2017年度 厚木高校・特色検査【大問2】問題解説

〔大問1は英語の長文でした。テーマは言語と思考力。人は頭のなかで思考する場合も言語を使う。
バイリンガルの子どもたちは単語の音やスペルより、単語の意味を重視する。
ある科学者が子供たちに「”犬”という名前を牛につけて、”牛”という名前を犬につけることは正しいと思うか?」  と質問したところ、一言語使用の子供たちは正しくないと答えたのに対して、ニ言語使用者の子供たちはそれらの名前を考えても大丈夫だと考えた。英語は
4技能だけでなく、5技能目にthinkingを含む〕

大問2
(表1)は健康なヒトの血液に関するデータである。
この(表1)を参考にして、あとの設問に答えなさい。
◆問13
体重が50kgのヒトの血液の量は何Lか。
最も適切なものを選びなさい。
①3.7  ②3.9  ③4.0  ④39  ⑤40

*全身の血液の量は体重の7.7%なので、
50×7.7%=3.85kg
単位がkgであることに注意!求めるのは質量kgではなく体積L。
比重とは、4℃の水1gが1cm3であることを利用した比率のこと。
式でいえば、比重=物質の密度÷(4℃の)水の密度
比重が1より大きければ、水よりも密度が大きいので水に沈む。
比重が1より小さければ、水に浮く。

比率を使えば、各物質ごとの体積や質量を出しやすい。
血液の比重は1.05なので水よりやや密度が高い。
言い換えれば、1cm3(体積)あたり1.05g(質量)
体積:質量=1:1.05より、
3.85kg×1/1.05=3・2/3=3.666・・・ → ①

◆問14
体重が60kgのヒトの血液中のグルコースの量は何gか。
最も適切なものを選びなさい。
①4.4  ②4.6  ③4.9  ④4400  ⑤4900

*体重が50→60に変わっているので再計算。
60×7.7%×1/1.05=4.4L
血糖値は、血液100mLあたり100mg含まれている。
100mL:100mg=100L:100g=1L:1g
4.4Lの血液には4.4gのグルコースが含まれている。
右端の肝臓なんちゃらは本問では使わない。

◆問15
ヒトは食べたものを小腸の粘膜から栄養分として吸収することができる。
また、ときには体に有害なものも吸収してしまう。吸収された物質は、”肝門脈”という特別な血管を通り、すべて肝臓に運ばれる。肝臓では、血糖値の調節を行ったり、有害な物質を解毒したりする。風邪薬の有効成分も人体は有害物質と認識し解毒する。つまり、解毒されなかった量が全身に流れ”効く”のである。肝臓における有害物質の解毒量を有害物質のx(%)とし、小腸で吸収された風邪薬の有害成分の量をy(mg)とするとき、次のA、Bについて答えなさい。

【A】肝臓で分解されずに全身に送られる風邪薬の有効成分は何mgか。
最も適切なものを選びなさい。


*情報整理!
【小腸(有効成分(=有害物質)をymg吸収】→(肝門脈)→【肝臓で有害物質のx%を解毒】→【心臓】
最初は、小腸で有効成分のymgが吸収される。
肝臓ではそのうちx%が解毒作用で消える。
解毒されないのは(100-x)%。分数でかけば(100-x)/x
y×(100-x/x)=y(100-x)/100

【B】風邪薬の有効成分は肝臓を通過したあと全身を巡り。再び肝臓で解毒される。
 このとき、肝臓で解毒される風邪薬の有効成分の量は何mgか。最も適切なものを選びなさい。
 ただし、風邪薬の有効成分は、体内では肝臓のみで分解され、その他の要因で減少することはないものとし、心臓から全身に向けて出た血液はすべて同時にもどってくるものとする。

*有効成分のy(100-x)/100mgが心臓のポンプで押し出され、血管を通って全身をまわる。
血液は循環して心臓に戻ってくるが、肝臓に戻ってしまうとそこで再度、解毒されてしまう。
ここで、表1の【肝臓へ流入する血液の量】を使う。
心臓から送り出された血液の30%が肝臓に戻ってくるので、
肝臓に戻ってくる有効成分は、y(100-x)/100×30%。
x%が解毒されるので解毒量は、y(100-x)/100×30%×x%。
これを分数で書くと③になる。

◆問16
次のⅠ~Ⅵは、ある薬を服用したときの有効成分の血中濃度(血液に溶けている物質の量。単位はmg/L)と効果の様子を示している。A、Bについて答えなさい。

Ⅰ:薬1錠を服用すると、有効成分の血中濃度は時間とともに(図1)のように変化する。
Ⅱ:薬1錠を服用後12時間後に血中濃度は0mg/Lとなる。
Ⅲ:有効成分の血中濃度が20m/Lを超えると、血中濃度に関係なく、薬の効果が体に表れる。
Ⅳ:有効成分の血中濃度が120m/Lを超えると、体に害を及ぼす。
Ⅴ:時間ごとに血中濃度は服用した薬の錠数に比例する。
Ⅵ:有効成分が血液中に残っているとき更に服用すると、服用した分は単純に追加される。

【A】この薬の効果的な服用方法として、最も適切なものを選びなさい。
①7錠ずつ12時間毎に服用する。
②5錠ずつ8時間毎に服用する。
③5錠ずつ6時間毎に服用する。
④3錠ずつ8時間毎に服用する。
⑤3錠ずつ6時間毎に服用する。

*問題文から、有効成分の血中濃度を〔20より大きく120以下を維持〕すべきだと理解する。
グラフは1錠の値なので、薬を複数飲むときはⅤより個数分をかければいい。
①:7錠飲むと1時間後の血中濃度は20×7=140mgとなり、120を超える。×
②:5錠飲むと20×5=100mg→セーフ。8時間後は4×5=20mg残っている。
新たに100mg飲んでも、120mgなのでセーフ圏内。
③:6時間後は6×5=30mg残っている。新たに5錠飲むと130mgとなるので不適。
④:3錠飲むと20×3=60mg。
8時間後は4×3=12mg残っており、20mg以下となる。
⑤:6時間後は6×3=18mg。20mg以下となる。
血中濃度がコンスタントに20~120mgとなるのは②。

【B】前問の内容にふれている慣用表現として、最も適切なものを選びなさい。
①二階から目薬  ②喉元と過ぎれば熱さを忘れる  ③過ぎたるは猶(なお)及ばざるが如し
④風が吹けば桶(おけ)屋が儲(もう)かる  ⑤医者の不養生

*いきなりことわざの問題(´゚д゚`)!?
薬の有効成分が血中濃度の20以下だと効き目はないが、120を超えるとかえって体に悪い。
やり過ぎるとよくないよ、といいうことで③。
①:2階から目薬をうっても目に入れにくい。物事がうまくいかず、効果が得られない。
②:熱い食べ物もノドを通ってしまえば、その熱さは忘れやすい。辛い経験も同じ。
④:風が吹くとホコリが舞って、ホコリが舞えば目に入って盲人が増え、
盲人が就きやすい三味線が買われるようになり、三味線の材料である猫の皮のために猫が殺され、
猫が減ればネズミが増え、ネズミが桶をかじり、桶がなくなれば桶屋が儲かる。
ある事実が思わぬ方向に影響する。
⑤:医者が偉そうに摂生を助言するくせに、医者本人は自分の摂生ができていない。
転じて、言葉に対して言動がともなっていないこと。
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