〔日本人の美意識に関するリード文〕
大問1
下線部1「農学」とあるが、
世界各地域の農業についての説明として最も適するものを選びなさい。
①南アメリカは多くの農産物の原産地だが、米もそのひとつであり各地で盛んに栽培されている。
②降水量が豊富で温暖な中国南部では、米の二期作が可能で、熱帯性の作物も生産されている。
③地中海に面したヨーロッパ南部では、夏の乾燥に強いじゃがいもやてんさいが主要作物である。
④アフリカの熱帯地方で行われる焼畑農業では主に小麦が作られ、主要な輸出品になっている。
②
*世界の農業に関する設問。
①南アメリカを原産とする農産物は、トウモロコシ、サツマイモ、ジャガイモ、
トマト、カボチャ、唐辛子もそうらしい。
米の原産は中国南部の雲南や東南アジアあたりだといわれている。
本来、稲は熱帯性の植物だが、品種改良を重ね、冷帯の石狩平野でも育つようになった。
米の生産量ランキング→1位;中国 2位;インド 3位;インドネシア 4位;バングラデシュ
②華南は高温で降水量も多いことから、米の二期作やサトウキビの栽培が行われている。
③じゃがいもやてんさいは、日本だと北海道なので誤りと判断しやすい。
地中海性気候では夏の乾燥に耐えられるオリーブなどが栽培される。
④アフリカの焼畑農業では、キャッサバやタロイモ、ヤムイモなどのイモ類が栽培される。
現地の人の貴重はタンパク源であり、内需にまわされている。
商品作物(輸出用)はプランテーションで作られるカカオ豆など。
問2
リード文から、筆者が興味深いと思った理由を15~20字以内で抜き出す。~省略~
問3
下線部3「人間の動物観」とあるが、人間は時代や地域や立場により、さまざまな動物とさまざまな関係を築いてきた。下の例を参考に、時代または地域または立場、さらに動物の種類を特定し、その人たちにとって、その動物がどのようなものであるかを書きなさい。
〔例〕(砂漠に住む)人たちにとって、(ラクダ)は、(輸送手段のひとつ)である。
(インドの)人たちにとって、(牛)は、(神聖な動物)である。
(鎌倉時代の)人たちにとって、(牛)は、(耕作を助ける農具)である。
(モンゴル帝国の)人たちにとって、(馬)は、(貴重な戦力)である。
(現代の)人たちにとって、(猫)は(愛玩動物)である。
*ユニークな動物観問題。
地理や歴史の知識を総動員して何か1つ答える。
うえの解答例はヒンドゥー教・牛馬耕・騎馬隊をイメージした。
(日本)人たちにとって、(ウグイス)は(春を告げる鳥)である。
こんなんでも正解になるのだろか?(;’∀’)
問4
下線部4「宗教、民族」の違いから紛争が世界各地で起きている。
第二次世界大戦に起きた「中東戦争」についての説明として最も適するものを選びなさい。
①イスラエルが建国されたことに対してアラブ諸国が反発し、4回にわたる戦争となった。
②アメリカは国内での大規模なテロ事件後、アフガニスタンに拠点を置く犯行組織を攻撃した。
③イラクが隣国のクウェートに侵攻したが、アメリカを主力とする多国籍軍が撤退させた。
④バルカン半島のユーゴスラビアでは民族対立が激しくなり、内戦が起こって国が分裂した。
①
*紛らわしい選択肢がないので易。
①はるか昔、パレスチナにはユダヤの国家(ヘブライ王国;ヘブライはユダヤの古名)があったが、滅ぼされるとユダヤ人は流浪の民として各地に散らばった。だが、ユダヤ人はユダヤ教という民族宗教をより所に、異邦人として暮らしているあいだも自らのプライドは忘れなかったようだ。皆が嫌がる労働にも積極的に従事し、なかには貿易業に着手して成り上がる者がでてくる。
ユダヤ人がパレスチナの地から離れて久しく、アラブ系のオスマン帝国がこの地を支配していた。18世紀末からのナショナリズムの高揚や反ユダヤ主義の思潮をきっかけに、ユダヤ人は迫害を受けながらも、パレスチナにユダヤ国家の建国を願うシオニズム運動を展開する。
第一次世界大戦ではイギリスがアラブ人の独立を認めるフサイン=マクマホン協定、ユダヤ国家を承認するバルフォア宣言、露仏と秘密裏に交わしたサイクス=ピコ協定を結び、矛盾する3つの協定(三枚舌外交)を約定したことからアラブとユダヤの争いがこじれ、中東問題はより悪化する。
第二次世界大戦後、米英の支持のもと、国連がパレスチナ分割案を採択してユダヤ国家(イスラエル)の建国を認める決議を採択する。長年、パレスチナに住んでいたアラブ人はパレスチナ難民として追い出されてしまう。周辺のアラブ諸国から支援を受けながら、パレスチナ人がイスラエルを相手に戦いを挑んだのが1948年の第一次中東戦争(パレスチナ戦争)である。結果はイスラエルが優勢となり、パレスチナ分割案よりも広い領土をイスラエルが占めることになる。
1973年の第四次中東戦争では、OAPEC(アラブ石油輸出機構)がイスラエルを支持する欧米と日本を対象に原油の輸出禁止や原油価格の引き上げを行う(石油戦略)。第一次オイルショックを招き、日本は戦後初のマイナス、高度経済成長が終わりを遂げた。
②2001年のアメリカ同時多発テロ事件。当時のアメリカ大統領ブッシュ(子)がテロ組織アルカイダを率いるオサマ=ビン=ラディンをかくまったアフガニスタンへ侵攻した。
③1991年の湾岸戦争。日本は金は出すが人(自衛隊)を出さないと非難を浴び、翌年PKO協力法が成立する。
④旧ユーゴスラビアの民族紛争は国、民族、宗教、言語がごちゃごちゃに混在しており、今も尚対立が続いている。
問5
下線部5「結局諦めました」の意味になるよう、次の英文の空欄に適する2語を入れなさい。
At last, I ( ) ( ).
