大問1(地理)
水俣病をテーマとしたリード文
(2)水俣病に関連した文として正しくないものを、つぎのア~カから2つ選びなさい(★)
ア:水俣病は熊本県水俣市を中心に発生した公害病である。
イ:水俣病の原因物質は、チッソの工場排水にふくまれていたカドミウムである。
ウ:水俣病の発病原因は、主に魚介類を食べることによって原因物質が体内に入ったことである。
エ:水俣病の患者は現在一人も生きておらず、水俣病は終わった出来事となっている。
オ:新潟県でも水俣病と同じ原因物質により公害病が発生し、新潟水俣病と呼ばれている。
カ:水俣病が公式に報告されたのは、1956年のことである。
イ・エ
*イ:カドミウムはイタイイタイ病の原因物質。水俣病はメチル(有機)水銀 。
エ:水俣訴訟は係属(けいぞく)中。カの年代がわからなくても、エが誤答と察しやすい。
先日、水俣病にかかったおばあちゃんが、シャーペンを手にブスブスと力強く刺して
手の痛覚がなくなったことを子供たちに教えていましたな。。
(4)つぎの図は、日本における漁業種類別生産量の推移をあらわしたものである。
この図を参考にして、漁業に関連してのべた文として正しくないものを、
つぎのア~カからすべて選びなさい(★★★)
ア:1970年代はじめは、遠洋漁業がもっとも多く生産をあげていたが、200カイリ漁業水域の影響により減少した。
イ:1964年以降でみると、1980年代に日本の生産量はもっとも多い時期をむかえており、その中心は沖合漁業だった。
ウ:沿岸漁業は減少しているものの、現在最も多く生産をあげている。
エ:海面養殖業は2011年に生産量が下がっているがそれは東日本大震災の影響と考えられる。
オ:海面養殖業で育ててるものとしては、ホタテガイやカキなどがあり、最近ではマグロの養殖も行われている。
カ:内水面養殖業で育てているものとしては、ウナギやコイなどのほか、ワカメやノリがある。
ウ・カ
*すべて式なので、1つずつ選択肢を吟味していく。
ア:遠洋漁業が衰退した理由は、第一次オイルショックと200カイリ漁業水域の影響といわれている。漁船を動かす燃料は軽油などで、原油が高騰すると漁業は大打撃を食らう。(遠洋であればなおさら)遠洋漁業の減少の端緒はオイルショックであったが、長い目でみれば200カイリ漁業水域も減少に影響を及ぼした。
@メモ@
排他的経済水域(EEZ)の根拠法は国連海洋法条約で日本は1996年に批准しているが、それ以前の1973年から開かれた第3次国連海洋法会議ではEEZについて議論が交わされ、調整にもつれがあったものの、1776年に欧米やソ連がEEZとは異なる漁業水域を自主的に設定したことを受け、日本も1977年に200カイリ漁業水域を設定している。設定は1977年だが、自粛ムードはそれ以前からあった模様。
EEZは60年代からアフリカや中南米の新興国を中心に主張されており、魚介類消費大国の日本は反対していた。漁業水域についても50~70年代に様々な国々から言われており、国際情勢として設置の要請はあったようだが、争いで結論は先延ばしにされていた。
エ:津波被害により、三陸沖のワカメなどの養殖業が大打撃を受ける。自宅も漁船も流され、
放射能汚染、風評被害、燃料費の高騰もあいまって、猟師たちは苦境に立たされる。
オ:時事ネタ。近畿大学(マグロ大学)がクロマグロの完全養殖に成功。
カ:ワカメやノリは海草。
(5)快適なくらしについて、つぎの図は、
100世帯あたりの耐久消費財保有台数の変化をあらわしたものである。
この図に関連してのべた文として正しいものを、つぎのア~オから2つ選びなさい(★)
ア:ルームエアコンは、2000年代になると平均で1世帯に3台以上はあることが読み取れる。
イ:乗用車の保有台数は、2003年ころが最も多く、近年は減少傾向にある。
ウ:近年、ビデオカメラはおおよそ一家に一台あると考えられる。
エ:薄型テレビは、商品として世の中に出回りはじめたことからグラフに登場する。
