平均47.7点(前年比;-5.1点)
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大問1(リスニング)―80.6%
(1)イ 93.8%
*「すごい」は程度がはなはだしい様を表す。
「すごい」だけでは何が「すごい」のかわからず、情報が不足している。
(2)エ 86.8%
*情報を追加して、情景を具体的に描写した。
その方法として、聞き手の高橋と満点の星を見たという共有体験を例に持ち出した。
ちなみに、「満天」は”空いっぱいに”という意味で、「満天の星空」では空が重複して誤り。×
(3)イ 68.8%
*鈴木は綺麗な光景に驚いて感動した。
それなのに『複雑な気持ちにもなった』では、説明不足でつながりがわかりにくい。
『きれいな光景だったから』と驚いた理由を確認し、複雑な気持ちに至る経緯の不明さに気づかせた。
ア:驚きも複雑な気持ちも鈴木の主観的な話。矛盾ではなく、因果関係の不明瞭を解消させた。
(4)ア 72.8%
*祖母がよく見かけていた光景が時を経て生活環境の変化で見られなくなり、
鈴木は複雑な気持ちにいたった。
感動したと単に個人的な体験で終わらせず、視野を広げてさらに踏み込んでいる。
大問2(漢字読み)―57.9%
(1)すす(める)95.9%
(2)ろうえい 79.8%
(3)えいびん 51.9%
(4)とうや 3.9%!!
*勧める…行為を促(うなが)す。
朗詠…抑揚をつけて詩歌(しいか)をうたうこと。読みやすいが、あまり使わない( ゚A゚)
鋭敏…感覚が鋭い。過敏や俊敏、機敏の敏。
陶冶…能力や人格を育成する。
これは大人でも苦しい(;´Д`)
陶→陶磁器をつくる、冶→金属を溶かして鋳物(いもの)をつくる。鍛冶屋(かじや)の冶。
陶磁器や鋳物をつくるように、人格を練り上げて育てる意味をもつ。
大問3(漢字書き)―44.2%
(1)告 76.4%
(2)延 20.7%!
(3)寒暖 66.4%
(4)破格 50.5%
(5)旧態 7.1%!!
*春を告げる…ウグイスの漢字は複数あるが、その1つが「春告鳥」。
延べ…重複を含めてカウントする。ひらがなで書かれやすいので難しい。
旧態依然…昔からの状態のまま。
大問4(論説文)―48.5%
(1)ウ 86.4%
*「みる」の違い。
ウ:「味わってみる」「見直してみる」
なんとなくこれらが似たような機能をもつと直感できる。
この「みる」は補助動詞(形式動詞)といい、本来の動詞(ここでは”見る”)から離れ、
手前の文節を補助する役割を果たす。
「学校にいってくる」「夏が終わってしまう」「手伝ってあげる」
我々は自然に使っていますが、言葉を分解して細かくみていくと意外と難しいね:( ´ω` ):
ア:動詞「見る」。
イ:動詞「見る」。
エ:動詞「試みる」の一部。
(2)エ 78.2%
*エ:文章全体のテーマは日本流のおもてなし。
欧米流のおもてなしを対比にもってくることで、日本流のおもてなしを際立たせている。
欧米流=ボリューム感と(派手な)色彩、日本流=簡素
ア:日本流のおもてなしが「正当な方法である」は言い過ぎ。
国柄によって何が最上のおもてなしであるかは異なることを前提に、
日本流のおもてなしの趣深さが文章のテーマになっている。
ウ:異文化理解の話はどこにも書かれていない。
(3)Ⅰ:ほんとうに大事なもの 52.5%
*この手の空欄補充は、まず問題文を変換する。
『茶の湯とはただ湯をわかし茶をたてて飲むばかりなることと知るべし』
→【考え方】:余計なことはせず、やるべきことだけを行う。
→【理由】:相手にとって〔 Ⅰ 〕とは何か、を自覚して行うため。
⇒【相手にとっての何を自覚して行うのか】を考える。
傍線部Bのあとを読むと、茶の湯についての言葉は
『余計なことはいっさいせず、やるべきことだけを心を込めてやりなさい』
という意味をもつ。
次の段落では、これは禅の考えそのものだという。
『余計なものはできるかぎり、削ぎ落とし、捨て、拭い去っていく。
そうして残ったものがほんとうに大事なものである』。
茶の湯では必要最低限の所作しかしない。
余計なことは削ぎ落とし、相手にとって本当に大事なものだけを残すために行う。
