問題PDF
ダイ吉君とお父さんが星について話しています。
ダイ吉:北の空の中心といえば、北極星だよね。
お父さん:これは(図1)、昨夜、カメラのシャッターを(①)時間開けたままにしてとった、
北極星周辺の星の写真だよ。②星が時間とともに移動する様子がよくわかるだろう。
ダイ吉:ところで、このまっすぐな線は何?飛行機かな?
お父さん:いやいや飛行機や人工衛星のような人工物だったら、線がとぎれないはずだよ。
ダイ吉:ということは、(③)だね。ところで北極星はなぜほとんど位置を変えないの?
お父さん:それは地球が自転するときの軸である地軸を延長した方向に北極星があるからだよ。
ダイ吉:なるほど。北極星は、宇宙の中心にあるとか、特別の星ではないんだね。
南半球のオーストラリアでも、北極星は北を示す星として役に立っているのかな?
お父さん:残念ながらオーストラリアでは北極星は(④)、1年を通じて見ることができないんだよ。
ダイ吉:反対に、日本で季節に関係なく1年中見える星もあるの?
お父さん:北極星やその近くにある星の多くはそうだよ。
詳しく調べるためには、北極星の北の地平線からの高度が必要だけど、
その高度は、その場所の緯度(北緯)とほぼ等しいんだ。
ダイ吉:ということは、鹿児島、東京、仙台、札幌で、しずむことなく、
1年中見ることのできる星の数を比べると、(⑤)が一番多いということだよね。
ところで、北極星は大昔から北を示す星として利用されていたのかな?
お父さん:ところがそうではないんだよ。かたむいたコマがこのような(図2)首ふり運動をするように、かたむいて自転している地球の地軸も同様の運動をしているんだ。
地軸を北に延長した空の点を天の北極と呼んでいるけど、天の北極は720年ごとに10°ずつ位置を変えながら、このように(図3)円をえがきながら反時計回りに星座の中を動いていくんだ。
ダイ吉:ということは、エジプトでピラミッドが造られていた紀元前3000年ころは、
(⑥)の位置に天の北極があったわけで、今の北極星は北とは関係ないふつうの星だったんだね。
信じられないな!
お父さん:およそ(⑦)年後は、こと座のベガが北極星に代わる星になると予想されているよ。
ダイ吉:そのときは鹿児島から見える星座の様子も変わっているのだろうね。
お父さん:現在鹿児島では、夏にデネブ、ベガ、北斗七星はよく見えるけど、
冬になって高度が低くなると、デネブとベガは全く見えなくなり、
北斗七星は図3の二重丸の星以外は地平線の下にしずんで見えなくなる時期があるんだ。
(⑦)年後、デネブは(⑧)、北極星は(⑨)となっているはずだよ。
ダイ吉:今の北極星はもう二度と北を示す星になることはないの?
お父さん:天の北極が空を一周する(⑩)年後には、再び北極星と呼ばれているはずだ。
ダイ吉:そうか、よかった。星を見るのもそれなりに楽しいけど、
早く友だちと外で思いっきり遊びたいな。
(1)
①にあてはまる数字を次から選びなさい。
〔 2 4 6 8 〕
(2)
②の移動する向きは、図1のア、イのどちらですか。
(3)
③にあてはまる言葉を入れなさい。
(4)
④にあてはまる説明を次から選びなさい。
ア:常に太陽と同じ方向にあって
イ:常に月の裏側にかくれていて
ウ:常に北の地平線の下にあって
エ:常に南の地平線の下にあって
(5)
⑤にあてはまる地名を次から選びなさい。
ア:鹿児島 イ:東京 ウ:仙台 エ:札幌
(6)
⑥の位置を図3のア~オから選びなさい。
(7)
⑦にあてはまる数字として適当なものを次から選びなさい。
ア:3000 イ:7000 ウ:13000 エ:18000
(8)
⑧、⑨にあてはまる説明として適当なものを次から選びなさい。
ア:1年を通じて見ることのできる星
イ:季節によって見えたり見えなかったりする星
ウ:1年を通じて全く見ることのできない星
(9)
⑩にあてはまる数字を百の位を四捨五入した数で答えなさい。
@解説@
(1)6
中心角が90°に近い。
星の日周運動では1時間15°回転して見えるので、90÷15=6時間
