2017年度 湘南高校・特色検査【大問1】問題解説

〔日本語の乱れに関するリード文〕
◆(ア)
下線部A『「あげる、くれる、もらう」などの授受動詞の表現を絵で整理してみるね。すると、図のようになる』とあるが、
図の〔あ〕~〔う〕に入れるのに、最も適するものをそれぞれ1つずつ選びなさい。

1:あげる  2:くれる  3:もらう
あ-2 い-3 う-1
*授受動詞とやらを埋める。これは大丈夫でしょう。

◆(イ)
下線部B『日本語では授受動詞を組み合わせて使う』とあるが、
そのような表現が正しく使われている場面として適切なものを、次のなかから2つ選びなさい。
1:湘介が会社の先輩の家に行くと、折り紙に興じている先輩の息子が、湘介に「鶴追ってほしい?」と言った。すると、先輩が湘介に「折ってもらってやってくれないか」と言った。
2:湘介が会社の先輩の家に行くと、折り紙に興じている先輩の息子が、湘介に「鶴折って!」と言った。すると、先輩が湘介に「折ってもらってやってくれないか」と言った。
3:湘介が会社の先輩の家に行くと、母親に料理を習っている先輩の娘が、湘介に「食べたい?」と言った。すると、先輩が湘介に「食べてもらってやってくれないか」と言った。
4:湘介が料理をしていると、会社の先輩が娘を連れてやってきた。その子が湘介に「食べたい!」と言うと、先輩が湘介に「食べてもらってやってくれないか」と言った。
5:湘介が会社の先輩と話していると、アイドルを目指し、サインをかく練習をしている先輩の娘が、「サイン欲しい?」と言った。すると、先輩が湘介に「描いてもらってやってくれないか」と言った。
6:湘介が会社の先輩の息子に絵を描いて見せると、その子が湘介に「もっと描いて!」と言った。すると、先輩が湘介に「描いてもらってやってくれないか」と言った。
1、5
*
頭がパンプキンになる問題(;´д`)
考えすぎると余計にドツボにはまる。
1:「折って」⇒折る、「もらって」⇒もらう(授受動詞)、「やって」⇒やる・して、「くれないか」鶴を折ってもらうのは湘介。やってくれないかと先輩が湘介に依頼している。○
2:鶴を折る主体が湘介なので、「もらって」が不要。正しくは「折ってやってくれないか」。×
3:これも2と同様で、「食べる」の主体が湘介だから、「食べてやってくれないか」。×
4:1と同様に思えるが、食べる主体は「先輩の娘」、湘介は「食べさせる」側。
「食べさせてやってもらえないか」が正しい。×
湘介が先輩の娘に「食べてもらう」だと、湘介より目下の娘に「食べてください」と変な敬語になってしまう。
5:サインを「描く」主体は先輩の娘。湘介はサインを「もらう」側。○
6:「描く」主体は湘介。正しくは「描いてやってくれないか」。×

2・3・6⇒折る・食べる・描くといった動作の主体が湘介。「もらう」は受け手側なので×。
1・5⇒湘介が先輩の〔息子・娘〕に「鶴を折ってもらう」、「サインを描いてもらう」は○。
4⇒「料理を食べてもらう」は、「食べていただく」といった尊敬の意味になるので、
娘が年上の湘介に対して、「食べてもらう」は不自然で×となる。

◆(ウ)
下線部C『「さ入れ言葉」と呼ばれる、文法的に誤った表現をしている人が多い』とあるが、
中学校で学ぶ文法において、正しくない表現とされているものを1つ選び、
選んだものを正しい表現になおしなさい。

1:最初に私が一口だけ食べさせていただきます。
2:ちょっと写真を見させていただきます。
3:一言だけ意見を言わさせていただきます。
4:私があなたに着物を着させていただきます。
3、言わせて
*「さ」を入れると相手に許可を求めるような言い方で、やや丁寧な言い回しになる。
どれも当たってそうだが、五段活用とサ行変格活用の動詞には「さ入れ言葉」が使えない
食べる→下一段  見せる→下一段  言う→五段  着る→上一段。

