問題PDF
次の会話文を読み、問いに答えなさい。
母:真冬の車の運転は特に気をつけないと。フロントガラスがくもって危ないことになるから。
父:そんなときには、デフロスターっていうスイッチを押すといいよ。
デフロスターを押すと、フロントガラスに、A(ア:冷たい イ:暖かい)風が
吹きつけられるようになり、車内の空気をB(ウ:外の空気を交換 エ:車内だけで循環)
するようになるから、くもりをとることができるよ。
問1
文中のA、Bにあてはまる語句をそれぞれ選びなさい。
リカ子:お母さん、冬に限らなくても車の窓はくもるよね。
夏の暑い日にゲリラ豪雨みたいなのが降った後とかは特にくもっていたよ。
だから、夏も気をつけないと。
母:確かにそうね。①エアコンを入れて車内を冷やしているから、夏でもくもるわね。
そもそも、どうしていろいろとくもるのかしら。
②キッチンで料理を始めても窓がくもってくるし、お風呂でもだんだん鏡がくもってくるし…。
問2
下線部①について、夏にくもったときのフロントガラスは、どのような状態になっていますか。
問3
下線部②について、キッチンの窓がくもり始めたとき、デジタル時計に表示されていた室温は25℃、湿度が60%でした。このとき、外の気温はおよそ何℃だと考えられますか。
次の表からグラフを作成して、整数で答えなさい。
リカ子:そんなの、学校で習ったでしょ。車の窓がくもるのも、キッチンの窓がくもるのも、
お風呂の鏡がくもるのも、ぜんぶ同じ理由。含みきれなくなった水蒸気が小さな水滴となって
表面にくっつくから、光が乱反射して白くくもるんでしょ。
母:あら、そうだったかしら…。でも水は100℃になったら水蒸気になるのよね?
100℃以下の温度でも、空気中に水蒸気が存在するのかしら?
リカ子:そんなこと言ったら、そのデジタル時計に表示されている『湿度』はどうなっちゃうのよ。
湿度って、ある温度の空気1m3に含むことができる最大の水蒸気量のうち、
今何%の水蒸気が含まれていますってことでしょ。100℃じゃなくても水蒸気は存在してるの。
父:リカ子、すごいな。ちゃんと学んだことを身につけているんだね。
リカ子:でもね、お風呂の鏡だけは私も困ってる。くもらないようにならないかな?
父:シャワーのお湯をかければ、まぁ、いいでしょう。
リカ子:それでもすぐにくもるもん。あ、でもこないだ鏡にシャンプーの泡がはねて、
その泡が流れ落ちていったところだけはくもってなかった!
きっとそこだけ水をはじいてたんだね。
母:水をはじく?水をはじいていたら、カサみたいに大きな水滴がポツポツつくと思うけど。
リカ子:え!?そしたら、どうなってるの?
母:それは学校の先生に聞いてみてよ。
リカ子:先生、シャンプーは水をはじくから、鏡がくもらなかったんですよね!
先生:リカ子さん、本当にそう思う?もしそうだとしたら、シャンプーした髪は
水をはじいてしまってすすげなくなってしまうわよ。
リカ子:はっ!
先生:リカ子さん、これを見て。水は机に1滴たらすと、丸くなっているわね。
リカ子:知ってます!表面張力ってやつですよね。
水は表面張力が大きいから、表面積をできるだけ小さくしようとして丸くなるんです。
先生:そうです!よく知ってるわね。次はプラスチックとガラスの上に1滴ずつたらすわよ。
リカ子:あれ!?プラスチックだと丸いのに、ガラスの水は丸くなっていない!
先生:水と物質には相性みたいなものがあって、水とガラスは仲がいいので丸まらずに広がるの。
だから、メスシリンダーで水の端が上がるでしょ。ガラスでできた鏡の表面がキレイであれば
水をはじくのではなく、水が広がっていくからくもらないってことなのよ。
リカ子:すると、家の鏡がくもるのは、表面が汚れているから水が広がらないってことですよね。
そして、シャンプーがついた表面はキレイになったから水が広がってくもらなかった。
ということですね!
