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ヒトの卵と精子が受精すると、受精卵は1週間ほどで着床します。おなかの中の子ども(以下「たい児」とする)は母親の子宮の中で育ちますが、子宮の中には〔 ① 〕が満たされており、たい児は外部からのしょうげきなどから守られています。子宮のかべにある〔 ② 〕と、たい児は〔 ③ 〕でつながっており、母親はこれを通してたい児へ必要なものをあたえ、いらなくなったものを回収します。
ヒトのたい児は、途中までは子宮の中で回転できますが、成長して出産が近づき、少しずつ〔①〕が減って子宮の中がたい児にとってせまくなってくると、多くの場合、頭を④{ア上 イ下}に向けた状態で出産に備えます。そして、受精から⑤{ア22 イ30 ウ38 エ46}週ほどで誕生します。個人差はあるものの、日本人の新生児の平均身長は約⑥{ア10 イ30 ウ50}cm、平均体重は約⑦{ア1 イ3 ウ5 エ7}kgとされています。
ヒトの血液が肺へ運ばれると、血液中に気体A(以下「A」とする)が取りこまれ、同時に、血液中に含まれていた気体B(以下「B」とする)が吐き出されます。これを〔 ⑧ 〕といいます。このとき、血液中に存在するヘモグロビンという物質がAを受け取ります。母親の体内のうち、肺では血液中のAの濃さは最も高く、Bの濃さは最も低くなっています。肺でAを受け取った血液は母親の体内をめぐり、Aの濃さが低くBの濃さが高くなっている「体の各部分」にたどり着きます。そこで血液中のヘモグロビンは運んできたAの大部分を手放して「体の各部分」へあたえ、Bは血液中に回収されます。母親の血液の一部は〔②〕へ届き、ここでたい児の血液中のヘモグロビンへAが受け渡され、同時にたい児の血液からBが回収されます。新生児は、産声を発すると同時に、肺での〔⑧〕を開始します。
問1
上の文中の〔 〕にあてはまる語句を答え、また、{ }の中からあてはまるものを選びなさい。
問2
気体Aおよび気体Bの名前をそれぞれ答えなさい。
問3
たい児は、産まれる2か月ほど前から、〔⑧〕の”練習”をしています。どのように”練習”するのでしょうか。
「たい児は子宮のなかで過ごしている」ことから考えて15字以内で答えなさい。
問4
たい児の血液中のヘモグロビンは、母親の血液中のヘモグロビンとは性質が異なっています。
下の文中の〔 ⑨ 〕にあてはまる語句を4字以内で、〔 ⑩ 〕にあてはまる語句を6字以内で、
それぞれ答えなさい。なお、〔②〕におけるAの濃さ、Bの濃さは、母親の「体の各部分」と同じ条件とします。
『母親の血液中のヘモグロビンに比べて、たい児の血液中のヘモグロビンは、Aの濃さが低くBの濃さが高いときでも、よりAと〔 ⑨ 〕やすいという性質をもっている。このことによって、〔②〕を通してたい児はAを効率よく〔 ⑩ 〕ことができる』
@解説@
問1:①羊水②胎盤③へその緒④イ⑤ウ⑥ウ⑦イ⑧呼吸
小6男児には手厳しい。
グランツビューティより。
羊水がクッションの役割になって胎児を守る。
胎盤と胎児はへその緒でつながっており、酸素や栄養を供給し、不要物を回収する。
出産が近づくと重い頭部が下にくる。たまに逆子で頭が上にくる場合もある。
妊娠期間は平均40週(10ヵ月)程度。新生児の平均身長は50cm、平均体重は3000g。
産声と同時に肺呼吸が始まる。
問2:A-酸素、B-二酸化炭素
呼吸で酸素を取り入れ、二酸化炭素を吐き出す。
@燃焼と呼吸の違い@
生物学でいう呼吸は細胞呼吸を指す。
すなわち、細胞の中で有機物と酸素をもとに生命活動に必要なエネルギーを取り出すこと。
不要物として水や二酸化炭素、アンモニアが生成される。
燃焼と呼吸はいずれも有機物を無機物に分解してエネルギーを出す点では同じである。
NHK高校生物より。左が燃焼、右が呼吸。
化学反応である燃焼は一気に燃やして、強い熱エネルギーと光エネルギーを生み出す。
一方、呼吸は緩やかに反応して、少しずつエネルギーを取り出す。
ATP(アデノシン三リン酸)はエネルギーの貯蔵物みたいなもので、
ATP内のリン酸の結合を解くことで必要なときにエネルギーを取り出す。
問3:羊水を飲んで吐き出す。
難しい(;^ω^)
胎児は胎盤やへその緒を通じて母体から酸素をもらっている。
母体から出たら自力で横隔膜を上下させて呼吸をしなくてはならない。
胎児は母親のなかで呼吸の練習をしているという。
呼吸は口から空気を取り入れる。
羊水に包まれている胎児は、羊水を口から出し入れすることで肺呼吸の練習をする。
呼吸様運動というそうです。
問4:⑨結びつき、⑩受け取る
母親のヘモグロビンにくっついている酸素を胎児が受け取るには、
胎児のヘモグロビンが母親のそれより酸素とくっつきやすくなくてはならない。

今年の海城では、赤身の魚に含まれるミオグロビンとその利点が問われました。
@酸素解離曲線@
センター試験(2010年度)より。高校生物で習う酸素解離曲線。
横軸は酸素濃度。縦軸は酸素と結合している割合。
酸素ヘモグロビンとは、酸素と結合しているヘモグロビンのこと。
酸素濃度が高くなるほど、酸素ヘモグロビンの割合は高くなる。
酸素濃度が低く、二酸化酸素濃度が高い各細胞の組織(酸素の需要地)では
ヘモグロビンが酸素を離して組織に供給することで酸素ヘモグロビンの割合は低くなる。
筋肉に含まれるミオグロビンはヘモグロビンよりも酸素とよくくっつき、
ヘモグロビンが運搬した酸素を筋肉に溜めることができる。
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