2019年度 東京都立高校過去問【理科】解説

平均67.1点

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大問1(小問集合)-69.6%

(1)エ 93.8%
*ヨウ素反応なので、葉緑体で作られたデンプン。
液胞は細胞内の水分や物質濃度の調整を行い、
植物細胞の液胞は動物細胞のそれと比べて大きい。

(2)イ 56.3%
*星の年周運動。
北の空は北極星を中心に反時計回り
サボは”星は1日で361°(=自転+公転)動く”と覚えています。
30日後であれば、1°×30=30°西に動くのでc。

(3)ア 78.5%
*方位磁石は右ねじの法則で判定。
右から左に電流が流れるので左がN極。

電流が流れる方がN極。NとSが向き合う。

(4)ウ 78.8%
*年代の特定に役立つ示準化石
C:サンヨウチュウ、フズリナ(古生代)
A:アンモナイト、ステゴサウルス(中生代)
B:ビカリア、ナウマンゾウ(新生代)
ちなみにナウマンゾウの由来は、
明治時代のお雇い外国人の1人であるドイツの地質学者ナウマンで、
彼はフォッサマグナの名付け親でもある。

GIBEONより。サンヨウチュウを捕食するといわれていたアノマロカリス。
近年の研究ではそんなに噛み砕く力はなかったのではないかとの報告がある。

5)エ 65.7%
*水酸化ナトリウム水溶液⇒アルカリ性。
OH(水酸化物イオン)が溶けている。酸性はH(水素イオン)。
pHが7より大きいとアルカリ、小さいと酸

(6)ウ 48.4%
*空気→ガラスでは、屈折角は入射角より小さくなる。

(7)イ 65.8%
*炭素循環。

大気中の二酸化炭素を体内に取り込み、炭素固定をして有機物を生成。
生物Bは植物を食べる草食動物。生物Cはそれを食べる肉食動物。
生物量はC>B>A。
これらの死骸や廃棄物を分解者(生物D)が無機物に分解し、
炭素Cは酸素Oと結びついて、再び大気に取り込まれる。

大問2(総合問題)-74.6%

〔防災に関するリード文〕
(1)ア 68.1%
*NaCl(塩化ナトリウム)→Na+ナトリウムイオン)+Cl塩化物イオン
水に溶けた食塩をろ紙ですくえないということは、2つのイオンがろ紙の穴よりも小さい。
蒸留は液体を熱して気化され、気体を冷やして液化する。混合物の分離で用いる。

(2)ウ 84.7%
*ジュール熱Q=V(電圧)×I(電流)×t(時間)
消費電力=W(電力)×t(時間)=V(電圧)×I(電流)×t(時間)
同じ式になる(‘ω’) よって、消費電力が大きいと発熱量は大きい。
電力は電流が1秒間にする仕事量。
その仕事が全て熱を発する仕事に変換されれば、ジュール熱の量は消費電力に相当する。

後半は、計算せずともW数の高いドライヤーを使えば、
ブレーカーは落ちるだろうと想像できてしまう。
一応計算すると、
ストーブの消費電力1000W÷100V=10A…ストーブに流れる電流量。
残りは、15A-10A=5A未満であればセーフ。
5A×100V=500W未満であれば、ブレーカーは落ちない。

(3)エ 75.3%
*傷口を固める→血小板(B)。
デカイAは白血球。
フルーツポンチに入った白玉粉みたいなAが赤血球。
白血球のみ核がある。

@血液凝固@
出血した場所は止血しなければ血液が体外にでてってしまう。
血管が破れ、血液に酸素が触れることがサインとなり、破れたところに血小板が集まってくる。
ただ、血小板は小さいので、流血を完全に防ぐには血液(血しょう)に含まれる
フィブリノーゲンというたんぱく質が活性化して
フィブリンに変わり、
このフィブリンが網状に広がることで赤血球や白血球をまとわりつかせ、
粘り気の強い血餅けっぺい)となって固まり、止血が完了する。


英語ですけど(^^;最初に登場する白いのが血小板。
壊れた血管から出た凝固因子とピョコとくっつくと血小板が活性化して形が変わる。
血液を凝固する因子を放出し、血しょう(血液)の中でトロンビンとよばれる酵素が作られ、
トロンビンが同じく血しょうに含まれるフィブリノーゲンというたんぱく質をフィブリンに変換。
フィブリンはぐじょぐじょした繊維状で、これに赤血球など血球がくっついて傷口を補強する。
うまくできてますね。

(4)イ 70.4%
*上空は気圧が低い。
気圧が低いと空気を外から押す力より空気の中から押す力が勝るので、空気が膨張する。
膨張で空気は外側に仕事をするので、熱を消費して空気の温度は下がる。
外部と熱のやり取りのない膨張=断熱膨張)。
露点に達すると液化して雲の粒ができる。
寒冷前線は寒気の力が強い。
冷たい空気は重いので、暖気の下へもぐり、暖気を押し上げ、上昇気流が生じる。

四国電気より。寒気と暖気の境界線に注目!
左の寒冷前線では雲の形状が縦長になるので積乱雲となる。
右の温暖前線では雲の形状は横長になるので層雲をつくる。


大問3(地震)-53.4%

(1)ウ 75.8%
*震源でP波とS波が同時に発生。P波の方がS波より速い。


P波(縦波)とS波(横波)の違い。
P波は速く、S波は大きなエネルギーを持つ。
P波は波の進行方向と平行な振動で、疎密波ともいわれる。

(2)エ 81.7%
*初期微動継続時間が短く、主要動の大きいAが震源に近い。

(3)1-38.5km 17.2%!
2-3.5km遠ざかる 34.5%
*Cの初期微動感知は16:13:50。
この6秒後の16:13:56にXで主要動が到達する。
表から、震源距離と主要動の関係に着目する。

