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2019年度 ラ・サール中学過去問【理科】大問4解説

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〔A〕

鏡に向かって進む光を入射光、鏡ではね返った光を反射光といい、
入射光と面に垂直に立てた直線とのなす角を入射角、
反射光と面に垂直に立てた直線とのなす角を反射角といいます。
図1のように、光は平らな鏡で反射すると
入射角と反射角が等しくなるという性質を持っています。

この性質を用いて、以下の問いに答えなさい。

(1)図2のように水平な面から30度傾けた鏡に、
水平な面と平行に光をあてました。
このときの入射角と反射角の和となす角aは何度ですか。

(2)図2の状態からさらに鏡を10度傾け、
水平な面と鏡のなす角度が40度となるようにした後、
水平な面と平行に光をあてました。
このときの入射角と反射角の和は、(1)の角aから何度だけ減少しますか。

次に、図3のように鏡Aを水平に、
鏡Bを鏡Aに対して垂直においたところに光をあてることを考えます。
水平な面と30度の角をなす光を鏡Aにあて、さらに鏡Bで反射させました。

(3)鏡Bで反射した光は水平な面と何度の角をなしますか。
ただし、答えは0度から90度の間で答えなさい。

(4)鏡Aを固定し、鏡Bを鏡A側に倒していったところ、
鏡Bで反射した光が水平になりました。
このとき鏡Bを図3の位置から何度倒しましたか。

(5)(4)よりもさらに鏡Bを鏡A側に倒していったところ、
鏡Bで反射した光が水平な面と垂直になりました。
このとき鏡Bを図3の位置から何度倒しましたか。

 

〔B〕
材質が均一な板を水平に支えるには、板の真ん中を支えればよいです。
このように、もののバランスを保つことができる位置を「重心」といいます。
また、「重心」とはものが地球から真下に引っ張られる力(重力)がはたらく代表点、
すなわち、ものの重さがかかる点と考えることができます。
いま、材質が均一な一枚の薄い板を用意し、図1のように、厚さ、幅は同じで
長さの異なる3枚を分け、それぞれA、B、Cとします。

これらの板を幅がそろうように重ね、図2のように水平な台の上にまっすぐに置き、
重ねる枚数や順序、板を置く位置をいろいろと変え、
板全体のバランスをとる〔実験1〕~〔実験3〕をしました。

〔実験1〕
Cの上にAまたはBを重ね、それぞれの先端をできるだけ右側に出すようにしたところ、
Aはその先端がCの右端から3cmを超えたときに(図3)、
Bはその先端がCの右端から6cmを超えたときに(図4)傾いて落ちてしまいました。 

〔実験2〕
Cの上にA、Bを2枚とも重ね、一番上のAの先端をCの右端からできるだけ右側に出すようにしたところ、Aの先端がBの右端から3cmを超えたときに(図5)傾いて落ちてしまいました。

(1)〔実験2〕について述べた次の文中の空欄に適当なものを選びなさい。
まず、Bに対して、Aが傾いて落ちない状況について考えてみます。
Aの重心がBの右端(これ以降、Xと呼ぶことにします)より右側にあるように置いたときは、Aはその重力によって、Xに対し{①ア、時計回り イ、反時計回り}に傾いて落ちようとしますが、逆に左側にあるように置いたときは、それとは逆の効果があらわれます。したがって、Aの重心とXとがちょうど一致するように置いたときが、Aのバランスを保つことができる限界であることがわかります。なお、XにはAの板の重さがかかっていることになります。
さらにこの状態のまま、Cに対して、AとBが傾いて落ちない状況について考えてみます。
この場合も、AとBを合わせた板の重心とCの右端(これ以降、Yと呼ぶことにします)とがちょうど一致するように置いたときが全体のバランスを保つことができる限界となります。なお、このときYにはAとBを合わせた板の重さがかかっていることになります。また、てこの原理により〔Aの重心とYとの距離〕と〔Bの重心とYとの距離〕との比は、
{②ア、1:1 イ、1:2 ウ、1:3 エ、2:1 オ、3:1 カ、2:3 キ、3:2}
の関係になってします。
以上のことより、Aの先端はYから最大{③ア、5 イ、6 ウ、7 エ、8 オ、9}cmだけ右側に出すことができたとわかります。

