2018年度 渋谷教育学園幕張中学入試問題【社会】解説

大問1

ランドセルの歴史に関するリード文
(1)2017年に起きたできごとに関し、
その正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい(★★★)
X:韓国・フランス・ロシアで大統領選挙が行われました。
Y:安倍晋三内閣総理大臣は臨時国会で衆議院を解散し、
  その後開かれた特別国会で再び内閣総理大臣に指名されました。
1X:正 Y:正  2X:正 Y:誤  3X:誤 Y:正  4X:誤 Y:誤

*時事問題。対策はとっているとは思うが、完全解答式なので難易度は上昇。
X:韓国・フランス2017年5月、ロシアは2018年3月。漏れなく記憶しておきたい。×
Y:任期満了ではなく、内閣による解散権発動による解散。第4次安倍内閣へ突入。○

(3)オランダについて、その正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい(★★★)
 X:日本はオランダと400年を超える長い交流の歴史があります。
 Y:オランダにはEU(ヨーロッパ連合)に加盟するとともに、
   主要7ヶ国のサミット(主要国首脳会議)にも参加しています。
1X:正 Y:正  2X:正 Y:誤  3X:誤 Y:正  4X:誤 Y:誤

*X:日蘭の交流は1600年、リーフデ号でやってきたヤン=ヨーステン八重洲の由来となった人物)の渡来から始まる。○
Y:G7→アメリカ・カナダ・イギリス・フランス・ドイツ・日本・イタリア。×
かつてはロシアを加えたG8だったが、ロシアのクリミア半島編入を受けて除外された。
Gはグループgroupの略。

(4)学習院について、その正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい(★★)
X:学習院は明治時代に政府が設立した官立学校として始まり、
   現在も国立の学校の一つに数えられています。
 Y:第二次世界大戦後、皇族は幼稚園から大学までの間を
   学習院で学ぶことが法律で定められています。
1X:正 Y:正  2X:正 Y:誤  3X:誤 Y:正  4X:誤 Y:誤

*まさか学習院をストレートに問うてくるとは!(゚ロ゚屮)屮
X:学習院は華族教育を対象とした国立だったが、戦後、華族制度の廃止に伴い私学化する。×
学習院中学も私立学校。偏差値表か何かで知ってたかどうか。
Y:時事。学習院初等科は皇室の御用達であったが、近年は自由になった模様。
小室圭と婚約した秋篠宮家の長女・眞子(まこ)さまは国際基督教大学(ICU)卒。×
次女の佳子(かこ)さまも同学へ進学。弟の悠仁(ひさと)さまはお茶水女子付属小。

(5)大正天皇について、その正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい(★★★★)
X:明治天皇が高齢であったため、皇子(のちの大正天皇)は
  内閣総理大臣から摂政に任命されました。
 Y:大正天皇は象徴天皇であり、この世に人間の姿で現れた神という
 現人神(あらひとがみ)ではありませんでした。
1X:正 Y:正  2X:正 Y:誤  3X:誤 Y:正  4X:誤 Y:誤

*教科書外の知識のような・・。
X:近代では、病をわずらった大正天皇の摂政を昭和天皇が務めた。×
明治天皇は14歳の若さで即位し、61歳で崩御(ほうぎょ;天皇がなくなること)する。
一方で、憲法や皇室典範には関白の規定がない
Y:現人神あらひとがみ)は、人の形をして現れた神様。
終戦までは天皇を神として敬い、主権者として政治の中心に据える思想であった。×
実権は軍部が握り、天皇は政治の道具として利用されるときもあったが・・
戦後の人間宣言により天皇の神格性を否定するが、政治思想も絡んでややこしい問題。。

(6)伊藤博文について、その正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい(★★★)
X:長州藩の出身で、初代内閣総理大臣や初代枢密院議長をつとめました。
Y:先進諸国の制度や文化を調査し、大日本帝国憲法の起草などに携わりました。
1X:正 Y:正  2X:正 Y:誤  3X:誤 Y:正  4X:誤 Y:誤

*X:枢密院すうみついいん)とは、明治憲法下での天皇の最高諮問機関。○
小学生に枢密院は厳しいか。ちなみに、韓国統監府の初代統監もこの人。
Y:岩倉使節団の副使を務めていた。他の副使には大久保利通・木戸孝允(たかよし)・山口尚芳(なおよし)がいる。ドイツに留学し、プロシア憲法を学ぶ。○