オ:温水洗浄便座は保有台数がじょじょに増加し、今やパソコンを上回っている。
イ・エ
*資料問題。縦軸は「100世帯あたりの耐久消費財保有台数」。
100台ならば1世帯あたり平均1台。300なら1世帯あたり平均3台。これがわかればできる。
エアコンの数が最も多い理由は、自分の家を想像してみよう。
(7)環境問題に関連して、以下の表は日本の公害苦情処理件数を示したものである。
典型7公害の一つとされる表中の( )にあてはまる語句を書きなさい。
ひらがなで書いてもよい(★)
騒音
*典型7公害を知っていれば即答だが、知らなくてもなんとなくわかる。
ご近所トラブルでも騒音問題は多い。音は強制的に耳に入ってきますからね。
大きな音には気をつけましょう・・。
大問2(公民)
ゴミ問題に関するリード文
(2)高度経済成長期のできごとについてのべた文として正しいものを、
つぎのア~オからすべて選びなさい(★★★)
ア:円の価値が上昇し続け、貿易摩擦が発生した。
イ:エネルギー資源の中心が石炭から石油に移行した。
ウ:日本銀行が国民所得倍増計画を発表し、経済成長を加速させた。
エ:アジア初のオリンピックが東京で開かれた。
オ:ソ連との間に平和条約が結ばれ、北方領土が2島のみ返還された。
イ・エ
*高度経済成長期は50年代後半~第一次オイルショックが起きた1973年。
ア:高度経済長期の多くは固定相場制(1$=360円)1971年、アメリカ大統領ニクソンが米ドルと金との兌換(交換)禁止を発表する(ニクソンショック)。2年後、1973年4月に日本は変動相場制へ移行。その年の秋に第一次オイルショックが起きて、高度経済成長期は終焉(しゅうえん)をむかえる。
円高による貿易摩擦はその後。
↑1$=360円がいかにアホだったのが一目瞭然でわかる(By FXトレードの教科書より)。
イ:日本のエネルギー革命 は60年代。
ウ:日銀ではなく池田勇人 内閣(1960年策定)
エ:1964年。首都圏などのインフラ整備、東海道新幹線もあわせて開業。
オ:全く返還されていない。1956年の日ソ共同宣言後にソ連は色丹・歯舞の「引渡し」を約束しているが、いっこうに返す素振りを見せない。北方4島は日本固有の領土であり、そもそも「引渡し」ではなく「返還」が正しい。
(3)ごみ処置に関連してのべた文として正しいものを、
つぎのア~オから2つ選びなさい(★★)
ア:産業廃棄物は危険物をふくむため、政府と地方自治のみが処理を認められている。
イ:燃えないごみのうち、リサイクルできないものは、最終処分場に埋められる。
ウ:ごみを燃やした後の灰は、セメントやスラグに加工して、工事材料などに使うことができる。
エ:ごみを燃やしたときに出る熱は大気中に放出されてしまうため、発電などに利用することはできない。
オ:ごみの焼却施設と最終処分場の多くは、財政にゆとりのある大都市に並んでいる。
イ・ウ
*ア:一般廃棄物の処分は市町村が行うが、産業廃棄物では原則ごみを出した事業者が行う。
本文にヒントがある。自分で処理できない場合は処理業者に委託する。
イ:最終処分場とはリサイクルができないものが行き着くところ。埋立地とか。
ウ:スラグは道路のアスファルトに使われる。
エ:発電ではコジェネレーションといい、発電に伴う熱を有効利用している。
オ:一般廃棄物の処理責任は市町村なので、基本的には市町村ごとに最終処分場がある。
大都市ほどゴミは出やすいが、焼却施設や最終処分場は広い敷地を要し、
また、NIMBY問題(次問を参照 )からも大都市に集中しているわけではない。
(5)NIMBY問題に関連してのべた文として正しくないものを、
つぎのア~オから2つ選びなさい(★★)
*NIMBY・・『必要なのはわかるが、我が家の裏には来ないでくれという反応を引き起こす社会問題』(本文より)
ア:日本では、これまでに原子力発電所や在日米軍基地などの施設が問題になってきた。