(2)図6のように、〔実験2〕と板を重ねる順序は変えずに真ん中にあるBの先端をCの右端からできるだけ右側にだすようにした場合について考えて見ます。

このとき、Bの先端は、Cの右端から最大何cmだけ右側に出すことができますか。

〔実験3〕
A~Cの3枚の板を、一番下の板が台の右端から出るように重ね、どれかの板の先端を台の右端からできるだけ右側に出すようにしたところ、その板の先端が台の右端からacmを超えたときに傾いて落ちてしまいました。

(3)〔実験3〕において、図7のような順序で板を重ね、一番下のAの重心が台の右端よりも右側にくるようにした状態で、一番上のCの先端をできるだけ右側に出すようにした場合について考えてみます。

このとき、Cの先端を台の右端から右側に出すことができる最大の距離であるaは
何cmになりますか。

(4)〔実験3〕において、一番下をAの板にし、Aの重心が台の右端よりも左側にくるようにした状態で行いました。板を重ねる順序や、板を置く位置を変えるなかで、acmを最も大きくできた場合について、以下の①~③に答えなさい。
①一番上の板はB、Cのうちどちらですか。
②台の右端から先端を最も右側に出すことができる板はA~cのうちどれですか。
③aは何cmになりますか。


@解説@
本年度のラサールで最も難しかったであろう大問。
全体の試験時間が40分しかないので、本大問の所要時間は十数分ほど。

〔A〕(1)120度

「水平な面」は真横。
入射光は水平な面と平行にあてたので、
入射光と鏡のなす角が30度。
a=180-30×2=120度

(2)20度
前問の30を40にする。
180-40×2=100度
よって、120-100=20度分だけ減少した。
鏡を傾けた角の2倍の角でちぢまる。

(3)30度
図3で光の経路を書いてみる。

求めるのは鏡Bではなく、水平な面に対しての角度!
60度では×。
入射光と平行になり、答えは30度。

(4)15度
作図問題。
入射光と水平な光を先に書く。

30度を錯角で上にあげる。
(180-30)÷2=75度
上の75度を同位角で下にさげる。
鏡Bを傾けた角度は、90-75=15度

(5)60度
作図問題2。
これも入射光と最後の反射角を先に書いて作図する。

入射光と鏡Bは平行になる。
傾けた角度が、90-30=60度

 

〔B〕(1)①ア ②エ ③ウ
重心は各板の真ん中。重心までは板をズラすことができる。

Aの重心はBの右端(X)までズラせる
Xを超えて右に行ってしまうと、重力でAは落ちてしまう。
落ちるときの様子を思い浮かべると、Aは時計回りに傾く→ア。
②後の問題でも計算するので、ここで確実に理解しておきたい。


赤丸が重心。AとBを合わせた重心がYにくればいい
AとBの重さが1:2なので、支点(Y)からの距離は2:1→エ。
③Y~A間は、6×2/
3+3=7cm→ウ。

2)8cm
今度は最上段のAを左に移動させ、Bの右端を台からなるべく離す。
Bが右に落ちないようにするには、Aをなるべく左側に寄せて重しにする。
(重しになれば、Bは時計回りの方向で落ちない)

Aの重心はBの左端に乗せる。求める場所は赤線。
6×1/3+6=8cm
作図がきちんとできれば立式は容易だが、作図ができないと落とす。

(3)10.9cm
Cの右端をできるだけ台から遠ざける。
上からトップダウンで考える。
Cを右にズラしたいので、Cの重心はBの右端に置く。

Bを左に置き、土台となるAは右側に設置する。
B+Cを1つの物体として捉え、(B+C)を少しでも右に寄せるため。
(B+C)の重心をAの左端にセッティング。
重さの比は、B+C:A=5:1だから、
支点からの距離は逆比で1:5。
求めたい長さは、台~Cの右端。
【②+9-△1】を計算すればいい。
6×2/5+9-3×1/6=10.9cm
作図が大変・・・(; ̄Д ̄)

(4)①B ②C ③13.1cm
最も短いAを土台にしたとき、どのような積み方をすれば板の橋が台から離れるか?
ポイントを稼げるのはC。
なぜなら、全長が最も長いので、重心(真ん中)~端までの長さも最も長く
一層せり立たせることができるから。
Cを右にズラすには、Bが左側で重しの役割をしておく。


↑ここまで作図するのに一苦労。
求める場所は、台~Cの右端なので、【△1+②+9】。
3×1/6+9×2/3+9=13.1cm
サクズ(乂’ω’)・・・イノチ!!! └(‘ω’)┘
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