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2017年度 千葉県公立高校入試【前期】国語解説

平均60.8点

大問1(リスニング)-66.9%

メモを読み、リスニングと設問が交互に流れる。18秒の経過で次が流れる。
(1)ウ 89.8%
*どこが変わったか聞き逃さない。「その理由は3つあります」
「まず、理由の1つ目、~という点です」
全体像を先に示してくれるとスピーチの方向性が明確になるので、
聞き手は安心感を覚える。

(2)ア 37.1%
*「確かに…京都以外の土地にも…あります。」「けれども、京都は…見られます」
小論文でよく使われる手口。自分の主張に対する反対説をあらかじめ想定して先に呈示し、
逆接でそれに批判を加えることで自説の正当性を強調する。

時間のある方は参考にしてみて下さい→小論文の書き方

(3)エ 74.2%
*「具体的にイメージがわくような工夫」→具体例を見せる。

(4)①なっていますので 2点―73.0% 1点―2.5% 無答―8.4%
②と思います 2点―60.6% 1点―1.5% 無答―8.8%
*「事実」と「自分の意見」の区別。”京都の道が碁盤の目状になっている”のは「事実」、
その事実に基づいて”初めて訪れる人でも歩きやすい”は「自分の意見」
解答例と同趣旨であれば別の言い回しでも〇。

大問2(漢字読み)-77.3%

(1)きた(える) 93.5%  (2)つつ(んで) 78.8%
(3)けんちょ   65.9%    (4)けしん   71.1%
*「かしん」じゃないよ!そんなストレートな読みが(4)にでてくるはずがない。
謹む・・うやうやしくかしこまる。 顕著・・明らかにわかるほどはっきりしている。
化身・・神仏の生まれ変わり。

大問3(漢字書き)-63.1%

(1)縮(める) 87.6% (2)訳  70.8%  (3)至難 29.7%
(4)宇宙   86.6%   (5)三寒四温  40.6%
*漢字の読みと書きが全部あたったら、正味1分ほどで18点ももらえる。
三寒四温・・3日寒い日が続いて4日間暖かくなる。季節の変わり目。

大問4(知識問題)-49.8%

(1)③ 40.0%
*活用の種類は五段/上一段/下一段/カ変/サ変のやつ。
見極め方は動詞の後ろに「ない」か「ぬ」をつけて、
aの音→五段活用、iの音→上一段活用、eの音→下一段活用
「来る」→カ行変格活用、「する」→サ行変格活用
③以外は五段、③だけ上一段。

(2)公式解答参照 73.7%
*読む順番通りに番号をふる。

(3)ア 26.0%!
*失笑とは、こらえきれずに「ぷっ」と吹き出して笑ってしまうこと
国語に関する世論調査によると、6割の人がエのように、
「笑いもでないくらいあきれる」と誤用しているそうだ(それは苦笑)。
イ:失笑は本来、笑うべきシーンではない場面で笑ってしまうこと。本肢は大笑い。
ウ:「とまどいながら失笑」だと、”まごつきつつ”と”思わず笑う”の両立となり違和感。
笑っていけないのに笑ってしまうと気まずくなるものだが・・最適な選択肢はアだろう。

(4)エ 59.7%
*1文目、もしくは最後の文。「黙々と取り組む」→不言実行

大問5(説明文)-52.1%

人間の言葉の機能に関する説明文。人間はモノに名を与えることで、そのモノを自らの世界に引き込み、自由に操ることができる。他の生物とは質的に異なる言葉の存在が、人間を知的な生命体に仕立て上げる。
(1)意思疎通 76.4%

*ボキャブラリーのある人ならば、頭に浮かぶそれを文中から探すだけ。
「他の生物の言葉とは~」の段落の最後らへんに書いてある。
“知的探求”と目に映った4文字をすぐ書く人がいそうだだが、きちんと意味を考えよう。

(2)ウ 35.7%
*適切な語句を代入する問題。文意を踏まえたうえで、選択肢に挙げられている言葉がもつニュアンスを正確に読み取らなければならない。こういう設問は国語力を測るうえで意外と重要である。
Bを含む段落は「人間以外の他の生物における言葉」について。
それは『大部分が目前で起きている事柄』、『その瞬間に起きている身体的経験にほぼ近いもの』『いまこの瞬間の、あるいはこれから起こりうるであろうことの表現』
似たような言い換えが連続しているのでありがたい。”目の前の一瞬”といった感じ。
注釈を読むと、「卑近」が”身近でありふれていること”。これと並列する言葉を選ぶ。
ア:「情緒的」は様々な感情を引き寄せるような、あるいは一時的に感情をむき出しにすること。 一時的とはいえ感情のむき出し要素は、ここでは不要。
イ:「個性的」は他とは違う個性がある、独特でユニークなこと。文意に適さない。
ウエ:「現実的」は現実に即している、現実に沿っていること。
写実的」は現実をありのままに表現しようとすること。
似ている言葉ゆえ、微妙な判定を要する。文章を読み進めると、人間の言葉は過去や未来の出来事も表現が可能であることに対して、他の動物の言葉は”今現在”の出来事しか表現できない。このような対比で考えれば、目の前の事実が「現実」なので、「現実的」が適している。
一方で、「写実的」は目の前の現実をスナップ写真のように切り取って、ありのままに表すことだから、まさに”目の前の一瞬”を写している。現実的と写実的をてんびんで比べたとき、なぜ写実的はダメなのか。写実的は、”表現者の主観を交えずに、客観的な事実をありのまま表現する”。目の前にリンゴがあったら、画家はどんなリンゴなのかと思いを馳せることはなく、目の前のリンゴの姿をそのまま書き写す。これが写実派の流儀。他の動物たちの言葉であっても、言葉である以上は客観的な事実のみならず、話者の主観的な思いや感情が言葉に乗せられる可能性はある。ただ、その範囲が今現在に関する出来事なだけであって、言葉の中身に感情や意見といった要素を排除する趣旨ではない。筆者は、他の動物の言葉の機能を「事実の伝達」に限定しているわけではない。このように解釈すれば、写実的より現実的の方が適すると思われる。高度な言葉力が求められる。