Ⅱ:例)負担を感じない
4点―17.7%!、1~3点―2.3%、無答―29.2%
*『叶うはよし、叶いたがるは悪しし』
→【考え方】:おもてなしは「さりげなく」行うことが望ましい。
→【理由】:相手が〔 Ⅱ 〕で、行う側の思いを受け入れられるようにするため。
⇒【相手がどうすれば、行う側の思いを受け入れられるようになるか】を考える。
傍線部Cのあとに意味が書かれてある。
おもてなしの思いが自然に伝わるのはよいが、思いの伝達が優先(目的化)して、
そのためにあの手この手と策を練るのはNGである。
『端的にいえば、おもてなしでは余計なことはするな、過剰になってはいけない』。
なぜ過剰ではダメなのか。つづく、玄関先に飾る花の具体例を読む。
欧米流に花をふんだんに飾ってしまうと「あなたのためにここまでしている」という思いが
相手に透けて見えてしまう。すると、相手は心地よいどころか、負担に感じてしまう。
一輪をさりげなく飾っておくと、相手はしみじみと深い感慨を覚えてくれるかもしれない。
それが、おもてなしの心が自然に伝わるということ。
設問に戻ると、相手が【負担を感じない】ことでおもてなしの思いを受け入れられるようになる。
日本流ではないおもてなしの具体例に書かれてあるのが厄介である。
(4)Ⅰ:商品を気になっている(10字)
4点―12.0%!、1~3点―2.2%、無答―30.5%
*同じ本の別の場所から抜き出した営業マンを例に、同事の視点から見直すべき点をまとめる。
『同事』は『相手と同じ立場に立つ、相手と思いを同じくする』。
ようは、相手を自分に置き換えて、相手を思いやること。
それを踏まえたうえで営業マンの例文を読む。
●顧客は〔 Ⅰ 〕に違いないと思い込んでいるという点。
→顧客は〇〇だ!、と営業マンは勘違いをしている。
問題として微妙な感じがする(´・_・`)
売り手の営業マンは商品を買ってほしい立場なのだから、
その願望を裏付ける買い手の視点に立った思い違いを述べるのだと思うけど、
顧客に購入意思が乏しくてもそれを芽生えさせるのが営業マンの仕事なわけで、
同事の観点から本当にそのような思い込みをしていると読み取れるのかひっかかる。。
Ⅱ:望んでいること(7字)、Ⅲ:一方的に話している(9字) 19.6%!(無答29.6%)
*●顧客の〔 Ⅱ 〕を的確に理解せず、〔 Ⅲ 〕という点。
→営業マンは顧客の何を理解せず、何をしたのか。
営業マンは商品のメリットをまくし立てるように語り、顧客の話を聞かなかった。
『調子がよすぎて、どうも信頼できない』
”顧客の気持ちをそっちのけにして独りよがりな行動をした”点を意識して書く。
正答例は他にもいろいろでてくると思う。
普通、国語の記述問題は本文から解答の基礎となる要素を抜き出し、
うまく編集して答案にのせるが、本問でそれをやろうとすると失敗する。
無答が多かったのは形式に慣れておらず、どう書けばいいのかわからなかったのだと思う。
(5)イ 72.8%
*「その」は指示語だが、ここでは英語のtheと一緒で、”不特定多数のなかの特定の誰か”を指す。
『ほんとうにふさわしいおもてなし』の中身は人それぞれなので、
その人その人に見合った対応をするにはその都度考えなくてはならない。
ウ:相手が目の前にいることがおもてなしの重要な要素であるとは書かれていない。
大問5(物語文)―33.4%
(1)エ 68.9%
*信也は悠人にボールを受ける練習もさせたが、正浩は逃げる練習だけをするように諭す。
信也『そんなんじゃ、またやられてしまうやろ』
正浩『そんなことはない。…』
すると、信也は「やってられないという顔」をしてボールを足元に置き、
今度は正浩に向かって強く蹴り出し、『そしたらお兄ちゃんが教えてやって』と言い残して去る。
自分の教え方を正浩に否定されたように思い、不満の気持ちからふてくされた態度をとっている。
ア:信也の教え方をふまえたうえで、正浩はそれが悠人に合わないと指摘している。
ウ:これもありそうな感じはする。
ただ、正浩の方が正論だと信也がわかっているか本文では微妙なところで、
エの「自分の考えを否定された気分→不満」の方が無難。
(2)悠人、おま 0.6%!!!
