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2019年度 市川中学過去問【理科】大問2解説

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 強い酸性を示す雨(酸性雨)が、木々を枯らしたり、銅像を溶かしたり、川を酸性化したりするなどの被害をもたらしており、大きな社会問題となっています。これは、工場や自動車から排出された二酸化硫黄などの気体が雨水に溶け込み、硫酸などの強い酸を含んだ雨となって地表に降り注いでいるからです。
酸性雨の研究家であるジェームズ・ギャロウェイ教授は、「人間活動が世界を酸性化しているのではない。それよりは世界のもともとの酸性度をさらに強めているのだ。」と述べています。

(1)
酸性雨にならなくても雨水は弱い酸性を示します。
この理由を25字以内で答えなさい。

(2)
二酸化硫黄を集めるには、図4のような下方置換法が最も適しています。
このことからわかる二酸化硫黄の性質を20字以内で答えなさい。

 

 日本では2017年に約1億2000万トンの石炭を消費しています。日本国内で石炭を燃焼させることにより生じた二酸化硫黄が、炭酸カルシウムに影響を与えています。炭酸カルシウムとは、石灰岩や大理石、サンゴ、貝殻に含まれる成分で、酸に溶ける性質があります。
以下の①~④の説明を参考にして、各問いに答えなさい。
①図5は石炭に含まれている炭素、水素、窒素、窒素、硫黄の重さの割合をまとめたものです。

②硫黄を空気中で燃焼させると、二酸化硫黄が発生します。
表1は、燃焼させた硫黄の重さと発生した二酸化硫黄の重さの関係をまとめたものです。

③1%の硫酸水溶液を10kg作るには、二酸化硫黄が65g必要です。
④ビーカーに炭酸カルシウムの粉末を1.0g入れ、1%硫酸水溶液を少しずつ加えたところ、気体が発生しました。このときに発生した気体の体積をはかったところ、図6のようになりました。また、水溶液をろ過してビーカーに残った固体を取り出し、この重さをはかったところ、図7のようになりました。


(3)
④の下線部について、発生した気体が何であるかを確かめる方法を15字以内で答えなさい。

(4)
2017年に日本国内で消費した石炭がすべて燃焼された場合、石炭の燃焼により放出された二酸化硫黄は何万トンですか。ただし、1トンは1000kgを表す重さの単位であり、硫黄は燃焼するとすべて二酸化硫黄になるものとします。

(5)
(4)で発生したすべての二酸化硫黄が1%硫酸水溶液となった場合、溶かすことのできる炭酸カルシウムの重さはおよそ何万トンですか。ただし1%硫酸水溶液1.0cm3の重さは1.0gとします。
ア:3200万トン イ:3700万トン ウ:7400万トン
エ:3憶2000万トン オ:3億7000万トン カ:7億4000万トン

(6)
炭酸カルシウム5.0gに2%硫酸水溶液を20cm3加えたとき、ビーカーに残る固体の重さは何gですか。また、発生した気体の体積は何cm3ですか。ただし、2%硫酸水溶液1.0cm3の重さは1.0gとします。


@解説@
(1)大気中に含まれる二酸化炭素が雨水に溶けているから。
雨水が弱酸性の理由。大気中のCO2濃度は約0.04%。

(2)空気よりも重く、水に溶けやすい。
下方置換→空気より重い。水に溶けやすいと水上置換が使えない。
二酸化硫黄(SO2)→無色透明、刺激臭あり。漂白作用あり。有毒
化石燃料の燃焼で生じ、硫黄酸化物(SOxソックス)の一種で酸性雨の原因である。

(3)石灰水に通すと白くにごる。
炭酸カルシウムに硫酸水溶液を加えて発生する気体を考える。
炭酸カルシウムの説明で『石灰岩や大理石、サンゴ、貝殻に含まれる成分』とあり、
これらに塩酸を加えると二酸化炭素が発生するから、
塩酸と同じ酸性の硫酸でも二酸化炭素が発生するだろうと推測する。

(4)480万トン
日本の石炭消費量は1億2000万トン。
石炭の2%が硫黄。
表1より、硫黄①を燃やすと二酸化硫黄は②発生する。
1億2000万トン×2%×2=480万トン

(5)ウ
単位換算と桁ミスの脅威。
発生した二酸化硫黄の量は480万トン。
二酸化硫黄65gで1%の硫酸水溶液10kgが作れる。

図7をみると、硫酸を10cm3加えたときに固体の重さが変化しなくなった。
硫酸と炭酸カルシウム1.0gを反応させると固体は重くなっていき、
硫酸10cm3で反応しなくなるということは、硫酸10cm3で炭酸カルシウム1gが溶ける
1%硫酸水溶液1.0cm3の重さは1.0gなので、硫酸10gで炭酸カルシウム1gが溶ける。
480万トン×10000g/65g×1g/10g

概算が許されるので、65と48を13で約分し、46を13で割って〔4弱〕とする。
8000弱tだから、これに近いウ(7400万トン)が正答。

(6)固体の重さ:6.44g、気体の体積:880cm3
1%10cm3の硫酸で、1gの炭酸カルシウムが溶ける。
2%20cm3の硫酸は濃度2倍、量が2倍なので、4gの炭酸カルシウムが溶ける

図7より、炭酸カルシウムが溶けると、1gあたり1.36gに増加する。
一方で、炭酸カルシウムは1g残っている。
1.36×4+1=6.44g

気体(CO2)は炭酸カルシウム1gあたり、220cm3発生する。
220×4=880cm3

@化学反応式@
CaCO3 +H2SO4→CaSO4↓ + CO2+ H2
炭酸カルシウム+硫酸→硫酸カルシウム(沈殿)+二酸化炭素+水
炭酸カルシウムより硫酸カルシウムの方が質量比が大きいので、固体の重さが大きくなった。
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