(7)1890年に開設された帝国議会について、
その正誤の組み合わせとして正しいものを選びなさい(★★)
X:帝国議会は衆議院を参議院からなる二院制を採用し、
  天皇の立法権の協賛機関としての役割をはたしました。
Y:帝国議会において、現在施行されている日本国憲法の審議が行われました。
1X:正 Y:正  2X:正 Y:誤  3X:誤 Y:正  4X:誤 Y:誤

*X:参議院ではなく貴族院。ちなみに、内閣は天皇の輔弼(ほひつ;助ける)機関。×
Y:帝国議会は1947年3月31日に閉会。同年、5月に現在の国会へ。○
知識として知らなくても、日本国憲法の施行前は国会ではなく、帝国議会だろうと推測できる。

(9)教科書の表紙には検定済教科書と書かれています。日本では小学校や中学校、
高校などの教科書は民間の出版社などが作成し、政府が検定しています。
なぜ民間の出版社などに教科書の作成を委ねているのですか。
下記の点を除いて、その理由を述べなさい(★★★★)
・児童や生徒にとって適切な教科書を確保できること。
・出版社の表現の自由に関すること。
・政府が教科書を作成した場合にかかる手間や予算の削減に関すること。
政府がすすんで認めた思想や価値観を子どもたちに押し付けないようにするため。
*教科書検定を知る受験生は少ないはず。
なんとかひねり出すしかないが、事前に3つの解答パターンがつぶされている難問。

学校で配付される教科書は、文部科学省が主催する教科書検定を合格した図書に限られ、
そのなかから市の教育委員会などがどれを教科書として採用するかを決める。
なぜ、こんなまわりくどいことをするのか?
小中学校の教科書は税金でまかなわれるのであるから、国が内容を決めてもいいようにも思える。

しかし、権威のある国家が教科書に「これはこうである」と書くと、
”国が定めた内容だから正しいのだ”と、国民に押し付けてしまいかねない。
ようするに、教科書を通じて、国家が一定の思想や価値観を承認することとなり
それに反する教育や言説が生まれにくくなる。
大人であれば批判能力があるので、ある程度は自己防衛ができるが、
批判能力の乏しい児童生徒は教科書の内容をうのみにしてしまい、
国家による洗脳教育につながるおそれがある。

実は戦前、軍国主義の考えが教育現場に及んだ黒歴史があった。

墨ぬり教科書。GHQによる戦後の民主化政策の一環で、
戦争にまつわる文言に黒い墨がぬられる。

次世代を担う子どもたちに戦争を賛美する教育をしていた。
こうした反省から、国が直接的に教科書の内容を決めるのではなく、
民間がつくった図書から国が選んで公認する形をとっている。

ちなみに、政治と宗教を分かつ政教分離も教科書検定の目的と少し似ている。
国家が一定の宗教を国教と決めつけてしまうと、
国教以外の宗教を信仰する者たちは異教徒として迫害される恐れがある。
政教分離の目的の1つは、少数宗教を信ずる者の信教の自由を保障する点にある。
学問の自由も中世ヨーロッパでは、宗教と一体化した政府が勝手に”真理”を定めたことで、
キリストの教えに反する地動説を唱えたガリレオが宗教裁判では異端とされ、
「それでも地球はまわっている」となげいた話は有名である。

@家永訴訟@
家永さんが制作した教科書が検定をパスできなかった。
そこで、家永さんは、教科書検定は憲法の検閲(けんえつ;表現物の公開前に行政機関がそのチェックをすることにあたり、憲法に違反すると訴訟を起こした。
結果は敗訴。家永さんが書いた図書は高校の日本史だったそうだ。
歴史科目は過去の事実をどのように評価するかにあたり、作者の歴史観や政治信条と深い関わりがあるので、教科書検定ではトラブルになりやすい科目だという。家永訴訟は第三次までありました。

(10)以前の行政文書はA判とB判が混在していましたが、1993年から中央省庁の文書のA判化が進められ、地方自治体の行政文書もA判に移行しています。
中央省庁や地方自治体がA判に統一することで生じるメリットを述べなさい(★)
ただし行政文書をB5からA4の用紙に移行すると書くスペースが広がるという解答は除きます。
同じ大きさであれば、書類の整理や保管に都合が良いから。
*サイズがバラバラだと面倒くさいと想像できる。