@活用の見分け方@
動詞に「ない/ず」をつけて、「ない/ず」の手前の音が〔あ〕だと五段、〔い〕だと上一段、〔え〕だと下一段。「来る」はカ行変格、「する」はサ行変格。


◆(エ)
下線部D『たとえば「違和感を感じる」や「遺産を残す」は、同じ意味を含む語を重ねて使ってしまう「重ね言葉」と呼ばれるものだ。本来は「違和感を覚える」、「財産を残す」というのが正しい表現だよね』とあるが、会話文の最後にある、先生の発言の中から「重ね言葉」を2つ抜き出し、それぞれ8字以内で書きなさい。

~先生の会話~
このグループのタイトルは「日本語は乱れているのか」に決定だね。
「出れる」を使う人の割合が過半数を超えたという結果は興味深いね。
従来より誤りだとされてきた「ら抜き言葉」にもメリットがあるという考えは的を射ているかもしれない。あなたたちなりの結論を出してください。楽しみにしていますよ。
過半数を超え(た)、従来より
*重ね言葉を見つける。会話文は短いが難しい。

1つ目は「過半数を超えた」。
過半数は【半分を超えること】なので、”超える”が重複する。
「半数を超えた」か「過半数を占める」。

2つ目は「従来より」。従来は【以前から今まで】という意味で、現在までの時の流れを示すが、
格助詞【より】は動作や時間などの起点を表し、先ほどの【以前から】の部分とかぶっていまう。「従来、」が正しい。

実は、去年の国語に関する世論調査で同じ問題がでていました。
サボのブログ・平成28年度「国語に関する世論調査」
「従来より」を気にする人は22.9%。気にならない人は71.7%。
他には、「あとで後悔した」「一番最後」「元旦の朝」「まだ未提出」も重ね言葉。

◆(オ)
下線部E『「食べられた」と言ったときにはさまざまな意味が考えられる』よあるが、
次の1~6の左右の文の伝えたいことが、ほぼ同じであると解釈できるものを3つ選びなさい。
1:飼い犬にえさを食べられた。 ⇒ 飼い犬にえさを食べさせた。
2:嫌いな野菜を食べられた。  ⇒ 嫌いな野菜を食べることができた。
3:ぼくも豪華な料理を食べられた。 ⇒ ぼくも豪華な料理を食べたかった。
4:食後のデザートを食べられた。 ⇒ 食後のデザートを食べようとした。
5:ぼくのプリンを弟に食べられた。 ⇒ ぼくのプリンを弟が食べてしまった。
6:先生は弁当を急いで食べられた。 ⇒ 先生は弁当を急いでお食べになった。
2、5、6
*「れる・られる」の用法は、【受身・可能・尊敬・自発】。
1:左は受身。右は使役「させる」。×
2:左は尊敬か可能。右は可能。
3:左は可能。右は希望「たい」。
4:左は尊敬・可能。右は意思「う」。
5:左は受身。右は完了「た」。
文法的には異なるが、弟に食べられた≒弟が食べてしまった、と意味合いはほぼ同じ。
6:尊敬。

◆(カ)
下線部F『「食べれた」と言ったときには、1つの意味に限定されることになる』とあるが、
上の(オ)の各文中の「食べられた」を、仮に「食べれた」と置き換えた場合でも、
左右の文の伝えたいことが、ほぼ同じであると解釈できるものはどれか。1つ選びなさい。
1:飼い犬にえさを食べれた。 ⇒ 飼い犬にえさを食べさせた。
2:嫌いな野菜を食べれた。  ⇒ 嫌いな野菜を食べることができた。
3:ぼくも豪華な料理を食べれた。 ⇒ ぼくも豪華な料理を食べたかった。
4:食後のデザートを食べれた。 ⇒ 食後のデザートを食べようとした。
5:ぼくのプリンを弟に食べれた。 ⇒ ぼくのプリンを弟が食べてしまった。
6:先生は弁当を急いで食べれた。 ⇒ 先生は弁当を急いでお食べになった。

*「ら抜き言葉」の有用性を問う。斬新な切り込みで面白い。
「れる・られる」の用法は4つあるが、〔ら〕を抜かすことで意味を限定することができるそうだ。2の左は尊敬か可能のいずれかだが、〔食べれた〕は尊敬にならないので可能に限定される。

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