イ:ごみの処分場建設の場合、自然環境への悪影響や衛生環境の悪化が問題になる。
ウ:施設によって利益を受ける人々と被害を受ける人々が異なる場合、問題は起こりにくい。
エ:大都市圏と地方、政府と地方自治体の対立に発展している問題もある。
オ:施設の受け入れをめぐって住民投票を行う場合、衆議院議員選挙の投票権をもつ全国の有権者が投票する。
ウ・オ
*NIMBYとは、Not In My Back Yard(必要なものだが我が家の裏には来ないでくれ)必要悪みたいな。原発や米軍基地もそう。他には空港、ダム、下水処理場、墓地、刑務所、風俗店などなど。社会的に必要だけど、身近にあるとイヤ。誰かが負担しなければならない。
これらの設立許可の取消しをめぐって周辺住民が反対運動を展開したり、訴訟を行うことがある。
ウ:利益を受ける人と被害を受ける人が違うからこそ、利益相反で問題は起こりやすい。
オ:住民投票は、その自治体に住む住民が投票権を有する。
(6)拡大生産者責任の考え方を導入するねらいとして適切でないものを、つぎのア~オから2つ選びなさい(★★)
*拡大生産者責任…『生産者に対して製品の生産だけではなく、処理の責任までその一部を負わせるもの』(本文より)
ア:リサイクルしやすい素材でつくった製品が開発される。
イ:容器包装がコンパクトになったり無包装になったりして、ごみの量が減る。
ウ:販売価格が引き下げられ、消費者が得をする。
エ:製品の仕様によって健康被害を受けた消費者を保護する。
オ:製品の設計や性質を知る生産者の取り組みによって、効果的なリデュースとリサイクルを実現する。
ウ・エ
*拡大生産者責任とは生産者は生産だけではなく、自ら生産した製品の処分まで責任を負うこと。
生産者の責任が拡大しているから「拡大生産者責任」。
循環型社会形成推進基本法にも採用されている理念。生産者が処理責任を負うので、リサイクルしにくいものを製造するとその処理がしづらくなるから、リサイクルに配慮した製品を作ろうとの動機付けが生まれる。また、製品の素材や構造に詳しいのは消費者や流通業者ではなく生産者なのだから、効果的なリデュース・リサイクルが実現しやすい。
ウ:むしろ、リサイクルにはお金がかかる場合も。。
エ:製造物責任法(PL法)
大問3(歴史)
沖縄県に関するリード文
(1)年表中の( A )~( C )にあてはまる人物を考え、その人物に関する文として正しいものを、つぎのア~コから2つずつ選びなさい(★★)
ア:弟子たちとともに大仏づくりに協力した。
イ:漂流民の保護などを求める大統領からの国書を幕府に差し出した。
ウ:朝廷から関白に任じられた。
エ:上海を経由して浦賀に来航した。
オ:検地や刀狩を行った。
カ:唐招提寺を開いた。
キ:将軍足利義昭を京都から追放した。
ク:朝廷から征夷大将軍に任じられた。
ケ:日米修好通商条約を結んだ。
コ:度重なる航海の失敗の後、ようやく日本にたとり着いた。
A:カ・コ B:ウ・オ C:イ・エ
*選択肢いっぱい。紛らわしいのもあるが2つ選べなので、仲間外れは自ずと誤答となる。
A:鑑真。アは行基。B:豊臣秀吉。キは織田信長。C:ペリー。ケはハリス。
ペリーは下のような航海ルートをたどっている。太平洋を横断してない。
この点につき面白い考察がありましたので、こちらをどうぞです> 磯鵯の一人旅、独り言
ペリーは経由地で日本に関する情報を嗅ぎまわったらしい。
アメリカが日本に開国をせまった目的は、
北太平洋での捕鯨船の寄港地と対中貿易の中継地を確保すること。
(2)年表中の( D )~( F )にあてはまる言葉を考え、その言葉に関する文として正しいものをつぎのア~カから1つずつ選びなさい(★★★)
ア:条約を結んだ同じ日に日米安全保障条約が結ばれた。
イ:20歳以上の男子に兵役の義務を定めた。
ウ:東北地方や北海道の都市は被害を受けなかった。
エ:アメリカ軍は太平洋の島々を占領し、爆撃機による日本本土への攻撃を始めた。
