2019年度 開成中学入試問題【理科】大問3解説

太郎君は、アリが行列をつくっているのを見つけました。
行列をたどっていったところ、落ちていたエサからアリの巣まで行列ができていました。

問1
アリは、育ち方で分けると、どの昆虫と同じ仲間ですか。
下の幼虫と成虫の図を参考に選びなさい。
なお、図の縮尺は均等ではありません。

問2
アリの育ち方に関して、下の文の( )にあてはまる語句を答えなさい。
アリは、〔幼虫→(  )→成虫〕の順に育つ。

太郎君は、巣とエサの間に複雑な迷路を設置してみました。
最初、アリは迷った様子を見せたものの、しばらくたつと、
行列をつくって一定の通路を往復するようになりました。
太郎君は、アリは左右に分かれた道にぶつかったとき、必ず右に曲がると予想しました。
この予想が正しいかどうかを確かめるために、〔実験1〕をおこないました。

〔実験1〕
巣とエサの間に、図1のような左右に分かれ道のある通路を設置しました。
そして、巣とエサの間をアリがどのように移動するか観察しました。

問3
もし太郎君の予想が正しかった場合、〔実験1〕でどのような結果が得られるでしょうか。
あてはまるものを選びなさい。

実際に〔実験1〕を何回かおこなってみると、アリが分かれ道を左右どちらかに曲がるかは、規則性が無いようでした。しかし、いずれの回も30分ほどすると、アリは図2のAもしくはBのような行列を作るようになりました。
←図2
太郎君は、エサを見つけたアリが巣にエサを持ち帰る途中、腹からにおいを出して道しるべにしているという仕組みがあり、その結果、エサを持って巣に帰ったアリがたまたま多かった道筋に従って、行列ができるのではないかと予想しました。この予想が正しいかどうかを確かめるために、〔実験2〕をおこないました。

〔実験2〕
凍らせたアリを少量のアルコールに加え、すりつぶしました。
このアルコール溶液をつけたガラス棒で、エサから巣まで直線を引きました。

〔結果〕
アリは引かれた直線に沿ってまっすぐエサまでたどりついた。

問4
〔実験2〕では、太郎君が考えた仕組み以外で、アリがエサまでたどり着いている可能性があります。下の〔可能性1〕を否定するにはどのような実験をおこない、どのような結果が得られれば良いでしょうか。最もあてはまるものを選びなさい。
〔可能性1〕アリは、アリの出すにおいには関係なく、エサまでの最短距離を感じ取って、エサまでたどり着いた。

ア:アリを加えていないアルコールだけで直線を引いたところ、
  アリはその直線にそって最短距離でエサまで行列をつくった。
イ:アリを加えていないアルコールだけで曲線を引いたところ、
  アリはその曲線に従わず、最短距離でエサまで行列をつくった。
ウ:アリを加えてすりつぶしたアルコールで曲線と引いたところ、
  アリはその曲線にそってエサまで行列をつくった。
エ:アリを加えてすりつぶしたアルコールで曲線を引いたところ、
  アリはその曲線には従わず、最短距離でエサまで行列をつくった。

問5
下の〔可能性2〕を否定するにはどのような実験をおこない、どのような結果が得られれば良いでしょうか。最もあてはまるものを選びなさい。
〔可能性2〕アリはアルコールのにおいをたどって、エサまでたどり着いた。

太郎君は、エサと巣を行き来するのに、
におい以外の手がかりも使っているか調べてみることにしました。
エサと巣を10m離して設置し、その間を直線のせまい通路でつなげました。

アリが、エサと巣を数回行き来した後で、直線の通路をにおいのついていない新しいものに変えました。この新しい通路は巣穴にはつながっていません。そうすると図3のように、エサから出発したアリが、巣があった位置のそばで通路を行ったり来たりして、巣を探すような行動が観察されました。太郎君はアリがエサから巣までの距離を覚えているかどうか疑問に思い、〔実験3-1〕、〔実験3-2〕をおこないました。

