問題PDF
図1のように、一本の糸の端に輪をくっつけて、もう一方の端におもりをくっつけたものを用意します(これをSとよぶことにします)。図では輪とおもりは大きくえがいてありますが、それらの大きさは無視できるものとします。また、おもり以外の部分の重さはすべて無視するものとします。
図2のように、細くてかたい棒を水平に固定して、棒にSの輪を通します。棒はじゅうぶん長く、輪と棒の間には摩擦はない(よくすべる)ものとします。おもりを持っていた手を放すと、輪がどの場所にあっても糸はつりあいます(安定して静止する)。
図3のように、棒をななめに固定した場合は、手を放したときにつりあう場所はありません。
図4のように、固定点Aと固定点Bの間に別の糸をゆるく張り(点Aのほうが点Bよりも高い位置にある)、その糸にSの輪を通します。輪と糸の間には摩擦はないものとします。手を放すと、輪がすべって移動し、特定の場所でつりあいます。つりあっているときには糸はまっすぐになっている(たるんでいない)ことに注意して以下の問いに答えなさい。
問1
図4で手を放したあとでつりあったとき、輪の場所はどのような場所でしょうか。
最も適するものを選びなさい。
ア:AとBを直線で結んだ真ん中の点の真下。
イ:アよりもAに近いところ。 ウ:アよりもBに近いところ。
問2
問1の場所の説明として適するものはどれですか。次のなかから選びなさい。
ア:輪から点A、点Bまでの直線距離が等しい。 イ:輪から点A、点Bまでの水平距離が等しい。
ウ:Sの糸の延長線が、張られた糸が折れ曲がって作る角を二等分する。
一端または両端に輪をつけた糸を新たに用意します(これをS’とよぶことにします)。
図5のように壁に棒を70度の角で固定します。
問3
図5に示したようにSとS’を配置して手を放すと、SとS’は、およそ図5’のような形になってつりあいます。このときS’の糸が壁となす角度を答えなさい。(角度は壁の下方向となす角xの値で答えること。以下同様)
問4
図6のようにSとS’を配置して手を放すと、SとS’はどのような形になってつりあうでしょうか。
S’の糸が壁となす角度を答えなさい。
問5
図7のようにSとS’を配置して手を放すと、SとS’はどのような形になってつりあうでしょうか。
Sの糸が壁となす角度を答えなさい。
@解説@
問1:ウ
水平な棒だと、どこでも静止する。
傾いた棒だと静止する場所がなく、棒と輪の間の摩擦は考えないので、
おもりの重力にしたがって滑り落ちる。
たるんだ糸の場合は輪が動いて糸がV字に折れ曲がり、つりあって静止する。
仮にAとBが同じ高さにあったとすると、
左右対称となる糸の中点に落ち着くと予想できる。
A側とB側から引っ張られる力の大きさはそれぞれ等しい。
これはA側の長さを変えても同様である。
輪は真ん中よりもBに近いところで落ち着く。
問2:ウ
後ろの設問に関わるので間違えられない。
左右対称に同じ力で引っ張られると判断できれば、
Sの糸の延長線が、張られた糸が作る角を2等分する。
力の分解の作図方法は中学で習う。
力の方向は矢印の向き、力の大きさは矢印の長さで表す。
①輪から下におもりの重力に相応する矢印を描く。
②その一直線上の反対側に同じ長さの矢印を描く。
③矢印の先端を通過する、張られた糸に平行な線を描く。
④平行線と張られた糸の交点までが分解された力(分力)で、
上図では分力1と分力2の大きさが等しい。
問3:20°
ポイントは、S’につけた輪は棒のどこで止まるのか。
もし、棒が壁に対して90°であった場合を考える。
おもりは壁の固定点に引き寄せられ、輪は右側に移動して壁に密着し、
図2と同じく棒と糸S’は垂直になる。
棒を下に傾けたとしても、棒と糸S’が垂直である関係が維持されるのでは?
ようするに糸S’が引っ張られる方向に対して輪が向き、糸と棒が垂直になるところで輪が止まる。
ここに気付けるかどうか。
2つの輪を通る、壁に対して平行な線をひく。
xを錯角→等角(糸がつくる角の二等分線)→錯角で移し、70°を同位角で移す。
棒とS’の角度は90°なので、x=90-70=20°
問4:80°
S’の一方を壁に固定する。
S’を反対側へ延長。20°を錯角、xを同位角で移す。
等角(糸がつくる角の二等分線)よりxが2つ。
一直線に注目して、x=(180-20)÷2=80°
問5:140°
今度はSの一方を壁に固定して、S’の両端に輪をつける。
S’を延長して、20°を同位角で移動。
等角の和40°を錯角で移動。
x=180-40=140°
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