2018年度 渋谷教育学園幕張中学入試問題【理科】大問1解説

日本には10種類ほどのアシナガバチが生息しています。

(1)フタモンアシナガバチは、日本に広く生息するアシナガバチです。
フタモンアシナガバチの「モン」は、モンシロチョウの「モン」と同じ意味です。
①フタモンアシナガバチは、下のどれですか。記号を答えなさい。
それぞれの図は縮尺が異なります。

②フタモンアシナガバチの「フタモン」とは、どのようなものを指していますか。
ハチの体を示す図に、「フタモン」を図示しなさい。

アシナガバチはスズメバチ科のなかまです。
アシナガバチはミツバチと同様に1個の巣に多くの個体が暮らしてハチの社会をつくります。
ハチの社会を構成するのは、1匹の女王バチと多数の働きバチです。
働きバチはすべてメスで、オスバチは限られた時期にだけ、少数の個体が存在します。
ミツバチは花の蜜や花粉が集めて幼虫を育てます。アシナガバチやスズメバチは、
強いアゴを使って狩りを行い、かみ砕いた獲物の肉や体液を幼虫に与えます。

アシナガバチは、産卵するメスだけが冬眠して冬を越します。
春、冬眠から覚めたメスバチは花の蜜を吸って空腹を満たすと、
気に入った場所に巣を作り始めます。
アシナガバチの巣の材料は、枯れ木や木材から削り取った繊維です。
メスバチは吐き出した水で木の繊維をやわらかくして、図1のような形の巣室を作ります。

巣室ができると、メスバチは内部に1個の卵を産み、母バチとなります。
その後、母バチは図2のように初めの巣室の周りに巣室を作り足し、
各巣室に1個の卵を産みます。この時期の主な天敵はアリです。
母バチは、アリが嫌がる物質を腹部から出し、図2の矢印の部分に塗りつけて巣を守ります。
(Ⅰ)母バチは1匹で30個ほどの巣室をつくります
最初の幼虫が卵からふ化すると、母バチはさらに忙しくなります。
エサを運んで与える以外に、天敵から巣を守り、雨や暑さから巣を守り、
壊れた巣を補修します。複数の幼虫がいる状態になると、
母バチは巣の中央に近い巣室の幼虫たちを優先してエサを与えます。
卵からふ化したばかりの幼虫を1令幼虫と呼びます。
1令幼虫は母バチからエサをもらい、成長すると脱皮して2令幼虫になります。
幼虫は成長と脱皮をくり返しながら5令幼虫になり、5令幼虫は脱皮して蛹になります。
やがて、最初の蛹が羽化して成虫になります。
子バチは働きバチとなって母バチの代わりに働きます。
働きバチが増えていくと、母バチは女王バチとなり、産卵が主な仕事になります。
多くの働きバチが協力して仕事をすることで、巣はさらに大きくなり、幼虫の数も増えます。
巣が大きくなる頃には、(Ⅱ)スズメバチがアシナガバチの最大の天敵になります
ズズメバチはアシナガバチの巣を破り、次々に幼虫や蛹を引きずり出して体液を吸います。

働きバチはすべてメスですが、女王バチがいるときは産卵が抑えられています。
しかし、夏に女王バチが死ぬと、働きバチが産卵するようになります。
働きバチから産まれた卵は、すべてオスバチになります。
オスバチは巣の仕事をせず、羽化した後も働きバチからエサをもらいます。
また、女王バチが死ぬ頃には、翌年の女王になるメスが育てられています。
秋が深まり、働きバチがみんな死んでしまう頃、オスバチたちは巣を飛び立ち、
翌年に女王バチになるメスバチと交尾します。交尾を終えたオスバチは死にますが、
メスバチは倒木の中などで何も食べずに冬を越し、春を待ちます。