gave up
*「諦める」の部分を過去形に変換して2語で記述。
問6
下線部6「客観的な原理に基づく秩序が美を生み出す」とあるが、本文に説明されている「客観的な原理に基づく」美の具体例として適さないものを選びなさい。
@本文一部抜粋@
アメリカを含めて、西欧世界においては、古代ギリシャ以来、「美」はある明確な秩序を持ったもののなかに表現されるという考え方が強い。その秩序とは、左右対称性であったり、部分と全体との比例関係であったり、あるいは基本的な幾何学形態との類縁性(近い関係にあって類似しているさま)など、内容はさまざまであるが、いずれにしても(6)客観的な原理に基づく秩序が美を生み出すという点においては一貫している。逆に言えば、そのような原理に基づいて作品を制作すれば、それは「美」を表現したものとなる。
(高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』より)
①くっきりした三角形のシルエットを持つエジプトのピラミッド
②静かな水面に石を落としたとき同心円状に広がっていく波紋
③安定感を感じさせる平等院鳳凰堂などの左右が同じ形の建物
④墨の濃淡を用いることによって風景などを表現している水墨画
④
*西欧の世界における『美』とは、左右対称、部分と全体の比例関係、幾何学的形態との類縁性といった、客観的な原理に基づく秩序が根底にある。
④の墨の濃淡には、きっちりとした客観的な原理に基づく秩序が感じられない。
↑雪舟の代表作『秋冬山水図』。
問7
下線部7「比例関係」の具体例として最も適するものを選びなさい。
①全国の有権者の数と国政選挙での投票総数
②全国が保有する領土の面積と領海の面積
③一定の広さの土地に住む人の数と人口密度
④各国の国内総生産と二酸化炭素の排出量
③
*比例は関数の1つ。
関数とは、xの値を決めるとyの値もただ1つに決める関係。
③以外は一方を決めても、他方がただ1つに決まらない。
③:人口密度=人口÷面積
人口密度をx、人口y、面積aとおくと、
x=y/a →y=axとなり、比例関係になる。
問8
下線部8「古い池や蛙飛び込む水の音」の句を、ある人が下のように英訳し、
蛙(frog)を複数形にしたが、単数形にするべきだという意見が多かった。
単数形の方がよい理由として考えられることを、20~30字で書きなさい。
Old pond Frogs jumped in Sound of Water
@本文一部抜粋@
日本人は何が美であるかということよりも、むしろどのような場所に美が生まれるかということにその感性を働かせて来たようである。それは「実体の美」に対して、「状況の美」とでも呼んだらよいであろうか。
例えば、「(8)古池や蛙飛び込む水の音」という一句は、「古池」や「蛙」が美しいと言っているわけではなく、もちろん「水の音」が妙音だと主張しているのでもない。ただ古い池に蛙が飛び込んだその一瞬、そこに生じる緊張感を孕んだ深い静寂の世界に芭蕉はそれまでにない新しい美を見出した。そこには何の実体物もなく、あるのはただ( )だけなのである。
高階秀爾『日本人にとって美しさとは何か』より。
複数より一匹の蛙が飛び込む方が深い静寂を表せるから。(26字)
*本文そのまんま。『ただ古い池に蛙が飛び込んだその一瞬、そこに生じる緊張感を孕んだ深い静寂の世界』がヒント。たくさんの蛙がジャボジャボ古池にダイブするより、1匹の蛙がチャポンと飛び込んだ方が切り取った1コマとして静寂感があり、風情を感じる。
問9
↑の末尾の( )に適する漢字2字の語を抜き出して書きなさい。
状況
*カッコでくくられているので目立つかと。
芭蕉の句は、「状況の美」は何たるかを示す具体例。
問10
芭蕉の句「閑さや 岩にしみ入る 蝉の声」で、なぜDeep silenceという語を用いたのか。
留学生のKatyとRyoの会話をもとに小問3題を答える。~省略~
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