2021年度 渋谷教育学園渋谷中学過去問【理科】大問2解説

父:昨年も豪雨による被害が起きてしまったね。
娘:夏休みにテレビを見ていたら、関東大震災がそろそろ起きそうで、
発生した時にどう避難するかと防災グッズの準備が出来ていますかってニュースで言っていたよ。
父:そうだね。日本は様々な災害が毎年発生しているね。
 日本にはどんな災害が想定されているか調べてみようか。
娘:ついでにどのような対策が取られているかも調べちゃおう。

娘:インターネットでいろいろ探していたら、首相官邸ホームページに
防災の手引き~いろんな災害を知って備えよう~」というのがあったよ。
父:なになに。項目としては、地震・火山・津波・大雨・台風・竜巻・雪害・土砂災害かぁ。
娘:8つも項目があるんだね。各災害ではそれぞれどんなことが起こるの?
父:それぞれどのような災害が起こるか、表1に一部分をまとめてみたよ。

娘:うわぁ、たくさんあるね。各災害で様々なことが起こるね。
 発生した時にはこんなに災害が起こってしまうけど何か対策はしていないの?
父:対策の前に、まずは、それぞれの災害が発生する前にどのような警報を出しているか
 表2にまとめてみたよ。

娘:災害ごとに様々な警報があるね。
 地震では、緊急地震速報というのが書いてあるけど、これはどんなものなの?
父:これはね、地震が起こった時、震源に近い観測所が最初に来る地震波であるP波を観測して、
 大きな揺れであるS波が伝わってくる前に、各地に警報を出すものなんだよ。
 ただし、揺れの大きな地震付近に警報は間に合わないんだ。
娘:そうなんだ。地震は起こってからでないと警報は出せないの?
父:現在のところ、地震を正確に予知をすることは難しいんだ。
 なので、地震はいつ起こっても良いように備えておく必要があるんだ。
 そのために役に立つのが、他の災害でも作られているけど、ハザードマップなんだ。
 これは、各自治体が作成し、自分の住んでいるところが揺れやすい土地なのか、
 災害が起こった時にどこに避難すればよいかが書いてあるんだよ。
娘:そんな便利なマップがあるんだね。
 火山では「噴火警戒レベル」と書かれてあるけど、どのような警報が出るの?
父:表3のように5段階にレベル分けされているんだよ。
 実際の対応は、火山ごとにハザードマップで示されているんだ。
娘:火山の近くに住んでいる人は、火山の災害も考えなくてはいけないんだね。
 また、噴火した季節によっても災害が変わるんだね。
 表1の火山の被害に融雪型火山泥流って書いてあるけど、どんなことが起こるの?
父:冬に火山が噴火すると、溶岩や噴出した熱い火山灰などで、雪が一気にとけ、
 火山灰や岩石などを巻き込んで流れ下ってくる洪水が発生するんだよ。
娘:富士山が冬に噴火したら、麓は大変な災害になってしまうね。

問1
下線部①について、(1)・(2)に答えなさい。
(1)ある地震が発生したとき、震源から12km離れた地点に設置してある地震計で、最初にP波が観測されてから1秒後に緊急地震速報が発表されました。震源から63km離れた地点では、この速報発表から何秒後にS波による大きな揺れが始まるか答えなさい。ただし、この地震によるP波とS波の速さをそれぞれ秒速6kmと秒速3kmとします。また、緊急地震速報はすべての地域にすぐに伝わるものとし、伝わるまでの時間は考えないものとします。

(2)(1)の地震で、63km離れた地点で緊急地震速報が伝わった後、大きな揺れに備えていましたが、あまり揺れませんでした。なぜそのようなことが起こるのか簡潔に答えなさい。

問2
下線部②について、図1を見て、(1)・(2)に答えなさい。
ただし、標高差は考えないこととします。

(1)富士山からの融雪型火山泥流が、22km離れた御殿場市に24分で到達したとすると、
融雪型火山泥流の流速は時速何kmになるか答えなさい。

(2)火砕流が発生した際、富士山から火砕流到達範囲まで約何分で到達しますか。
次の中から選びなさい。ただし、火砕流は全方位に一定の速度で流れていくものとします。
ア:3分 イ:6分 ウ:9分 エ:12分