〔実験3-1〕
多数のアリを用意し、巣とエサを数回往復させました。その後、3つのグループに分け、それぞれのグループのアリの足の長さを①~③のようにしました。
①そのままの長さ ②一部切って短くした ③人工的に長くした
エサからの通路を新しいものに変えた後で、エサの位置でそれぞれのアリを放しました。
アリが通路を進み、巣を探し始めたときのエサからの距離を測定し、グラフにまとめたところ、図4のようになりました。

〔実験3-2〕
多数のアリを用意し、巣とエサを往復させる前に3つのグループに分け、それぞれのグループのアリの足の長さを①~③のようにしました。
①そのままの長さ ②一部切って短くした ③人工的に長くした
アリが巣とエサを数回往復した後で、エサからの通路を新しいものに変え、エサの位置でそれぞれのアリを放しました。アリが通路を進み、巣を探し始めたときのエサからの距離を測定し、グラフにまとめたところ、図5のようになりました。

問6
〔実験3-1〕、〔実験3-2〕の結果からわかることとして、
最もあてはまるものを選びなさい。
ア:アリは、エサと巣の間の距離を記憶することができない。
イ:アリは、エサと巣の間の距離を目で測って記憶することができる。
ウ:アリは、エサと巣の間の歩いた歩数を記憶することができる。
エ:アリは、エサと巣の間の距離を、歩数と歩幅から計算し記憶することができる。


@解説@
アリをすりつぶしたり、足を人工的に長くさせたりと、
エキセントリックな実験が面白い(笑)
ちゃんと予測を立てたあとで、予測結果や期待される結果を考慮しながら、
さまざまな実験を展開していくのは、さすが開成だなと思う。
問1:③
図をみて明らかかと。。
アリはハチと同じく、幼虫と成虫で形が異なる不完全変態
生物学の分類では、シロアリはアリよりゴキブリに近い:;(∩´_`∩);:

問2:さなぎ
完全変態の成長過程。
もう少し難しくしてよいのでは?

問3:ウ
太郎君の予想が正しい場合の結果を選ぶ。
”必ず右”なので、ウ。
ここまで簡単すぎると、ケアレスが怖い。。

問4:ウ
裁判で相手の証言をつぶす戦略を考えるようで楽しい((´∀`))
アリが最短経路をたどったのは、アリが出す臭いに由来することを示すには、
アリ込みのアルコールで直線以外の線(曲線)をひいて、
その線通りにアリが行列をつくればいい。

問5:イ
今度はアルコールの臭いの可能性をつぶす。
アリ無しのアルコールだけの線をひいて、その線通りにアリが行列をつくらなければいい。

問6:ウ
通路にアリの臭いをつけさせた後で、臭いなしの通路に取り替えたところ、
巣があった位置でアリがウロウロと巣を探しているようだった。
そして、アリの足の長さを変えて比較実験を行う(; ̄Д ̄)
2つの実験の相違点を的確におさえよう。
〔実験3-1〕は、アリを巣とエサを往復させたあとで、アリの足をいじる。
〔実験3-2〕は、先にアリの足をいじって、アリを巣とエサを往復させる。

図4・5ともに、足の長さを変えない①で、巣があった10mで巣を探すアリの数が多い。
図5では巣があった10m付近に②と③も集まるが、図4では10mから大きくバラけた。
足の長さを変えると歩幅が異なる
〔実験3-1〕で歩幅が短い②は5mで巣を探し始める者が多く、
歩幅が長い③で15mを超えたところで巣を探すはじめる者が多いということは、
アリは歩数を記憶しているのではないかと考えられる。
【歩幅×歩数=距離】で、歩幅を変えて歩数が同じだからこそ、巣を探し始めた距離が変わった。
歩幅(足の長さ)に比例して距離が変わったので、歩数は変わらないということ。
歩数の記憶はアリんこが確実に帰巣するための本能だといわれています。

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