.8%

*倒幕後に天皇中心の政治を行う→後醍醐ごだいご天皇
鎌倉幕府を滅ぼす計画を立てるが二度も失敗…島根の隠岐おきに流される。
幕府の支配に従わない悪党楠木正成くすのきまさしげ新田義貞にったよしさだが後醍醐天皇に味方して、
幕府の有力御家人であった足利高氏(尊氏)は幕府に謀反むほんを起こし、六波羅探題を攻め落とす
(討幕後、後醍醐天皇から『尊』の字を与えられて高氏→尊氏に改名)
1333年、新田義貞が北条氏を倒して鎌倉幕府は滅んだ

京都に戻った後醍醐天皇は公家を中心とする建武の新政を始めるが、
武士を冷遇したことから足利尊氏と対立、奈良の吉野に逃れて南朝を樹立した
尊氏は光明こうみょう天皇を立てて京都に北朝をおこし、約60年にわたる南北朝時代の動乱期に突入する。

後醍醐天皇の病死後、足利尊氏は天皇をとむらうため、京都の嵯峨さが天龍寺を建てた。
3代将軍・足利義満のときに和解が成立して(明徳めいとく和約わやく)、南北朝が合体する。

ア:後白河ごしらかわ天皇…貴族社会から武家社会への転換期である、平安末期の保元・平治の乱で登場する。
ちなみに、白河天皇は1086年、息子に皇位を譲り、自身は上皇の立場から院政を始めた人物。
イ:聖武しょうむ天皇…奈良時代。鎮護国家思想のもと、仏教の力で国家の安泰を願った。
ウ:桓武かんむ天皇…平安京遷都せんと蝦夷えみし討伐に坂上田村麻呂さかのうえのたむらまろを征夷大将軍に任命した。

(3)ア 51.4%
*『特定の仕事の費用を国が一部負担する依存財源』→国庫支出金
国庫支出金と地方交付税交付金は、国から地方に交付される資金である。
国庫支出金…公共事業、義務教育といった使用目的が決まっている特定財源
地方交付税交付金…使用目的が決まっていない、自由に使える一般財源
目的は地方間の財源格差を調整することにあり、都道府県別では東京都だけ交付を受けていない。

総務省より、市町村単位の不交付団体(関東地方抜粋)
人口が多く、大企業の工場や施設がある市町がリストに載っている。
地方税は自主財源、地方債は依存財源である
地方債は政府でいう国債、会社でいう社債で借金にあたる。
かつて、地方の自主財源比率が3割ほどであったことから『3割自治』と言われていたが、
小泉内閣の三位さんみ一体の改革(国庫支出金の削減廃止・地方交付税交付金の見直し・地方への税源移譲)により、
全国平均では50%前後まで自主財源比率が伸びた。

大問2(世界地理)-51.5%

(1)C・エ 57.4%
*A―メルボルン(オーストラリア南東)B―上海シャンハイ(中国の華中の東;華東かとう
C―コルカタ(インド北東;西ベンガル)D―アンカラ(トルコの首都)

わかりやすいところから判定。
ア:6-8月の気温が低い。南半球のメルボルン。
オーストラリア南東部やニュージーランドはオセアニア大陸の東側にあるが、
海からの偏西風を受けて温帯(西岸海洋性気候)に属し、冬の寒さが和らぐ。

エ:年較差ねんかくさ(最暖月と最寒月の平均気温の差)が小さく年中温暖。熱帯(サバナ気候)のコルカタ。
ガンジスデルタの西側に位置しており、夏は南西の季節風やサイクロンを受けて降水量が多い。

残りのウとイで、海沿いにある上海は降水量の多いイ。
明瞭な四季がある温帯(温暖湿潤気候)に属し、日本の太平洋側の都市と似たような雨温図になる。
降水量が少なく、気温がイより低いウはアンカラ。トルコを占めるアナトリア半島中央の高原地帯に位置し、
内陸性の気候から年較差は大きく、乾燥しやすい→乾燥帯(ステップ気候)が占める。

Ⅰ:『年間を通して高温』→エ・Cと決まる。

インドやバングラデシュの名産品・ジュート黄麻こうま
ジュートとはシナノキ科の草の茎から採取する植物繊維で袋の素材になる。
穀物やコーヒー豆をつめる袋、ロープ、カーペット、エコバックなどに利用される。

