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2020年度 駒場東邦中学過去問【理科】大問2解説

問題PDF
A君は、身の回りには「二酸化炭素」に関わる現象や、

それを利用した製品がいくつもあることに気づき、調べてみることにしました。
(1)~(6)の問いに答えなさい。

Ⅰ 消火器
A君は、中身がほぼ100%の二酸化炭素である消火器があることを知りました。
そこで、二酸化炭素には火を消すはたらきがあるのか、調べてみることにしました。

(1)
空気中でものを燃やした時の気体の割合の変化を見るため、空気中の気体の体積の割合を教科書で調べたところ、ちっ素約78% 酸素約21% 二酸化炭素約0.03% その他約0.97%であることがわかりました。箱の中に空気を入れ、火のついたろうそくを入れてふたをすると、少しの間燃え続け、ろうそくがなくなる前に火が消えて、箱の壁に水滴がつきました。ろうそくを燃やす前と、燃やした後の、箱の中にある気体の体積の割合を図で表したものとして、もっとも近いものを1つずつ選びなさい。ただし、図中の〇はちっ素、●は酸素、◎は二酸化炭素を表し、すべての図の中にある印(〇●◎)の総数はそれぞれ33個です。また、2%以下の気体は図の中に示さないものとします。

(2)
A君は、二酸化炭素に火を消すはたらきがあるのであれば、二酸化炭素を0.03%から79%まで増やせば、ろうそくの火はすぐに消えるのではないかと考えました。そこで、箱の中に体積の割合で21%の酸素と79%の二酸化炭素を入れ、火のついたろうそくを入れて観察しました。しかし、ろうそくの火はすぐには消えず、少しの間燃えてから消えました。空気中の酸素以外の気体が二酸化炭素に置きかわっても、火はすぐには消せないようです。それなのに、どうして二酸化炭素の消火器ですぐに火を消せるのか疑問に思って調べたところ、以下のようなことがわかりました。「酸素」という言葉を使って、( )にあてはまる内容を答えなさい。
『二酸化炭素の入った消火器がすぐに火を消せるのは、二酸化炭素が炎から熱をうばうことで炎の温度を低下させたり、二酸化炭素が(    )ことによってものが燃えるのを防いでいたりするからである。』

 

Ⅱ ドライアイス
A君がお店でアイスクリームを買った際、店員さんが、ドライアイスのかけらが入っているビニール袋を保冷剤としてわたしてくれました。ドライアイスとは、二酸化炭素を低温で冷やして固体にしたものです。お店の人がわたしてくれたドライアイスの袋には、小さな穴があけてありました。
(3)
ドライアイスの入ったビニール袋に穴をあけず、密閉したまま室温においておくと、どのようなことが起こると考えられるか、答えなさい。

(4)
A君がもらったドライアイスを水に入れてみると、白い煙がたくさん出ました。この白い煙は、「二酸化炭素」と「水」のどちらでできているのか疑問に思ったA君は、次の2つの実験を行いました。この疑問を解決するのにより適切な実験を次の【実験①】【実験②】から選び、①または②の番号で答えなさい。また、その結果から、この白い煙は「二酸化炭素」と「水」のどちらでできていると考えられますか。解答欄に合うように答えなさい。
解答欄→『白い煙は(    )でできている』
【実験①】
2つのビーカーに水と食用油を別々に入れ、それぞれにドライアイスのかけらを入れた。その結果、どちらの液体にもドライアイスは沈み、たくさんの泡が出たが、白い煙が観察されたのは水の入ったビーカーのみで、食用油の入ったビーカーからは白い煙が出なかった。

【実験②
ドライアイスのかけらを水の入ったビーカーに入れ、白い煙を発生させた。ビーカーの上に透明なビニール袋をかぶせ、白い煙が逃げられないように袋の口を手でおさえた。次に、その袋の中に石灰水を入れ、よく振った。その結果、袋の中の石灰水は白くにごった。

 

Ⅲ 色の消える「のり」
(5)
紙にぬってからしばらくすると色が消える青色の「のり」がありました。調べてみると、この「のり」には空気中の二酸化炭素が溶けることによって色が消える性質があることがわかりました。A君が、色の消えた「のり」に石けん水をつけると、また「のり」の色が青色になりました。これらの現象と同じ仕組みで起きている現象を2つ選びなさい。
ア:ジャガイモの断面にヨウ素液をたらすと青むらさき色になった。
イ:地面がぬれると土の色が濃くなったが、乾くと色がうすくなった。
ウ:赤色リトマス紙にアンモニア水をつけると青色になった。
エ:石灰水に二酸化炭素を通じると白くにごった。
オ:ムラサキキャベツの汁にレモン汁を入れると赤色になった。

