2018年度 武蔵中学入試問題【理科】大問3解説

花を咲かせる植物は現在地球上に26万種が知られ、植物の中で最も繁栄しています。花を咲かせる植物がこのように多様化したのは、動物、特に昆虫のおかげといわれています。花の形・色・においは、その花を訪れる動物と密接な関係があるのです。これらについて考えてみましょう。

@語群:身近な動物たち@
あ:アキアカネ い:ナメクジ う:ナナホシテントウ え:シマハナアブ
お:ショウリョウバッタ か:ジョウロウグモ き:メジロ く:コクワガタ け:アブラゼミ
こ:モンシロチョウ さ:ダンゴムシ し:オオカマキリ す:トラマルハナバチ

問1
花に蜜を求めてよくやってくる動物を上の語群の中から4つ選びなさい。

問2
上の語群の中で昆虫ではないものをすべて選びなさい。

問3
ツリフネソウ(ホウセンカの仲間)の花は袋状でその名の通り吊り下がって咲きます(図1)。このためチョウの仲間はこの花に止まりにくく、ほとんど来ません。しかし、チョウのように巻いた口を持つホシホウジャク(スズメガの仲間)は、ホバリング(空中静止)ができるため、ツリフネソウによって都合のよい訪問者ではありません。図2を見ながら、その理由を答えなさい。

問4
下の図は「レーダーチャート」というグラフです。5種類の昆虫について、どのような色の花を好むか調べた結果をまとめています。たとえば、コアオハナムグリ(コガネムシ)は、黄や紫の花に比べて、白、緑、赤の花を好み、特に白い花を好む傾向があることを読み取れます。これらのグラフをよく見て、以下の問いに答えなさい。

(1)
冬から早春に飛び回る昆虫に小さなアブやハエの仲間が知られ、陽の当たる場所に止まっているのをよく見かけます。冬から早春に花をつけるとしたら、どのような形と色の組み合わせが植物にとって都合がよいでしょうか。

花の形と色の組み合せ
A-黄 A-紫 A-緑 B-白 B-黄 B-赤
C-白 C-黄 C-紫 D-白 D-赤 D-緑

(2)
多くの昆虫は赤い色が見えないことが知られていますが、アゲハの仲間は違うことがわかってきました。次のうち、アゲハの仲間が赤い色を好んでいると言えるものをすべて選びなさい。
あ:同じ形の黄色い造花と赤い造花を用意すると、アゲハは赤い造花に集まることが多い。
い:黄色い台紙と赤い台紙を用意すると、アゲハは赤い造花に集まることが多い。
う:蜜をしみこませた赤い台紙と、何もしみこませていない白い台紙を用意すると、
 アゲハは赤い台紙に集まることが多い。
え:蜜をしみこませた白い台紙と、何もしみこませていない赤い台紙を用意すると、
 アゲハは赤い台紙に集まることが多い。
お:花の香りのする水をしみこませた黄色の台紙と、何もしみこませていない赤い台紙を
 用意すると、アゲハは赤い台紙に集まることが多い。
か:花の香りのする水をしみこませた赤い台紙と、何もしみこませていない紫の台紙を
 用意すると、アゲハは赤い台紙に集まることが多い。


@解説@
問1:え・き・こ・す
花の蜜を吸いに来る動物を選ぶ。
モンシロチョウとトラマルハナバチは選びやすい。
残りの2つが厳しい(;´・ω・)
アブ(虻)は蚊と同様に血を吸うイメージがあるが、虻も蚊も普段は花の蜜を吸っている。
産卵時にメスが吸血行為に及ぶ。
もう1つはメジロ。

虫を食べていそうだが、花の蜜も吸う。
これを知らないと、アブラムシを食うナナホシテントウを選びかねない。

@追記@
ナナホシテントウも蜜をなめるときがあるようです。
そんなにアブラムシってありつける代物でもなさそうですしね。
問題文では『花に蜜を求めてよくやってくる動物』とあるので、
語群のなかで4つに絞ると外れるのだと思います。

問2:い:か・き・さ
すべて式だが取りやすい。
アキアカネはトンボの仲間で昆虫。
ジョウロウグはクモ類で昆虫ではない。
他はだいたいわかるかと。

問3:ホシホウジャクはツリフネソウの雄しべや雌しべに触れることなく蜜を吸えるため、
受粉の手助けをしてくれないから。
*最初のリード文で、『花の多様化は特に昆虫のおかげ』とある。
動けない植物は子孫を確実に残すために様々な受粉戦略をとっているが、
そのうち、虫を利用して受粉をする花を虫媒花という。
虫媒花は虫を誘い出すのに色鮮やかな花弁を持ったり、甘い匂いを発するものが多い。

ツリフネソウは袋状で横に垂れているので、虫が蜜を吸うには花弁の中に体を進入させなければならず、モゴモゴ動いているときに雄しべから出る花粉がめしべの柱頭について受粉する。
しかし、ホシホウジャクは花弁の外でホバリング体勢をとり、細長い口で器用に(一方的に)蜜を吸うので受粉の手助けをしていくれない。→『ツリフネソウにとって都合のよい訪問者ではない』


ズル~(´゚д゚`)

問4:(1)B-白
レーダーチャートより、オオクロバエは白を最も好むので、他のアブやハエの仲間も同じと推測。
小さなハエが蜜を吸うために立ち寄りやすい花は、花弁が横に広がっているB。
花の色や形状、咲く向きによって、集まりやすい昆虫が異なるという視点は持っておこう!

(2)あ・え・お
対照実験は調べたいテーマ以外の条件は同じにする。
もしくは、テーマ以外の条件が異なっていても、
異なる条件が結果の誘発に不利と考えられる場合も正答となる。
あ:赤に集まるので赤を好む。〇
い:台紙と造花で条件が違う。×
う:色ではなく密に吸い寄せられたかもしれない。×
え:赤の方は蜜がないが、蜜を好むアゲハがあえて蜜なしの赤に集まったということは、
 アゲハは赤を好むと言える。〇
お:えと同じ。アゲハは花の香りに釣られると考えられるが、
 それでも花の香りのない赤に集まったので、赤が好き。〇
か:花の香りに釣られたかもしれない。×

@追記@
興味深いサイトがありました。
BAYFM78
植物の進化を専門とする、国立科学博物館に勤める研究員の方のお話です。彼によると、花は別に蜜を提供したいわけではないが、蜜をあげないと虫がやってこないので仕方なく蜜を出しているのだと。
また、なかには昆虫を騙す花もいるようで、例えば、見た目が綺麗なランの花には花粉も蜜もなく、見栄えに釣られた昆虫は無駄足を踏んでしまうそうです。さらには、ハチのメスに擬態するランがいて、釣られたオスバチが花に向かって交尾をするらしい (´゚ω゚)・*;’.、

オスバチには、これがメスバチに見えるらしい・・・。

虫が変わることで新しい植物の種が生まれるということが、昔から現在に至るまで何度も起きていて、それが現在、30万種という植物の多様性を形づくった原因の一つではないかと考えられているんです。』
密接な関係にある異種の生物がチェンジすると、自身の進化が分化されていく。
科学技術が発達しても生物の進化は人間がコントロールしうる領域にはなさそうですなぁ( ´~` )
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