(3)Ⅰ:名をつける Ⅱ:言葉によって生まれた精神 81.9%・57.6%
*Ⅰ:人間の言葉は目の前にないものをも指示できる。つまり、聞かれている内容は「人間の言葉」人間の言葉に関する機能は、Bの次の段落、「しかし人間の持つ言葉が~」。他の動物の言葉と異なるのは、
『その言葉が取り扱う時間的、空間的範囲があまりにも広大であることだ。』=「精神
次の段落。『人間は・・・などに”名を付ける ”ことによって・・・あたかも身近にあるかのように扱うことができる』
Ⅱ:実際には目の前にないが、あたかも身近にあるかのように扱うことができることを筆者はどう表しているか。
次の段落「たとえば」以降のコートの例題を通じて筆者は説明をする。コートの段落が4つ続き、最後「~できるのも、すべて”言葉によって生まれた精神 ”のおかげなのである。」「精神」はさきほどの「(人間の)言葉が取り扱う時間的、空間的範囲があまりにも広大であること」
3段落最後「まったく質的に異なるもの」も12字だが、どのような点が質的に異なるのか焦点がボヤけている。

(4)例:卑近で現実的な時空を超える範囲(15字)
4点―9.7%! 1~3点―17.0% 無答―15.8%
*手前を要約する。人間の言葉は『遠い場所』での出来事や事物、あるいは『過去や未来』の出来事や事物までも”自らの経験範囲のなかに収めてしまう”。『 』内を「範囲」を用いて10~15字でまとめたい。しかし、字数が厳しい。
遠い場所は空間。過去や未来は時間。(3)Ⅰがヒント。人間の言葉は『時間的、空間的範囲があまりにも広大』
公式解答の「広大な時間的、空間的範囲」は、ここをいじっている。現在に限らない、幅広い時間軸を扱える。眼前に限らない、膨大な空間を捉えられる。こうした”言葉”が、人間の知的探求を支えている。サボの例は、(2)B他の生物の言葉との対比から書いてみた。時間と空間を「時空」でまとめた。

(5)イ 51.2%
*目の前にない事物を指示できる。その事物にまつわる過去や未来を想起することができる。時空を超えた言葉の魔力。
イ:眼前にない「いとこ」の将来を思い描いている。
エ:学校に置き忘れたノートは眼前にないが、ノートというより私の失態に関する過去の想起。

大問6(物語文)-74.4%

(1)イ 84.5%
*「昨日の話」→次の助川のセリフ「別に、お前に無理にもう一度走ってほしいとは言わないよ」助川は早馬の復帰を願っていた。その思いを昨日、早馬に伝えたが断られてしまった。一度、断った話を再びふっかけられると、人は身構えますね。

(2)ウ 57.8%
*早馬が自分の心情を語るシーン。どんな顔で語っていたのか?
ちょっと前に「どこか清々しい顔で」とある。清々しいは、ためらいがない、わだかまりがない、さわやか、晴れやか。ケガをした早馬は井坂との出会いで、自分の立ち位置を客観視できるようになり、自分を素直に受け入れている。後ろ髪を引かれることなく、ありのままに受容する。ウ:「悲しいくらい」と形容するのは、助川の気持ちが反映される。それは早馬のリアクションが陸上への復帰から遠のくものであったから。陸上から離れてしまった友への物悲しさ。
エ:ポジティブな場面だが、楽し過ぎるより晴れやかが適切。

(3)C:オ D:ア 87.9%・83.4%
*C:クラスの連中はケガをして陸上ができなくなった早馬の前では陸上の話を避ける。
それは早馬の心のキズをえぐらないようにと考えた周囲の配慮。
ウ:早馬との会話そのものを避けているわけではない。
D:一方で、都は『見ない振りをしていたものを無理矢理認めさせる』『目を背けていたことを指摘して高笑い、嘲笑う。』
一見、酷い扱いにみえるが、現実から目を背けていた早馬の核心をつき、早馬はあらためて自身を見つめ直すことができた。都に早馬を思いやる気持ちがあったかは謎だが、結果的に早馬の鎖はほどけ、再出発を試みるようになる。

