自己表現は自分を表現すること。
自分は何者なのか、相手に自分自身を知ってもらうための文書です。入試の自己表現、志願理由書、大学院のステートメント、就職のエントリーシートなど、学校や会社に自分をPRするための文書はいろいろあります。自分自身を論ずるので小論文とは違った苦労があり、独自のテクニックが求められます(とくに印象面)。ここでは、高校入試を念頭においた自己表現の書き方を紹介しますが、就職や院試の自己表現でも役立つテクニックもあります。あくまでヒントのみ!自分らしく自由に書く。面接の材料にもなるので嘘は(なるべく)書かない。
・将来像
自己表現を書くにあたって、将来、自分は何をしたいのか、自分の夢や未来を描いてみよう。ここをおさえておかないと自己表現が書きにくいです。試験官もあなたの将来に興味があるはず。将来像を描くうえで手掛かりの1つとなるのは、社会に対する問題意識。日々の生活で感じた疑問や体験、もしくは少年事件や環境問題など時事的なニュースをきっかけに、ちょっとした疑問を膨らませ、その問題解決に自ら携わりたい。「だから、私は○○になりたい」という流れを作りましょう。
〔年寄りの苦労を目の当たりにして高齢者にやさしい社会作りの担い手になりたい〕といった具合に。年寄りの苦労を目の当たりした実体験を使って、社会に目を向けている姿勢を出すのが重要。単に”介護士になりたい”ではなく、社会的な視点から自分の将来を描く方が印象が良いです。
しかし、中学生で社会的な視点を出せというのはなかなか難儀なこと。
部活と勉強で忙しいですからね。見つけられたらラッキーで他者と差別化ができますけれど…そういうときは、自分自身のあこがれや興味でも構いません。大学生ならまだしも15才ならOK。アプリ開発、アパレル販売、海外での観光ガイド、弁護士、銀行マン、警察官、教職、技術者、研究者・・。熱意を示すには、その仕事に就いて何をしたいのか、自分にその適格性があること具体的に述べましょう。唐突に、小学校の先生になりたい!とだけ宣言しても、言葉が薄ければ意志も薄っぺらいなと思われます。
「勉強が苦手だったので勉強が苦手な子の気持ちがわかる」「○○先生と出会って××なことがあった」
「~を教えたいという気持ちが芽生えた」といった具体的な理由になりそうな事柄をピックアップして、
うまくつなぎあわせます。小論文と同じく、結論→理由の流れが読みやすいですね。
【就きたい仕事→そう考えた理由】
あまり理由をぐたぐた書きすぎると文章がだれるので”簡潔にテンポのよい構成”を。
冗長はダメですが理由の部分は差別化を図れるポイントです。具体性があるほど好印象。
どうしても希望する職種が見当つかない!という人は自己表現の質問内容にもよりますが、高校生活でやりたいことを述べ、その中で将来やりたいことを探していきたい旨の意志を示しましょう。
ただ、高校入試はそれで乗り越えられても、会社の就職や大学以上の自己表現では済まされません。まだ15才ですからライバル達もそれなりのことしか書いてこないですが、年齢が上がるにつれて求められる水準は当然高くなります。普段から社会に対する問題意識を持つ姿勢が大切です。社会問題への意識や取り組み方がおのずと自己と社会の関わり方にもつながりますからね。そのためには社会に目を向けること。これは学校の勉強だけでは補えません。18歳で選挙権が得られますから、最低限、話題性のある政策の基本事項は知っておきたいところ。社会に目を向ければ目的意識も高まり、普段の過ごし方も変わることでしょう。
・志望理由
なぜ、この学校を選んだのか。学校をほめます。
単に誉めるのではなく、自分自身と関連させることが重要です。
【将来何をしたいか→志望理由(学校の特長と自己との関連付け)→結び(決意・その他)】
私の将来の夢を実現させるためには貴校への入学が必要です、と。
学校の特長の1つに、「建学の精神」があります。学校の教育理念ですね。詳しくは各学校のページや学校案内をご覧ください。最初の方に書かれてあるはず。これと自分の将来を結びつけます。
”私は○○になりたいが、この夢を叶えるうえで貴校の××という建学の精神が私のしたいことや私の考えと(△△の理由で)合致する” というふうに述べます。建学の精神と自分をうまく関連させれば、その学校に入りたい意思を強く印象づけられます。
また、学校は建学の精神を具現化するために、独自のカリキュラムや授業方法をとっています。『私は将来○○をしたいので、貴校に入学したらこの授業をとって××したい』という流れもOK。具体的なプランであるほど好印象(将来像がおぼつかない人は、まずは高校生活で何をしたいのかを具体的に)。「B校でもなく、C校でもなく、A校じゃなきゃ私はダメなんだ!!」 といった感じを際立たせるのがPRのミソ。これは就職や院試のエントリーシートでも有効です。あなたじゃなきゃダメなんです!愛の告白みたいな。もちろん、 希望する会社や学校の良いところを自分で調査することが大前提ですよ( *˙ω˙*)و グッ!