 震源距離  主要動
 C  35km  16:13:55
 X   □km  16:13:56
 D  77km  16:14:07
 E  105km  16:14:15

CE間で、震源距離の差は105-35=70km
主要動到達時刻の差は20秒。
〔距離が70km違えば、主要動の到達は20秒異なる〕
1秒あたりでいえば、70km÷20秒=3.5km。
つまり、3.5km遠くなれば主要動は1秒遅れる…(2)の答え
CX間の主要動は1秒違う。
□=35+3.5×1=38.5km…(1)の答え

(4)ア 57.7%
*海洋プレートは密度が大きいため、大陸プレートの下に沈む。
プレートが沈む場所は海溝とよばれる深い溝ができ、海溝に近い地震ほど震源は浅い。

大問4(植物)-50.9%

(1)エ 74.8%
*子房の中に胚珠がある。
子房が果実になり、胚珠が種子となる
やくはおしべの先端にある、花粉をつくるところ。
裸子植物では花粉のうで花粉がつくられる。

(2)ウ 44.1%
*かけ合わせて黄色になったということは、黄色が優性で緑色が劣性。
Pは純系黄色AA、Qは純系緑色aa。

 A  A
 a  Aa  Aa
 a  Aa  Aa

↑かけ合わせた結果。生殖細胞はAとaをもつ。
結果3では優性の黄色ばかりになった。

(3)1-イ、2-ア、3-イ 33.8%
*AAもAaも個体は黄色になる。
黄色のエンドウであるXが、どちらの遺伝子かを知りたい。
ここで、かけ合せるYが純系の種子AAだと、
XがAAでもAaでもすべて黄色になってしまうので判別ができない。
よって、Yは純系の緑色aaを用いる…1
【AAとaaの組み合わせ】

 A  A
 a  Aa  Aa
 a  Aa  Aa

すべて黄色になる…2

【Aaとaaの組み合わせ】

 A  a
 a  Aa  aa
 a  Aa  aa

黄色:緑色が1:1となる…3
結果の違いで、XがAAかAaかがわかる。


大問5(酸化還元反応)-58.7%

(1)ウ 74.1%
*質量が変化しなくなる理由は、銅が十分に酸素と化合したから。
問題文では「色が変化するまで十分に加熱した…(2)」とあるので酸素不足はない。
2Cu+O2→2CuO
銅+酸素→酸化銅

(2)公式解答参照 72.7%
*表にすべてが書かれてある。
表の一番上を横軸、一番下を縦軸にプロットして、原点を通るように直線をひくと比例になる。
1目盛りの値には気をつけよう!横軸は2目盛りで0.10g、縦軸は1目盛りで0.01g。

(3)ア 51.7%
*結果2で残った赤色の物質は銅。
酸化銅は〔銅+酸素〕の化合物で、酸素が炭素とくっつき

酸化銅から取り除かれることで銅が生まれる。
酸化銅の還元式は、
2CuO+C→2Cu+CO2
酸化銅+炭素→銅+二酸化炭素

還元は酸化物から酸素を取り除くこと
還元される物質は酸化物である酸化銅で、還元の結果、銅ができる。
この還元は、炭素が酸化銅の酸素と結びつく酸化を利用している。
酸化と還元を同時に行うので、酸化還元反応とよばれる。

(4)イ 36.2%
*炭素は全て反応したが、結果2では赤色(銅)の他に黒色の物資が残っている。
これは酸化銅で、還元されなかった酸化銅が試験管Aに残っている。
残った酸化銅を求めるには、はじめの酸化銅から還元した酸化銅の量をひけばいい。
還元した酸化銅(CuO)はO原子がとれ、そのOとくっついていた分だけCu(銅)に変わる。
残った酸化銅=はじめの酸化銅-出ていった酸素-還元でできた銅

はじめの酸化銅1.00gから、酸化銅と銅の混合物である0.84gの差、
0.16gは炭素と結びついて出ていった酸素の量である。
これに伴い還元でできた銅の量は、前ページの結果1を参考する。
結果1の表をみると、銅:酸素=4:1
銅④+酸素①→酸化銅⑤
酸化銅➄→銅④+酸素①
0.16gの酸素①から、銅④は0.16×4=0.64g
残った酸化銅は、1-0.16-0.64=0.20g
〔銅:酸素〕=4:1は常に成り立つ。

大問6(力学的エネルギー)-51.2%

(1)エ 58.4%
*重力は常に鉛直方向(真下;地球の中心に向かう)→Q
小球Aの速さは基準面(④)に近いほど速く、遠ざかると遅い。
運動の向きは物体が動く方向で変化している→S

(2)1.7m/s 36.6%
*а~c間は平坦な道で、〔0.1秒間で17cm〕を
動いている(等速直線運動)。
これを秒速に直して、170cm/s→1.7m/s
単位換算に注意!

(3)1-イ、2-ウ 58.7%
*図2①~③→高いところから低いところに小球Aが移動し、加速する。
〔位置エネルギー減少、運動エネルギー増加〕
図5f→小球Bは低いところから高いところへ移動し、やがて静止する。
〔位置エネルギー増加、運動エネルギー減少〕
位置エネルギーと運動エネルギーの和は一定になる(力学的エネルギー保存則)。


2つの球と同時に離すと…?同時には到達しません。
球が下にいくほど運動エネルギーは大きくなるので、
手前のレールは沈んでいるところが加速ポイントになります。

2019年度(都立) 数学…平均62.3点 社会…平均52.7点 英語…平均54.4点
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QUIZ…☆4以上はムズいよ!
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