夏の季節風。
日本は南東風だが、南アジア・東南アジアは南西風

(2)P―ウ、Q―エ、R―ア、S―イ 51.4%
*P―ブラジル、Q―アメリカ、R―インドネシア、S―モロッコ
ア:『アジア諸国を
中心に輸出されている』→東南アジアのインドネシア
インドネシアの自動車メーカーはトヨタ・ダイハツ・ホンダなどの日系企業が占めており、
生産された自動車はASEAN自由貿易地域(AFTA)に基づいて、
原則、関税が撤廃されている他のASEAN諸国に輸出されている。
交通インフラの整備が進んでいないインドネシアでは、自動車より安価なバイクの利用率が高い。

イ:『ヨーロッパ諸国を中心に輸出されている』→欧州に近いモロッコ
モロッコの公用語はアラビア語とベルベル語だが、フランスの植民地支配を受けた名残から、
とくに知識人層のあいだではフランス語が広く話されているという。
モロッコ北部には地中海の出口である国際海峡・ジブラルタル海峡があり、
海峡に面したタンジェMED港は欧州向けの重要な輸出拠点となる世界屈指のコンテナ港。

商船三井の自動車専用船。自動車工場は内陸部に立地することもあるが、
輸出向けだと自動車専用船への積み荷がしやすいよう、臨海部に建てられる。

ウ:『国内で産出される鉄鉱石の使用』→ブラジル
鉄鉱石の生産量ランキング;1位―オーストラリア、2位―ブラジル
古代の海でシアノバクテリア(細菌)の光合成により放出された酸素が海水中の鉄イオンと結びつき、
それが海底に堆積した縞状しまじょう鉄鉱層から鉄鉱石が多く産出される。ブラジルは安定陸塊りくかいとよばれる、
先カンブリア時代に形成された古い大陸が多くを占め、鉄鉱石の鉱床が地表に露出している。
『自動車工場は主に南東部の都市に集中』→南東部のリオデジャネイロやサンパウロを想起する。
BRICSブリックスの一角であるブラジルでは自動車の大衆化(モータリゼーション)が進んでおり、
メルコスール(南米南部共同市場)域内のアルゼンチンに多く輸出されている。

エ:千人当たりの自動車保有台数最多→自動車大国アメリカ
アメリカ社会のモータリゼーションの歴史は長く、
GM(ゼネラルモーターズ)、フォード・モーター、旧クライスラー(現ステランティス)
このビッグスリーが20世紀のアメリカ自動車産業を牽引けんいんしていた。

トヨタ博物館より、フォード・モーター社の初期モデル・T型フォード。
世界で初めて大量生産体制が確立された自動車。最高速度は時速70kmほど。

アメリカは国土面積が広いので、国内の移動でも自動車が生活必需品となる車社会。
高速道路のインターチェンジ付近や幹線道路沿いにはモーテル(宿泊施設)がみられる。

また、アメリカは産油国の1つであり、ガソリン価格が安い。
USMCA(米国メキシコカナダ協定)に基づき、隣国のカナダやメキシコに輸出されている。

(3)ウ 45.8%
*世界の民間航空機はヨーロッパ諸国が共同で興したエアバス社とアメリカのボーイング社の二強で市場のほとんどを占有している。航空機は部品の数が多いため、一国ではなく複数の国に分かれて製造する。このような生産体制を国際分業という。エアバス社の場合はイギリスやドイツなどで作られた部品やエンジンが、 フランスのトゥールーズにある最終組立工場に運び込まれる

エアバスSASより。トゥールーズの名は高校地理に登場します。
フランスの南西部にある航空宇宙産業の集積地で、工場見学や航空博物館を楽しめる。

エアバスの大型輸送機・ベルーガ。 むちゃくちゃ運べるそうです。
流線型のフォルムが白イルカそっくり!
EU域内はヒト・モノ・カネ(資本)・サービスの移動の自由が保障されている。

統計ではイギリスとフランスが該当する。
残りは『北部にある首都』で判断するといい。イギリス北部だとスコットランドになってしまう。
高速列車ユーロスターを使うと、ロンドン―パリ間を約2時間半で移動できる。
『北東部で産出された鉄鉱石』→隣国ドイツとの国境沿いにあるロレーヌ地方
現在は閉山している。世界史ではドイツとの係争地であったアルザス=ロレーヌ地方の名で出てくる。

