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2018年度 千葉県公立高校入試【後期】理科解説

平均67.5点

問題はコチラから→PDFファイル

大問1(太陽)-71.8%

(1)恒星 87.7%
*太陽の明るさは、地球での見かけ上は-26等級だが、絶対等級だと4.8等級ほど。

@絶対等級@
明るさは距離の2乗に反比例する。
強く光っている恒星でも地球からの距離が遠ければ、
その明るさは減衰して、地球からみると暗くなってしまう。
そこで、距離を10パーセク(32.6光年)に統一した形で恒星の明るさを比べるのが絶対等級。

光育より。
〔cd〕はカンデラ。特定の方向に光を照射したときの光の強さ。
〔lx〕はルクス。光が照らされた面の明るさ。cd÷m2=lx
上の図をイメージで記憶しよう。1mはA1つ。2mはA4つ。3はA9つ。
同じ光源でA1つあたりの面の明るさは、2mで4分の1、3mで9分の1と暗くなる。

(2)エ 81.7%
*黒点が周囲より温度が低いというのを聞いたことがある思う。
これはどうやら黒点付近を太陽の磁力線が通過しているためらしい。
太陽の詳しい仕組みはあまり解明されていない。

(3)a:ア 67.5% b:ウ 50.2%
*a:黒点の移動から太陽の自転が判明した。
太陽は水素とヘリウムといった気体のかたまりなので、
緯度によって自転周期が異なる。
赤道付近の回転は速く、自転周期は25日ほどだが、
極付近では30日ほどかかるそうだ。回転速度の異なりは差動回転とよばれる。
b:投影版に写った太陽が移動する⇒地球からみて太陽が動いて見える。
地球が自転しているからですね。
 
@太陽@
地球が属する太陽系。その全質量のうち太陽が占める質量の割合は、実に99.9%らしい(笑)
残りの0.1%程度に、水金地火木土天海+その他大勢がギュウギュウに押し込められる。
そう考えると、いかに生命にあふれる地球であっても太陽のおこぼれ的な存在感がハンパない。。


プロミネンス。画像はNASAより。

大問2(気体)-65.0%

この手の問題は先に気体をあててしまう。
実験1より、無臭→A・B(酸素か水素) 刺激臭→C・D(塩素かアンモニア)
実験2より、A=酸素
実験3より、B=水素 ポッと燃えて水となります。
酸素の実験は線香だけど、水素はマッチを使う
実験4より、脱色作用のあるC=塩素  D=NH3
(1)酸素 90.6%

(2)ア 74.1%
*水素に関する設問。
x:1種類の原子→単体  2種類以上→化合物
水素の化学式は2で単体。
y:HCl(塩酸)+
Zn(亜鉛)or Fe() or Al(アルミニウム) or Mg(マグネシウム)→H2 発生

NaOH(水酸化ナトリウム)水溶液と反応するのはAl。

(3)エ 26.5%!
*塩素の性質。空気より重く、黄緑色

(4)M群:ウ N群:イ 68.8%
*アンモニアについて。完全解答
ここも基本ですね。水に溶けやすく、空気より軽いから上方置換

大問3(電流)-57.7%

(1)解答例:一定間隔で電流の向きが変わるから。
4点-44.4% 1~3点-7.3% 無答-8.3%
*発光ダイオードは一方通行で、電流が逆になると光らない。
交流は電流の向きや大きさが周期的に変化する
 
@交流のメリット@
交流は変圧器をもって自由に電圧を変えることができる。
変圧器は電磁誘導を利用しているため、その使用には電流の向きが変わる交流が適する。
変電所で電圧を下げることで、送電中の発熱によるロスを抑え、
発電所から遠方にある電力消費地までの効率的な送電を実現することができる。
日本と電圧が異なる海外で日本製の家電を使用する際は、コンバーター(変圧器)が必需品。

