問題PDF
栄一君の家の近くには、山をけずって道を通した切り通しがあります。切り通しの両側のがけには、土がくずれるのを防ぐために、図1のように「石積み」がされています。石は長方形に近い形で、石と石の間にはモルタル(コンクリート)がつめられていますが、ところどころ割れたり欠けたりしていて、石のすき間からいろいろな草が生えています。
栄一君は、石積みに生えている植物の種類を調べてみました。
図1のような石積みがされている場所で、まず、石積みをはしから長さ2mごとに分けて、順に「区画1」「区画2」…と呼ぶことにしました。そして、石積みを「区画1」から順に観察して、それぞれの区画で見つけた植物の種類として生えている位置をすべて記録しました。
「区画1」から「区画38」まで調べた結果、全部で22種類の植物が見つかりました。その中には、ススキ、ヤマグワ(クワ)、タンポポなどがありました。
横軸に区画の番号、縦軸に「区画1」からその区画までの間に生えていた植物の種類の数をとってグラフをかくと、図2のようになりました。
問1
栄一君が調べた石積みに、植物はどのように生えていたでしょうか。
「区画1」から「区画8」までに生えている植物を表す図として適当なものを選びなさい。
図の中のアルファベットは、それぞれ異なる植物の種類を表します。
図3は、ススキの穂です。
図4は、ススキの花の1つ1つがよく見えるように広げたものです。
問2
図3のススキの穂には、種子が何個できると推定できますか。
最も適当なものを1つ選びなさい。1つの花から1つの種子ができるものとします。
ア:10個未満 イ:10個~100個 ウ:100個~1000個
エ:1000個~10000個 オ:10000個~100000個 カ:100000個以上
問3
切り通しのまわりには、ススキ、ヤマグワ、タンポポなどの石積みで見られたものと同じ植物が生えています。また、コナラなどのドングリがなる木も生えていますが、ドングリのなる木は、石積みには生えていません。図5は、栄一君がいろいろな季節に作った観察カードです。これを参考にして、石積みに生えるのに有利な植物の実の特徴を2つあげなさい。また、それぞれについて、有利になる理由を書きなさい。
図6は、図1の一部です。栄一君は、石積みは図7のような積み方が多いのかと思っていましたが、注意してみると、図6のような積み方をしている場所も多いことに気づきました。図8のような積み方の石積みを見かけることもあります。
いろいろな積み方があって面白いと思ったので、このことを先生に話してみると、
次のように教えてくれました。
「図7の積み方は、形や大きさはそろった石を用意できれば、規則的に積んでいけばよいので、積むのは簡単です。いっぽう、図8の積み方は、石と石の境の線が一直線にならないので、図7の積み方よりもじょうぶでくずれにくいのですが、形や大きさはそろっていない石をすき間なくきちんと積み上げることが難しいのです。」
問4
図6の積み方は、図7や図8とくらべてどのような点が良いか、説明しなさい。
栄一君は、図6を見ながら、石はどうやって積まれたのだろうと考えてみました。まず、図1の写真にうすい紙を重ねて、一部の石の輪かくをかき写し、図9のような図を作りました。
次に、あいている部分に、自分で積むつもりになって石積みの絵をかいてみました。すると、石の並べ方が規則的であること、大きさを考えて石が配置されていること、石を積む順序に決まりがあることなど、いろいろなことに気が付きました。
問5
解答用紙の「問5」の図の白い部分にうまく合うように、石積みの絵をかきなさい。
図10のように、石を1つずつかくようにすること。
石積みは、裏側にもくふうがされています。
図11は、先生が石積みの裏側のようすを教えるためにかいてくれた絵です。
小石をつめた部分は、「積んだ石の重さを分散させて支える」「地しんなどのゆれを吸収して積んだ石を安定させる」などの役割を持っているそうです。そのためには、小石どうしのすき間が多くあって、簡単には動かない状態がよいそうです。