 

娘:なるほどね。最後に、集中豪雨や台風による被害では、どのような対策が行われているの?
父:大雨が降ると、土砂災害、浸水害、洪水などの災害発生の危険度が高まるので、その危険度を地図上で5段階に色分けして表示する「大雨警報・洪水警報の危険度分布」というものが、常時10分ごとに更新されるようになっているんだよ。
娘:へー、10分ごとって刻々と変わる状況に対応しているね。どんなふうに色分けされているの?
父:低い危険度から、白→黄色→赤→薄い紫→濃い紫で表されるんだけど、最大危険度の「濃い紫」が出現した場合は、過去の重大な災害時に匹敵する極めて危険な状況となっていて、すでに重大な災害が発生している可能性が高いんだ。だから、地図に濃い紫が出る前に避難しないといけないね。
娘:なるほど。情報化社会になったから、自分のいる地域の状況を自分で判断して、
 警報が出る前に避難することが出来るようになってきたんだね。
父:そうだね。最近は、線状降水帯など、災害を引き起こす極端な雨の降り方も観測できるようになってきたし、私たちも情報を待つだけの受け身ではなく、積極的に情報を取り入れ、避難行動がとれるようになってきているね。
娘:台風の場合は、雨だけでなく、表1には高潮や風による被害と書いてあるけど、
 高潮ってどんな現象なの?高波とは何が違うの?
父:高波は、風によって波が海岸線に打ち付けられて普段より高くなる現象だよ。
 高潮の原理は、台風自体が低気圧なので、海水面を押さえつける力が小さくなり
 また海水面自身を吸い上げる事によって海面が普段より高くなってしまう現象なんだ。
娘:もしかして、台風が通過する間中ずっと海水面が上がり続けるって言うこと?
父:そうだね。ちなみに、その時に満潮の時間が重なったりすると、
 さらに海水面が高くなるんだよ。
娘:踏んだり蹴ったりだね。台風なんて発生しなければいいのに。
父:私たち被害を受ける人間にとっては、困ったものだけど、
 地球規模で見た場合は実は台風は役に立っているんだよ。
娘:どんなことで役に立っているの?
父:台風は暖かい空気の塊なんだけど、この塊が、暖かい赤道域から、日本を通過し、
 北へ移動してくれることで、南北の気温の差を小さくしてくれているんだよ。
娘:なんか壮大なスケールの話になっているけど、そういう役割があるんだね。

問3
下線部③について、標高0mの地面や海面1m2を押す空気の平均の重さを1気圧と表わします。1気圧は1013hPa(ヘクトパスカル)と表されますが、これは、1m2の上に10130kgの重さの空気がある状態に相当します。日本南岸で発生したある台風の中心気圧は最初992hPaであったが、24時間後には950hPaに低下して関東に上陸をしました。普段は1気圧であったとすると、台風が上陸した時に海岸線の1m2の上にある空気の重さはおよそ何kg軽くなったことになるか答えなさい。

問4
台風のエネルギー源は、海面から蒸発した水蒸気が水になるときに発生する凝結熱です。ある台風が、半径500kmの円形の範囲に100mmの降雨をもたらしました。この雨のすべての水が水蒸気の凝結で生じたものとすると、この時発生した凝結熱の総量は、マグニチュード7の地震何回分のエネルギーになるか答えなさい。ただし、水1gの凝結熱は2000J(ジュール)、水1cm3あたりの重さは1gとします。また、マグニチュード7の地震のエネルギーは2000000000000000J(2に0が15個つく)とし、円周率は3.14とします。

 