大問3(日本地理)-55.1%

(1)A―ア、B―イ、C―エ、D―ウ 54.4%
*A―青森、B―三重、C―香川、D―熊本
ア:『冬季は山脈の西側の降雪量が多い』→日本海側が豪雪地帯となる青森


日本は積雪量1位の国であり、なかでも青森市や酸ヶ湯すかゆあたりはトップクラス。
『中央部で南北方向に連なる山脈』→奥羽おうう山脈
北西の季節風が暖流・対馬つしま海流の影響で水蒸気を多分に含んだ状態になり、
奥羽山脈の西側に衝突・上昇することで大雪を降らす。
日照時間の長い東部では、にんにくごぼう・ながいもが栽培される。

十和田八幡とわだはちまんたい平国立公園にある十和田湖は火山活動で形成された二重カルデラ湖。
十和田湖から流れ出る奥入瀬川おいらせがわの浸食により、奥入瀬渓流おいらせけいりゅうが形成された。

イ:『南部は黒潮の影響を受けて暖冬』→太平洋側の三重
暖流・黒潮日本海流)の影響から冬季でも滅多に降雪せず、温州うんしゅうミカンが栽培されている。
『北西部の南北に走る山脈』→鈴鹿すずか山脈
『中央部に位置する半島』→志摩しま半島
海岸線が入り組んだリアス海岸がみられる。MIKIMOTOの創始者である御木本幸吉みきもとこうきちは、
志摩半島の南端にある英虞あごにて、世界で初めてアコヤ貝による真円真珠の養殖に成功した。

ウ:『世界最大級のカルデラをもつ火山』→熊本の阿蘇山あそさん

阿蘇市観光協会より。阿蘇山の陥没かんぼつカルデラ。
火山活動によってできた大きな凹地くぼちカルデラといい、
規模の大きい噴火で地中のマグマだまりが空白になり、地面が陥没してできるのが陥没カルデラ。
日本一の規模を誇るカルデラは阿蘇ではなく、北海道の屈斜路くっしゃろカルデラだという。。
カルデラに雨水や湧き水が溜まるとカルデラ湖になる。『カルデラ』はスペイン語で鍋という意味。
『東部にある南北方向の山地』→九州山地
三大急流の1つである球磨川くまがわ人吉ひとよし盆地を通り、下流域で八代やつしろ平野を形成する。
八代は畳の原料となるい草の産地。い草は水田で栽培されるので、地図記号は田んぼと一緒。

エ:『水不足に備えて造られたため池』→年間晴れ日数の多い香川
『南部に東西方向に連なる山脈・下流域の平野』→讃岐さぬき山脈讃岐平野
中国山地と讃岐山脈・四国山地に挟まれた香川は、湿った風が流入しにくい
比較的温暖な気候で降水量が少ないため、水不足対策にため池が点在する。

香川県より、満濃池まんのういけ
香川出身の弘法大師こうぼうだいし空海が故郷への恩返しに改修したとされる、日本最大のため池。
吉野川から導水した香川用水の開設により、ため池の利用は減少していった。
@@

話題にのぼった2020年東大の問題(設問に関連するところを抽出)。答えは
香川北部に広がる瀬戸内海の島々は、オリーブの産地で知られる小豆島しょうどしまを覚えておこう。

(2)W・イ 45.0%
*W―山形、X―山梨、Y―和歌山、Z―鳥取

主要な果実で判断する。
みかん:1位―和歌山、2位―愛媛、3位―静岡
和歌山と愛媛が逆転する年度もあるが、近年は和歌山首位が多い。
傾斜地は葉に光があたりやすく、海沿いで栽培すると海面からの照り返しも期待できる。
りんご:1位―青森、2位―長野
この2県はおさえておく。寒冷地から山形と推測する。
冷涼な気候のもとでりんごの木が十分に休眠することで、品質の高いりんごができる。
ぶどう:1位―山梨、2位―長野
甲府盆地には粒子の大きい砂礫されきが堆積する扇状地が広がり、水が地下にしみ込みやすい。
水はけがよいとぶどうの樹が水分を吸収しにくくなるので、糖度の高い甘い果物が実る。
また、盆地は昼夜の寒暖差が大きく、夜間の冷え込みは呼吸による糖分の減少を抑える。
長らくブドウの王様と称された巨峰の栽培面積を、シャインマスカットが追い抜いた。
日本なし:1位―千葉
梨は適度な降水量と水はけの良さが両立した、日当たりの良い場所で育てられる。

