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2018年度 センター試験過去問【政治経済】解説

難化です。
問題はコチラ→PDFファイル

大問1

(1)④
*ア:18・19世紀の国家観。「小さな政府」に基づく自由国家。国家が個人に対してなすべきことは国防や治安維持といった必要最小限度に抑えるべきだとする考えで、夜警国家ともいわれる。
イ:読解問題。【政府の権限拡大が必要になることもあるだろう】→しかし→【近代国家の歴史が示すのは、[ イ ]が欠かせない】自由国家の思想がはいる。

(2)①
*行き過ぎた自由主義により格差が生じ、アメリカ大統領のフランクリン・ルーズベルトは世界恐慌の打開策として、ケインズ主義(修正資本主義)に基づくニューディール政策をおこなった。
戦後のイギリスではケインズ主義を取り入れた労働党による重要産業の国有化や福祉政策(ゆりかごから墓場まで)が行われるが、60年代から”イギリス病”とよばれる経済の停滞が起こる。保守党のサッチャー首相は自由主義的な市場経済を重んずる新自由主義(ネオ・リベラリズム)による「小さな政府」を目指し、重要産業の民営化と福祉の切り捨てを断行した(サッチャリズム)。景気は回復したが、一方で経済格差や失業者の増大が問題となり、労働党のブレアはサッチャリズムを修正。ケインズ主義でも新自由主義でもない、中道の第三の道を目指した。@
*弾劾とは法律違反などを理由に罷免する手続き。韓国のパククネ大統領は政治の私物化を理由に、弾劾で罷免された。

(3)③
*人権の分類。自由権・社会権・国務請求(受益)権。

(4)③
*
大統領制をとるアメリカは厳格な三権分立構造で、立法府と行政府が明確に分かれている。大統領は連邦議会議員を兼職せず、議会の法案に対しては拒否権を発動するか、教書送付権で議会に「こういう法案を作ってほしい」と勧告を行うことができる。しかし、教書は強制力を伴わず、法案提出権はない(議院内閣制では内閣に法案提出権がある)。また、大統領は国民から選ばれるので、議会ではなく国民の信任を前提とするから議会は大統領に対して不信任決議権を持たない
一方で、議院内閣制を採用するイギリスでは首相は下院の多数決によって任命されるので、首相が組織する内閣は議会の信任を基礎とする。その信任が失われた場合、内閣は存立の基礎を失うので議会は不信任決議権で内閣を総辞職させることができ、これに対抗する手段として首相に下院の解散権を認めることで権力の均衡を図っている。議会と行政は必ずしも緊張関係ではなく協力関係にもあるので、内閣には法案提出が認められている(内閣提出法案←→議員立法)。

(5)④
*④
法の支配とは、国家(権力者)を法で縛ることで国家権力の濫用を防止し、もって国民の人権を擁護する考え。
13cイギリス法学者・聖職者ブラクトンいわく『国王といえども神と法の下にある』

人の支配。法の支配の対義語。
形式的法治主義。議会がつくった法律だから間違いない!と議会優位の思想が背景にあり、フランスやドイツといった大陸法で発達した。議会の判断次第で人権の保障範囲が操作されてしまうので、のちに法律内容の合理性を問う実質的法治主義が芽生える。

(6)①
*①大臣が官僚に頼りきっていたので政府委員が廃止された。
代わりに副大臣と政務官を創設。慣例的に国会議員から選任される。

③国政調査権

(7)②
*政府の規制によって、価格Pが強引に下げられた。
すると、買いやすくなるから供給<需要となるので、取引量はQ1となる。

(8)④
*
ローレンツ曲線。ありがたいことに問題文に意味が書かれてある。
①45度線に近いほど平等になる。
(→45度線はすべての人が同じ所得で、累計比は傾き1の比例となる)
②人数の累積比率80~100%の上位層は、
所得の累積比率では100-40=60%を占める。
③「すべての人の所得が同じ割合で増えても」、
累計比率は同じだから曲線の形はかわらない。
④80%までの人々で、所得の累計比率は60%。
関連語でジニ係数も覚えておきましょう。

(9)③
*③2016年4月から電力小売全面自由化が実施されている。

スマートグリッドは電力の需要側と供給側をネットワークで結び、電力を細かく制御することで効率の良い送電を実現するシステム(スマートメーターは無料でつけてくれます)。
②2017年12月、広島高裁が伊方原発の運転差止め仮処分を認めた。