先生:さすが、リカ子さん!でも後半のシャンプーの部分は、まちがっています。
リカ子:もう、先生のいじわる。
先生:ごめんなさいね。ここではシャンプーは汚れをおとしているのではなく、
( ③ )て、水が広がるようにしているの。
リカ子:そうなんですね、シャンプーにはそんな働きがあるんですね。
問4
( ③ )について、シャンプーがどのような働きによって鏡がくもらなくなるのですか。
シャンプーの働きがわかるように( ③ )にあてはまる文を答えなさい。
先生:リカ子、ちょっとおわびに、面白いものを見せてあげる。
水銀と言って、水よりも表面張力が約7倍もある金属の液体よ。
有毒の物質だからちょっと気をつけてね。水銀をそっとガラスの上に1滴落とすわよ。
リカ子:わー、ガラスの上なのに、コロコロしてます!ほぼ球になってますね。
問5
水銀にガラス管を入れたときの水銀の表面の様子を解答用紙の図に記入しなさい。
@解説@
問1:A…イ、B…ウ
曇ったフロントガラスを綺麗にするデフロスターの仕組み。
冬のガラスが曇るのは、車内の空気が冷やされて水滴(結露)になるから。
車外は寒く、車内は暖房で暖かい。
空気は温度が高いほど水蒸気を多く含ませられるので(飽和水蒸気量)、
車内の暖かい空気に含まれる水蒸気が冷たいフロントガラスにあたると、
その部分の空気が冷え、溶けきれなくなった水蒸気がガラスに付着する。
これを解消するには、車内と車外の温度差を少なくすればいいが、
冬の車内を冷やすのは中に乗っている人が辛くなる。
また、正面のガラスにだけ冷風を当てようとすると、暖房の効率が落ちる。
そこで、飽和水蒸気量の大きい高温の空気を乾燥させ、
これをフロントガラスにあてることで、ガラスに付いた水蒸気を空気に溶かせて除去する。
車内の暖かい空気は人間の呼気などで湿度が高いので、
外気から新しい空気を持ってきて、デフロスターで除湿、送風する。
問2:ア
前問をきちんと理解していれば解ける。
夏は車内が冷房で寒く、車外が暑い。
車外の暖かい空気が冷たいフロントガラスに冷やされ、
溶けきれなくなった水蒸気がガラスに付着する。
よって、車外に水滴がついているアが正答。
問3:およそ16℃
先にグラフから。
原点0を記入する。横軸と縦軸は何を示すか、単位を含めて記す。
目盛りの幅は表から2マス10単位が適当。
プロットして、傾向が直線であるか曲線であるかを見極める。
直線であれば点同士を結ばず、平均値をとるように一直線でひく(測定値は誤差を含むため)
曲線の場合はだいたいのカーブを描く。
25℃の飽和水蒸気量は23.0g。
23.0×60%=13.8gの水蒸気量で飽和状態となり、液化して水滴となる。
飽和水蒸気量が13.8gのとき、横軸の温度を目分量で読むとおよそ16℃くらいか。
問4:水の表面張力を弱まらせ
シャンプーが鏡を曇らせない理由。
後半で『表面張力』という化学ワードがでてくるので、これを使う。
水は表面張力が大きく、表面積を小さくしようと凝集して丸くなる。
鏡の表面が汚れていると表面張力に加え、油汚れで水が広がらず、
水の層が厚くなり、光の乱反射で白く曇る。
シャンプーは水の表面張力を弱めるので、鏡の表面に水が広がり、
水の層が薄くなって乱反射が弱まり、曇らなくなる。
水の表面張力を弱まらせる原因は、シャンプーに含まれる界面活性剤。
シャボン玉が薄い膜で球状に広がるのと同じ原理です。
問5:
水銀は水より表面張力が約7倍もあるらしい・・。
結晶美術館より。きれい(*’ω’*)
水銀は1気圧下の常温で液体を保つ金属。
水銀のプールに鉄球を棒で押し込めているところがわかりやすい。
水銀は表面張力が大きいから、鉄球付近の水銀面が丸くなっている。
解答では、ガラス管が沈む周辺の水銀を丸く描く。
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