栄一君は、石の重さや体積を調べる実験をしてみました。
使ったもの
・でこぼこの石(図12の左)
・なめらかな石(図12の右)
・円柱型の容器(図13)
中の底面積は210cm2
はかりかた
①でこぼこの石を容器の中に、適当な高さで平らになるように入れて、重さをはかりました。
②ちょうど石の高さと同じ高さになるように水を入れて、重さをはかりました。
容器の中に石と水を入れた様子が図14です。
③高さをかえて①、②を8回行いました。
④でこぼこの石をなめらかな石にかえて、①~③を行いました。
測定結果
はかった数値から、それぞれの高さのときの石の重さと水の重さを計算しました。
でこぼこの石についての結果が表1です。
問6
表1を、横軸に高さ、縦軸に石や水の重さをとったグラフにします。
解答用紙の「問6」の図には、水の重さのグラフだけかいてあります。
石の重さのグラフをかきなさい。
水の重さのグラフと同じように、直線を引きなさい。
問7
横軸に高さ、縦軸に石や水の体積をとったグラフをかきます。
以下の(1)~(3)を、解答用紙の「問7」の図にかきなさい。
(1)
問6のグラフから、表1のそれぞれの高さのときに容器に入っていた水の体積がわかります。
高さに対する水の体積の関係を表す直線をかき、そばに(1)と書きなさい。
ただし、水1Lの重さを1kgとします。
(2)
容器に水を入れずに水だけを入れた場合の、高さに対する水の体積の関係を表す直線をかき、
そばに(2)と書きなさい。
(3)
表1のそれぞれの高さのときに容器に入っていた石の体積を考えます。
高さに対する石の体積の関係を表す直線をかき、そばに(3)と書きなさい。
問8
でこぼこの石の、1cm3あたりの重さは何gですか。
四捨五入して小数第一位まで答えなさい。
問9
石を容器に入れたときの、石どうしのすき間について考えます。
(1)
容器の中にでこぼこの石を高さ10cmまで入れたとき、
容器の底から10cmまでの部分の体積のうち石の体積の割合は何%ですか。
四捨五入して整数で答えなさい。
(2)
なめらかな石を使った実験の結果を問6と同様のグラフにすると、図15のようになりました。
容器の中になめらかな石を高さ10cmまで入れたとき、容器の底から10cmまでの部分の体積のうち石の体積の割合は何%ですか。四捨五入して整数で答えなさい。
問10
容器に入れたときにすき間がより多くできるのは、
でこぼこの石となめらかな石のどちらだと考えられますか。
問11
石を容器に入れて水を入れたときの水の重さについて考えます。
容器の中に問10で答えた石を高さ10cmまで入れ、石の高さと同じ高さになるまで水を入れると、
石と水を合わせた重さは石だけの重さの何倍になりますか。
四捨五入して小数第一位まで答えなさい。
雨がふると、雨水は地面にしみこんで土の中を通り、石積みの裏側に流れ出てきます。
その水はすき間を通り、最後には石積みの外へ出ます。
そのため、石積みには、水をぬくための穴が一定の面積ごとにあけられています。
問12
図16のように大きさと形の整ったブロックを積んだ石積みがあります。
このブロックの表面は長方形で、辺の長さは25cmと40cmです。
水をぬくための穴は、石積みの表面の面積何m2ごとに1つずつあけられていますか。
小数第一位まで答えなさい。
なお、写真の外側も、写真と同じ規則で穴があけられているものとします。
もし、石積みから水が出なくなったら、小石のすき間に水がたまり、
その重さで石積みを外向きにおします。
そのために、石積みがくずれやすくなるかもしれません。
栄一君は穴からごみを取り出し、家に持って帰りました。
@解説@
最後の写真( ;゚;ж;゚;)ブッ
たまに見かけますね。
問1:ウ
注意力が試される。
縦軸は、区画1から数えた植物の種類の累積。
区画1・2で1種類→ウかエ
区画3はともに3種類。区画4は7種類。
区画5も7種類となるはずだが、エでは新しくMが登場している。
問2:エ
面白い設問だが目がいたくなる(;´Д`)
ススキ10cmの花を数えるとだいたい40個くらい?