 

Ⅳ 酸性雨
(6)
A君は、新聞で酸性雨の問題を知りました。酸性雨について、次の文のような説明をするとき、①~③にあてはまる言葉や語句を【語群】のア~コから1つずつ選びなさい。
『本来、雨は空気中の( ① )が溶けているため( ② )であるが、( ③ )などが自然の中で変化し、雨に溶けることで酸性の強い「酸性雨」となり、河川や土壌を酸性にしたり、コンクリートを溶かしたりして、環境を汚染している。』 

【語群】
ア:中性 イ:弱い酸性 ウ:弱いアルカリ性 エ:酸素 オ:塩酸 カ:二酸化炭素
キ:アンモニア ク:フロンガス ケ:化石燃料を燃やした時に出る気体
コ:洗剤を使ったあとの排水


@解説@
平均点は7割弱。この大問は8割以上正答したい。
(1)燃やす前…エ、燃やした後…イ
印は33個あるので3%ごとに印1つ、2%以下は記載なし。
問題文にある空気の組成から、窒素は78÷3=26個、酸素は21÷3=7個
この2種類の気体で合計33個なので、酸素が7つ、それ以外は窒素のエが燃やす前。

ろうそくを燃焼すると、酸素が減り、二酸化炭素が増え、窒素は変わらない。
ウは窒素が2個増えているので×。
”ロウソクの火が消えた=箱の中の酸素がすべて二酸化炭素に変わった”わけではない

燃焼後の二酸化炭素濃度は条件によって前後するが、せいぜい2~4%程度しか増えない
ロウソクの燃焼で、オのように10%を超えることはない。

(2)火をおおうことで酸素の供給をおさえる
酸素には助燃性がある。
箱のなかの二酸化炭素濃度を高めても酸素があれば火はしばらく着くが、
消火器から噴出した二酸化炭素が火をおおうと、酸素の供給をストップさせて消える。

(3)袋が膨張して破裂する。
固体のドライアイスが気体に変わると、体積は800倍を超える。
CO2の膨張→内側から外側に向かって力が強く働く(気圧が高くなる)→袋破裂

(4)①・水
ドライアイスを水にいれるとブクブクでてくる白い煙の正体は
よく間違われやすいが、あれは二酸化炭素ではない!
固体の二酸化炭素は白いが、気体の二酸化炭素は無色透明で”白い煙”として見えない。
周囲の水蒸気がドライアイスに冷やされ、氷や水の粒となってモヤ~と見える。

【実験②】では、目に見える白い煙の他に、目に見えない二酸化炭素を袋の中に取り込んだ結果、
石灰水が白くなったかもしれないので、白い煙が水か二酸化炭素か判別できない。
一方で、【実験①】はどちらにもドライアイスを入れたが、油では白い煙が起きず、
水のほうに白い煙が見られたので水にしぼられる。

(5)ウ・オ
アルカリ性の石鹸水をつけたら色がもとに戻った。
→酸とアルカリによる中和反応
二酸化炭素がのりに溶けると中和で色が消える。
石鹸水をつけてアルカリ性に戻すと青に戻った。

ア:ヨウ素デンプン反応
イ:あまり考えたことがないので調べてみました。
水に濡れると濃くなり、乾くと薄くなる理由は光の乱反射が原因だそうです。
だいたいの物質は表面が凹凸しているので、光があたると乱反射する。
乱反射するといろいろな光が混じって目に飛び込んでくるので白っぽく(あわく)みえる。
他方で、物質が水に濡れると凹凸に水分子が入り込んで表面が平らになる。
すると、光が一定方向に反射して、物質本来の色が目に届いて色が濃く見える。
エ:石灰水にCO2を通すと白くなるのは、化学反応で白い炭酸カルシウムが沈殿するから。

(6)①カ②イ③ケ
①②必答。雨は大気中の二酸化炭素が溶けているので弱い酸性。
③酸性雨の原因物質は硫黄酸化物SOxソックス)と窒素酸化物NOxノックス
SOxは火力発電所や工場からの排煙、NOxは自動車の排ガスなどから排出され、
化石燃料を燃焼した際の副産物として発生する。
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