2022年度 開成中学過去問【理科】大問2解説

 太郎さんはゴムの性質を調べたところ、ゴムは加熱すると縮むことを知りました。そこで、バルーンアートで使う細長い風船を用いて以下のような実験を行いました。後の問いに答えなさい。ただし、割り切れない場合は小数第2位を四捨五入し、小数第1位まで答えなさい。

 バルーンアートで使う風船に空気を入れると風船の一部が膨らみ、風船全体は膨らみませんでした。風船に入れる空気の量を2倍にすると膨らんだ部分の長さが2倍になり、太さはほとんど変わりませんでした。さらに、膨らんでいない部分がなくなるまで風船に空気を入れても、膨らんだ部分の太さはほぼ変化しませんでした。膨らんでいない部分がなくなったところで空気を入れるのをやめました。空気を抜くと、しぼんだ風船の長さは48.6cmでした。しぼんだ風船にドライヤーで温風をあてたところ、長さは36cmになりました。その後、膨らんでいない部分がなくなるまで風船に空気を入れると長さが162cmに、空気を抜くと再び48.6cmになりました。続けて温風をあてると長さが36cmに戻りました。以下の実験では、ドライヤーの温風をあてて36cmに戻した後の風船を使いました。ただし、膨らんだ部分の太さはどこも同じで長さだけが変化するものとし、膨らんでいない部分の空気の体積は考えないものとします。また、空気を右端に移動させるときには、風船の膨らんだ部分がそのまま右へずれていくものとします。

 風船の長さの半分まで空気を入れて膨らませました。残りの半分は膨らむことはなく、風船の長さは99cmになりました(図1)。その後、空気を抜きました。

問1
空気を抜いた後の風船の長さは何cmですか。

 風船の長さの2/3まで空気を入れ、その半分を右端に移動させました(図2)。真ん中のしぼんでいる部分にだけドライヤーで温風をあててから空気をゆっくり抜きました。ただし、空気を抜くときにドライヤーをあてた部分は膨らむことはありませんでした。

問2
空気を右端に移動させた直後の風船の長さは何cmですか。

問3
空気を抜いた後の風船の長さは何cmですか。

 空気を入れない風船と、膨らんでいない部分がなくなるまで空気を入れた風船をそれぞれ冷凍庫に入れ、充分に時間を経過させました。その後、それぞれの風船を取り出し、室温になるまで待ちました。空気を入れた方の風船は空気を抜くと、長さが戻りきらず51.6cmになりましたが、ドライヤーで温風をあてると再び長さが36cmに戻りました。空気を入れなかった方の風船は冷凍庫から取り出しても長さは変化しませんでした。また、室温になってから空気を入れても、冷凍庫に入れる前の風船と変化の仕方は同じでした。

 風船の長さの半分まで空気を入れ、風船を冷凍庫に入れて充分に時間を経過させました。その後、風船を取り出して室温になるまで待ち、空気を抜きました。

問4
空気を抜いた後の風船の長さは何cmですか。

 風船の長さの1/3まで空気を入れ、冷凍庫に入れて充分に時間を経過させました。その後、風船を取り出し、室温になってから風船の中の空気を右端に移動させました(図3)。最後に空気をゆっくり抜きました。空気を抜いているとき、風船は膨らむことはありませんでした。

問5
空気を抜いた後の風船の長さは何cmですか。

 風船を2つ用意し、A・Bとしました。Aの風船に空気を入れ、Bの風船にはAの2倍の量の空気を入れました。Aの風船の空気を右端へ、Bの風船の空気の半分を右端へそれぞれ移動させたところ、Aの風船の長さが80.1cm、Bの風船の長さが111.6cmになりました(図4)。
 
問6
Aの風船で、初めに空気を入れた部分の長さは何cmですか。
空気を入れる前の長さで答えなさい。


@解説@
問1:42.3cm
ドライヤーの温風をあてると、初期状態の36cmにリセットされる
空気を全部入れてから抜き、温風をあてると48.6cmから36cmに縮んだ。
言い換えれば、空気を全部入れた場合は初期状態から12.6cm伸びている
空気を半分入れた場合、空気を入れなかった部分は初期状態のままなので、
空気を抜いた後は初期状態から12.6÷2=6.3cm伸びている。
よって、36+6.3=42.3cm