*正浩の期待を上回る悠人の変化が表現されている一文を抜き出す。
おそらく大多数の生徒が答えたのは傍線部Bの2つ先。
『いつもの萎縮した感じも、怯えた感じもなく、悠人は次に自分に向かってくるだろう球筋を読みながら、体を翻せるようになった』
これが誤答となる理由は、悠人の成長ぶりを客観的に細かく描写はしているが、
正浩の主観が含まれていないので、「正浩の期待を上回る」のかという疑問点にあると思われる。
公式解答によると傍線部Cのさらにうしろにある正浩のセリフ。
『悠人、おまえ今お兄ちゃんを睨みつけながら、えらい素早く走ってた』
傍線部Bが『ちゃんと目、開けてられるようになったやん』と目の動きに焦点をあてているので、
悠人の目の動きに感心した正浩の言葉が正答となる。
・・なんか意地悪だよね|_・`)
正答率が極端に低いし、期待を上回っている表現なのか確信が持てない。
(3)ア 53.9%
*正浩の指導のもと、悠人はボールをよけられるようになり、水樹が正浩の腕をつかむ。
『「正浩ちゃんは、なんでもわかってるんやなあ。悠ちゃんのことも、なんでも」
兄と同じ年のはずなのに、正浩といるとなんだか学校の先生と一緒にいるような錯覚に陥る』
正浩は悠斗の性格に合う練習法を見極め、自分がばててしまうまで付き添う弟思いな面がある。
同い年である自分の兄よりも大人びており、学校の先生に思えるほどしっかり者で頼りになる。
『思わず正浩の腕をつかんだ』⇒正浩に好意を抱いている。
イ:「ひたすらほめることでやる気を維持させている」は違う。×
ウ:紛らわしい。
正浩が『なんでもわかっている』ことに水樹が腕をつかんだので、
ひたむきに教えている姿より、正浩が何を理解してどうしたかに言及するアの方が適切である。
エ:ウと同じ。また、正浩は悠斗に対して厳しい言葉を使っていない。
@余談@
乙女心を問うので女子生徒の方が正解率が高そうな設問であった。
同い年だと男の子より女の子の方が精神的に成熟して大人びている。
男の子はマイペースでちょっと幼稚な子が多いが、男同士のノリは独特で面白みがある。
これは体感としてもわかりやすいと思う。よくある男女観は物語文の読解に必要です。
本問の水樹の動作は、まるで年下の女の子が年上の頼れる男に惚れ込んでいるようで、
『感動』より『魅了』がふさわしいと思われる。
(4)Ⅰ:立ち向かう(5字) 42.8%
*【信也は、ボールを受けて相手に〔 Ⅰ 〕ことを主張した】
ボールを受けて相手にどうするのか。
どんな動作が入るか想像したうえで、信也が登場する物語の前半を読む。
『そんな悠斗にただ「立ち向かえ」と教えても、絶対に無理なのだと…』
Ⅱ:逃げる 64.6%
*【正浩は、〔 Ⅱ 〕方法を教えたところ、ボールをよけられるようになった】
わかりやすい。逃げる方法を教えてよけられるようになった。
正浩のセリフにでてくる。
Ⅲ:(例)思いやりがある(7字)
4点―22.6%!、1~3点―9.0%、無答―35.8%
*【共に弟に対して〔 Ⅲ 〕ことのあらわれである】
信也はボールを受ける練習を、正浩はボールから逃げる練習をさせた。
2人は方法が違えど、弟の悠斗に苦手なドッチボールで勝ってもらいたい、
強くなって欲しい気持ちは共通している。
その気持ちの原動力は弟に対する何のあらわれか。
ようは弟思いである点を書けばいいが、空欄前後の言い回しに固定されて書きづらい。
公式解答では「愛情を持っている」となっている。
他にも表現はいろいろある。「気をかけている」でも間違いではないような…。
(5)a:甘えるように 23.2%!
