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昆虫には、完全変態で成長する仲間と不完全変態で成長する仲間がいます。
また、昆虫のからだは、頭、胸、腹から構成されており、頭には触角が2本あります。
胸や腹には気門とよばれる、空気の出入りを行う小さな穴があります。
気門は体中にはりめぐらされた気管とよばれる細い管につながっており、
気門からとりこまれた空気は全身に運ばれます。
(1)
下線部に関する以下の問いに答えなさい。
①完全変態とはどういうことか説明しなさい。
②完全変態をする昆虫を次の中からすべて選びなさい。
①アキアカネ、②アブラゼミ、③アゲハ、④クモ、➄ダンゴムシ、⑥カブトムシ
(2)
昆虫に関する以下の文について、正しいものを2つ選びなさい。
①昆虫のあしは、胸および腹から6本でている。
②陸生昆虫は肺呼吸、水生昆虫はえら呼吸を行っている。
③幼虫から成虫になることをふ化という。
④昆虫は脱皮をくり返すことで、からだを成長させている。
➄アゲハの幼虫は最初から緑色である。
⑥カイコガは成虫は何も食べない。
昆虫の触角は、ものにふれたり、においを感じたりするところです。
カイコガのオスの触角は、メスから放出されるフェロモンとよばれる化学物質を感知する器官としてよく知られています。そこで、カイコガの生殖行動について、以下の実験を行いました。
<実験1>メスのカイコガをペトリ皿に入れ、ふたをしてビニルテープで密封した。
それをオスに近づけてオスの行動を観察したところ、特別な反応は示さなかった。
次に、ふたを開けたメスのペトリ皿を、オスに近づけてオスの行動を観察したところ、
はねを激しくはばたかせた。
<実験2>
あらかじめ、メスの口部におし当てたろ紙片、腹部末端に押し当てたろ紙片を用意した。
次に、メスがいないところで口部に押し当てたろ紙片だけを、
オスに近づけてオスの行動を観察したところ、特別な反応は示さなかった。
また、腹部末端に押し当てたろ紙片だけをオスに近づけてオスの行動を観察したところ、
はねを激しくはばたかせた。
<実験3>
実験1と同じように、メス1個体をペトリ皿に入れ、次に、オス3個体を用意して、
3個体のうち、1個体は左右両方の触角を根元から切断して取り除いておき、
もう1個体は片方の触角のみを根元から切断して取り除いておく。
残りの1個体の触角はそのままにしておく。
続いて、それぞれのオスをメスのペトリ皿から15cmほどはなれた場所に置き、
ペトリ皿のふたを静かに開けてオスの行動を観察した。
その結果、触角をそのままにしたオスは、はばたきながらメスの方へ移動した。
片方の触角を取り除いたオスは、はばたきながら触角の残っている方に回転するだけだった。
左右両方の触角を取り除いたオスは特別な反応を示さなかった。
(3)
実験1~実験3の結果からわかることの説明として正しいものには〇、
まちがっているものには×を答えなさい。
①メスのフェロモンは、ペトリ皿のふたを開けると、ペトリ皿の外まで広がっていく。
②オスの生殖行動は、視覚的な刺激とフェロモンの両方が必要である。
③オスは、メスの全身から分泌されるフェロモンに反応する。
④オスは片方の触角だけでもメスのいる方向がわかる。
多くの昆虫は、はねを4枚もっていますが、ハエやカのように、はねが2枚の昆虫もいます。
ハエの仲間のショウジョウバエは生命科学の研究によく用いられる生物です。
ショウジョウバエの幼虫は「うじ」とよばれ、図1のような形をしています。
花子さんは、この幼虫のどこが頭なのか疑問に思い、先生に聞いてみました。
先生は、図1の左が頭で、ハエの卵の中に含まれる、ある物質の濃度のちがいによって
どこが頭、胸、腹になるか決まるということをおしえてくれました。
図2のように、ハエの卵の中にある物質Aは前方から後方にかけて濃度が低くなり、
物質Bは後方から前方にかけて濃度が低くなります。
物質Aの濃度が高いところから順に頭、胸、腹になることがわかっています。
(4)
物質Aをつくることができない卵では、物質Bの濃度が図3のようになりました。
物質Aのはたらきとして最も適するものを選びなさい。
①前方において、物質Bの合成をすすめる。
②前方において、物質Bの合成をおさえる。
③後方において、物質Bの合成をすすめる。
④後方において、物質Bの合成をおさえる。
(5)
物質Aをつくることができない卵の中央に物質Aのもとになる物質を注入したところ、
物質Aの濃度は図4のようになりました。このとき、物質Bの濃度はのどのようになると
考えられますか。解答用紙のグラフに記入しなさい。
@解説@
(1)①さなぎを経て成虫になること。②3、6
完全変態はさなぎを経るので、幼虫と成虫で体のつくりが異なる。
蝶とカブトムシは完全変態。トンボやセミは不完全変態。
(2)④、⑥
意外と紛らわしい・・。
①昆虫の足は胸から6本。
②昆虫は気門という穴から空気を取り込み、気管で酸素を吸収して二酸化炭素を排出している。
③幼虫→成虫は羽化。ふ化は卵→幼虫。
④卵からふ化すると1令幼虫。脱皮ごとに2令幼虫、3令幼虫・・・と体が大きくなっていく。
⑤ふ化したてのアゲハの幼虫は黒く、やがて、緑色になる。
→
⑥知らないと選ぶのに躊躇する。
カイコガの成虫は子孫の繁栄に専念し、エサを食べない。
オスは交尾後2~3日、メスは産卵後一週間ほどで死に絶える。
(3)①〇②×③×④×
①実験1より、フタを開けたらオスが興奮したので、
フタを開けるとフェロモンが広がっていく。〇
②視覚的な刺激が×。③実験2で口部は反応なし。×
④片方の触角だけだと、正確なメスの位置がわかっていない。×
2つの触角から得られた情報で位置を把握していると思われる。
(4)2
図2をみると、物質Aと物質Bは抑制的に働く。
すなわち、物質Aの濃度が高いと物質Bの合成は抑えられる。
(5)下図参照
AとBの和が一定になるように描けばOK。
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