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2018年度 ラ・サール中学過去問【理科】大問2解説

問題PDF
ヒトは、起きている時も寝ている時も常に、空気を肺に吸い込んだり、肺からはき出したりしています。吸い込まれた空気は、肺胞に入ります。肺胞では、空気と血液との間で、酸素と二酸化炭素の交換が行われます。このはたらきを呼吸といいます。
肺は、呼吸をするためにふくらんだり、縮んだりします。このとき、図の(あ)と(い)が動きます。図は、腹部の断面の模式図です。

(1)
(あ)、(い)に最も適する語を答えなさい。
(い)は骨の名前を答えなさい。

(2)
(あ)のけいれんにより起こる現象を何といいますか。
5文字のひらがなで答えなさい。

(3)
空気を肺に吸い込むとき、図の(あ)、(い)、肺はどうなりますか。
正しいものを選びなさい。
ア:(あ)は上がり、(い)は持ち上がり、肺はふくらむ。
イ:(あ)は上がり、(い)は引き下がり、肺は縮む。
ウ:(あ)は下がり、(い)は持ち上がり、肺はふくらむ。
エ:(あ)は下がり、(い)は引き下がり、肺は縮む。

(4)
下線部aに関して、呼吸数は、1分間あたり20回でした。1回の呼吸により吸い込む空気とはき出す空気は、ともに500mLでした。吸い込む空気とはき出す空気の酸素の体積の割合は、それぞれ21%と16%でした。1分間あたり肺に吸い込む空気に含まれる酸素と肺からはき出す空気に含まれる酸素の体積の差は何mLですか。

(5)
肺の代わりにエラを用いて、呼吸を行う生物を選びなさい。
ア:イルカ イ:オットセイ ウ:クジラ エ:サメ オ:シャチ

 

心臓は、血液を体全体に送り出すためにポンプのように動いています。
この心臓の動きを拍動と言います。

(6)
1分間あたりの呼吸数と拍動数は、運動前に比べて、運動後ではどのように変化しますか。
ア:呼吸数は増加し、拍動数も増加する。
イ:呼吸数は増加し、拍動数は減少する。
ウ:呼吸数は減少し、拍動数は増加する。
エ:呼吸数は減少し、拍動数も減少する。
オ:呼吸数は変化せず、拍動数も変化しない。

(7)
心臓にもどる血液が流れる血管は何ですか。

(8)
心臓や血管において、血液が逆向きにながれないようにするためにあるものは何ですか。

(9)
下線部bに関して、拍動数は、1分間あたり70回でした。
心臓が、1回の拍動により体の各部に送り出す血液は、50gでした。
ヒトの体重に対する血液全体の重さの割合は、1/13でした。

①1分間あたり心臓から体の各部に送り出された血液は何gですか。
最も適する数値を選びなさい。
ア:2500g イ:3000g ウ:3500g エ:4000g オ:4500g

②体重65kgのヒトの血液は、体を10分間あたり何回循環しますか。

心臓から体の各部に送り出された血液は、体の各部に酸素をわたし、二酸化炭素を受け取っています。血液中の赤血球は、酸素を吸収・放出している細胞です。赤血球には、たくさんのヘモグロビンという酸素を吸収・放出するタンパク質が含まれています。
ヘモグロビンが吸収できる酸素の量は、酸素の多い環境と酸素の少ない環境で異なります。ヘモグロビンは、肺胞のように酸素の多い環境では、大部分が酸素と結びついて酸素ヘモグロビンとなります。また、体の各部のように酸素の少ない環境では、酸素を放出し、ヘモグロビンになります。これらの性質により、ヘモグロビンは、肺胞で酸素を吸収し、体の各部で酸素を放出することで、体の各部に酸素を供給しています

(10)
下線部cに関して、血液中には、100gあたり16gのヘモグロビンが含まれていました。全てのヘモグロビンに酸素が結びついて酸素ヘモグロビンの割合が100%になったとき、吸収した酸素の体積は、ヘモグロビン1gあたり1.3mLです。肺胞で酸素を吸収したあと、心臓から体の各部に送り出された血液では血液中の酸素ヘモグロビンの割合は95%で、体の各部で酸素を放出したあとの血液では酸素ヘモグロビンの割合が50%に低下していました。なお、拍動数は、1分間あたり70回でした。心臓が、1回の拍動により体の各部に送り出す血液は、50gでした。

①1分間あたり心臓から体の各部に送り出された血液には、何mLの酸素が含まれますか。
最も適する数値を選びなさい。
ア:364mL イ:532mL ウ:692mL エ:728mL オ:4320mL