*悠人の正浩に対する信頼感が示されている直喩を探す。
直喩…「~ようだ、~ごとし」を用いた比喩。
暗喩(隠喩)…うえの言い回しを用いない比喩。
悠人がボールをよけられるようになった後半を読んでいく。
『悠人が甘えるように正浩の方をまっすぐ見上げた』
否定的なことを言っても受け入れてくれるだろうと期待できるからこそ、甘えることができる。
b:正浩が力を 22.0%!
*正浩と悠人の深いつながりを示す一文を探す。
正浩に甘える悠斗のうしろ、正浩のセリフの次。
『正浩が力を込めたぶんだけ、悠人の目に力が漲っていく』
逃げてばっかりな自分に自信の無さを感じている悠斗に、
正浩が力を込めて、「逃げることはかっこ悪くない」と背中を押している。
目に力が漲っていく→自信が漲ってきた表れ。
励まされた悠人の変化に焦点があたっているようで、これを選ぶべきか迷った生徒はいたと思う。
前文のセリフを正浩が力を込めて言った、これに呼応して悠人が自信を得た。
悠人が何も言わずとも、悠人の目の変化だけで背景にある二人の強い信頼関係が感じられる。
また、問題文の”つらい時に励ましてくれる人がいると心強く感じる”にもマッチする。
c:自分なりの解答例が思い浮かばなかったので、書くのをやめることにしました。
公式解答では「三人の兄弟と水樹とは、強いきずなで結ばれている」とありました。
4点―1.4%!!、1~3点―1.7%、無答―70.9%
*千葉の空欄補充式の記述問題、全部それにするのやめた方がいいと思う。
本問は正直何書けばいいのか見当がつきにくい。無答がこれほど多いのは異常である。
条件や空欄前後の助詞、語、文末表現などから問題作成者が意図する解答例に
解答者が寄せていかないとうまく埋まらないスタイルが宜しくない。
これで記述力が測れるのだろうか・・。昨今の記述重視の出題意図とはズレを感じる。
設問は最後の4行から読み取れる登場人物同士の関係性を述べる。
「〇〇と〇〇とは、〇〇〇〇ということ」
↑この形式があくどい。
登場人物の気持ちに加え、作問者の気持ちも重ねて読み解けということか。
ラスト4行を見て目につくのは、物語の前半で消えた信也が再登場すること。
ミを水樹にしよう。『水樹ちゃんの顔を思い出すと頑張れるから』
信也は幼馴染みの水樹が好きなのでは?まずそれが頭に浮かぶ。
公式解答の「三人の兄弟と水樹とは、強いきずなで結ばれている」となっているのは、
悠人が歌い、水樹と正浩が笑って静かに聞いたことから、四人の関係性を含ませている。
う~ん、、皆をまとめたらそうなるのでしょうが、ここは信也の水樹に対する思いが
優先的に考慮されるべき場所ではないのかなぁとサボは思うのですがが如何でしょうか????
