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2022年度 灘中学過去問【理科】大問6解説

問題PDF
3種類の塩酸(塩酸A、塩酸B、塩酸C)と水酸化ナトリウム水溶液を使って実験をしました。水や水溶液はいずれも1cm3あたり1gとし、また1gの水や水溶液の温度を1℃上げるのに必要な熱は同じになるとして、以下の実験の説明を読み、問いに答えなさい。

実験1
(1)ある濃さの水酸化ナトリウム水溶液と塩酸Aをそれぞれ25℃にし、合計体積が100cm3になるように熱を逃がさない容器の中でよく混ぜた。すぐに温度を測定し、結果を表にした。

実験2
(2)実験1と同じ濃さの水酸化ナトリウム水溶液と塩酸Bをそれぞれ25℃にし、合計体積が100cm3になるように熱を逃がさない容器の中でよく混ぜた。すぐに温度を測定し、結果を表にした。

実験3
塩酸Bを1.5倍の濃さにした塩酸Cを用意した。実験1と同じ濃さの水酸化ナトリウム水溶液と塩酸A、塩酸B、塩酸Cとをそれぞれ25℃にし、熱を逃がさない容器の中でよく混ぜた。すぐに温度を測定し、BTB溶液を加えて水溶液の色を確認した。その結果を表にした。

問1
下線部(1)のように実験を行うと、水溶液の温度を最高何℃まで上げることができますか。

問2
下線部(2)のように実験を行うと、水溶液の温度を最高何℃まで上げることができますか。

問3
実験3において、表の温度①~④にあてはまる数値、⑤~⑧にあてはまる水溶液の色、
水酸化ナトリウム水溶液の体積⑨にあてはまる数値をそれぞれ答えなさい。


@解説@
問1:38.5℃

水酸化ナトリウム水溶液:塩酸A=100:0のとき、水ナトしかないので25℃のまま。
差をとってみると、10cm3の違いで2.7℃の差がうまれる。
これは中和した分だけ中和熱が発生して温度が上昇するから。
簡単なグラフを描くと、水ナト50cm3のときを頂点として左右対称である。
⇒このときが中和点。
水ナト60cm3のときに35.8℃だから、これに2.7℃を足して38.5℃。
*中和点が真ん中ということは、水酸化ナトリウム水溶液と塩酸Aの濃度は等しい

問2:46.6℃

表を見た限りでは、水ナト80cm3が最高温度になっている。
差をとると80cm3までは10cm3ごとに10.8℃の差だが、その後は5.4℃ずつになっている。
グラフを描くと水ナト80cm3のときが頂点(中和点)で温度は46.6℃。
*中和点のとき、水ナト:塩酸B=80:20=4:1
これは塩酸Bの濃度が水酸化ナトリウム水溶液の4倍だからである。

問3:①34、②34、③40、④40.5、⑤青、⑥青、⑦緑、⑧緑、⑨370
まず、色からいきます。
【BTB溶液:酸性―黄色、中性―緑色、アルカリ性―青色】

実験1では水ナト:塩酸A=1:1の濃度だから、
水ナト20cm3に対して塩酸A100cm3の場合は酸が強い⇒酸性(黄)
⑤水ナト90cm3に対して塩酸Aは45cm3しかない⇒アルカリ性(青)
⑥実験2より塩酸Bの濃度は塩酸Aの4倍
塩酸Bの5cm3は塩酸Aの20cm3分に相当する
合計して塩酸A45cm3とみなすと、水ナト105cm3の方が勝る⇒アルカリ性(青)
⑦塩酸Aは、110+10×4=150cm3で水ナト150cm3と同じ⇒中性(緑)
⑧塩酸Cは塩酸Bの1.5倍の濃さ。
塩酸Aは、210+10×4+10×1.5×4=310cm3で水ナトと同じ⇒中性(緑)

ここから温度の計算に移ります。
問1より、水ナト50cm3と塩酸50cm3の中和反応で38.5℃

38.5-25=13.5℃上昇する。
水ナトか塩酸Aを基準にすると、【50cm3の反応で13.5℃上昇】。

一番上の水ナト20cm3では20cm3が中和反応するので13.5×20/50=5.4℃上昇し、
25+5.4=30.4℃になると思いきや、29.5℃になっている…。
実験1では水溶液の合計体積が100cm3であったが、今回は合計体積が120cm3である。
25℃の塩酸Aが20cm3余分にあるので、その分だけ温度が下がる
温度の上昇は溶液の体積に反比例する
溶液の体積が増えると熱が分散して温度が下がる。(過去問で出題済み)
5.4℃×100cm3/120cm3=4.5℃
25+4.5=29.5℃となる。

①これさえわかれば一貫して計算できる。
アルカリ性だから塩酸Aの方が少ない。
塩酸A45cm3が反応した中和熱で、溶液の体積は135cm3だから、
13.5×45/50×100/135=9℃
25+9=34℃

②アルカリ性だから塩酸の方が少ない。
塩酸B5cm3は塩酸A20cm3に相当するので塩酸A45cm3で計算する。
水溶液の体積は、105+25+5=135cm3
13.5×45/50×100/135…
①と同じ式で34℃。

③中性。水ナト150cm3は過不足なく反応する。
13.5×150/50×100/270=15℃
25+15=40℃

④中性。水ナト310cm3で計算。
13.5×310/50×100/540=15.5℃
25+15.5=40.5℃

ここまでの結果をまとめる。

⑨酸性だから水ナトの方が少ない。
塩酸の合計は280+20+5=305cm3
水ナトの体積を□cm3とすると、□cm3分の中和熱が発生するから、

分母の□+305を【27】とすると、分子の□は【14.8】にあたる。
これを比例式で書くと、

305cm31357461に相当するから、
□=305×74/61=370cm3

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