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2018年度 千葉県公立高校入試【後期】国語解説

平均55.7点

問題はコチラ→PDFファイル(長文読解の本文はありません)

大問1(リスニング)-83.5%

ちばアクアラインマラソンを応援するためのキャッチフレーズを話し合いで決める。
解答時間は(1)18秒、(2)15秒、(3)は12秒。
(1)エ 91.6%
*「海と走る」と「海を走る」。
それぞれの表現の工夫と効果が述べられている。
学テにも似たような問題がでてくる。

(2)イ 94.7%
*他が明らかな誤答。消去法がいいかも。

(3)リズム 56.6%
*事前にサッと問題文に目を通しておくと有利。
田中は反復法、木内は五・七・五。

(4)ウ 90.9%
*司会の進め方。
司会は交通整理の役なので、
適宜(てきぎ:状況に応じて)要点を整理しつつ、
他者に意見を求め、それをとりまとめていく。
エ:2つから1つを絞るといったのに、いまさら3つ目は不要。

↑個人的には「海を走る 海と走る」が良いかなぁ。
2018年度は10月21日に開催され、4月13日~5月8日にエントリーできるそうです。
詳しくはコチラへ→ちばアクアラインマラソン2018

大問2(漢字読み)-59.9%

(1)むさぼ(る) 53.7%  (2)こと(に)  16.4%!
(3)おんびん  83.0%    (4)いちもうだじん  86.5%
*1・2、とくに2がヤバめか。
【貪欲】は、「欲を貪る」と書く。
【殊に】・・とくに、とりわけ。
【特殊】は、「他と性質が異なる」。
【殊更】(ことらさ)は、「わざと、とくに」。
左側の”歹”はカバネというそうで、骨を削った残りの一部の形を表す(死と似ている)。
右側の”朱”は、木に切り込みを入れることから、切り殺す。
『殊』はもともと切り殺すという意味だったが、
のちに”特別”という意味になったらしい。。
【一網打尽】…一度の網で魚を一挙に捕らえる。転じて、悪い輩(ヤカラ)を全員しょっぴく。

大問3(漢字書き)-61.5%

(1)蒸(す) 67.0% (2)反(らす) 55.8% (3)運賃 76.7%
(4)汽笛  35.0%  (5)卵黄 73.0%
*キテキが厄介か。
弓なりに曲げることを”反らす”という。

大問4(物語文)-56.9%

(1)ウ 56.8%
*満麿が中国の大連で描いたとされるスケッチブックをみた先生が、
「元町のガクブチ屋の絵だね」と感想を述べるシーン。
『元町のガクブチ屋にはきれいな絵がならんでいた。、それを図画教師がむしろ( A )しきっていることは、 わたしにもその語調でわかったものの・・』
【きれいな絵】の逆接なので、マイナスな言葉が入るはず
アの【困惑】は、どうしてよいのかわからず、戸惑うこと。
先生の言葉には戸惑いの要素が見当たらないので、ウの軽蔑がはいる。
さらに読み進めて、『「君は才能があるんだから・・今の描きかたをこわすようにやって見給(みたま)え」最後のことばは、やさしい調子になっていた。』からも、はじめは手厳しい口調であったと推測できる。

(2)エ 63.6%
*満麿の絵に対し、『もっと思い切って描かないといけないね』と軽く窘めた(たしなめる;注意する)一方で、わたしの絵のほうがずっとおもしろいと誉めた図画教師の心境を問う。
直接的にはわたしの絵を誉めているが、満麿とわたしの絵を比べるような形で述べたということは、満麿にも先生は何かを伝えたかった。
『君はうまいよ』―満麿が絵の技量に優れていることを先生はわかっていた。
『君は才能があるんだから、いまのまま固まってはいけない。いまの描きかたをこわすようにやって見給え』
わたしの絵に神経はあるが、満麿の絵には神経が通っていない
画力はあるが、絵の本質を捉えていない。
図画教師の立場から、彼の才能を引き伸ばすメッセージがこめられている。
ウ;”神経”とは絵の基礎ではなく、絵を描くことの本質。