それに強いきずなは少し言い過ぎな感じがする。
仲が良い、仲睦まじい関係にあるくらいがちょうど良いんじゃないかな。
あと、「三人の兄弟と水樹とは、強いきずなで結ばれている」
2文字目の「と」は抜かした方が書きやすかったはず。
作問者は「どっちも同じジャン!」と思うかもしれませんが、
こういう条件の厳しい記述問題って助詞一字違うだけで生徒に混乱を与えると思う。
大問6(古典)―60.9%
●簡易的に現代語訳します●
その時、ものくさ太郎はあたりを見渡して思う。餅を取りに行って帰ってくるのも面倒くさい。いつでも人が通らないことはないだろうと、竹の竿を高くあげて、犬やカラスが寄ってくるのを追い払って、三日を待っても人は通らない。三日が経つと、一般人ではない、あたらし(地名)の地頭である左衛門尉のぶよりという人が小鷹狩りに使う目白の鷹をとまらせて、その人数は50~60人でお通りになる。
ものくさ太郎はこれを見て、頭だけ持ち上げて、「もしもし、そこに餅がございます。取ってください」と申したけれども、地頭は無視して通っていった。ものくさ太郎はこれを見て、世間にあの地頭ほど面倒くさがる人がどうやって領地を治めるのだろうか。あの餅を馬からちょっと降りて取って渡すのは、とても簡単なことだ。世の中に面倒くさい者は自分だけと思っていたら多くいるものよ、「ああ情けない殿だなぁ」と、一通りではない腹の立て方であった。
(1)えさせて 85.5%
*歴史的仮名遣い。
ワ行の「ゑ」⇒「え」に変える。
『据える』は動かないように物を置く。ここでは鷹を止まらせておく。
(ワ行の「ゐ」⇒「い」)
(2)ウ 63.1%
*ものくさ太郎は自分が落とした餅を取ることさえも面倒くさがる。
人がよく通る大通りだから、通行人に取ってもらおうとした。
普通、3日経ったら餅腐るよね(;`ω´)
ア:餅を拾ってもらおうとはしたが、それ以外の部分が違う。
(3)ア 68.2%
*3日後に地頭が通り、ものくさ太郎が餅を取ってくれと頼んだが、
地頭がこれを無視したという流れ。
『けり』は伝聞過去「~た、~たそうだ」。
(『き』は経験過去「~た」)
(4)ウ 73.3%
*細かい訳にこだわらず、ストーリーの流れから判断すると選びやすい。
餅を取ってくださいと頼んでも無視した地頭に対して、ものくさ太郎は腹を立てている。
『やすし』=たやすい。容易だ。簡単。『いと』で強調して、とても簡単なこと。
「馬からちょっと降りて、餅を取って渡すくらい、簡単にできることなのに」
(5)a: 59.8%
*読む順番にしたがって番号を記そう。
『而』は置き字で読まない!
@賢を見ては斉(ひと)しからんことを思ひ、不賢を見ては内に自ら省みる也@
「斉しい」を現代語に直すと「等しい」、”賢い人をみたら自分もそのようになろうと思い、
賢くない人をみたら自分にも同じ問題点がないか反省すべきだ”。
『人のふり見て我がふり直せ』ですね。
b:(例)自分のことを棚に上げて、地頭に腹を立てる(20字)
4点―15.4%!、1~3点―8.0%、無答―56.6%
*言葉は選びやすい。
ごまをする…自分の利益のためにこびへつらう。
棚に上げる…自分の都合の悪いことを避ける。
骨が折れる…苦労をする。困難である。
ものくさ太郎は自分が面倒くさがりのくせに、地頭がなんと面倒くさがり屋なのかと嘆く。
自分の面倒臭さを『棚に上げて』、餅を拾わない地頭に腹を立てる滑稽な姿が描かれている。
大問7(条件作文)―41.8%
12点―10.7%!、8~11点―23.5%、4~7点―22.7%、1~3点―12.7%、無答―8.6%
ポイントだけ。
前段で2人の考えを整理する。おのおのの視点を整理するといい。
森は人の姿勢や行動から大人を捉えている。
沢木は制度上、投票できるようになった者を大人と捉えている。
後段では、いずれかもしくは双方の考えを活かして、自分が考える大人像を述べる。
@余談@