父:様々な災害を見てきたけど、次に私たち一般住民はいつ、どこに、どの様なタイミングで
 避難すればいいかをまとめた「警戒レベル」というものが決められているので、見ていこう。
娘:警戒レベル?今までの警報とは何が違うの?
父:それまで住民には「避難勧告や避難指示(緊急)」など様々な避難情報が発信されていたけど、住民に正しく理解されていたかなど様々な課題があったので、2019年3月に「避難勧告等に関するガイドライン」が改訂されたんだ。災害発生の危険度と、とるべき避難行動を住民が直感的に理解するための情報として警戒レベルという色分けした5段階の警報を伝えるようになったんだ。
娘:どんなふうに分類されているの?
父:表4のように、白から黒へ色分けされて、ハザードマップとも関連付けて、自分自身の地域の状況を普段から把握することで、災害時に自主的に速やかな避難行動がどれるように作成してあるんだ。今までは、各自治体が警報を発する時に空振りだった時を考えてしまうこともあったけど、これからは住民自らが判断することで、地域のみんなで声を掛けあって、空振りを恐れずに警戒レベル5になる前に、レベル3・4の段階で安全・確実に避難できるように考えられたものなんだ。

娘:なるほどね。情報を速やかに常時出し続けることで、専門家が判断する前に
 自分自身で避難をしていこうという積極的避難の時代になってきたんだね。
父:そうだね。情報が簡単に手に入らない時代では難しかったけど、専門的な情報がすぐ手に入る時代になったから、自分の身は自分で守る事が出来るようになってきたんだね。
娘:災害が発生する前に私たちの地域のハザードマップをよく見ておくね。

問5
ある地域に5軒の家庭があります。それぞれ家族構成を下にまとめました。
ただし、以下の人達に、要介護者の人はいないものとします。

ア:39才(父)37才(母)8才(娘)5才(息子)
イ:70才(祖父)68才(祖母)32才(父)30才(母)1才(娘)
ウ:82才(夫)80才(妻)
エ:25才(男)
オ:29才(夫)30才(妻)

(1)この地域に洪水警報が出た場合、避難を開始するべき家庭はどれですか。
当てはまるものを全て選びなさい。

(2)ア~オの家庭が、1つのアパートに住んでいたとします。
警戒レベル3が発令され、全ての人が在宅をしていた場合、
エの人が取るべき行動として正しいことを簡潔に答えなさい。
ただし、ア~オの家庭全て、お互いの家族構成は知っているものとします。


@解説@
問1(1)18秒後

12km÷秒速6km=2秒後に12km地点でP波をキャッチ。
1秒後に63km地点で緊急地震速報が流れる。
S波は63km÷秒速3km=21秒後に63km地点に到達する。
速報が流れてから、21-3=18秒後

(2)地盤が固かったから。
*震源距離が同じでも地盤の固さで震度は異なる。
水分が多い地盤だと柔らかいので大きく揺れる。

問2(1)時速55km
24分で22kmだから、22km×60/24=時速55km

(2)イ

火砕流到達範囲は富士山を中心に半径約10kmの円。
火砕流の速度は表1より時速100km。
60分×
10km/100km=6分

問3:630kg
1013-950=63hPa減少した。
1013hPa=10130kgだから、63hPa=630kg
*1気圧では1m2あたりおよそ10tの圧力を受けており
中心気圧が950hPaである勢力の強い台風がくると、600kg以上も下がることになる!

問4:78500回分
桁がかなりヤバイ(;`ω´)
指数を使わせていただきます

10×10×10=1000=103(10を3回かける)
105÷103=105-3=102割り算では指数は引き算

500km=5×107cm
台風の面積は、(5×107)×(5×107)×3.14cm2
これに100mm=10cmをかけると水の体積(cm3)が求まり、
水1cm3あたり1gなので、同時に水の重さとなる。
水1gの凝結熱が2000Jだから、さらに2000をかけると凝結熱の総量が出る。
さいごにM7の地震がもつエネルギーである2×1015で割る。

78500回
*M7クラスの地震のエネルギーも相当ですが、その78500倍のエネルギーを持つ台風…🌀🌀🌀

問5(1)イ・ウ

表4より、洪水警報は警戒レベル3。
高齢者は避難を開始するべきとある。

(2)他の家族の無事を確認し、協力しあいながら高齢者の避難を補助する。
*警戒レベル3は高齢者と要介護者が避難をする。
問題文ラスト『住民自らが判断することで、地域のみんなで声を掛けあって、空振りを恐れずに警戒レベル5になる前に、レベル3・4の段階で安全・確実に避難できるように考えられたもの』とあり、家族全てがお互いの家族構成を知っているわけだから、高齢者の避難を助けるという模範的解答で良いと思う。。

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