1本平均30cmとして、36本あるようにみえるので、
40×3×36=4320個→エ
問3:
(実の特徴)-遠くに運ばれやすい。
(有利な理由)-種子が風にのったり、鳥に食べられることで、
高さのある石積みに種子を飛ばせる。
(実の特徴)-1粒の大きさが5mm以下と小さい。
(有利な理由)-石と石の隙間に種子が入り込み、
石積みでも植物が根を生やすことができる。
*観察カードをみて『石積みに生えるのに有利な植物の実の特徴』を推測する。
石積みは石の壁みたいなものなので、わざわざそこに生やすことのできる植物は限られてくる。
冠毛と白い毛→風の力で種子を飛ばす。
色がついた味のある実→鳥に食べてもらう。
ここから種子が遠くに移動できる点を指摘する。
もう1点は実のサイズに注目する。
ヤマグワは1房が約2cmで、縦に8~9粒くらいみえるので、
1つの実の大きさは5mm以下になる。
石積みで植物が育つには、石の表面ではなく、石と石の隙間に種子が着地する必要がある。
答案を作成するときは、テーマである石積みに結びつけるように書きたい。
問4
石と石の境が一直線ではないので丈夫で崩れにくく、
石の形や大きさが似ているので簡単に積める。
問題文をパクッただけだが。。
図7と図8の良いところ取りをした感じ。
問5
サボの描写能力の限界です。
互い違いに書けばいいが、上にいくにしたがってアウトラインの制約がきつい。。
ここであまり時間を使わないようにしたい。
問6
横軸は□のところ。縦軸の数値(石の重さ)から○をプロット。
必ず、近似値を直線でひくこと!(測定値には誤差を含むため)
原点0は通過しない。
問7
グラフ作成問題2。時間がかかる。
今度は縦軸が重さから体積に変わる。
重さは量りにかければ求められるが、不定形の石の体積は測れない。
そこで水を用いる。
容器の底面積は210cm2で、これに高さをかければ石+水の体積(円柱)がでる。
水は1L=1kgとするので、水の体積は水の重さkgをそのままLに変えればいい(1)。
石+水の体積が(2)で、そこから水の体積(1)を引けば、石の体積(3)がでる。
(1)水1kg=1Lなので、前問の水と同じ。
(2)(3)高さが2.4cmの場合、
底面積が210cm2で高さ2.4cmの円柱の体積なので、
210×2.4=504cm3=0.504L(2)
0.504L-0.28L=0.224L(3)
以下、高さの順にプロットする縦軸。
(1)0.28L、0.39L、0.51L、0.60L、0.69L、0.82L、0.91L、1.00L
(2)0.504L、0.798L、1.05L、1.281L、1.512L、1.764L、2.016L、2.205L
(3)0.224L、0.408L、0.54L、0.681L、0.822L、0.944L、1.106L、1.205L
作業に時間を要するので、手際の良さが求められる。
問8:2.7g
2.4cmのとき、石の重さ=620g、石の体積=224cm3
密度は、620g÷224cm3=2.76…g/cm3
これを四捨五入して2.8かな?と思いきや、続きをやってみると、
3.8cmのとき→1080÷408=2.64…
5.0cmのとき→1470÷540=2.72…
6.1cmのとき→1830÷681=2.68…
7.2cmのとき→2190÷822=2.66…
8.4cmのとき→2580÷944=2.73…
9.6cmのとき→2970÷1106=2.68…
10.5cmのとき→3270÷1205=2.69…
↑電卓使いました。
数値がバラバラになるのは、測定値に誤差はつきもののため。
(だから、高さを変えて8回も計測した)
数値を全体的にみて、小数第2位を四捨五入すると1cm3あたり2.7gとなる。
*有効数字が2桁なので、小数第3位は無視して計算していいのかも。。
問9(1):55%
問7(3)のグラフから、高さと体積はだいたい比例関係。
ある高さにおいて、石の体積が占める割合は等しくなる。
10cmに最も近い10.5cmのとき、容器の体積は問7(2)より2205cm3
石の体積は問7(3)より1205cm3。
1205÷2205×100=54.64…→55%
(2):62%
今度は、なめらかな石で測定する。
グラフしか与えられていないので、高さが10cmのところをみると、
ちょうど石の重さが3500g、水は800gになっている。
水の体積→800cm3
高さ10cmまでの容器の体積→210cm2×10=2100cm3
石の体積→2100-800=1300cm3
1300÷2100×100=61.9…62%
問10:でこぼこの石
前問で、同じ高さ10cmで比較したとき、石が占める体積の割合は、
でこぼこ→55%、なめらか→62%
でこぼこの石の方が隙間が多く出やすい。
問11:1.3倍
これも問9(1)のように、高さ10.5cmで考えるしかないような・・。
このとき、表1から石と水の重さは4.27kg、石の重さは3.27kgなので、
4.27÷3.27=1.30…→1.3倍
問12:2.4m2
排水溝どうしの間(中点)を囲うと赤い正方形。
ブロックの辺に注目して、赤い正方形の1辺は、40+25+25+40+25=155cm=1.55m
1.55×1.55=2.4025→2.4m2
正確な値はわからないので概算に頼るしかないが、
どこか見誤ると数字がズレる危機がある(;^ω^)
◆追記◆
ppppさんが細かく分析してくださいました。
図16を45度弱左に回転させ、方眼紙にのせた図です。
長方形の辺の比は5:8、排水溝は左上の頂点から右1下1で統一しています。
4つの排水溝を結ぶと1マスずれており、正確には正方形ではなく菱形でした。
規則正しい形に分割すると24個の長方形になるので、
25×40×24=24000cm2=2.4m2
正方形とみなしても答えが一致するように作られていますが、
栄光は実験データなど細かい数字を取り扱う設問が毎年でてくるので、
どの程度まで正確に答えるべきか、くわしくは理科専任の先生に質問してください。
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