千葉県松戸市のゴミ捨て場から発見された二十世紀にじっせいきが鳥取でよく栽培されている。

Ⅲ:さくらんぼといえば山形。最も人気のある品種は佐藤錦さとうにしき山形は西洋ナシの名産地でもある
ちなみに、山梨の観光農園年間売上額が高いのは大都市に近いから。
(果物狩り、ワイナリー見学、信玄餅詰め放題、水晶のお土産…山梨行きバスツアーの定番です)

(3)解答例:実施前は阿字ヶ浦駅から観光地Bの南口まで徒歩で約20分かかったが、
鉄道が延伸されることでアクセスが容易となり、
観光地Aと観光地Bの間を移動する場合の交通の利便性は良くなる。
 65.8%

*問われている内容は『観光地Aと観光地Bの間を移動する場合の交通の利便性』
鉄道が伸びることで、交通の利便性は良くなる
移動手段で見るべきところは延伸される部分。
延伸前は阿字ヶ浦駅から観光地Bの南口までは20分かけて歩かなければならなかったが、
延伸後は鉄道を利用して近くまで行ける。公式正答例では実施後の移動手段で新駅の利用とあるが、
鉄道が延伸されたら鉄道でそこまで行けるのは自明の理なので、
『鉄道が延伸されることでアクセスが容易となる』で良いと思う。

大問4(歴史)-48.8%

(1)イ→ウ→ア、ア 54.3%
*イ:飛鳥時代
新しく仏教を受け入れる崇仏すうぶつ派の蘇我馬子そがのうまこ、伝統的な神道しんとうを重んじる排仏はいぶつ派の物部守屋もののべのもりやが対立。
丁未ていびの乱で馬子が守屋を倒し、蘇我氏は朝廷内で権勢を振るうことになる。
姪の推古すいこ天皇を即位させ、その甥にあたる聖徳太子(厩戸皇子うまやどのおうじ)を摂政に任命した

蘇我馬子が建立した飛鳥寺。日本最古の仏像である飛鳥大仏が安置されている。
飛鳥時代の中心地であった、奈良県の明日香あすか村にある。
飛鳥寺にも五重塔はあったが、焼失して現存しない。

ウ:平安時代
平清盛は平安末期。大輪田泊おおわだのとまり(現在の神戸港)を整備して日宋貿易を行う(平安末期)
日本三景の1つである安芸あきの宮島。航海の安全を祈願するため、宮島の中にある厳島いつくしま神社の社殿を、
寝殿造を取り入れた華やかな社殿に造り替えて、平家
一族の繁栄を願う経典(平家納経へいけのうきょう)が納められた。

WANDER国宝より、平家納経。もはやあでやかな芸術品。

ア:鎌倉時代
北条時宗は8代執権。元寇げんこう(文永・弘安の役)という国難に直面し、モンゴル軍を退けた。

円覚寺えんがくじより。円覚寺は鎌倉五山ござんの1つ。
臨済宗に帰依きえした時宗は日本軍だけでなく、敵であった元軍の戦没者も供養するために、
南宋から招いた無学祖元むがくそげんを開山として円覚寺を建立した。

Aは鎌倉の円覚寺。

(2)エ→イ→ア→ウ 36.1%
*エ:室町時代
日明貿易は3代将軍・足利義満の時代から始まったが、1467年の応仁の乱から幕府の権威が揺らぎ、
その後、幕府に代わり、周防すおう(山口)の守護大名である大内氏おおうちしが日明貿易を独占して莫大な富を築いた。
応仁の乱で荒廃する京都から逃れた文化人を手厚く保護し、周防は「西の京」としてにぎわう。
雪舟は乱の前に山口入りしており、大内氏の遣明船で中国に渡って水墨画を学んだ。

ColBaseより、破墨山水図はぼくさんすいずの一部。作品の上部に雪舟とその弟子の文がつづられている。
雪舟の代表作といえば、秋冬山水図しゅうとうさんすいず天橋立図あまのはしだてずも広く知られている。

イ:安土桃山時代
狩野内膳かのうないぜんを知らなくても、織田信長、狩野派から推測できる。
狩野派の巨匠・狩野永徳かのうえいとくは織田信長や豊臣秀吉の御用絵師として活躍した。
唐獅子図屏風からじしずびょうぶ』は雄大で絢爛けんらんな桃山文化を象徴する名作である。