理数科、国際科、福祉科、体育科、工業科、情報科といった専門学科は専門分野とむすびつけ、普通科と専門科をまたぐ総合学科では、双方の側面から触れれば、よりGOOD。実際の将来が専門外の道に行こうが関係ありません。今は学校にPRすることが大切。専門事項は中学生には難しいものもあるので、助けが必要であれば周囲の大人に聞いてみましょう。
部活動も学校の魅力の1つ。自身の部活暦や新たな部活動への興味とつなげて書くことができます。どれほど熱心に部活へ打ち込んできたか、個人的なエピソードを交える。部長やマネージャーなどの役職を担当したり、受賞歴があるのならばそれも記述して実績アピール。志望する高校の部活がスポーツの強豪校であったり、大きな大会で優秀な成績を収めていたら、学校称賛ポイントとして触れておこう。なによりも部活動は”やりたい熱意”が大事!
「校風が自分に合っていた」と学校の雰囲気が肌に合っていたとのアピールも有効です。兄弟や知り合いから人づてで聞いた話や、文化祭などの学校行事に参加したときの感想など。具体性があったら◎。ちゃんと学校を見てくれている証拠なので試験官もニコニコ。
自己の向上心とは離れた、利己的な志望理由は避けるべき。学校が自宅から近いので通学が便利、友達と同じ進学先を希望している、制服がお気に入り・・。【偏差値が高い・ブランド力】は、有名大学への進学実績やレベルの高い環境下での切磋琢磨などに適宜変換。いずれにせよ、自己の向上にうまくつなげる形にして、印象を悪くさせないような表現の工夫が必要です。
・自己分析(内面や性格)
自己表現によっては『自分自身をどう思うか。あなたの長所と短所を述べよ』と聞いてくるものがあります。将来像や志望理由とは異なり、自分の内面や性格をストレートに問うので難しい。というか気恥ずかしい。。なるべく自分を客観視して、まずは長所と短所をそれぞれ短い言葉でいくつか表してみましょう。
ですが、”自己を分析せよ”とは過酷なもの。自分のことだからこそ、自分が見えにくい。そこで、ネットで「人の性格を表す言葉」で検索すると、様々な言葉が一覧で紹介されているページがあります。冷静・熱血・社交的・ユーモア・素直・真面目・リーダーシップ・行動的・面倒見が良い・人の長所をいえる…。短気・注意散漫・心配性・大雑把・優柔不断・頑固・引っ込み思案・飽きっぽい・根に持つ・物覚えが悪い…。
目に見える言葉のなかから自分がピンとくるワードを絞った方が考えやすいと思います。検索してピックアップしましょう。もちろん、一覧表にこだわり過ぎず、思いついたものがあれば書き出し。案をだすのは自由な形式で!あまり深く考えようとするとこんがらがるので、直感的に判断する心づもりで選んだほうがいいかもしれません。それでも選びにくいのであれば、家族や友人など周りの人も貴重な情報源ですね。ネットでは無料の自己分析や性格診断ツールもあります(有料版はやらない)。ただし、品質保証がないうえに結果がばらつくこともあるので参考程度にとどめておく。
自分の性格を表す言葉ですが、これも具体的なエピソードにつなげます。【親切】なら親切を裏付ける話ですね。具体例は他人との差別化ポイント。端的かつ鮮明な描写が望ましいです。自己表現全般にいえますが、抽象的でボヤボヤする文があると試験官は「ごまかしや嘘で逃げたな」と捉えます。
言葉のチョイスもポイントです。ワード選びで売り込み度アップ!例えば類語。「親切」を類語で調べると、やさしい・思いやり・気遣い・配慮・気配り上手・世話好き・・いろいろな類語があります。具体的なエピソードに連動させて、どの言葉がしっくりくるか、インパクトがあるのか選んでみましょう。似たような言葉で繰り返す⇒使いまわしを減らして『くどさ』を軽減しつつ、文章の一貫性を保つ。
短所のワードチョイスですが、避けた方が無難な言葉もあります。「無気力」であれば、やる気がない、向上心がない生徒を試験官は自分の学校に歓迎したいとは思いません。無気力であったとしても、「これまで勉強には関心が薄かったが、(これからは~)」と限定や言葉の変換でリカバリー。「暴力的」も適宜「短気」や「せっかち」にかえてオブラートに包み、悪い印象をフォローする。「陰気」もネガティブ過ぎるニュアンスなので「おとなしい」や「消極的」などに。
長所と短所を同時に述べる場合、
”長所と短所の対比・一貫性、短所のフォロー”に気をつけること。
私は、【出来事】で熱心に物事に取り組みましたが、その熱血さのあまり、融通がききにくくなるときがあります。
今後は、【対策】などをして、周りの状況を冷静に観察できるよう心がけます。
熱心・熱血だからこそ→(一度決めたらトコトンやる→柔軟に対応ができない)→融通がききにくい。長所と短所をコントラストに描いた方が一貫性があり、きちんと自己分析ができている(しっかりしている)印象を受けます。また、短所の叙述で終わらせるのではなく、短所をどうフォローアップするかを付け加えるのは、もはや必須事項です。