(2)a:イ・オ 70.6%、b:90000J 57.7%、1分30秒 58.0%
*a:完全解答。
並列回路の電圧は等しい
電圧E(V)×電流I(A)=電力P(W)の関係から、
各々の電気器具が消費する電力から電流を出しておく。
オーブントースター・・7.5A  電気ポット・・5A  電気スタンド・・0.2A
炊飯器・・3.5A  アイロン・・9A  ノートパソコン・・0.5A  ヘアドライヤー・・10A
(発熱を伴うのは高い)
以上から、15Aを超える組み合わせを選ぶ。

 
b:ジュール熱Q(J)=V×I×t(秒)
30分は1800秒。ノートパソコンは50WでE(V)×I(A)=P(W)だから、
Q=V×I×t=50W×1800秒=90000J
 
ヘアドライヤーの消費電力は1000Wなので、
Q=1000W×t(秒)=90000J
t=90000J÷1000W=90秒=1分30秒

大問4(植物)-63.7%

先に植物を分類しておく。
アブラナ:被子植物、双子葉類(離弁花類)
スズメノカラビラ:聞いたことないが、ヒゲ根がみえるので単子葉類。
イヌワラビ:シダ植物
ゼニゴケ:コケ植物
(1)イ 52.7%
*やはり、維管束がポイント。
双子葉類の維管束は円形に整列している。単子葉類はバラバラ。
シダ植物に維管束はあるが、コケ植物にはない
単子葉類かシダ植物かで迷うかもしれない。
図2は維管束の数が少なく、2つがUの字になっている。
ここからシダ植物と判断する。

(2)ウ 64.5%
*ツツジ、タンポポは合弁花類。サクラが離弁花類。ユリは単子葉類。
具体的な植物のふるい分けはサボも苦手でした(-_-;)
種類の少ない単子葉類と離弁花だけ覚えて、その他は合弁花と押し込もう。

(3)解答例:体を地面に固定する。
4点-54.0% 1~3点-2.7% 無答-3.9%
*コケ植物の根っこは水分や栄養分の摂取という、一般的な根の働きを持たない。
これは仮根といって、主に体を固定する役割を果たしている。
コケ植物は体全体から水を吸収している
 
@コケ植物@
コケ植物は維管束がないのでサイズが小さい。
湿っていれば日陰でも育つので、体を伸ばして光を獲得する必要性がないからである。
体は小さいが、土壌のない裸地でもスクスクと育つ。

↑テレビの特集で今流行りといわれたコケアート。
流行ってはいないと思うが、完成度はすごい。
鹿児島おでかけブログより。

(4)エ 83.4%
*グループCはシダ植物とコケ植物。
これらは種子ではなく、胞子で増える。
ア:双子葉類  イ:裸子植物  ウ:雌雄同株といって雄花と雌花が同一の株にある。

大問5(化学変化)-60.8%

(1)a:発熱反応 69.3%  b:イ 88.6%
*a:熱が発生する化学変化。反対に熱を吸収するのは吸熱反応で、
塩化アンモニウムと水酸化バリウムの組み合わせがよくでてくる。
必ずしもではないが、物質は化合すると発熱し、分解で吸熱が起こる。
b:いわゆるカイロ。鉄と酸素が化合して酸化鉄になる過程で熱が発生する。
黒色の粉末Xの正体は活性炭(炭素)。食塩水とともに、鉄粉の酸化を促す。

(2)2Ag2O→4Ag+O2 31.2%!
*実験2から「黒色の粉末を熱したら白い固体が残り、発生した気体は二酸化炭素ではない」。
問題文をよく読もう!『ただし、黒色の粉末X、Yは、酸化銀か活性炭のいずれかである』。
ここを読み飛ばすと辛い。 Yは酸化銀となる。

酸素・銀・酸化銀の化学式はそれぞれ2AgAg
酸化銀→銀+酸素]にならべて、係数で帳尻を合わせる。
反応式を暗記してもいいけど、係数の処理に慣れておくと高校化学で苦労しない。

(3)3.7g 54.0%
*表を眺めると・・キリの悪い数字だが、キレイに2倍、3倍と比例関係になっている。
2.7×4.0/2.9=108/29=3.72・・ → 3.7g