(11)新しい学習指導要領が取り入れられ、学習内容が増えたことで教科書のサイズが大きくなりました。それにともない多くのランドセルがA4ファイル対応となり、従来のものと比較しても大きいサイズになりました。ランドセルの業者は従来のものよりも大きなランドセルをつくるにあたり、どのような工夫をして作ったのかを述べなさい(★)
軽くて丈夫な素材を使った。
*ランドセルを大きくすると不都合になる点を考え、それを解消する策を簡単に述べる。

(12)日本でランドセルは、小学生用の通学かばんとして広く普及していきました。
ランドセルが普及した理由を安全性の面から述べなさい(★★★)
転倒しても両手が使えるのでケガをしにくい。
*シンプルかつ斬新で、いかにもシブマクっぽい記述。
ランドセルを安全や防犯の観点から考える。
他には、後ろに転んでも衝撃を和らげてくれる、緩衝材(かんしょうざい)の役割。
反射板がついているので夜道でも安全、など。

大問2

(4)図1はかつての平城京の土地から出土した木のふだです。
この木のふだには、現在の福井県の一部にあたる若狭国の塩に関する記載があります。
この図1から、奈良時代のどんなことがわかりますか。20~30字で説明しなさい(★★)

塩が調として納められ、納税の記録がなされていたこと。
(26字)
*図を観察して答える。
塩が記載されているのは、税金の一種である調として納められていたから。
地方の特産物の例として、塩を読んだことはあると思う。
その納税の記録が木のふだに書かれていたということ。

(6)図2を見ると、成年男子は、子供や女性、僧侶などとは異なる外見上の特徴がいくつかあります。そのうち、当時、加冠(かかん )とも言われた男子の成人式と関係する外見上の特徴を10~15字で答えなさい(★★)

頭の上に帽子をかぶっている。
(14字)
*図を観察して答える。成年男子特有の「外見上の特徴」を述べる。
見た目の違いに着目すればいい。
【”加冠”→冠を加える】から想像できるように、頭に黒い帽子のようなものが見える。
男子の成人を祝う通過儀礼を元服げんぷく)といい、冠をつける風習があった。
図2の冠は侍烏帽子(さむらいえぼし)か?

(7)図2を参考にしながら鎌倉時代の市場について、
  その正誤の組み1合わせとして正しいものを選びなさい(★★)
X:各地の市場では、多くの女性商人が活躍していました。
Y:各地の交通の要地では、常設の市場が開かれました。
1X:正 Y:正  2X:正 Y:誤  3X:誤 Y:正  4X:誤 Y:誤

*X:図2をみる。屋根の下に女性がいる。〇
Y:過去問にあり。常設ではなく定期市だった。鎌倉は月3回の三斎市、室町から六斎市。×

(8)図3は江戸時代の浮世絵に描かれた日本橋の様子です。
図3の左下には、天秤棒をかついだ行商や、頭上のたらいに魚をいれた男の姿が見えますが、
これらが江戸時代の日本橋らしい光景と言える理由を10~15字で答えなさい(★★★)

日本橋は商業が盛んだったから。(15字)
*日本橋はかつて魚河岸(うおがしとよばれる魚市場が開かれ、
家康の指示のもと、江戸の人々のために多くの魚が集められた。
関東大震災(1923)後、築地市場ができるまでは魚市場の中心地であったそうな。
これを知っている受験生は少ないので推測を働かせるしかないが、
「頭上のたらいに魚」→魚市場があった、ではあまりにも素直過ぎて
書き込みに躊躇(ちゅうちょ)した受験生は少なくなかったと思う。
日本橋→五街道の起点→交通の要所→商業が盛ん、ぐらいでも良いんじゃないかな。
字数が厳しいので、要点を1つ述べればよい。

(9)参勤交代について江戸幕府は、
3代将軍の時に出した武家諸法度の中で次のようなことが定めています。

大名が国元(領国)と江戸とを交代するよう定めるものである。毎年夏の4月中に江戸に参勤すべきである。従者の人数が最近大変多い。領国の支配の上での無駄であり、領民の負担である。今後、分相応に従者の人数を減らすべきである。・・・

江戸幕府が参勤交代の制度を設けた目的の一つとして、「移動や宿泊などの出費により大名の財政を圧迫すること」があげられることもありますが、上記の引用文を読むとどうやら違うようです。
どうして間違いだといえるのか、【引用文では】につづく形で、引用文に基づいて60字以内で説明しなさい(★★)
(引用文では)従者が多いのは領民の負担であると書かれているので、
幕府は従者の人数を減らして、むしろ財政の圧迫を防いだといえるから。
(58字)