(4)Ⅰ:イ     86.6%
Ⅱ:例)自分に近い場所にいてくれる(13字)
3点―40.5% 1~2点―11.4% 無答―12.5%
*Ⅰ:早馬にもう一度走って欲しいと願っていた助川。再出発を試みる友が目指す世界はスポーツ栄養士であった。『まったく別の方向へ行ってしまうと思っていた友が、』
Ⅱ:(続き)『わずかに、助川の視界に入る場所を走ってくれているような気がした。
大きく手を振って、声を張って名を呼べば、振り向いてくれる場所にいるんじゃないか。』
”まったく別の方向”ではなく、”近いところ”にいてくれる。ランナーではなくとも、伴走してくれているように。『さっきの蜂蜜カステラ』は注釈参照。早馬お手製のカステラ。傍線部Eから助川の穏やかな気持ちが伝わる。
解法としては前問の反対を書く。「陸上に近い場所」より「自分に近い場所」の方が助川のストレートな心理描写になる。

(5)エ 80.0%
*もうちょっと惑わしても良いと思われるほどのサービス問題。
基本的には助川視点で物語は展開している。

大問7(古典)-57.3%

(1)ついやし 94.6%
*先頭以外のハ行は「わ・い・う・え・お」 お決まりの変換。

(2)ウ 77.9%
*直前の訳でなんとなくわかるが、一応はじめから確認。
『ある人が時刻を知ろうとして、時計を買おうとしたが、妻がこれを止めて言ったのは、毎日にかかる世話に限らず、時計の針がくるってしまったときからは、時間(=暇)を費やし、時計のために、かえって(=かへりて)〔 B 〕ことが多くなるでしょう』らむは推量。時計を買うと時計が壊れてしまったとき、その修繕に時間を失ってしまう。
「世話」が少々厄介。ここでの世話は”時計の世話”。当時の時計は今ほど性能が良くない。

(3)時刻は~となり 48.2%
*完全解答。鶏を飼おうとする夫への説教。

(4)Ⅰ:潮の満干 64.3%
Ⅱ:例)自鳴鐘や鶏を頼りにする(11字) 2点―11.6%! 1点―8.9% 無答―25.6%
*後半を現代語に訳す。
『時刻は人の上(=うへ )にあるもの。潮の満干も時刻と同じでしょう。時計や鶏を頼りにすることは、勤めを怠ける者がすることです。』解答は該当箇所の抜き出しでほぼ終わるが、意味がわからないまま読み進めてしまうと、頭の中がこんがらがって訳わからないことを書いてしまう。夫が鶏を飼わなかったのは妻の諫言(かんげん )による。
時刻は人の上にある。人の力が及ばないものである。時計や鶏を頼りにしてしまうのは、勤めを怠ける者がすることだ、と妻は戒めた。Ⅱは〔自鳴鐘や鶏を頼りにする〕姿勢は良くないということになる。

なぜ、時計や鶏を頼りにすることは、勤めを怠ける者がすることなのか。
設問では聞かれておらず、本文にも詳しい説明はないが、この小語の真髄はそこにありそうな。。
タイムテーブルをきちんとやりこなせるかは、受験勉強においても仕事においても重要事項である。
時間を知ることは勤めを果たすうえで必要だと思われるが、逆説的にいえば時間に振り回されているともいえる。現代人は”時間”に縛られている。時間に起こされ、時間通りに出社して、時間がきたら寝て、余ったら余暇を楽しむ。時間に追われた日々を延々と繰り返している。時間を気にし過ぎてしまうと〔今を浪費する〕。今の勤めを怠けてしまう。時計を確認するという行為は、今の出来事より次の出来事に関心が移っている示唆かもしれない。

時間は人の上にあるもの。管理された時間は人工的に感じるが、時は万物に適用される自然物とも考えられる。潮の満ち引きを人間の力ではコントロールすることができないのと同様に、時も人の力でいかようにもなしえない。作られた時間ではなく、ありのままの時を過ごすことが、今を生きるうえで最高な生き方の秘訣なのかも。

大問8(条件作文)-12.6%

12点―12.6% 8~11点―24.1% 4~7点―25.7% 1~3点―8.9% 無答―4.6%
「高校生にとって本を読むことの効果について、どのような認識を持っているか」
高校生とその保護者に向けてとったアンケート結果をもとに述べる自由作文。
前段は”高校生と保護者との認識の違い”。
公式解答をみると、それぞれの割合の高い項目を紹介するだけで足りるようだ。
高校生は『気分転換』、『物語などを楽しむことができる』、
保護者は『いろいろな人の考え方に触れられる』『視野が広がる』
『言葉の表現力をつけることができる』『物事を深く考えられるようになる』と答える割合が高い。
後段は”認識の違いの理由”。
高校生は読書を趣味や娯楽の一種と考えていると思われる。
一方で、保護者は読書を学習や能力開発の一環として捉えていると思われる。
あくまでもテーマは「高校生にとって本を読むことの効果」なので、
自分ではなく、子供(高校生)にそのような効果を期待していることになる。
わりと素直な流れなので、書きやすかったんじゃないかな?
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