(2)図2の矢印の部分を細くすることは、巣を守る上で、
どのような点で都合が良いですか。1つ答えなさい。

(3)下線部Ⅰの巣に複数の幼虫がいる状態を図示します。
この巣では、まだ羽化したハチはいません。各巣室にいる幼虫の令を数字で示すとき、
最も適するのはどれですか。また、選んだ理由を答えなさい。  

(4)フタモンアシナガバチは、スズメバチに比べると攻撃性が低く、
巣に触ったりしなければ人を襲う危険は小さいハチです。
畑でキャベツを育てる場合、近くにあるアシナガバチの巣は駆除せずに残しておくと
良いことがあります。何が良いのか、次に用語をすべて用いて40字以内で説明しなさい。
句読点は字数に含めます。
[ キャベツ、アシナガバチ、働きバチ ]

(5)下線部Ⅱについて、他にアシナガバチの天敵となるようのものを次より2つ選びなさい。
ア:ナナホシテントウ  イ:オオカマキリ  ウ:ジョウログモ
エ:トノサマバッタ   オ:ヒグラシ    カ;:クマバチ
キ:ノコギリクワガタ

アシナガバチは、気温が高くなると、巣を冷却するため、さかんに水を集めます。
アシナガバチは水場へ行き、水を吸って巣に戻ります。
長い時間、巣を離れると巣を襲われる危険がふりますが、あまり急いで巣に戻ると、
集める水量が少なく、何度も巣を離れることになります。
1匹のハチができるだけ効率よく水を集めようとすると仮定して、
水を集めるために巣を離れた時間と、集めた水量との関係をモデル化して考えます。
巣を離れた時間は、水場までの往復に要する時間と、水場で費やす時間の合計です。
水を集める効率は、次の式で表すことができます。

水を集める効率=集めた水量÷巣を離れていた時間

往復に要する時間を無視して水場で費やす時間だけで考えるとき、
時間と集めた水量との関係は図3の曲線のようになります。

水場で費やす時間が図3のウのとき、水を集める効率はエとウの比です。
図4のような直線を書くと、直線の傾きの度合いでエとウの比を表すことができます。
アの場合でも同じように作図すると、アとウの場合を比べることができます。
集めた水量はウの方が多いですが、水を集める効率はアの方が高いと分かります。

(6)水場で費やす時間だけで考えるとき、図4のイの場合について、
水を集める効率の大小関係をアやウと比べます。
作図により、ア、イ、ウを比較して、次の(  )を適切に補いなさい。
イの場合の効率は、(                   )。

水を集める効率には、移動の時間も考える必要があります。
図5は、巣と水場との往復に要する時間を、同じ単位(分)で書き加えた図です。
カとキでは、キの方が往復に要する時間が長いことを示します。
例えば、往復に要する時間がカで、水場で費やす時間がアのとき、
ハチが巣を離れる時間は(カ+ア)になります。
 

(7)①水場で費やす時間が図5のイのとき、往復の時間カとキで、
水を集める効率が高いのはどちらですか。
②往復の時間がカであるとき、水場で費やす時間ア~ウの中で、
水を集める効率が最も高いのはどれですか。

(8)往復の時間が図5のキのとき、水を集める効率が最も宅なるように、
水場で費やす時間を求めます。作図をして水場で費やす最適の時間(サとおく)を求め、
サを示しなさい。作図したようすを残すこと。


@解説@
ハチの生態と社会に関する設問。
(1)①エ ②下図参照
虫問題(›´ω`‹ )…

アップするのもヤダわ(-_-;)
とっかかりがつかみにくい。
モンシロチョウのモンと同じということは、
モンシロチョウと体の作りが似ているのかなと思いきや、選択肢がどっこいどっこい。。
決め手は②の問題。フタモンの「モン」は、門ではなく
家紋の紋。紋は模様という意味。フタモンなので、2つの紋がある虫が答え。