神戸市立博物館より、南蛮屏風なんばんびょうぶ。作者は狩野内膳。
南蛮貿易の様子を描いた風俗画(風俗画=庶民の日常生活を描いた絵画)
江戸時代では永徳の孫にあたる狩野探幽たんゆうが、江戸幕府最高の御用絵師である奥絵師おくえしとなった。

ア:江戸時代(元禄文化)
千葉の安房国あわのくに出身である菱川師宣ひしかわもろのぶ浮世絵を確立した人物。
もとは本の挿絵さしえに過ぎなかった絵入本えいりぼんを芸術鑑賞の対象に昇格させた。
「浮世」とはこの世を指す言葉で、世を憂慮ゆうりょするき世と重ねて厭世えんせい的な意味合いがあったが、
江戸時代では享楽的に使われはじめ、現世を謳歌おうかする人々の姿を描写した菱川師宣が浮世絵の基礎を築く。

ColBaseより、見返り美人図。当時の流行スタイルが見て取れる。

ウ:江戸時代(化政文化)
鈴木春信はるのぶが複数の色を用いる多色刷たしょくずを発展させて、浮世絵は錦絵にしきえとよばれるようになる。

ColBaseより、ポッピンを吹く娘。美人画で知られる喜多川歌麿きたがわうたまろの作品。
同時期に活躍した東洲斎写楽とうしゅうさいしゃらくは役者絵で有名である。

ポッピンはガラス細工の一種で、ビードロともよばれる。長崎のお土産屋で売っている。
底の薄いガラスに小さな穴が開いており、ガラスが振動して音が鳴る。

(3)解答例:1867年のパリ万博では浮世絵が出品されたが、東京美術学校で日本画や西洋画の指導が行われるようになると、1900年のパリ万博では日本画や西洋画が出品された。 68.4%
*出品数の変化は資料Ⅱを参照。
政府が設置した学校→東京美術学校
お雇い外国人のフェノロサ(米)と岡倉天心が上野に開校した。現在の東京藝術げいじゅつ大学にあたる。
黒田清輝せいき去年の都立大問6(1)アでも登場している。
法律家志望でフランス留学をするが、画家に転向して印象派の影響を受ける。
彼が帰国してから、東京美術学校の講義に西洋画科が新設された。
@@
日本が初めて参加した1867年のパリ万博で出品された浮世絵は、西洋美術にジャポニスムという日本ブームを起こした。しかし、現代の日本人は浮世絵を伝統芸術の1つと認識するが、当時はどちらかというと大衆向けの娯楽であり、
高尚な格式高い美術品とはみなされていなかった。万国博覧会が自国の文化・文明レベルを国際的にアピールする場となりつつあるなか、学問的に体系化した日本の美術レベルの高さを国内外に知らしめることは、欧米列強への仲間入りを強く意識していた。

(4)A―イ、B―ウ、C―エ、D―ア 36.1%
*イ:『政府が議会の承認なしに資源や労働力を動員できる法』→戦時下の国家総動員法(1938)
第1次近衛文麿このえふみまろ内閣で成立。1937年の盧溝橋ろこうきょう事件を機に始まった日中戦争の長期化に備えるため、政府が議会の承認なしにヒトやモノの動きを自由にコントロールできる白紙委任法である。国民が一丸となって戦争勝利に向かう総力戦体制が整えられた。軍需品の製造に必要な
金属を調達するために金属類回収令が発布されて、鍋や釜、ミシン、看板、仏像や梵鐘ぼんしょうといった仏具など、あらゆる金属製品の供出が求められた。米の配給制やガソリン、衣服の切符制など生活必需品の統制も強まっていく。

ウ:『経済の民主化』→戦後の占領統治期
終戦後、GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は日本が再び軍国主義を歩まないよう、
幣原喜重郎しではらきじゅうろう内閣に五大改革指令を下し、表向きは日本政府が政策を実施する間接統治をおこなう。一部の人間に富が集中していた経済構造が対外侵略や植民地支配といった日本の軍事行動を招いたと考えたGHQは、財閥解体農地改革、独占禁止法の制定といった経済の民主化を指令した。
占領統治は1951年に締結されたサンフランシスコ平和条約の効力が発生した翌1952年に解かれる。

エ:『太陽の塔をシンボルゾーンに据える博覧会』→1970年の大阪万博
時事問題が絡む。
1970年「人類の進歩と調和」をテーマに大阪で約半年間開かれた大阪万国博覧会。
55年後の2025年に「いのち輝く未来社会のデザイン」をテーマに再び開催された。