*サボも財政圧迫のためと歴史の授業で習ったよ。。
解答の道筋は立てやすい。
が、60字とそこそこ面倒くさい字数でまとめなくてはならないのが苦痛。
試験時間がとにかく足りないから、本問で時間を消化し過ぎるのも危険。
【引用文では】につなげるので、前半に武家諸法度の該当箇所をコンパクトにまとめ、
後半に、参勤交代の目的が財政圧迫でない理由をもってくる。

従者の数が多くなったのは、大名たちの見栄だったそう。
行列が長いほど多くの者たちを従えているように見えるので、権力の大きさを誇示したとか。

(11)現在の日本橋に足を運ぶと、あちことに「日本橋」と書かれた銘板(めいばん)を目にしますが、この字は、東京市長だった人物からの依頼を受けた徳川慶喜によって書かれた字を元にしているのだそうです。下に掲げたのは、その東京市長だった人物の年表です。

東京市長だった人物の名前を漢字で答えなさい(★★★★)
尾崎行雄
*年表の人物を求める。小学生には難しい人物。
尾崎行雄といえば護憲運動の場面でよく登場する。以下、彼の略歴。
 
国会開設や憲法制定を急進した大隈重信とともに下野し(1881年;明治十四年の政変)、翌年、大隈が党首を務める立憲改進党へ参加。第1次大隈重信内閣隈板(わいはん)内閣ともいう)では初の政党内閣が結成され、尾崎は文部大臣に任命されるが、共和演説事件尾崎行雄が財閥批判の目的で、『もしわが国が共和制をとったら財閥の三菱や三井が大統領の候補者になるだろう』と演説した)で、君主たる天皇を否認する不敬を問われ、大隈内閣は短期間で辞職に追い込まれる。
犬養毅とともに護憲運動を展開。大正政変では民衆のデモをきっかけに第3次桂内閣が総辞職する。官僚制度や軍国主義への批判をしつづけたことから、別名「憲政の神様」とあがめられた。
25回と史上最多の当選回数で、実に63年間も衆議員をやったタフな政治家!

大問3

風に関する設問
(1)
①日本におけるこの種の局地風は「颪(おろし )」という呼称が多くみられます。
図1中のア~ウに適する「おろし」について、正しい組みあわせを選びなさい(★)

1 ア:知床おろし  イ:北上おろし  ウ:蔵王おろし
1 ア:津軽おろし  イ:秩父おろし  ウ:石見おろし
1 ア:庄内おろし  イ:土佐おろし  ウ:筑紫おろし
1 ア:赤城おろし  イ:鈴鹿おろし  ウ:六甲おろし

*地名当てクイズ。推測が容易。
北上→北上山地→岩手  石見(いわみ)→石見銀山→島根
鈴鹿→鈴鹿山脈・鈴鹿サーキット→三重 六甲→六甲山→兵庫
赤木山 は群馬。冬の関東平野で吹く「からっ風」は群馬では赤木おろしといわれる。


↑グンマーの赤木おろしの脅威。自転車通学は試練。
 
蔵王(ざおう)は山形と宮城の間。山形方面に蔵王温泉がある。
火口にできた湖(火口湖)と樹氷が有名。


↑樹氷。別名スノーモンスター。雪が樹木を包み込む。(By蔵王国際ホテル

②日本各地に吹く「おろし」は、山脈を越える時に起こるフェーン現象をともないます。
「おろし」の吹く条件や背景などをまとめた下表について正しい組み合わせを選びなさい(★★★)


*風が山を越えるフェーン現象
一般的に、風が吹き下ろす(おろしが吹く)方は高温かつ乾いた風が吹く。
なぜ高温になるかというと、同じ高度の上下運動でも多分な水蒸気を含んだ状態での高度上昇による気温の低下より、乾燥後の高度下降による気温の上昇の方が変化の度合いが大きいから。
1:偏西風は西から吹くので、おろしを受ける場所は山脈の反対側である太平洋側。
2:移動性高気圧は、主に春や秋にやってくる。風向は一定ではない。
3:フェーン現象で温度は上昇するが、シベリアからの季節風が非常に冷たいので、おろしの体感温度も下がる。〇
4:夏のフェーン現象で、おろしは日本海側に吹く。おろしの温度は高くて暑い。

