2019年度 灘中学入試問題【理科】大問3解説

普通の写真は平面的ですが、立体的に見える「立体写真」というものがあります。
2台のカメラを左右に並べ、同時に撮影すると、立体写真を作ることができます。
左のカメラの写真を左目で、右のカメラの写真を右目で見ると、
近くにあった物は近くに、遠くにあった物は遠くにあるように見えます。
これを「立体視する」と言います。(図1、図2)

問1
上記の方法で作った立体写真が図3のようになりました。

3つの図形を近くにあるものから順に並べたものを選びなさい。
ア:○□△ イ:○△□ ウ:□○△ エ:□△○ オ:△○□ カ:△□○

問2
地球儀の立体写真を作りました。
しかし2枚の写真を置くときに左右をまちがえて置いてしまいました。
それを立体視するとどのような形が見えるでしょう。下のなかから選びなさい。

問3
写す対象が動かない(変化しない)ものであれば、1台のカメラでも立体写真を作れます。
例えば図1の左の位置で1コマ目を撮影し、少し右に移動してから2コマ目を撮影します。
1コマ目の写真を左目で、2コマ目の写真を右目で見ると立体視できます。
飛行機から真下方向を撮影する航空写真は、この方法で地形の立体写真を作ります。(図4)

この立体写真では、道路を走る自動車はおかしな見え方をします。
いま飛行機の飛行方向と同じ方向に、飛行機よりもおそい速度で、
自動車が水平な道路を走っているとします。
でき上がった立体写真では、この自動車はどのように見えるでしょう。
下のなかから選びなさい。
ア:空中にうかんでいるように見える
イ:地面より下にあるように見える
ウ:消える

問4
走る電車の窓から真横の景色を続けて2回撮影しても立体写真が作れます。
1コマ目の写真を左目で、2コマ目の写真を右目で見て正しい立体写真に見える
遠くの物は遠くに、近くの物は近くに見える)のは、左右どちらの窓から撮影したときでしょう。
下のなかから選びなさい。
ア:電車の進行方向に向かって左側
イ:電車の進行方向に向かって右側
ウ:どちら側でも正しく見える

問5
夜に月を見ながら歩いていると、月がついてくるように見えます。
このように見える理由の説明として最も適当なものを選びなさい。
ア:月はとても遠くにあり、人が歩いて移動しても
  ほとんど同じ方向に同じ大きさで見えているから。
イ:月が南の空にあるときは東から西へ動くので、
  西へ向かって歩いていると月がついてくることになるから。
ウ:月は球形をしているが、非常に遠くにあるので、
   左目で見た姿と右目で見た姿が同じだから。
エ:夕方に見える月は、毎日その形が大きくなっていくように見えるから。


@解説@
立体視の仕組み。
両目で景色をみると、脳は奥行きを知覚します。
問1:イ

3つの図形を近い順に答える。
ヒラメキが求められるうえ、ここでつまづくと後ろで全敗の危機がある(´゚д゚`)
図3は正面から撮った写真で、下にある△が近くにあるとは限らない。
また、各々の図形が同じ大きさなので、サイズも判定材料にならない。

左右のカメラは距離がある。
遠くのを見るとき、視線の傾きが緩やかなので、
左だけで見たときと右だけで見たときで位置がさほど変わらない。
一方で、近くのは視線がより斜になるので、
片方の目でそれぞれみたときに位置が大きくズレやすくなる。
図3で、位置が大きくズレている順(〇→△→□)で近くにある。

問2:イ
地球儀の中央部分が膨らみ、円周に接近するにつれて視点から遠ざかることで、
我々は地球儀の写真を立体視することができる。
写真を左右取り違えると、近くにあるはずのものが遠くに見え、
遠くにあるはずのものが近くに見えるので、真ん中がへこんだ地球儀が写る。

問3:イ
飛行機から地表を走る自動車と、それ以外の地表の景色との距離はだいたい等しい。
しかし、1コマ目と2コマ目では、2つの位置関係が異なる。
自動車以外の地表の景色は、飛行機と同じ速度で動いた距離で2コマ目を撮影している。
一方、自動車は飛行機と同じ方向に飛行機よりもゆっくりと動いているので、
2コマ目に移る自動車の位置は、それ以外の地表の景色よりも移動距離が短い
問1から、1コマ目と2コマ目の移動距離が短い→片目で見たときにさほど位置が変化しない
→遠くにあるように見えるので、自動車だけ他の景色より遠くにあるように見えるから、
自動車は地面より下にあるように見える。

こちらのサイトで実体視の練習ができます(*´ェ`*)
鉛筆1本を真ん中において、先っぽをジーとみながら鉛筆を顔に近づけると…
中央にもう1つの三角形が現れます。
その状態をキープしつつ鉛筆から三角形にシフトできれば成功なのですが、
サボは何度やってもできませんでした(´Д`)
3つ見えれば良しということで▽▽▽

問4:ア
左右の片目で違う景色を見て、脳がそのズレを統合して処理すると、
遠近が生まれて立体視ができる。
電車の進行方向に向かって右側の車窓では、車窓の左側が電車の進行方向にあたる
2枚目(右目)が1枚目(左目)より左側でシャッターを切ることになるので、
左右が反対となり、問2のような遠近があべこべになってしまう。

問5:ア
通常
、近づくと物体は大きく見え、遠ざかると物体は小さく見える。
月がついてくるように見えるのは、実際に月が近づいてくるのではなく、
月が観測地点から遠方にあるため、人がちょっと移動したところで同じ大きさに見えるから
遠ざかってもサイズが同じだと、その物体が自分に近づいてきたかのような錯覚が起こる。
ウが誤りなのは、人の移動が含まれていないため。

ちなみに、地平線付近の月は天頂の月よりも大きく見える。
「月の錯視」で調べてみると、いろいろでてきます。
理由は定かではありませんが、天頂の景色は周りに物がない一方で、
地平線の方向には地上のあらゆる物体が目に入り込みますから、
脳がそれらと比較して処理した結果、月が大きめに補正されるから??との説があります。

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月が追いかけて見える理由について、渋谷教育学園渋谷中学で詳しく出題されました。

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錯視研究で著名な明大・杉原厚吉教授の錯視作品。
◇が○に、○が◇に変わってるw(゚Д゚)w
絶対、変人だと思う(*’ω’*)w

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2019年の錯視コンテスト優勝作品↓

アメリカのフランク・フォース氏の作品。
左に回っているのかな?と思いきや、モヤモヤが出現するといろんな方向に回る…((@д@_))


こちらは2位。東大の助教授・福田玄明氏の作品。
ところどころ挿入される説明文がわずらわしいが(#-∀-)
上から下に動いて見えると緑と赤。左から右に動いて見えると黄色の点に見える。

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