(10)④
*④日本版NSCこと国家安全保障会議。緊急事態に迅速に動けるよう、内閣に設置される。

防衛装備移転原則は、佐藤栄作による武器輸出三原則に代わり、防衛装備の輸出を認めた一般原則で、2014年安倍内閣で閣議決定された。国連安保決議違反や紛争当事国への防衛装備の移転を禁止。移転は平和貢献、国際協力、日本の安全保障に資する場合に限定する。目的外使用や第三国移転の場合は日本の事前同意を相手政府に義務付ける。
自衛隊の最高指揮監督権は内閣総理大臣に帰属する文民統制シビリアン・コントロール
集団的自衛権の三要件。(1)密接な関係にある他国への武力攻撃が発生し、日本の存立が脅かされ、国民の生命、自由および幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある(存立危機事態)(2)我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がない(3)必要最小限度の実力行使にとどまる


大問2

(1)④
*
アイ:マーシャルプラン。マーシャル国務長官が発表したヨーロッパ諸国への経済支援計画。目的は共産圏の拡大阻止で、トルーマンの封じ込め政策(トルーマンドクトリン)と同様。1947年には共産化する東欧諸国を警戒し、ギリシャとトルコに経済・軍事支援を行う教書を議会に提出した。
ケロッグはアメリカの国務長官で、戦争放棄に関する不戦条約(ケロッグ=ブリアン協定)を成立させた。

(2)④
*④金とドルの兌換を停止したニクソン・ショックを受け、ドルを切り下げ(日本では1$=360円→308円)、国際通貨危機に対しては各国の金融当局・中央銀行が協調介入することを認めた(スミソニアン協定)。あくまで固定相場制を堅持したままで、混乱する国際通貨の安定化を目指した。しかし、うまくはいかず各国は変動相場制へ移行。のちのキングストン合意にて変動相場制を正式に追認する。
本肢はルーブル合意。プラザ合意による円高是正により、安くなりすぎたドルに歯止めをかけようとしたが、1987年10月9日のブラックマンデーでドルの下落は継続する。

①世界恐慌後の世界経済。固定相場制のもとで為替の切り下げで相対的に輸出価格を下げ、ブロック経済で鎖国さながらの排他的経済圏をつくり、国内産業を保護。独自の経済圏を持たざるドイツや日本は国際的に孤立して歩み寄り、のちの大戦につながった
ブレトンウッズ体制。ドルを基軸通貨とする金・ドル本位制度(固定相場制)。国際通貨の調整役にIMFがつくられる。
③マーシャルプランによる欧州への経済支援やベトナム戦争の軍事費増大、米国多国籍企業の海外増資大、ヨーロッパや日本の経済成長などを理由にアメリカの国際収支が悪化。ドルを基軸通貨とする国際通貨体制が揺れ動く。

(3)①
*ア:労働組合法の制定(1945年)
イ:傾斜生産方式の開始(1946年)
ウ:経済安定9原則の指令(1948年)
戦後のGHQ占領下における経済復興に関する設問。
年号が近いので難しい。年代整序させるほどのものか疑問・・。
傾斜生産方式…吉田内閣で成立。石炭や鉄鋼、電力などの基幹業務へ重点的な資金投入を行う経済復興策。大量の融資により、インフレを引き起こす。
経済安定9原則…財政の均衡や物価統制など9課目をGHQが日本政府に求めたインフレ抑制策。のちのドッジ・ラインやシャウプ勧告につながる。

(4)②
*②三種の神器→白黒テレビ・洗濯機・冷蔵庫(50年代後半~60年代)
家事の時短は女性の社会進出につながる。
60年代半ばには3C(カラーテレビ・クーラー・自動車)が登場。

神武景気(1955-57)岩戸景気(1958-61)オリンピック景気(1962-64)いざなぎ景気(1966-70)
高度経済成長期は50年代半ば~オイルショックが起こる1973年だから「神武景気」ではない。
年号の暗記は不要。神武・岩戸・いざなぎは日本神話の流れにちなむ。
③IMF規約8条に基づき、一定の義務(経常取引の支払いを制限しない、通貨ごとに差別をしない、自国通貨との交換を保障する)を負う国をIMF8条国という。財政基盤が弱い国は、IMF規約14条により8条の適用が除外される(IMF14条国)。
④コンビナートは原油などの資源の輸送がしやすいよう、湾岸に建てられる。