(3)イ 63.3%
*図画教師の言葉にショックを受け、怒りをにじませる満麿。
つまらぬなことで仲たがいをしたわたしは、
晩秋に開かれた絵画部の展覧会で満麿が提出した一点の水彩画をみる。その絵は真ん中にトンネルがあり手前には真っ赤な枯草がボウボウと生い茂っているだけだった。
『最初にわたしをびっくりさせたような丹念な筆致がない』。
【筆致】に注釈がない。筆致とは筆の使いぶり
手間がかけられた筆の使いぶりではなかった。
まして、元町のガクブチ屋の絵ではない』。
構図は単純だが、枯れ草のもの寂しい感じや、トンネルの空虚な重さといった情感があった。小手先のテクニックにこだわらない、満麿流の神経が通った絵にわたしは感銘を受ける。図画教師からのメッセージのもと、今までの描きかたを壊して生まれた新しい絵に。

(4)ア 74.7%
*展覧会に展示した自分の絵の感想をわたしに尋ね、
『一番よかった』と聞いた満麿が『ほんとか。・・・よし』と述べる。
うしろ、『その「よし」というときは気合いをかけるような調子になった』。
最後の段落にもあるように、満麿は図画教師の言葉が頭のなかでひっかかっていた。
そこからどんな修行を積んだのかは知らないが、
わたしが展覧会でみた満麿の絵は、元町のガクブチ屋の絵ではない、
今までの満麿の作風とは大きく異なる、情感に富んだ絵であった。
わたしに絵を誉められ、青空に目を据えた満麿の視線の先にはどことなく自信や向上心が感じられる。自身の成長を直につかみとった瞬間に違いない。
イ:有頂天は舞いあがって調子に乗ること。
ウ:和睦(仲直り)はすでにしている。

(5)解答例:絵を描くことに対する満麿の考え方に共感できた気がしたから。(29字)
5点-14.5%! 1~4点-17.3% 無答-25.7%

*これ迷いました。
公式解答では、おそらく傍線部のうしろの部分から、
満麿が展覧会に提出した絵の素晴らしさに共感できたとありますが、
サボの解答は特定の絵ではなく、絵画全体のことを意識して書きました。
以下、サボ流の解釈。
 
「共感」という言葉を使うので、わたしが満麿の何に共感したのかを考える。
『お前は、絵がわかる』
その満麿の一言を聞き、わたしは身うちがゾクゾクするほどうれしかった。
満麿の絵の技量の高さを、わたしはよく知っていた。
図画教師でさえも、それは十分承知していた。
展覧会の絵をみたわたしは、さらに磨きのかかった満麿の水彩画に感心する。
これほど絵の上手な人に『お前は、絵がわかる』といわれたら、どう感じるだろうか?
 
サッカーがうまい人にサッカーを誉められた。
有名なピアニストにピアノを誉められた。
一流の科学者に勉強のことで誉められた。

自分の及ばない、自分よりもうえの世界にいる人間に、
その者が精通する分野で誉められたら嬉しいと感じる
に決まっている。

 
何故、嬉しいと感じるのか?
その人には及ばないと知りながらも、
その人に少しだけでも近づけた”と感ずるからではないだろうか。
同一の分野で共鳴し、共感を覚える。
わたしが描いた絵を誉められるシーンではないが、
満麿が描いたあの絵の素晴らしさを通じて、『お前は、絵がわかる』と評価されたら、
絵に対する満麿の考え(芸術観とか美意識など)に一歩近づけた(触れられた)高揚感を覚え、
”身うちがゾクゾクするほど嬉しい”感情に満たされるはずである。

このゾクゾクは特定の事物というより、分野全般に広げて感ずる方が多いと思われる。
 
@同一視@
心理学の防衛機制(葛藤を克服するための防御反応)の1つに同一視というものがある。
これは、自分では叶えられないものを他者がもっていた場合、
その憧れの対象となる他者を自分に重ね合わせて(同一視をして)、
おのれの欲望を満たす心理的な仕組みを指す。
あまりこういったメカニズムの解明は好きではないのですが、
わたしも満麿の絵に対する考えと同一視したのではないかと思われます。

本当は、『絵に対する考え』にしたかったのですが字数が足りなかったので、
(2)エの『絵を描くことの本質』から借り、『絵を描くことに対する満麿の考え方』とした。

(6)ウ  68.4%
*物語の視点は「わたし」。
絵の才覚に恵まれた満麿は一度挫折をするが、その後、とんでもない絵を描いて、
四十年以上経った今でもわたしの大脳の壁面に褪色(たいしょく:色あせる)することなく掛かっている。旧制中学校で出会った友と、友の描いた絵を回顧するストーリー
テーマが絵画であるからか、視覚的な表現がところどころにちりばめられてる。
『筆致はこまやかで、色調が美しい』
『富士山とか山の湖とか、色つき写真のようにきれいな絵』
『手をうしろに組んだ、背の低いうしろ姿が遠ざかっていった』
満麿が描いた水彩画の鑑賞文。
『冬にはいってポプラの葉はいっせいに散り、空だけが青い』
『大脳の壁面に褪色することもなく掛かっている』etc..
目に映った情報をこまやかに描写しようとする思いや視覚的な効果をもつ比喩表現がみられ、情景を浮かびやすくしている。