大問6(生殖)-83.7%

(1)ウ 90.6%
*ア:鱗(ウロコ)は爬虫類とか魚類とか。
両生類の表皮は乾燥に耐えられるよう、粘液でヌメヌメしている。
イ:軟体動物は無脊椎動物のほう。
ウ:両生類は水中で育つ子どものときにエラ呼吸をし、大人になると肺呼吸に変わる。
肺が十分に発達していないので、同時に皮膚呼吸も行われている。
エ:外部の温度によって体温が変化する変温動物
体温が一定である恒温動物は哺乳類と鳥類が多い。

(2)イ 79.2%
*麻布中で『精子は動くが、卵子が動かないのはなぜか』という問題がでた。
卵子が動かないのは、成長に必要な栄養を蓄えておくため
運動をするとエネルギーを消耗してしまうので、ジッと待機しているのだと。
ア:精細胞将来の精子となる。精子と卵子が受精して受精卵となる。

(3)エ 76.7%
*ア:精子は精巣、卵子は卵巣でつくられる。
イ:受精卵の細胞分裂は卵割といわれる。
一般の体細胞分裂と異なり、体積は増えないので胚の大きさは一定。
ウ:卵割が進むと桑実胚そうじつはい)となり、細胞の数も増える。
細胞は各々の役割に応じて分化する。
エ:卵子が蓄えていた栄養分をもとに活動する。

↑カエルの桑実胚
生物第2部10章より)

(4)ウ 88.2%
*x:染色体が半分となり、生殖細胞が生まれた→減数分裂
y:それ以外は体細胞分裂

大問7(気象)-75.0%

(1)温暖(前線) 77.7%
解答例:広範囲に長い時間、雨が降る。 4点-63.7% 1~3点-7.3% 無答-3.7%
*半円が温暖前線。三角形は寒冷前線
空気はどれも同じように思えるが、温度や湿度の違いから大雑把な塊(かたまり)に分けられ、
その塊のなかではほぼ均質な温度と湿度を保っている。
このような塊を気団という。
暖かい気団を暖気団、冷たい気団を寒気団といい、前線はこの2つの気団の境目に現れる。
 
四国電気より。図からイメージで記憶しよう。
冷たい空気は密度が大きいので下に沈む
温暖前線では暖気団の勢いが強いので、寒気団の上部を緩やかにスライドしながら通過する。
すると、雲は横に広がるので、比較的広範囲・長時間の弱い降雨をもたらす。

一方、寒冷前線では寒気団の勢いが強く、暖気団を下からごそっと削り取るように進む。
すると、雲は縦長な積乱雲になりやすく、局所的で短時間ながらも強い雨を降らす。

(2)①ウ 86.8%
②y:イ z:エ 
両問正解-71.9% イのみ正答-18.9% エのみ正答-8.0%
*①:大きく変化していそうなところは12~18時あたり。
選択肢に12~16時がないので、16~18時が正解。
②:16~18時で大きく変わって点は、気温と風向。
シベリア高気圧からの寒気団が千葉に向かい、寒冷前線が通過したと考えられる。

大問8(力学的エネルギー)-66.6%

(1)ア 88.8%
*ブランコを思い浮かべれば容易いかと。
最下点Qまでは重力に沿って落ち、Q以降は重力に逆らうので遅くなる。

(2)ア 84.8%
*表無視でもわかってしまう。
位置エネルギー+運動エネルギーの和は一定(力学的エネルギー保存の法則
高い位置にある物体ほど落とすと衝突が大きく、運動エネルギーは大きくなる。
同じ高さならば質量が大きい物質であるほど衝突が大きくなり、同様のことがいえる。

(3)0.06J 48.8%、2秒 43.9%
*ジュール計算のデジャブ。
しかも、先ほどの表とは無関係。
仕事(J)=力の大きさ(N)×移動距離(m)
1N=100gだから単位換算して

0.3N×0.2m=0.06J
仕事率(W)=仕事(J)÷時間(s)
0.03W=0.06J÷□

□=2 → 2秒
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