スポンサーリンク

2017年度 厚木高校・特色検査【大問3】問題解説

哲也さんと由紀さんが天気について話し合っています。次の会話文を読んで、あとの設問に答えなさい。
ただし、天気図中のHは高気圧、Lは低気圧を示している。

哲也:地表付近の天気図(図1)を見て、高気圧や低気圧付近の風向について確かめよう。
由紀:地表付近では、気圧の高いほうから低いほうへ向かって大気が動くから、
高気圧の中心か外側に向かって風が吹くのだったよね。
哲也:うん。でも実際には、地球が自転しているから、風向はちょっと曲げられるんだ。
北半球の地表付近では、高気圧の中心から時計回りに吹き出す風になり、
低気圧の中心に反時計回りに吹き込む風になっているね。
ところで、風に関係する気象現象って何があるかなぁ。
由紀:そうだなぁ。春一番や木枯らし1号が吹いたときは、ニュース番組で取り上げられているよね。
それに竜巻や台風でも強い風が吹いて、大きな被害が出ることもあるなぁ。
哲也:じゃあ、過去のデータがたくさんある台風について考えてみよう。
台風は熱帯低気圧が発達したものだと理科の授業で習ったよね。
由紀:最大風速が17.2m/sを超えると呼び名が台風に変わるんだって。
サイクロンやハリケーンも台風の中まで熱帯低気圧の発達したものだと、先生が言ってたよ。
熱帯低気圧は、どの場所でも発生するのかなぁ。

哲也:世界の熱帯低気圧の発生した地点(図2)を見ると( ア )ことがわかるよ。

由紀:海面水温の分布(図3・4)とあわせて考えるとこんなことも言えるんじゃないかな。

由紀:『熱帯低気圧が多く発生する地域は、発生しない地域よりも海面水温が( イ )から、
    海面からの蒸発が( ウ )なので、大気中に含まれる水蒸気が( エ )。
    その大気が上昇して、水蒸気が雲粒(雲をつくっている水の粒)に変化するときに
    ( オ )する熱が熱帯低気圧を発生させるエネルギー源になっている』。
哲也:なるほどね。じゃあ、台風が近づくとどんな風が吹くのかなぁ。
由紀:地表付近の台風による風向は、低気圧周辺の風向と同じと考えられるね。
    そうすると、ある地点の風向は、台風の位置によって違うよね。
哲也:そうだね。ということは、台風が北上した場合、( カ )と言えるね。

◆問17
空欄( ア )に入るものとして、最も適切なものを選びなさい。
①赤道上で発生することが多い     ②低緯度の大陸上で発生することが多い
③低緯度の海上で発生することが多い  ④大陸上ならばどこでも発生する
⑤海上ならばどこでも発生する

*熱帯低気圧が発生する場所。図2を見たまんま答える。
熱帯低気圧のエネルギー源は海からの水蒸気なので、低緯度の海上で発生しやすい。
(赤道上では発生しない)

ちなみに、台風は太平洋の北西部で発生した熱帯低気圧。
ハリケーンは太平洋東部~大西洋(とくにカリブ海沿岸の北アメリカ大陸は被害にあいやすい)。
サイクロンは南半球(とくにインド洋あたり)。
発生する場所によって名称が異なる。

◆問18
由紀さんの会話中の『 』の空欄イ~オを埋める語句の組合せのうち、
最も適切なものを選びなさい。


*海面水温は『高い』。海面からの蒸発が『活発』で、
大気中に含まれる水蒸気は『多い』。
①か②の2択に絞られる。
水蒸気が冷やされて雲粒(水滴、氷の結晶)になるとき、
すなわち、物質が凝縮や凝固をする際、物質から熱が放出される
反対に物質を熱すると、熱が物質に吸収されて融解や蒸発(気化)が起こる。

注射を打つときにアルコールの消毒でスースーしたり、
夏に水を撒くと冷えるのは、気化熱によって熱が吸収されてヒンヤリ感じるため。

◆問19
空欄( カ )に入るものとして最も適切なものを選びなさい。
①自分のいる場所の西側を通るとき、風向は時計回りに変化し、
 東側を通るとき、反時計回りに変化する
②自分のいる場所の西側を通るとき、風向は反時計回りに変化し、
 東側を通るとき、時計回りに変化する
③自分のいる場所の西側を通るときも東側を通るときも、
 風向は反時計回りに変化する
④自分のいる場所の西側を通るときも東側を通るときも、
 風向は時計回りに変化する
⑤通る経路は、風向の変化には関係ない