大問5(説明文)-37.7%

(1)イ 24.1%!
*国文法。「ような」の区別。
「ような」は助動詞「ようだ」の連体形。
■助動詞ようだの3つ用法■
①手前に”どうやら”をつける→推定
②手前に”まるで”をつける→比況(比ゆ)
③手前に”たとえば”をつける→例示
本文:『何か大事なものを失くしたような気分になる』
→まるで~ような(比況) いかにも比喩っぽいのでわかりやすい。

ア:推定 イ:比況 ウ:推定 エ:例示?
ウがちょっと紛らわしい。
『何か大事なものを失くしたような』は実際に大事なものを失くしたわけではない→比況
対して、『あなたとは以前にお会いしたような』は会ったかどうか不確定である→推定

(2)ウ 71.7%
*『その情景をきっかけに、私の記憶は息づき始める。』の挿入場所を求める。
「記憶」の説明が登場するのは第2段落なので、アは違う。
『その情景』に続くので、手前に情景を描写する文がある はず。
句の光景を解説する段落の最後、【ウ】と判断できる。

私たちの記憶は曖昧だが、何かのきっかけで甦(よみがえ)らすことができる。
その糸口の1つが俳句。十七音の短い言葉で記憶の糸をたどることができる。
『私の記憶は息づき始める』→眠っていた記憶が呼吸をしはじめる。
句の情景から次の段落で、かつて更地には眼医者が住んでいたことを思い出した。

(3)残暑 40.0%
*秋の季語を書かせる設問。
ただし、この俳句に用いられている言葉以外から抜き出すこと
ムクゲ使えないぢゃん(´゚д゚`)
というわけで、本文から2字熟語を探す。
作者の句が秋の句だから、句の解説がある第3段落。
残暑厳しいある日』
残暑とは、立秋(8月8日頃)を過ぎても残る暑さ。

↑木槿(むくげ)。白と赤がマッチングして鮮やか。
秋の季語だそう。写真はWeblioから。

(4)ア 61.5%
*作者が書いた金盥の句で、私(作者)は眼医者をありありと思い出すことができる。
→〔 A 〕→この句から、別の記憶が呼び覚まされる読者もいるだろう。
前半は作者が思い出す記憶。後半は読者が思い出すであろう別の記憶。
並列の関係。

(5)エ 46.8%
*特別な出来事は事細かく思い出せる一方で、何もなかった日常の日々は思い出せない。
これを筆者がどのように考えているのか。
うしろ、『それは見慣れた・・・するように私を心許(もと)ない気持ちにさせる』
【心許ない】・・頼りなくて不安を感じる。気がかり。
そのうしろ、『思い出せないから・・・のだが、何か大事なものを失くしたような気分になる』
筆者は、何事もない日常を大切に思っている。

(6)いずれも解答例
Ⅰ:わずかな情報量 (7字) 4点-19.2%! 1~3点-1.6% 無答-28.1%
Ⅱ:甦らせてくれる豊かさを内含する (15字)
5点-16.6%! 1~4点-9.2% 無答-30.1%

*本文の言いたいことはわかりやすいと思う。
俳句は日常の何でもない日々の記憶を甦らせてくれるもの
最後の文だが、ところどころに似た表現がでてくる。

Ⅰ:『俳句は限定された十七音の言葉が[ Ⅰ ] をもつだけのものだが
逆接の手前なので、筆者の言いたいことの前置き。
このような条件記述は、本文の該当箇所を探す。
『十七音』が登場するのは、『たった五七五、十七音しかない俳句が・・』の段落。
読み進めていくと『五七五に限定された言葉が直接指し示すものの情報量はわずかだが
限定された十七音の言葉は〔わずかな情報量〕をもつだけのもの、となる。
 