万博記念公園より。第1回大阪万博といえば太陽の塔。
デザインを担当したのは「芸術は爆発だ」でお馴染みの岡本太郎。
太陽の塔は万博のレガシー(遺産)として現存しており、その内部を見学できる。

ア:『急激な円高から始まり、地価や株価の上昇』→バブル経済
1985年の国際的なドル安誘導(プラザ合意)による円高不況の懸念から、日銀は景気刺激策として公定歩合(日銀が民間銀行に貸し出す際の金利)を引き下げて、世の中のお金の回りを良くした。この超低金利政策が熱狂的な投資活動を誘発し、「地価は下がらず、青天井に上り続ける」との土地神話がささやかれて空前の財テクブームが到来した。地価や株価は急騰きゅうとう、絵画も投機対象になった。日経平均は一時39000円に迫る勢いだったが、実体経済に伴わない好景気は崩壊へ向かう。

大問5(公民)-55.5%

(1)エ 49.2%
*人権の分類。【自由権・平等権・社会権・請求権・参政権】
自由権は【精神的自由権・経済的自由権・身体的自由権】に分けられる。
社会権は人間らしい生活が送れるよう、国家に施策を求める権利(国家による自由)。
19世紀、国家は国防・警察といった必要最小限の役割を果たせばよく、個人の経済活動については干渉せず、自由放任であるべき(レッセ・フェール)とする
自由主義国家の考えが主流になり、自由権や平等権の保障(国家からの自由)が広まった。しかし、資本主義経済は格差を生み、自由主義国家の名のもとで真の自由を手にする者は一部に限られてしまった。20世紀に入ると、国家が社会的・経済的弱者を積極的に救済する社会国家の理念が起こり、実質的平等を保障する社会権が浸透していく。

憲法26条1項
『すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する』
社会権の1つである教育を受ける権利(23条:学問の自由は精神的自由権)
教育は個人の人格形成や自己実現だけでなく、主権者の育成という側面もある。教育を個人任せにすると、裕福な家庭の子供は高度な教育を受けられる一方で、持たざる家庭の子供は十分な教育を受けられず、経済の格差が貧困の連鎖と結びついてしまう。資本主義が生まれた18世紀後半では、児童が労働力として酷使された歴史もあった。そこで、教育を受ける権利を憲法に明記し、国家に対して教育の機会均等や教育水準の維持を要請する。旭川学力テスト事件(昭和51年5月21日)という有名判例では、教育を受ける権利の内容に子供の学習権が含まれると判示している。

ア:思想良心の自由…精神的自由権
内面的な精神活動に関する自由であり、それが外部に現れない限りにおいて
思想良心は公共の福祉による制約を受けない絶対的な自由として保障される。

イ:裁判を受ける権利…請求権
公正な裁きを受ける権利。相手方への言論萎縮や嫌がらせを目的に、
何度も訴えを起こすと「訴権の濫用らんよう」として却下判決(門前払い)を受けることがある。

ウ:公務員選定罷免ひめん権…参政権
罷免=公職にある者を辞めさせること。
憲法15条2項『すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない』

(2)ウ 73.4%

労働条件の最低基準を定める労働基準法(労基法)の内容である。
民法の原則では当事者の意思で自由に契約内容を決められるが、労働契約においては雇う者と雇われる者が実質的に対等な立場ではない労働者の生活を守る
労働基準法は契約当事者の意思では変えられない強行法規で、法律に反する労働契約はその部分について無効となり、自動的に労基法の内容が適用される(労基法13条)。
法定労働時間は1日8時間、週40時間。労働者に時間外労働(残業)をさせるには三六さぶろく協定の締結と割増わりまし賃金の支払いを要する。2018年に成立した働き方改革関連法案では、正規/非正規社員を問わず、残業時間の上限規制や年次有給休暇の5日取得義務化が決められた。

ア:育児介護休業法
仕事と育児・介護の両立をしやすくする法整備が行われ、2025年4月から段階的に改正法が施行された。

生命保険文化センターより、育児休業取得率の推移。
日本は男性の取得率の低さが問題視されていたが、いつのまにか急上昇している。
フランス人男性の取得率は80%に達しているそうだ。