オ:アメリカ合衆国の他、ソビエト連邦や中華人民共和国などの国々と調印した。
カ;20歳になった男子のもとへは、兵役につくための検査を受けるように書かれた「赤紙」が届いた。
D:イ E:エ F:ア
*あてはまる言葉は選択肢もヒントになる。前問よりとっつくにくい。
D:徴兵令、カの赤紙は徴兵令の後身である兵役法(1927)。
E:空襲、東北も北海道も空襲をうけたのでウは違う。
F:サンフランシスコ平和条約(1951)西側諸国との関係で日本の主権回復に成功。
東側はのとほど個別で行う。ロシア―日ソ共同宣言(1956)中国―日中国交正常化(1972)
(3)つぎは大交易時代の琉球王国と他国との交易の様子を表した地図と表である。
これらから読み取れることとして正しくないものを、ア~オからすべて選びなさい(★★)
ア:琉球王国は明に使いを送り、東南アジアの刀剣や扇、日本の馬などを貢ぎ物として皇帝に献上した。
イ:琉球王国は明から得た生糸や陶磁器、銅線などを、日本などへ輸出していた。
ウ:琉球王国の輸出品のうち、硫黄やヤコウ貝は琉球産であった。
エ:琉球王国の貿易ルートの南端は安南やアユタヤであった。
オ:日本は琉球王国を通じて、東南アジアの染料や薬種などを得ていた。
ア・エ
*中継貿易で栄えた琉球王国の交易品に関する設問。
明との交易は朝貢式なので、輸出品/輸入品ではなく、献上品/返礼品となっている。
ひたすら情報整理。すべて式のうえ、試験時間も短いので手際の良さが求められる。
ア:明への献上品に刀剣、扇、馬がある。だが、刀剣と扇は日本産。
馬はどこからも仕入れていない→琉球産
エ:南端はマジャパヒト王国(現在のインドネシア)
(4)つぎは島津氏の侵攻後の琉球王国の様子を表した文である。
琉球王国と薩摩藩はなぜこのような「隠しごと」をしたのか。
その理由についてのべた下の文の①、②にあてはまる漢字2字を、年表あるいは本文中から選んで答えなさい(★)
琉球に中国から使いがやってくると、薩摩の役人は身を隠した。日本の年号や日本人名の入った書類は隠したり、日本のお金を使ったり歌をうたったりすることも禁止した。もし、日本との関係をうたがわれたら「日本の支配下にある宝島(現在の鹿児島県トカラ列島の一部)と交流しているためである」とごまかすことにしていました。 |
(「隠しごと」をした理由)
中国は皇帝へ使いを送って来ない日本との( ① )を認めなかった。そのため、薩摩藩は琉球王国に中国との( ① )を続けさせてその利益を得ようと考えた。また、琉球王国は薩摩藩に( ② )されていることを隠してこれまで通りに中国との関係を維持し、王国を存続させようと考えた。
①貿易(交易) ②支配
*薩摩藩も影に隠れてセコイことをしてたんですね(`ω´)
(6)つぎは沖縄戦の戦没者数の表である。
沖縄戦がどのような戦争であったかをふまえ、
( )にあてはまる言葉を答えなさい(★)
沖縄県の住民(一般人・民間人)
*沖縄戦は多くの一般住民が犠牲となった、大規模な地上戦。
リストの並びからして、非戦闘員である民間人では?と推測ができる。非戦闘員≒一般人≒民間人
しかし、厳密にいうと94000という数字は沖縄住民のなかで戦闘に参加した55246人と戦闘に参加していない38754人を合計した数であり、住民でありながら戦闘参加する人が多かった。
(それほど非戦闘員も戦いに行かねばならない事情があったということ)
沖縄県救護課の公式データでは、「住民」を戦闘参加者と一般住民を分けている。 沖縄戦戦没者数
一般住民については実態調査をしておらず、人口から割り出した値なので、
実際はさらに多いとの話。
@データ@
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最低 329点
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