ホンマでっか!?TVに出演していた心理学者の植木先生だったと思うのですが、”心理学的にみた大人”とは包容力に長けている人だそうです。他者をいきなり批判せずに受け入れられる心の広い人のことで、森の考え方に近いです。確かにホリエモンとか茂木健一郎とか、高学歴でいろんなことを知っていて理路整然と語ることができても、ちょっとのすれ違いで我が強くなってムキになる様子を見ていると精神的に幼稚な感じがします。彼らだけでなく、コメンテーター気質の方はそういう傾向が強そうです。SNS社会で気軽に自分の意見を表明できる昨今、そうならないように注意したいものです。
@余談2@
2018年、民法が定める成年年齢を20歳から18歳に引き下げる改正法案が成立し、2022年4月1日に施行されました。このとき、『大人になるとはどういうときか』について、さまざまな意見がネット上を飛び交いました。私が見た限りで多かったのが、金銭感覚が身についたときと経済的自立を果たしたときでした。この点について元法学徒として少々私見を述べさせてもらいます。
そもそも民法がなぜ成年年齢を定めているかというと、成年に達しないもの、未成年者を保護するためです。成年は判断能力を有する(とされる)ので、自らの判断で何が最善であるかを選択して契約を結ぶことができます。契約が成立すると契約の当事者は法的な拘束力を受けます。もし約束を破ったら相手方から損害賠償請求を受けたり、特定物を引き渡さなくてはなりません。これを拒絶すると、相手が司法に訴えれば国家権力を使ってその履行を強制されます。このような契約の拘束を受けるのは、きちんと判断できる成年が自由な意思で選択した結果、裏を返せば、自己責任を追及できるほどの判断能力を成年が有するからです。
一方で、未成年者は十分な判断能力を持っていません。誤った判断で契約を結んでしまった場合、重大な被害をうけるおそれがあります。そこで、民法は自己責任の原則から法的拘束力を裏付けるほどの判断能力が乏しい者を保護すべく、未成年者が単独で契約を結んだ場合は一定期間内であれば一方的に契約を取り消せると定めています。これを制限行為能力者制度と言います。
『判断能力は個々人で違うのだから、ある年齢で区切るのはおかしいでしょ!』との声もありましたが、契約を取り消される側の取引の相手方は思わぬ不意打ちを食らってしまいます。取引の安全を守るというのも市民法である民法の使命であり、明瞭なルールをつくるうえで年齢による画一的なボーダーは必要なのです。18歳以上か未満かは証明しやすいですよね。
成年年齢が引き下がれたことで、18~19歳の者も民法上の『成年』に該当することになりましたが、言い換えれば、「あなたは自分の意思で契約を結んだのだから束縛されてもやむを得ない。それはあなたが自己責任を問えるほどきちんとした判断ができる大人だからだ」ということになります。これには金銭感覚や経済的自立も大事な要素だと思いますが、契約書の内容を把握する読解力や賢い選択をするための調査力、一般社会や契約取引に関わる常識、自己の利益を防衛しうるほどの交渉能力なども求められます。現代は社会の高度化で契約内容も複雑化かつ専門化していますから、30歳以上でもきちんと判断できる人は少数かと思われます。ましてや18歳のかけだし社会人ならば自分よりひとまわり年上の大人から説明を受けたところで、はい、はい…と相槌を打つのが精一杯でそのまま判を押してしまうケースはザラにありそうです。民法が想定する「大人」には限界があり、また、商品やサービスの情報は企業に偏る非対称性もありますので、消費者保護の観点から消費者契約法や特定商取引法などが別途作られ、それらを所管する消費者庁が2009年に設置されました。
話がだいぶ反れましたが、法律が設定する年齢は”一応の大人とみなす”といった便宜的な側面があります。公職選挙法は民法と異なる法律ですが、便宜としては同じです。そう考えると、森の意見のように個々人の言動に着目する考えの方が理想の大人像を照らしていると思います。
@2022年度千葉解説@
数学…平均51.5点 社会…平均56.3点 理科…平均52.7点 英語…平均58.7点
思考力を問う問題…数英国の3教科。来年度は千葉・千葉東・東葛飾が対象。
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