イ:『団体交渉や団体行動を行うために労働組合を組織することを定める』→労働組合法
労働三権(団結権・団体交渉権・団体行動権)に関わる法律。
戦後の1945年に公布。GHQの五大改革指令の1つに労働組合結成の奨励しょうれいがあった。
しかし、日本の労働組合組織率は2025年度で16%(推定値)まで低下している。

エ:男女雇用機会均等法
雇用分野における男女平等の確保を目的とする。
女子差別撤廃条約への批准に向けた国内法の整備として成立。
当初は努力義務が多かったが、何度か改正されて厳格化している。

(3)ア 41.1%
*ⅠよりⅡで判断した方がいい。
勤労者世帯の消費支出が減少、実収入も減少→景気が悪い
不景気のときは世の中のお金の回りを良くすればいい
景気を刺激するために政府は財政政策(フィスカルポリシー)、日本銀行は金融政策をおこなう。
財政政策の内容は①公共事業の縮小・拡大、②増税・減税
道路の敷設ふせつやダム建設といった公共事業は規模の大きい事業が多く、
その拡大により新たな雇用を生み出し、建設業界や資材メーカーの増収につながる。
@@
金融政策の手段の要は公開市場操作(買いオペ・売りオペ)
中央銀行である日本銀行が市中銀行(民間銀行)から国債を買い取ることで(買いオペレーション)、
市中銀行に大量の資金が供給される。銀行はお金を貸し出すことで収益を得る。
余剰よじょう資金(余ったお金)が増えた市中銀行は企業や個人にたくさん貸し出そうとして、
借り手を募るために貸出金利が引き下がり、資金を借りる人が増加する。
こうして、世の中のお金の流れが良くなると経済が活性化する。
景気を抑制するには、政府が公共事業を縮小・増税して、日銀は売りオペで資金を回収する。

この2つは押さえておきたい。

(4)解答例:人口減少による労働力不足を補うため、ICTを用いて生産性を向上することで、
労働資源を効率的に配分したり、就業場所の選択肢を広げることが期待される。
 58.1%

*『情報通信技術(ICT)に期待されること』はⅠに書かれてある。
労働資源を効率的に配分すること。就業場所の選択肢を広げること。
Ⅱによると、日本の人口が急激に減少する予測がでている。
労働力の減少をICTの活用で補う
公式解答では、ICTに期待されることとICTの利点は区別されていない。

●DX(デジタルトランスフォーメーション)●
最近、よく耳にする言葉。
経済産業省のデジタルガバナンス・コード2.0によると、
『企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること』
簡単に言うと、ICT技術を戦略的に活用することで、業務効率の域にとどまらず、ビジネルモデルなどの企業の仕組みや組織そのものを抜本的に変革して競争力を高めること。

大問6(総合問題)-45.0%

(1)A―ア、B―ウ、C―イ、D―エ 55.9%
*A―カナダ、B―バヌアツ?(南太平洋のメラネシア)
C―ベトナム、D―コートジボワール
ア:『小麦』がヒント→北米のカナダ
小麦は多くの国で栽培されるが、この4ヶ国ではカナダしかない。
日本の小麦輸入先:1位―アメリカ、2位―カナダ、3位―オーストラリア
『隣国から続く山脈の東側に広がる大平原』→ロッキー山脈の東:グレートプレーンズプレーリー
いずれもカナダ南部まで伸びる。大型機械を用いた大規模な企業的穀物・畑作農業が行われ、
とくにプレーリーでは春に種をまき、秋に収穫する春小麦が栽培されている。
菜種なたね生産量(2024年度):1位―カナダ
日本は植物油の原料となる油糧ゆりょう種子のほとんどを海外からの輸入に依存している

イ:消去法が良いかもしれない。
『他国に水源をもつ河川が形成した平野』→メコン川が形成したメコンデルタ
東南アジア最大級の国際河川であるメコン川の河口はベトナム南部にあり、
肥沃な土壌と豊富な水資源はベトナムの米作りに欠かせない。
1945年、ホー・チ・ミンが独立を宣言するが旧宗主国のフランスが認めず、インドシナ戦争が勃発。
つづくアメリカとのベトナム戦争が終結した1975年以後もアメリカが安保理で拒否権を発動して、
ベトナムの国連加盟入りを認めなかったが、カーター政権が方針展開をしたことで1977年に加盟した。