*台風が北上した場合の風向の変化。
台風の東側と西側にわけて答える。

北半球では自転の影響を受けて風は右に傾くが、コリオリの力は考えず、
シンプルに〔風は低気圧(台風)に向かって吹く〕だけを考える。

(低)が台風。これが北上する。
(低)に向かって風がする。
黒→青→赤の順に風向きが変わる。
すると、自分が低気圧の東側にいると時計回り、西側では反時計回りに風向が変化する。

◆問20
(図5)は沖縄付近を通過した台風の経路である。
(図6)は(図5)中の地点A~Fの2004年9月4日20時から9月6日20時における地上付近の風向と風速である。
(図6)中のキ・ケ・サに相当する風向と風速が計測された地点は、(図5)中の地点A~Fのどの地点のものか。組合せとして最も適切なものを選びなさい。
なお、(図6)の地点キの4日20時は、北北東の風11m/sを表す。


*繊細な判断を要するので難しい:;(∩´﹏`∩);:
前問より、台風の東側は時計回り、西側は反時計回りに風向が変化するので、
時計回りのコ・サ・シはA・E・F、反時計回りのキ・ク・ケはB・C・Dのいずれか。

切り口は複数あると思われる。以下、サボなりの方法。
A・E・Fグループから考える。
コ・サ・シのなかで、Fの横棒が少ないシに注目。
全体的に風力が小さいということは台風から最も距離が離れているということ。
そこからシ=Fではないかと推測。
コは最初に風力が強く、徐々に弱まっていくことからA。
コのFの角度は時計回りに最も早く進んでいるので、はじめに台風が接近した場所
5日4時では東風なので、(図5)の5日4時(3時~6時の間)に台風の○を書いて、
○を中心に反時計回りの風をのびやかに書くと東風になる。
Fの横棒の数が全体的に多く、とくに5日20時から風が強まるサが、台風の経路に近いE。
コ→A  サ→E  シ→F
②か⑤に絞られる。

つづいて、B・C・Dグループ。
3地点の距離が近いので微妙なところ(´゚д゚`)
キ・ク・ケのなかで、全体を通してみるとケが最も反時計回りに早く変わっている。
6日8時は南よりの風になっている。
ここから、6日の台風の経路のうち、台風の南側にくるケがC。
よって、⑤。

キ・クの区別もクがケよりも先に反時計回りするので、先に台風の南にくるBがクになりそうだが、選択肢⑤によるとBはキらしい。。。
風向は複雑な気象現象のなかで決定されるうえに、BとDは距離が近いから、
資料からでは判断しえない要因(地形とか海流とか)で多少の誤差が生まれるんじゃないかな。。
細部にこだわりすぎると判別がつかないので、全体のおおざっぱな傾向に注視しよう。

◆問21
次の①~⑤の天気図は日本付近の各季節における特徴的な気圧配置を示したものである。
夏の終わりから秋にかけて、台風は九州や本州に沿って進むことが多い。
そのときの気圧配置の特徴を示している天気図はどれか。
最も適切なものを選びなさい。


*台風が列島を縦断する気圧配置を選ぶ。
台風は低気圧なので、高気圧のところは通れない
列島の両サイドがH(高気圧)だと、その気圧の谷間に沿って台風が列島を縦断する。
④は列島の東西にHがあるので、台風が発生すると列島上空を通過します。
難問特色検査の解説ページに戻る

◆menu◆ 公立高校入試…関東圏メイン。千葉だけ5教科あります。%は正答率。
国私立高校入試…数学科のみ。ハイレベルな問題をそろえてみました。
難関中算数科…中学受験の要。数学とは異次元の恐ろしさ(;´Д`)
難関中社会科…年度別。暗記だけじゃ無理な問題がいっぱい!
難関中理科…物化生地の分野別。初見の問題を現場思考でこなせるか。
難問特色検査…英国数理社の教科横断型思考問題。
センター試験…今のところ公民科だけ(^-^;ニュース記事だけじゃ解けないよ!
勉強方法の紹介…いろいろ雑記φ(・・。)
QUIZ…☆4以上はムズいよ!
noteも書いています(っ´ω`c)
入試問題を題材にした読み物や個人的なことを綴っていこうと思います。
気軽にお立ち寄り下さい(*^^*)→サボのnote
サボのツイッターはコチラ→

コメント

タイトルとURLをコピーしました