Ⅱ:非常に書きにくい。
『(俳句は)忘れ去る記憶を〔 Ⅱ 〕ものでもある。
解答の骨子は、”甦らせてくれる”。
しかし、指定ワードの[豊か]をどう使うかで悩む。
〔豊か〕が出てくるのは、Ⅰの手前、『十七音しかない俳句が豊かな内容を持ち得るのは、
このように読者が脳裏に収めているさまざまな情景を思い出すという過程を内含しているから』。

俳句が豊かでありえる=情景(忘れ去る記憶)を思い出す過程を内含しているから。
俳句は”(忘れ去る記憶を)思い出させる(甦らせてくれる)豊かさを含むもの”。
 
公式解答では、『豊かに思い出させるきっかけになる』としているが、
これは俳句が失くした記憶を思い出させる態様が、”豊か”であると形容することになる。

大問6(古典)-54.5%

(1)いにしえ 95.3%
*先頭以外のハ行は、「ワ・イ・ウ・エ・オ」
「古」とかいて、イニシエと読む。

(2)花鳥風月の友 35.5%
*2行目。三人の人物紹介が終わったあとにある。
古文は登場人物を○で囲っておいたほうがいい
【花鳥風月】は自然界の美しいもの、風情や風流を楽しむことを指す。

(3)Ⅰ:料理 75.1%
Ⅱ:解答例)自分のところに戻ってきてしまう(15字)
3点-31.0%! 1~2点-4.4% 無答-19.7%

*Ⅰ:話を要約すると、浦井が医者(鍼医)に送った鯉が園池へ進上され、園池は浦井へあげた。
【進上】とは、物を差し上げること。
浦井があげた鯉がまた自分のところへ戻ってきた。
自分が贈った鯉魚が、だれにも〔 Ⅰ 〕されることなく
鯉が何をされなかったのか。想像もしやすい。『料理はなさで』
『参らせたる』は、進上するを意味する「参らす」に完了の助動詞「たり」がくっついている。
Ⅱ:『(自分が贈った鯉魚が)、結局は〔 Ⅱ 〕こと
ここも書きやすかったと思われる。自分があげた鯉がめぐりにめぐって戻ってくる。

(4)ア 35.0%
*最後の短歌が表す内容を問う。なかなか面白い。
よ~く観察すると、『はり先に かかりしを そのへ はなせばもとの 浦井へぞ行く』
三人の登場人物の名前が隠されている。

大問7(条件作文)-26.2%

10点-26.2%! 6~9点-33.7% 1~5点-19.3% 無答-3.7%

友達同士のコミュニケーションに関する自由作文。
意見Aは、できるだけ言葉にして表す。
意見Bは、全部を言わず、できるだけ察し合って心を通わせる。
前半にいずれの意見を支持する理由を述べ、
後半に友達とのコミュニケーションにおいて大切にしていることを述べる。
 
意見Aであれば、言葉に表すことで意思を明確に伝え、
言葉足らずによる誤解を防ぐことができる。
その代わり、相手の言葉をきちんと聞き入れ、相手の意見も尊重する。
 
意見Bであれば、あえてすべてを言葉に出さないことで意見の衝突を防ぐ。
表情や声の調子といった、非言語的なコミュニケーションをうまく活用して、
相手に自分の意思を伝える & 相手の意思もきちんとくみいれる。
A・Bいずれにせよ、「相手の意見を尊重する」は入れておいて間違いはない。

ちなみに、以前、ブログの方で取り上げた、
平成28年度の「国語に関する世論調査」ではこのような結果がありました。
(1)自分の考えや意見を・・
積極的に表現する方だ  43.1%
表現することには消極的な方だ  41.9%

(2)人と意見が食い違っているときには・・
納得がいくまで議論したい方だ  24.9%
なるべく事を荒立てないで収めたい方だ  61.7%

(3)人に話をするときには・・
筋道を立てて分かりやすく話すことを心がける方だ 41.0%
相手の気持ちになじむように、やわらかく話すことを心がける方だ 47.7%

(4)友人や同僚などと意見交換をするときには・・
ふだんの人間関係を優先し、自分の意見を主張しない方だ 58.6%
ふだんの人間関係とは切り離して考え、自分の意見を主張する方だ 21.6%

結論をいえば、『→なるべく事を荒立てず、相手の気持ちになじむよう話し、
人間関係を優先し自分の意見を主張しない傾向』が表れたとのこと。
日本人は意見B派が多い模様です。
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QUIZ…☆4以上はムズいよ!
noteも書いています(っ´ω`c)
入試問題を題材にした読み物や個人的なことを綴っていこうと思います。
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