(5)3③
*③狂乱物価は第一次オイルショック(1973)。

①やや難。戦後初の赤字国債の発行決定はオリンピック開催の翌年1965。建設国債はその翌年1966。財政法4条1項に但し書きを追加され、以降、建設国債は毎年発行されている
IAEA(国際原子力機関)の設立は1957年。34代アメリカ大統領アイゼンハワーによる「平和のための原子力」演説で設立の機運が高まった。ちなみにIAEAの事務局長は天野之弥
イラン革命で引き起こされたのは第二次オイルショック。第一次オイルショックは第四次中東戦争が引き金となった。

(6)②
*②カシミール地方の領土問題で敵対するインドに触発されてパキスタンも核保有国へ。

原子力の平和利用→発電、原子炉を用いた科学研究、放射線を利用した医療や品種改良、原子力船など。
部分的核実験禁止条約(PTBT)は地下実験を許容する。メンバーは米英ソ。フランスも誘ったが、核実験を行ったド=ゴールは参加拒否を表明。
④東南アジア諸国に核保有国はない。
包括的核実験禁止条約(CTBT)に締結している。

(7)②
*
日本外交の三原則。1957年、岸信介首相(安倍晋三の祖父)による。
【1】国連中心主義【2】自由主義国との協調【3】アジアの一員としての立場の堅持

(8)④
*④日米防衛協力のための指針(ガイドライン)(1978)。日本が外国から攻撃された場合における、日本の自衛隊と米軍の役割分担を定めたもの。当初の目的は旧ソ連の侵攻に対する対策。97年では朝鮮半島情勢からの有事を踏まえて改訂。2015年では軍事大国化する中国を睨み、日米で2プラス2(両国の外務・防衛トップ会談)を開催し、日本の自衛隊が米軍を支援する集団的自衛権を念頭とした「積極的平和主義」を実現すべく、指針の再改定が行われた。

①老人保健法の施行は1983年。老人保健法は高齢者医療確保法となり、2008年、後期高齢者医療制度が発足された(後期高齢者は原則75歳以上)。
前川レポートは1986年、中曽根内閣のもとで前川春雄が提言した経済構造の変革に関する報告書。内需の拡大や産業構造の抜本的転換、金融の自由・国際化、マル優(少額貯蓄優遇税制)の見直しなど。
③民主党の成立は1998年。旧民主党を母体に民政党、新党友愛が合流。
詳しい政党の変遷についてはこちらから→とうほうさん


大問3

(1)①
*トレード・オフ:ある目的を達成するには、他を犠牲にしなくてはならない。二兎を追う者は一兎をも得ず。
ベーシック・インカム:政府が国民にお金をプレゼント。そう甘くではないが、ヨーロッパではガチで討論されているのだと。
プライマリーバランス:国債関連を除いた歳入・歳出のバランス。近年は国債の増発で赤字続き…(日本政府は2020年までにプライマリーバランスの黒字化を目指すが先延ばしされた)。
ユニバーサル・デザイン:どんな人でも利用しやすいデザイン。

(2)④
*④フェアトレードは頻出!
公正な(fair)貿易(trade)。先進国の企業に安く買い叩かれないようにする。

資源ナショナリズムは、資源を保有する国が自国で資源を開発するという考え(ナショナリズムは民族主義・国家主義。グローバリズムの対としてよく使われる)。先進諸国が資本協力や技術協力をする見返りに資源をむさぼっていたことから、資源ナショナリズムに基づく新国際経済秩序(NIEO)樹立宣言が国連総会で採択される。
国連貿易開発会議(UNCTAD)は南北問題の解決。資源を持たない途上国はNIEOの恩恵を受けられず、後発発展途上国(LDC)に分類されたところが多い。
政府開発援助(ODA)には、返済義務のある政府貸付円借款の他に、返済義務のない贈与(無償資金協力・技術協力)がある。円借款の供給先は主にアジアで、なかには債権放棄されたケースもある。

(3)②
*A:GATTの発効(1948)ブレトンウッズ体制の柱の一つ。→C:ケネディ・ラウンド妥結(1967)。工業品の関税が平均35%引き下げられる。ケネディ大統領が開催のきっかけをつくったのでこう呼ばれるが、交渉開始前にダラスで暗殺されてしまう。。→B:WTOの設立(1995)。ウルグアイ・ラウンドでGATTがWTOへ発展的解消→ドーハ・ラウンド(2001)。ドーハはカタールの首都。多分野にわたる多角的交渉が行われたが、利害対立で交渉は難航。