問2:124.2cm
空気を全部入れると、162-36=126cm伸びた。
空気を2/3まで入れた場合は、126×2/3=84cm伸びるので、
36+84=120cm

・・と、ここで終わりたくなるが、図2をよく見てみよう。
空気を右端に移動した後、若干伸びている
空気を移動させる前の右側の部分は初期状態のままだが、
空気が入っていたところは内側から圧力を受けてゴムが伸びており
最後の空気が入っていない真ん中は初期状態ではない

前問より空気を全部入れた場合、空気を抜いた後は12.6cm伸びていた。
空気が入っていない真ん中は、12.6×1/3=4.2cm伸びている。
したがって、120+4.2=124.2cm

@おさらい@
膨らませたところだけでなく、空気を通過させたところも伸びる。
膨らませていない、かつ空気が通過していない部分は初期状態のまま。

問3:44.4cm

真ん中以外の3分の2がドライヤー未加工。
初期状態から12.6×2/3=8.4cm伸びている。
よって、空気を抜いた後(ドライヤー前)は、36+8.4=44.4cm

問4:43.8cm
空気を全部入れて冷やして抜くと51.6cm。
空気を入れないで冷やすと36cmのまま。
伸びた長さは51.6-36=15.6cm
空気半分の場合は、15.6×1/2=7.8cm伸びる。
36+7.8=43.8cm
(*36と51.6の平均である)

問5:49.6cm

3分の1は冷凍で伸びる。
15.6×1/3=5.2cm
残りの3分の2は室温で空気を移動させて伸びる。
『室温になってから空気を入れても変化の仕方は同じ』なので、
12.6×2/3=8.4cm
よって、36+5.2+8.4=49.6cm

問6:10cm

差の111.6-80.1=31.5cmはどこか?
3分の1ずつに区切って考える
右端の空気の固まりは一緒。
空気を移動させた真ん中も一緒。
ということは、左端の空気が通過して伸びたAと空気が入っているBの差が31.5cm。

初期状態から空気を全部入れると、36cmから162cmに膨らんだ。
162÷36=9/2倍
初期状態を基準に空気を抜いた後の伸び率は、48.6÷36=27/20倍

9/2と27/20を最小公倍数20で統一する。
初期状態を【20】とすると、空気を通過させたAは【27】、空気を入れて膨らんだBは【90】。
差の【63】が31.5cmにあたる。
Aに入れた空気の部分の長さ【20】は、31.5×20/63=10cm

@ガフ・ジュール効果@
一般的に物質を熱すると膨張し、冷やすと収縮するが、ゴムの場合は逆らしい。。

ゴムバンドで固定した鏡が背面の壁にUFOを映している。
ゴムバンドを冷やすとゴムが伸び、鏡が前に傾いてUFOが下にさがる。
ゴムバンドを暖めるとゴムが縮み、鏡が後ろに傾いてUFOが上にあがる。
ガフ・ジュール効果(ゴフ・ジュール、グー・ジュール)というそうです。

難関中学(理科)解説ページに戻る

◆menu◆ 公立高校入試…関東圏メイン。千葉だけ5教科あります。%は正答率。
国私立高校入試…数学科のみ。ハイレベルな問題をそろえてみました。
難関中算数科…中学受験の要。数学とは異次元の恐ろしさ(;´Д`)
難関中社会科…年度別。暗記だけじゃ無理な問題がいっぱい!
難関中理科…物化生地の分野別。初見の問題を現場思考でこなせるか。
難問特色検査…英国数理社の教科横断型思考問題。
センター試験…今のところ公民科だけ(^-^;ニュース記事だけじゃ解けないよ!
勉強方法の紹介…いろいろ雑記φ(・・。)
QUIZ…☆4以上はムズいよ!
noteも書いています(っ´ω`c)
入試問題を題材にした読み物や個人的なことを綴っていこうと思います。
気軽にお立ち寄り下さい(*^^*)→サボのnote
サボのツイッターはコチラ→

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。

CAPTCHA