キャッサバは熱帯性の植物で、アフリカ諸国や中南米でも食べられる。
キャッサバのデンプンに水を加えて練り、丸くしてでるとタピオカになる。(黒い理由はカラメル)
エビの輸入先はベトナム、インド、インドネシアが多い
バヌアツと迷いやすいが、エビは養殖物が多く、輸出向けの大規模な生けがあるのはベトナム。

ウ:『ココやし』が大きなヒント→南太平洋に浮かぶ南国のバヌアツ

ココヤシの胚乳を乾燥させたコプラは、ココナッツオイルの原料になる。
ヤムイモはオセアニアの島々やアフリカ諸国で食されている。
昨年の都立大問2(2)ウではフィジーのタロイモが出題されている。
マグロやカジキは暖海性の魚類。太平洋の熱帯~温帯の海でとれる。

エ:『プランテーションなどで輸出向けのカカオ豆の生産』→西アフリカのコートジボワール
プランテーションは、主に熱帯地域で見られる大規模な商業的農園。
植民地支配をした欧米人が現地民や奴隷の安価な労働力を利用して、
輸出する目的で綿花・天然ゴム・茶・コーヒー豆・カカオ豆・サトウキビなどを単一栽培した。
カカオ豆生産量:1位―コートジボワール、2位―ガーナ、3位―インドネシア
1960年は多くのアフリカ諸国が独立を果たしたアフリカの年

@余談@

バヌアツ共和国SHARKのブログより。(閲覧注意)
世界ふしぎ発見でやっていたのですが、バヌアツなどのメラネシアではコウモリを食べる習慣があるようです(都市部では減っている模様)。小さな島国だと魚はとれますが畜産は難しいので、南国のフルーツを目的に島へ飛んでくるコウモリを捕まえ、貴重な陸上哺乳類のタンパク源として今でも食されています。

(2)Z 34.7%
*W―チリ、X―オーストラリア、Y―パキスタン、Z―エジプト

1980-85年は上昇→W除外
1990年まで成長鈍化、2000年まで上昇→Y除外
同水準で推移→Zっぽいが、Xの減少度合いが微妙で迷った人はいたはず…。
2016年に日本の政府開発援助(ODA)を受けて、電力インフラの整備を行ったので、
2019年は減少のXより増加のYだろうと判断する。
@@
W~Zの国当てはかなり難しい。中学生にはほぼ無理。
経済成長率の%は前年比を基準にする。先進国は経済構造が成熟しているので、一般的に経済成長率の推移では先進国より新興国の方が高い成長率を誇る。全体的に低位にあり、変動幅が小さい
Xがオーストラリア。1985年にWだけ急落。後述の累積債務問題を抱えたチリ。残るY・Zで乱高下するYが政情不安の強いパキスタン。1995年以降、堅実な経済成長を遂げるZがエジプト。
イギリスから独立したのはエジプト・パキスタン・オーストラリアの3国

@累積債務問題@
1980年代の主に中南米で起きた金融危機
オイルショックの発生は世界経済に深刻な危機を引き起こしたが、原油価格の高騰は
石油輸出国に潤沢なオイルマネーが入り、欧米の金融機関に預けられていた。世界的な不況でめぼしい投資先が見つからない状況のなか、経済開発援助を目的とした中南米の途上国に対して多額の融資が行われる。
80年代に入ると農産物や鉱産資源といった一次産品の国際価格が暴落し、途上国の貿易赤字が増加。資金繰りが難しくなり、返済困難に陥った。さらに、アメリカのレーガン大統領が実施した経済政策(レーガノミクス)によるドル高の進行から支払利息が増え、対外債務が増加した。メキシコは事実上のデフォルト(債務不履行)状態となり、累積債務問題が表面化する。メキシコ・ブラジル・アルゼンチン・ペルー・チリなど多くの国がIMF(国際通貨基金)の支援を受けることになった。

(3)イ 44.4%

*人口大国:1位―インド、2―中国(両国それぞれ14億人以上)
アはアジア州。州別2位はアフリカ州。
これがわからなくても、右グラフから日本と最も経済関係が薄い州はアフリカ州とわかる
アフリカにはコバルト、クロム、マンガンといったレアメタルの埋蔵量が多く、
人口増加が予測される巨大なアフリカ市場は世界的に注目されており、
日本政府はアフリカ開発会議TICADティカッド)を通じた連携強化を図っている。

@2025年度・都立解説@
数学…平均60.4点 数学(分割後期) 理科…平均59.2点 英語…平均63.7点

コメント

タイトルとURLをコピーしました