端的に自分を知ってもらうために座右の銘をだすのも手です。一期一会、笑う門には福来たる、夢はでっかく根はふかく・・四字熟語・ことわざ・名言などを上手く引用して、人となりや抱負を熱烈アピール。
・活動歴・特技
中学校でがんばったことや印象に残ったこと、それを通じて何を学んだか、感じたか。
自分の能力や経歴をアピールして、自分をうまく魅せましょう。
日ごろの学習態度、課題物の提出、皆勤・精勤、成績・得意科目、部活動の熱意・実績・役職(部長、会計など)、生徒会や学級委員その他委員会活動、学校行事での奮闘や役職(運動会の宣誓、コンクールで指揮者担当など)、修学旅行、職業体験、習い事・ボランティアなどの学外活動、資格、家庭(店の手伝い、介護etc.)、特技・趣味など。
多角的に考えてみよう。何を重点的にアピールするかは臨機応変に。
以下、サボの妄想
★皆勤・精勤は地味な感じがするけど、毎日学校に通い続けた実績は好印象。達成した人は書くべし。
★英検・数検・漢検には入試優遇制度がある。「英検 入試優遇」「数検 入試優遇」「漢検 入試優遇」で調べてみよう。考査対象は主に3級から。中学生で準2級以上(高校在学レベル)を取得していると、ライバル達が持っていない分、キラキラ度が増す。入試優遇で考慮されなくても、資格を持っていたら書かないよりかはマシ。(ただし、他のバランスとの兼ね合いも考えよう)パソコン検定(P検)も興味があればお勧め。予約をすれば好きな時間に1人で受験ができる。ただし、パソコンでネットが操作できるだけではなく、本を買って勉強する必要がある。簡単なワードとエクセルの操作も要求される。タイピングはイータイピングの腕試しレベルチェックを利用 → イータイピング
★誰かがやらなきゃいけないなかで、皆がやりたがらない役職に就く。動機が何であれ、行動的と評価される。やり遂げれば責任感あり。また、組織をマネジメントする立場を中学生で経験するのは大きい。総じて、主体的・自立的でないと果たせないこと。部活動の部長、クラス委員長、生徒会長・・場合によっては内申に影響しないわけでもなさそうな・・。未確認情報だが。
★部活動その他の実績は、おおむね”県大会以上の大会で入賞 ”が内申の判定対象になるといわれている。そこまでいけなかったとしても、他のアピールポイントとの兼ね合いを考慮したうえで、獲得した賞を書いておこう。むかしは部活動によって、例えば野球やサッカーなどのスポーツ部に在籍していただけでプラスの評価がつくといわれていたが、現在は関係ないといわれている・・。スポーツ推薦もあるが、それ以外の入試採用につき、私的には就職と同様にスポーツ部員を優遇する試験官はいなくはないと思う。 ボーダーゾ-ンにアドミッションポリシーありそうだし、尖った人材が欲しいのはどこの組織もそうかと、、
@追記@
2017年、千葉県の某県立高校で実技検査のあけすけな入試優遇が明るみとなる(-ω-;)彡
演出は??
自己表現も小論文と同じくオリジナリティ性は重要です。小論文より個性は出しやすいと思いますが、試験官をワッといわせるほどの華麗な経歴がある人なんて少ない。そんなときは、演出!演出といっても、大きな嘘をつくわけではありません。面接でつつかれますので。多少事実を盛っても仕方ないという意味です。一見、地味なシナリオに脚色を加えてきらびやかに演出。自己表現とは自分を売り込むわけですから、自分をうまく見せるプレゼン力、営業力なのかな、と思います。まあ、面接も半分だまし合いみたいなもんだし(;´д`)売り込んで入学許可を得なければ、はじめの一歩すら許してもらえませんからね。
長々と書きましたが、自己表現の質問文に応じてテキパキとした流れで書きましょう。
個別具体的なエピソードと明快な文章構成のさじ加減!
案を出す→整理する→何を強調してアピールするか、
→下書き→何度も見直し→調整。余分なものを削除、演出。
@追記@
美容家のIKKOが下積み時代に、某一流雑誌のメイクアップアーティストの採用面接にいったとき、自分の過去の作品(IKKOが手がけたモデルの写真)をのっけたブックを面接官に渡したのですが、そのときに叱られた言葉・・。
『はぁあ!?アンタみたいなどこの馬の骨かわかんないような連中を雇うのにブックは貴重なのに、なんでアンタ、これ紙に写真貼り付けてるだけじゃない!!自分をうまく魅せることができない奴に他人を魅せることができると思う???美容はそんな甘い世界じゃないのよ。自分をうまくプロデュースできない奴が一流になれる資格なんてないわ!!!仕事なめないでくれる??(#゚Д゚)(#゚Д゚)』
デキる人間はキャリアを積んで、かつそれをうまく魅せる術を持っているのでしょうね。
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