②体の各部では、心臓から体の各部に送り出された血液の酸素ヘモグロビンの何%が酸素を放出したことになりますか。最も適する数値を選びなさい。
ア:45% イ:47.4% ウ:50% エ:52.6% オ:95%

③体の各部では、1分間あたり心臓から体の各部に送り出された血液により何mLの酸素が、酸素ヘモグロビンから放出されましたか。最も適する数値を選びなさい。
ア:311mL イ:328mL ウ:346mL エ:364mL オ:657mL


@解説@
(1)あ:横隔膜、い:肋骨
(2)しゃっくり
(3)ウ
典型問題なので完全解答を狙いたい。
横隔膜や肋骨の動きで、筋肉のない肺を動かして呼吸する。
ちなみに、横隔膜は低酸素時代を生き抜くために哺乳類が身につけた術らしい。

2018年度 市川学園中学過去問【理科】大問7解説
問題PDF古生代末、ある環境の変化が多くの生物を絶滅に追い込みました。この大量絶滅は、地球史上最大規模と言われています。その後、地上では①厳しい環境が約1億年も続き、この環境に対応できた生物たちが、中生代に繁栄していきました。その一つが恐竜...

(4)500mL
■1回あたりの空気の量■
呼気:500mL(酸素21%)
吸気:500mL(酸素16%)
量が同じで、酸素含有率の差は5%

呼吸数は1分間に20回なので、1分間あたりの酸素の体積の差は、
500mL×5%×20回=500mL

(5)エ
サメだけ魚類。他は哺乳類。
魚類は卵生だが、サメの仲間には母体の中で卵を孵化させたあと、
母体外に出す卵胎生なるものをするヤツがいるらしい…。

(6)ア
体感したことを選べばいい。
激しい運動で起こる酸素不足に対処するため。

(7)静脈(8)弁
静脈に弁がある。動脈は血圧に耐えられるよう壁が厚く、弾力性がある。

(9)①ウ ②7回
①1回の拍動で50gの血液が送り出される。
1分間で70回の拍動だから、1分あたりに送り出される血液は、
50×70=3500g

②血液全体の重さは、6500g×1/13=5000g
前問より、1分あたりに心臓から送り出される血液は3500g
言い換えれば、1分あたりに心臓に戻ってくる血液も3500gで、
1分あたりに1回循環する血液の割合は、3500g÷5000g=0.7となる。
10分間で血液が循環する割合は、0.7×10分=7
つまり、10分ですべての血液が7回循環する。

(10)①ウ ②イ ③イ
ラスボス。計算が多くて骨が折れる。

1分間あたりの血液は、50g×70回=3500g
この血液に含まれるヘモグロビンは、3500g×16/100=560g
本問は『心臓から体の各部に送り出された血液』なので、
このときの酸素ヘモの割合は95%。
560g×95%=532g
ヘモ1gあたりの酸素は1.3mLだから、532g×1.3mL=691.6≒692mL


肺胞で酸素ヘモの割合は【100】
心臓に戻り、心臓から体に送り出された血液中の酸素ヘモの割合は【95】
体の各部での酸素ヘモの割合が【50】だから、酸素を放出した酸素ヘモは【45】
『心臓から体の各部に送り出された血液』の何%かなので、【95】が分母にくる。
45÷95×100=47.36…≒47.4%


前問の結果を利用しよう。

①より、1分間で心臓から体各部への血液中に含まれる酸素量は692mL。
②より、体各部に送り出された血液の酸素ヘモの47.4%が酸素を放出。
よって、1分あたりに酸素ヘモから放出された酸素は、
692mL×47.4%=32800.8/100=328.008≒328mL

@酸素解離曲線@

ウィキブックスより、高校生物で習う酸素解離曲線。
横軸は酸素濃度。縦軸は酸素ヘモグロビンの割合。
肺のなかにある肺胞は酸素が豊富にあるので酸素濃度が高く、
酸素ヘモグロビンの割合は高くなる(ヘモグロビンが酸素をキャッチ)
各細胞の組織(酸素の需要地)は酸素濃度が低く、
酸素ヘモグロビンの割合は低くなる(ヘモグロビンが酸素を組織に供給する)
また、ヘモグロビンは二酸化炭素の濃度が高いと酸素を放出しやすくなる。
(グラフでいうと青い線。組織は二酸化炭素の濃度が高い)
肺胞での赤い線と組織での青い線との差が、組織でヘモグロビンが供給する酸素の量となる。
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