(2)ア
天の北極から見ると、地球は反時計回りに自転している。
(3)流れ星
北の空を直線で動いているので、地球の自転によらない動き。
流れ星が写真の枠内の空から突然あらわれ、途中で燃え尽きたと思われる。
シャッターを6時間も開けているので、飛行機や人工衛星ならば少なくとも半直線になるはず。
ちなみに、国際宇宙ステーション(ISS)は約90分で地球を1周、1日で約16周もしている。
@彗星と流星@
彗星(すい星;ほうき星)の尾は進行方向の反対側ではなく、太陽の反対側にあらわれる。
これは太陽のコロナから吹く太陽風(電荷をもつ高温の粒子(プラズマ)の流れ)を受け、
彗星から放出されたチリやガスが尾に見える。
ちなみに、太陽風はオーロラや磁気嵐、デリンジャー現象(通信障害)の発生を引き起こす。
一方で、流星は彗星や小惑星から取れたチリが地球の大気との摩擦で光るので、
進行方向の反対側で発光している。
(4)ウ
オーストラリアで北極星が見えない理由。
北極星は北極側の地軸の延長線上にある。
南半球の反対側にある⇒地平線の下にあるので常に見えない。
北極のある方角が北なのは南半球も変わらない。
大阪市立科学館より。では、天の南極はどうやって見つけるのか?(・Д・)
①南十字星の縦を4.5倍する。
②ケンタウルス座α星とβ星の垂直二等分線と①の交点。
③カノープスとアケルナルを結んだ線分を底辺とする正三角形の頂点。
④大マゼラン雲と小マゼラン雲を結んだ線分を底辺とする正三角形の頂点。
( ;゚д゚)ムンズー
こればかりは仕方がない。
南十字星(サザンクロス)は南半球の国々の国旗にあしらわれている。
条件が整えば、日本からも眺めることができるようだ。
(5)エ
アストロノーツより。左から赤道→北緯30度付近→北極。
赤道は北極星以外はすべて地平線の下に沈む。
緯度が高くなるにつれて北極星の高度が上がり、北極星付近の星は常に地平線の上にくる。
北極星が真上にくる北極では、地平線の上にある星は沈まない。
正答は緯度が最も高い札幌となる。
(6)エ
紀元”前”に注意!
紀元前3000年の古代エジプトは、今からおよそ5000年前にあたる。
天の北極は720年ごとに10°ずつ反時計回りに周回する。
5000÷720=約7倍
現在の北極星の位置から7×10=70°、時計回りに過去へさかのぼる。
(7)ウ
現在の北極星からベガは真逆にあり、180°離れている。
720年×180/10=12960≒13000年
(8)⑧ア⑨イ
ベガが天の北極にきたとき、デネブと北極星はどう見えるか。
ベガとデネブは夏の大三角をなす1等星で距離が近い。
ということは、ベガに近いデネブはベガを中心に北の空を1年中グルグルと回っている。
北極星は現在のベガと似たような動きになり、季節によって見えたり見えなかったりする。
(9)26000
(7)で半周の首ふり運動が13000年だったので1周はその2倍だが、
一応計算すると、720×360/10=25920≒26000年
@北極星@
こぐま座の2等星。英語ではポラリス (Polaris)。
岡山のスターウォッチングより、北極星の見つけ方。
中学受験ではテッパンの知識ですが、おさらいです。
北斗七星の先端の2つを5倍、カシオペアの2本線を延長して中央の星との距離を5倍した交点。
ちなみに、カシオペアはギリシア神話に登場する王妃の名。
@歳差運動(首振り運動)@
回転軸が円を描くように振れる運動。
↑地球ゴマの回転。
回転中のコマって倒れそうでなかなか倒れないですけど、真横でも倒れていません!
軸自体がくるくると回っており、物理学では歳差運動というそうです。
詳しい原理は角運動量やモーメントの話になるので、サボの範疇外でございます(´・_・`)
コマの場合は重力の影響を受けるのでなんとなく軸がズレていくのも想像できますが、
無重力空間にただよっている地球も太陽や月、他の惑星の引力を受けて歳差するようです。
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