(2)
2016年12月22日午前10時半頃、日本のある自治体の中心市街地で大火事が起きました。
写真1は上空からの延焼写真で、図2は当時の天気図です。また、この自治体を通過する地質構造線は、明治時代にある国の地質学者によって命名されています。

①写真1のような大火事になった理由として、木造家屋が密集していたことがあげられます。
加えて当時の気象条件(図2参照)も関わりが深いのですが、これを説明する文として適切なものを選びなさい(★)
1:大陸から日本海を経てやってくる冬の北西季節風により、海岸部の納屋などの木造家屋が密集した漁村を火元にして、内陸部へと延焼してしまった。
2:冬季であるにもかかわらず、日本海に進んできた低気圧へフェーン現象をともなう南寄りの強風が吹いていたため、内陸部から海岸部に向けて延焼してしまった。
3:日本海に進んできた低気圧から、冬にしては暖かい風が吹き出し、家屋に併設された融雪温水用の燃料タンクに次々と引火してしまったため、延焼が拡大した。
4:この自治体では過去に幾度かの大火事を体験しており、その都度道幅を広げるなどの対策をしてきたものの、当時の暖かく湿った南東風により延焼してしまった。

*糸魚川で起きた大火事の原因を天気図をもとに探る。火元は中華料理店のコンロだった。写真1をみると、煙が日本海側に流れている。図2では日本海の低気圧に向かって南風が吹いている。
3:暖かい風から燃料タンクへの引火の流れが不自然。
煙が海側へたなびいていることに触れていない。
4:家屋が密集しており、道幅は狭い。南東風ではなく南風。フェーン現象で風は乾燥している。

②写真1のような大火事は1976年10月29日午後5時過ぎに日本のある自治体でも起きています。
この日の消失区域図(図3)や天気図(図4)を参考に、その自治体名を下記より選びなさい(★★)なお、図4の説明文中の□にはこの自治体に該当する語句が入る。
1:山形県酒田市  2:愛知県豊橋市  3:香川県高松市  4:宮崎県延岡市


*大火事が起きた場所を天気図をもとに当てる。
図3では東側に焼失区域が広がっている。西風が吹いているところを探す。
天気図は矢みたいな棒が指す方角が風向。風向から風が吹く。
よって、山形が正解となる。日本海側から内陸に向けた西風の影響で、東側に火が広がった。

③写真2は長野県内の峠にて撮影したものです。
写真1・図2の大火事が起きた自治体を通過する地質構造線は「フォッサマグナ」の西の縁ですが、写真2の空らんにも入る命名者の名前出身国名をそれぞれ答えなさい(★★★★)

ナウマン、ドイツ
*フォッサマグナの名づけ親を記入する。高校生レベル。
ドイツ出身の地質学者で明治初期に来日したお雇い外国人の一人。
フォッサマグナを発見。ナウマンゾウの「ナウマン」もこの方。

④写真2の峠は「分水嶺(ぶんすいれい)」でもあります。
この撮影地点における「分水嶺」の意味を説明しなさい(★★)
降り注いだ雨水が日本海側と太平洋側のいずれに流れるかを決める境。
*分水嶺の意味を知っていればラッキーだが、知らなくても写真2をみれば推測できる。
嶺(れい)は峰。高い山の頂。
「この撮影地点における分水嶺」なので、きちんと【日本海・太平洋】を記入すること!


(3)写真3は東京都西多摩郡檜原(ひのはら)村にある風穴で、
図5はこの風穴を利用した「ムロ」と呼ばれる冷蔵倉庫の復元図です。
風穴とは山の斜面から天然の冷気が吹き出す穴で、通年10℃未満の低温に保たれています。
日本の風穴はその特性を活かして、各地で明治時代から昭和初期まで日本の重要な輸出品だった
あるもの」を生産を支える場として利用されていました。
この「あるもの」の生産地は地図記号【(注)】の分布地域と関連することが多いのですが、
あるもの」の名称とその生産における風穴利用のメリットを説明しなさい(★★★★)
(注)この地図記号は平成25年図式の2.5万分の1の地形図から廃止されました。
 
