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2022年度 灘中学過去問【理科】大問5解説

問題PDF
問1

植物における光合成は、次のような変化が起こります。

 二酸化炭素+水①→ブドウ糖+酸素+水②

水①と水②の量をくらべると、水①のほうが多いので、この変化では水が消費されることがわかります。水①は植物のどこから入って来ますか、また、水②は葉のどこから出て行きますか、それぞれ答えなさい。

次に、ヒトのからだの水の出入りを考えます。1日の水の出入りには次の表のA~Iがあり、からだ全体における、入る水の量と出る水の量は同じになっています。

問2
脂(あぶら)と消化液を混ぜるはたらきをするだけで、
消化には直接関わらないものを次のなかから選びなさい。
ア:だ液、イ:胃液、ウ:すい液、エ:たん汁、オ:腸液

問3
上図はヒトにおける水の出入りを矢印で表した模式図です。
矢印あ~くに対応するものを表のA~Iからそれぞれ選びなさい。
ただし、の順番は問いません。

問4
口から肛門までの管全体を『消化管』とみなします。
消化管における水の出入りがつりあっているとして、表のxにあてはまる数値を答えなさい。

問5
ヒトは吸収したブドウ糖を分解し、エネルギーを得て活動しています。
このとき、問1で示した変化の逆向きの変化が起こります。

 ブドウ糖+酸素+水②→二酸化炭素+水①

この変化においても水①のほうが水②よりも多いので、ブドウ糖を分解すると体内で水が生じることがわかります。からだ全体における水の出入りがつりあっているとして、表のyにあてはまる数値を答えなさい。

問6
口から肛門までの『消化管』は水の通路であり、消化管の内側の空間も『からだの外部』とみなすことができます。このとき、『からだの内部』から『からだの外部』に出て行く水の量と、『からだの外部』から『からだの内部』に入る水および体内で生じる水の量がつりあうことになります。下線部③と④にあてはまるものを、それぞれ表のA~Iからすべて選びなさい。


@解説@
問1:①根、②気孔
根の役割は体を支えること、水や栄養を土壌から吸い上げること。
水や気体の出入り口は気孔のまわりには、タラコクチビルのような細胞がある。
これを孔辺こうへん細胞といい、孔辺細胞が気孔を開閉させて蒸散量やガスの交換量を調整している。

基本的に動かない植物がどうやって開閉運動をしているのか。
うえの動画をまとめると以下の流れになります。
【フォトトロピンとよばれる受容体が太陽光に含まれる青色光をキャッチ→細胞表面にあるプロトンポンプが活性化→カリウムチャネルを通じてカリウムが細胞内に入ってくる→細胞の浸透圧が上昇→細胞に水が取り込まれて孔辺細胞が膨張→気孔が開く】
バケツリレーみたいにいろんなものが連鎖反応することで開いたり閉じたりします。
人為的に気孔を開くことに成功すれば、植物が大気中から取り込めるCO2の量が増えるので、
食糧の生産量が増加したり、気候変動にも良い影響を与えることが期待されています。
反対に気孔を通常より閉じることができれば、植物の蒸散量を意図的に減らし、
乾燥帯でも食物の栽培、たとえば砂漠の真ん中でメロンが育つようになるかもしれません????????

問2:エ
胆汁(たんじゅう)は脂肪の消化を助ける。消化酵素ではない
脂肪を乳化させて水に溶けやすい形にする。
胆汁は肝臓で作られる。胆嚢(たんのう)で貯蔵・濃縮後、十二指腸から注がれる。

消化酵素は中学生で本格的に習うと思うが、、いくつか覚えておこう。
唾液…アミラーゼはデンプンをマルトース(麦芽糖)に分解。
胃液…ペプシンはタンパク質を分解。
すい液…いろいろ。炭水化物・タンパク質・脂肪のすべてが消化される。
マルターゼがマルトースをアミノ酸に分解。トリプシンがタンパク質をさらに分解。
リパーゼが脂肪を脂肪酸とモノグリセリドに分解。
腸液…マルターゼやペプチターゼ(タンパク質の分解酵素、膵液にも含まれる)。