↑腹の上に左右の黄色い紋がある。①エ

育て方.jpより。鮮やかなボディですね(›´ω`‹ )…
←②の答え。①はエです。

モンシロチョウの名前の由来を知っているかが本問のキーか。
モンシロチョウには黒い紋がある。
はじめは紋黒白蝶(モンクロシロチョウ;紋が黒い白いチョウ)とよばれていたが、
言いにくいことでモンシロチョウに短縮されたようだ。

(2)天敵であるアリが巣に侵入しにくくなる点。
本文に答えがある。
天敵であるアリが嫌がる物質を図2(巣の根元)に塗りつけるので、
巣の根元は細いほうがアリが巣に侵入しにくくなる。

(3)ア、中央の巣室から産卵するから。
どの巣室から産卵するのか。これも本文にヒントがある。
『母バチは図2のように初めの巣室の周りに巣室を作り足し、各巣室に1個の卵を産みます』
『複数の幼虫がいる状態になると、母バチは巣の中央に近い巣室の幼虫たちを優先してエサを与えます』
はじめに作られる中央の巣室に産卵され、成長の早い幼虫にエサが優先されると推測できる。

(4)アシナガバチの働きバチがキャベツを食べる青虫を捕食して減らしてくれるから。(37字)
受粉の方にいってしまうと間違える。キャベツは虫媒花だが、蝶が花粉を運ぶ。
本文のはじめの方に、『アシナガバチやスズメバチは、強いアゴを使って狩りを行い、
かみ砕いた獲物の肉や体液を幼虫に与える』とあるので肉食動物(正確には幼虫が肉食)。

最初の母バチが幼虫にエサを与え、羽化した子バチが母バチの代わりに働く。
幼虫の数が増えると母バチは女王バチとなり、多くの働きバチが協力して仕事する。
『仕事』とは、女王バチとなる母バチがこれまでにやってきたこと。
すなわち『エサを運ぶ、天敵から巣を守る、雨や風から巣を守る、壊れた巣を補修する』こと。
幼虫は肉食。働きバチが幼虫のエサを運んでくる。
これをキャベツ栽培と結ぶと、キャベツを食べる青虫(イモ虫)が幼虫のエサと推測できる。
本文を整理すること!

(5)イ・ウ
7択もある(;´ㅂ`)
生物の固有名詞はサボも苦手でございます…。図鑑をよくみてた子が強そう。
ハチの天敵はざっくりいうと、鳥・クモ・カマキリやオニヤンマなどの大型昆虫。
他の動物たちのエサも調べてみました。
ナナホシテントウ→アブラムシ、トノサマバッタ→イネ科の植物
ヒグラシ(セミ)、ノコギリクワガタ→樹液、クマバチ→花の蜜

(6)アより低く、ウより高い
大学の生態学でも似たようなことをやりました(^^)
1回で集める水の量は多すぎても少なすぎてもダメ。
一方を求めると他方を犠牲とするトレードオフの関係のなかで、
生物はどう合理的な行動を選択すべきかをグラフで求めるもの。
水を集める効率=集めた水量(縦軸)÷巣を離れていた時間(横軸)
水を集める効率はグラフ上では傾きとして表される。
縦軸の集めた水量に近いように傾く、すなわち、傾きが急であるほど、
巣を離れていた時間に対して集めた水量が多くなるので、水を集める効率が良くなる
これさえわかれば後の問題は気楽に解ける。

ア~ウの効率を傾きで表すと上のようになる。
傾きが急なアが最も効率がよく、緩やかなウは効率が悪い。
解答欄では、イと比較してどうかを述べればいい。

(7)①カ

カとキから、上のように半直線をひく。
傾きが急であるカが正解。

②イ

これも同じです。
カから出発して、グラフ上のアイウに半直線をひき、
傾きが急なイが正解。

(8)下図参照

今度は水場での時間を求める。
キから出発して最も傾きが急になるのは、
上のように半直線がグラフと接するポイント
グラフ上の他の任意の点とキを結ぶと、これより傾きが緩やかになります。
接点を垂直に降ろした横軸との交点がサになる。
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