あるもの…生糸
風穴利用のメリット…風穴による低温で蚕のふ化を遅らせ、生糸の原料である蚕のまゆを安定的に供給できるようにする。

*良い問題(*’ω’*)
「あるもの」は、日本の主力であった輸出品と桑畑の地図記号から生糸とわかる。
問題は風穴利用のメリット。
生糸は蚕の繭(まゆ)を紡ぐ。蚕は生き物。蚕は卵→幼虫→さなぎ→成長と完全変態をするが、生糸の原料となるマユはさなぎになって得られる。卵からふ化して蚕がマユを作るまではおよそ1ヶ月かかり、生糸をつくろうとしても原料が生き物であるから自然の成長を待たなくてはならない。また、マユは天然のもので長期保存できないので適切な時期に適量のマユを得られる保証がない
そこで、風穴の低温を利用する。
一般的に生物の卵は低温にいれると、ふ化の時期が遅くなる。風穴の低温と暗室に蚕の卵を保存することで蚕がさなぎになるタイミングを調節し、まゆを安定的に供給することができる。
 
明治時代までは、蚕は年一回、春にしか飼育できなかったそう。
一年分の蚕のマユを一気に収穫して、それを貯蔵しておく必要があった。
今では蚕の研究によって人工的にふ化させる方法が開発され、
いつでも必要な時期に蚕をふ化させることができるようになった。

(4)図6は飛行機が飛ぶしくみを示しています。
翼の上下における風(空気)の流れが異なるために、圧力差が生じ飛行機を浮かせる力である揚力(ようりょく )が発生しています。近年、日中に高温となるアメリカ合衆国のアリゾナ州や西アジア(中央)、標高の高いラテンアメリカの空港などで、飛行機の離陸や飛行に必要な揚力が十分に得られないために、欠航や大幅遅延、離陸時間の夕方・夜への移行などが起きています。
この問題は今後、日本の空港でも起きるのではないかと懸念されています。
このように飛行機が十分な揚力を得られないケースが起きている理由を答えなさい(★★★★★)

高温や気圧の低下により空気が膨張することで、空気の密度が小さくなる。
すると、翼の周囲を流れる空気の量が減り、翼の上下にかかる圧力差が小さくなって
十分な揚力が得られなくなるから。

*前問のように、複数の科目を横断する形式もあるのですが、
本問の解答プロセスは、えげつないほどの理科モロ出し…(^^;
 
重い機体が宙に浮く理由を述べる。
まずは問題文を理解すること。
日中の気温が高いところ、もしくは標高の高いところでは、
上向きの力である揚力が機体へ十分にかからない。
なぜ揚力が不足するのか?
図6をみると、揚力が発生する要因は翼にかかる上下の圧力差による
翼の下部は空気の流れが遅く、圧力が高い。
翼の上部は空気の流れが速く、圧力が低い。
すると、圧力の低い方へ翼がもっていかれる。これが機体を浮かす動力源となる揚力である。
十分な揚力が選らないということは、翼の上下の圧力差が小さくなることを示す
これを高温と、標高の高さからつなげる。

温度が高いと空気の粒子が激しく運動することで空気は広がろうとする。空気は膨張して軽くなる。標高の高いところは気圧が低い。気圧が低いと、外から中に空気を押す力より、空気の中から外へ押す力が強くなり、同じく空気が膨張する。
 
空気が膨張すると空気の密度が小さくなり、空気が薄くなる。
つまり、一定の空間範囲で空気の粒子の数が減る。空気の質量が減る。
空気の質量が減ると、翼の周囲を流れる空気の量も減る
すると、より多くの空気を翼にあてないと圧力差が大きくならないので、
翼の上下の圧力差が小さくなり、揚力が小さくなる。

ちなみに、翼の上と下で速さが異なる理由は、翼の上を通る空気も下を通る空気も、翼が空間を横切れば翼の後部で同時に合流するが、到達時間が同じであれば道のりと速さは比例なので、距離の長い上ルートの速さは速く、距離の短い下ルートの速さは遅くなるから。
では、空気の流れが速いと、なぜ圧力が低くなるのか。
これはベルヌーイの定理とよばれる流体力学の法則による。詳細は理系の大学で・・。

論理のつながりが多いので、完ぺきに説明するのはシビア。
『空気の膨張』の出発から、『上下の圧力差』へどう帰結させるか。部分点を狙いたい。
まさか社会科で自然科学の原理を説明させるとは・・(p_-)

@データ@
配点75点
受験者平均・・36.8点(4割9分)
合格者平均・・42.5点(5割6分)
受験者最高点63点(8割4分)  合格者最低点20点(2割6分)

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note書いています(*'ω'*)
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