問3:あ…C、い…E、う…A、え…G、お…B、か…H、き…F、く…D

わかりやすかったと思う。あとは時間との闘い。
ヒトの体全体が長方形になっていて、肺・腎臓・消化管を表していると把握する。
わかったところから埋めていこう。

問4:10.3

『消化管における水の出入り』なので、右半分だけを見る。
水の収支はつり合っており、xは出ていく水だから、
x=〔消化管に入る水-x以外で消化管から出る水〕
=(1.0+1.2+8.2)-0.1=10.3L

問5:0.3

『からだ全体における水の出入りがつり合っている』ので、
今度は体の内部と関連する左側に注目する。
(次の問題文の通り、消化管は体の外部とみなせる)
”ヒトの体内でブドウ糖が分解されたときに生じる水”は体内で発生する水。
y=〔体外に出ていく水-y以外で体内に入る水〕
=(0.3+0.6+8.2+1.5)-10.3=0.3L

問6:③B、C、D、E④H、I

10.3+0.3=0.3+0.6+8.2+1.5
残りの3つは体内とは無関係。
前問のどこかを間違えるとミスるが、一貫して正解しやすい大問だった。

2022年度 海陽中等教育学校・特別給費過去問【理科】大問1解説
問題PDF 感染症について、次の文章を読み、あとの問いに答えなさい。  2020年1月頃から世界中で新型コロナウイルスが流行し、多くの死者を出しています。人類と感染症とのたたかいは古く、エジプトでは天然痘に感染した跡のあるミイラが出土してい...

今年の海陽学園(特別給費)です。ヤバかった(´゚ω゚`;)
問5に出てきましたが、
食べ物が通る消化管や空気が通る気管は
口(入口)と肛門(出口)をつなぐ1本道で外とつながっている体外
体内は細胞がぎっしり詰まって体液で満たされている部分。
消化管が体外だからこそ体内に侵入してくる異物を防ぐため、
消化管の内壁に粘膜のバリアーを張って生体防御をしている。

@体内での水の循環@
年齢や性別によりますが、成人では体重の約60%が水分でできていると言われています。

俯瞰すると、体内⇔消化管のやり取りがすごい量です。
1日あたり消化液などで8.2Lも出しているのに、口から入ってきた飲食物分を含め、
大部分の水を腸で回収しています。
それほど消化における化学反応や運搬、吸収に水が必要なのでしょう。

水が最も排出されているのは尿です。
腎臓で尿がつくられますが、
高校レベルでは腎臓の役割を『体内環境の調節』と習います。
全身をめぐってきた血液は腎臓でろ過されます。タンパク質や血球は粒が大きく通れないので、血しょう(血液中の液体)が通過します。これを原尿といい、1日に150ℓほどできます。この原尿が尿細管を通過している間に、体に必要な物質が必要な分だけ再吸収されます例えば、からだが水不足に陥っているときは水分の再吸収量が多くなり、逆に水分超過であるときは水分の再吸収量を抑えることで体内環境の調節を図るのです。

中学理科ポイントまとめと整理より。
濃縮率=尿中の濃度(%)÷血しょう中の濃度(%)】
人体に有用な物質は再吸収されやすいので、尿中の濃度が低く、濃縮率が低い
人体に不要な物質は再吸収されにくいので、尿中の濃度が高く、濃縮率が高い

タンパク質はろ過で通れないから原尿の濃度は0。
ブドウ糖(グルコース)は体内に必要な物質だから再吸収されて尿中は0(濃縮率0)。
ナトリウムやカリウムといった無機塩類も大事なものなので濃縮率は低い。
一方、尿素やアンモニアといった不要物は濃縮率が高く、尿として体外に排出される。
このような腎臓の働きによって体液の成分が調節されている。
体内環境を一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)の一例である。
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