(4)①
*A・B→中国は石炭消費大国でCO2を出しまくっている。
アメリカも出しまくっているが、中国より原油や天然ガスに恵まれている。


↑世界最大の水力発電所、三峡ダム。

C・D→フランスが原発大国であることを知っていれば容易。日本は東日本大震災以後、全ての原子力発電を停止、再稼働にあたって揉めている。

(5)②
*
イノベーションからシュンペーターと瞬殺。直訳では「技術革新」だが、技術面に限らず、幅広い分野で破壊から創造を生み出すべき用語として使われる。
マルサス・・人口論の著者。人口は幾何級数(2倍・4倍、8倍・・)と増えていくのに対し、食料は算術級数(2倍、3倍、4倍・・)しか増えないから、人口が増えればいつか食料は尽きるので、人口を抑制すべきだと主張した。

↑世界の人口数(国連人口基金より)。産業革命後から著しく増加している。

(6)④
*④地方分権一括法により、機関委任事務が廃止され、新たに自治事務と法定受託事務に分類された。

①国庫支出金は地方交付税交付金とともに、国からの交付金。
②小泉政権下での三位一体改革。地方への補助金カット、地方交付税の見直し、地方への独自税源の移譲。国に依存しない地方財政を目指すが、見放された自治体には災難。
③今のところ夕張市が唯一、財政再生団体に指定されている。

(7)①
*①フィラデルフィア宣言(1944年)。社会保障の拡充や完全雇用の実現など国際労働機関(ILO)の活動指針となる。

賦課方式は現役世代が年寄りを支える。積立方式は現役時代の積立金を自分の老後にあてる。
③社会保障関連費→1位年金、2位医療。
④「ゆりかごから墓場まで」はイギリス労働党のアトリー内閣。ベバリッジ報告が契機。

(8)④
*表問題
①アメリカ・韓国・フランスのうち、韓国・フランスが下回っている。
②フランスは上回っている。
③日本・アメリカ・韓国のうち、アメリカが上回っている。
④日本に関する文で正当。日本は教育費支出の対GDP比の公的負担がOECD平均以下で、私的負担が平均以上

大問4

(1)③
*③議院内閣制・名目的な大統領→ドイツ

①任期4年で3選禁止の国家元首、二大政党→アメリカ
②半大統領制・常任理事国→フランス
半大統領制とは、大統領制と議院内閣制の双方を採用する仕組み。
④非連邦国家・議院内閣制・一党優位→日本

(2)②
これはサービス問題ですね。

(3)⑤
地方自治法の直接請求。センターの常連です。

(4)①
*①復興庁(2012)。東日本大震災の復興目的につくられたので、容易に判断できる。
震災発生から10年後の2021年に廃止予定

②防衛庁(1954)、前身は保安庁。2007年に防衛省じぇ格上げ。
③金融監督庁(1998)。金融機関の監督。2000年に金融庁へ。
④環境庁(1971)。2001年に環境省へ格上げ。

(5)③
*どれも合法だが、問われているのは「形式的には性差別に当たる措置」。
③は女性を優遇しているので、形式的には男性差別(逆差別)となるが、”実質的な”男女平等の観点から一定の範囲では許容されている。これをアファーマティブ・アクション(ポジティブ・アクション)という。

(6)①
*①教育を受ける権利(26条)の中心は学習権といわれている。
学習権の主体は子供だけではなく国民全体。

②国民の三大義務の1つ。
③通説によると、学問の自由(23条)では大学の自治が制度的に保障されている。
中身は大学人事、施設管理、学生管理に関する自治。

④憲法26条2項後段では『義務教育は、これを無償とする』と書かれてあるが、これは義務教育にあたる小中学校の授業料(教育の対価)を示すといわれている。高校授業料の無償化が実施されているが、憲法上の義務ではない。

(7)③
ここもサービス問題。以前は労働者派遣の対象業務が限定されていたが、建設・警備・港湾・医療などを除いて解禁された。

(8)②
*違憲判決は珍しいので覚えておきましょう。
②参議院議員が30歳、衆議院議員が25歳なのだから、違憲無効と判断していないだろうと推測できてしまう・・。

議員定数不均衡違憲判決。違憲状態とされても事情判決の法理で無効としない。
較差は2倍以下に収まるよう努めている。

非嫡出子相続分違憲判決。非嫡出子とは、法律上の夫婦ではない夫婦(婚姻届を出していない夫婦)から産まれた子。旧民法では非嫡出子の相続分は、法律上の夫婦の子である嫡出子の半分であると定められていた。以前から違憲の声は上がっていたのだが最高裁がようやく重い腰をあげた。
④国籍法違憲判決。
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