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2016年度 湘南高校・特色検査【大問1】問題解説

〔常識に関するリード文〕
◆(ア)
本文中の(あ)と(い)に入れるのに適する語句を、
国語辞典Ⅰの説明文から抜き出して答えなさい。

~本文~
生徒が紙くずを散らかしたまま帰ってしまい、先生が「常識がないな」と言う。それを聞いた生徒の湘太が「常識」という言葉の意味について気になり、あとで先生に質問する。
湘太:先生、「常識がない」というのは、世の中のことをあまり知らない、たとえば、現在の国際情勢について知らないとか、そういう意味ではありませんか。教室を散らかすこととは関係がないような気がしますが。「一般常識テスト」という場合、都道府県庁所在地とか人物の業績を問うようなテストですよね。

先生:たしかにそうだね。でも、ここに僕の国語辞書があるから、引いてごらん。

■国語辞典Ⅰ
常識:一般人が持っているべき知識や思慮分別。

■国語辞典Ⅱ
常識:(common senseの訳語)社会人なら当然持っているはずの、ごく普通の知識・判断力。

湘太:そうか。先生と僕が考えていた「常識」の意味は、違っていたんですね。
要するに僕は「常識」というものを( あ )ととらえていたのに対し、
先生は( い )ととらえていた。つまり僕の理解では不十分だったということですね。
あー知識、い-知識や思慮分別
*太郎は、常識とは『国際情勢、都道府県庁所在地』といった知識であると認識していたので、
( あ )には知識がはいる。
一方で、先生は紙くずを散らかす生徒のマナーの悪さから、良いことと悪いことの区別、
すなわち、『思慮分別』が常識だと認識していた。
先生が『たしかにそうだね』と同意し、太郎が『僕の理解では不十分だった』とあるので、
先生は「知識と思慮分別」と捉え、太郎は思慮分別の方が欠けていたことになる。
しかし、太郎が辞典Ⅰだったので、先生は辞典Ⅱの「知識・判断力」と書いた人もいると思う…。
判断力より思慮分別の方がマナーの善悪を示すのでベターではあるが、
重ねて辞典Ⅰから2つの要素を入れ込むのは少々いやらしい。。

◆(イ)
本文中の英和・和英・英英辞典の説明をふまえ、次の1~4の内容について、
主として「common sense」にかかわるものはA、「common knowledge」にかかわるものはBと書きなさい。
■英和辞典
common sense:(経験により身についた)常識的な判断力、良識、分別。

■和英辞典
常識:①common sense…常識的な判断力、思慮分別。
②common knowledge…だれでも知っていること、周知の事実。

■英英辞典
common sense:the ability to tell what is right and what is wrong.
common knowledge:a fact that is known by many people.

1:We know it is not nice to ask how old a woman is.
2:We know the sun is bigger than the earth.
3:We know we should say, “Thank you,” when someone does something for us.
4:We know we should be quiet in the library when other people are reading.
1-A、2-B、3-A、4-A
*英英辞典の訳。
コモンセンス(A):何が正しいか、何が間違っているかを識別する能力。
コモンナリジィ(B):多くの人々に知られている事実。

1:女性に年齢を尋ねるのは良くない。⇒マナーの善悪なのでA
2:地球より太陽の方が大きい⇒事実なのでB
3:何かをしてもらったら、「ありがとう」というべき⇒マナーA
4:読んでいる人がいたら図書館で静かにすべき⇒マナー
ここは快速で行きたい。

◆(ウ)
先ほどの英英辞典の説明をふまえて、次のAとBの対話がつながるように( )内に4語~7語の英語を入れなさい。ただし、短縮形を使用しないこと。
A:If you are in a crowded train, and you have a seat, but there are many people who don’t, and there’s a mother with a little baby, and she looks tired, what will you do?
B:I think I will (                          ).
A:Good. I say you have common sense.
give her my seat
*訳文。
A:もし、君が満員電車で席に座っていて、多くの人が座れない状況だったとする。
小さな赤ん坊を抱えるお母さんがいて、疲れているような顔をしていたら、君はどうする?
B:僕は(    )するよ。
A:イイネ。君はコモンセンスがあるよ。
コモンセンスは思慮分別、作法、マナーなので、『席を譲る』と書けばいい。
席を譲る=give up one’s seat


◆(エ)
本文中の下線部(A)に関連して、次の文章を読んで、あとの問いに答えなさい。

■百科事典
常識:英語common senseなどの訳。ある社会の共同の知識と経験の総合的集積で、その社会の構成員は誰でも受け入れざるを得ないような自明性をもっている。その意味では、知識の一つであるが、直接的に与えられ、一般の人びとに受け入れられている意見の総体でもある。したがって、(A)常識は社会体制の変化に応じて変化する

 昨年(2015年)6月に公職選挙法が改正され、今年の夏の参議院選挙から約200万人の有権者が増えることになった。日本の選挙における1つの「常識」が変わることになるが、それはすでに世界の約90%の国で実現していることであり、日本が世界の「常識」に沿う形になったとも言える。
日本国憲法第15条では、成年者による普通選挙を保障し、第44条では選挙人(有権者)の資格は法律で定めることとし、さらに、人種、信条、性別、身分、門地、教育、財産などによって差別してはならない、とされている。しかし日本の国政選挙における選挙権が初めて認められた1889年においては、有権者の資格における差別が存在しており、次の表のように国会議員選挙の「有権者の数とその総人口に占める割合」は、1945年と比べて大きな差があった。1889年以降、法律が何度か改正され、「有権者の数とその総人口に占める割合」は増加していった。

問い
1889年、1945年、2015年の法律(改正)で定められた、国会議員選挙の資格はどう異なっていたのか。「1889年における有権者は」に続けて、有権者の資格の違いが明確になるように、90字以内で書きなさい。ただし、次の指示にしたがって解答すること。
・文章中の下線部の中から適切な語2つと、「差別」の語を使用すること。
・「1945年」、「2015年」の語を使用すること。
・数字は解答欄の1マスに2字まで入れること。
(1889年における有権者は)直接国税15円以上を納める25歳以上の男子に限られ、財産と性別による差別があった。戦後の1945年では有権者の範囲が20歳以上の男女となり、2015年には18歳以上の男女に拡大された。(84字)
*有権者の範囲がどう変わっていたかを述べる。
知識を順に並べれば、おのずと90字に近づく。
差別の種類は『性別と財産』。
1889年の第1回総選挙では総人口の1%ほどしか有権者がいなかった(残り99%の民意は政治に反映されず)。その代わり、投票率は93%超と今では考えられない数字だったそうだ。
1925年、加藤高明内閣で普通選挙法が可決され、25歳以上の男子に有権者の資格が認められた。
これにより、総人口の20%ほどが投票できるようになる。
戦後の1945年、GHQによる民主化政策の下で公職選挙法が成立し、
女性による参政権が認められた(世界で初めて女性参政権が認められたのは1893年のニュージーランド)。
2007年に国民投票法の成立で、憲法改正にかかる国民投票が20歳から18歳に引き下げられ、
2015年の公職選挙法改正で一般の選挙についても同様の扱いとなった。
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