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2018年度 フェリス女学院中学過去問【理科】大問4解説

問題PDF
【1】
川原や海岸にある土や石を分類するとき、その大きさ(直径)が2mm以上のものを「れき」といいます。特に256mm以上ある大きなれきを「巨れき」といいます。また、2mmより小さいものは「砂」に分類され、1/16mmすなわち0.625mmより小さいものは「どろ」に分類されます。

(1)
図1は海岸の地形を上空から見て地図に表したものです。図中のア~オの位置で巨れきがある場所、砂が1番多くある場所、どろがある場所を、それぞれ1つ選びなさい。

(2)
川原と海岸の砂をそれぞれ集め、水洗いしてかんそうさせたもののうち、つぶの大きさが4mmより小さいものを100gはかりとって、ふるい(図2のように底にあみがはってある容器)にかけました。この実験では、底のあみの穴の大きさが2mm、1mm、1/2mm、1/4mm、1/8mmと異なる5つのふるいを使いました。

そのふるい分けた結果を次のようなグラフに表しました。グラフの横じくはふくまれている砂つぶの大きさを表し、縦じくは100gはかりとった全体の量に対する割合を示しています。


ふるい分ける砂は1回だけ100gはかりとることとします。5つのふるいをどのように使うと、この実験は手早く失敗することなくできるでしょうか。解答らんに5つのふるいを図で示し、図中に言葉でも説明しなさい。なお、ふるいの容器はすべて同じ大きさです。



グラフ1は川原の砂、グラフ2は海岸の砂をふるい分けた結果です。2つの結果をくらべ、そのような結果になった原因を考えなさい。そして、下記の文の下線部に語句を入れ、文章を完成させなさい。

【2】
「白砂青松はくしゃせいしょう」という言葉は日本の海岸の特ちょうを表したものです。白い砂浜に松の木が生えている風景で、「白い砂」はカコウ岩に由来します。地表にあるカコウ岩は長い間、風にさらされると細かくなります。その中で多く存在するセキエイというつぶが「白い砂」の正体です。「白い砂」をけんび鏡で見るととう明なガラス状のつぶであるセキエイを確認することができます。砂浜を歩くと足元から「キュッ!キュッ!」という音がひびくことがあります。「鳴き砂(鳴り砂)」とよばれる現象です。「鳴き砂」が起きる砂浜の砂は、セキエイが多くふくまれています。また、砂の表面がきれいな海水で洗われ、よせてはかえす波に何度もみがかれるためつぶの大きさもそろっています。
そこに人の足裏の力が加わると、砂つぶどうしがこすれ合い音が発生すると考えられています。「鳴き砂」は砂がほんの少しよごれただけで鳴らなくなるので、きれいな砂浜の自然環境をまもるための目安となります。

(1)
グラフ3と4は同じ海に面した2ヶ所の海岸で、それぞれ集めた砂を、前記【1】(2)の方法でふるい分けをした結果です。

どちらの砂にもセキエイが多くふくまれていましたが、「鳴き砂」が起きたのはグラフ3の砂だけでした。グラフ4の砂では「鳴き砂」は起きませんでした。この2つの違いは何によるのか、ふるい分けの結果からわかることと自然環境から考えられることを、それぞれ1つずつ書きなさい。

(2)
砂は山から河川を通じて長い時間をかけて海に流れ出ます。砂浜は川から流れてくる砂の量と海に流れ出ていく砂の量のバランスがとれている場所ですが、そのバランスがくずれると砂浜の面積は変化していきます。

<状態>
①冬になると夏よりも砂浜はせまくなる。
②近年、日本では海水浴できる砂浜が減っている。

上記の①②の砂浜の状態を生み出したと考えられる原因をそれぞれ1例をあげて説明しなさい。


@解説@
【1】(1)巨れき…オ、砂…イ、どろ…ウ

岩石は河川の流水作用によって削れて小さくなるが、河口付近に巨れきがあるということは、
川から流れ出たのではなく、海岸付近の崖から崩れ落ちたものと考えられる。
砂と泥は河口から近いところに砂、遠いところに泥が堆積する。
アに砂はやり過ぎなので、イ・ウくらいがちょうど良い。

(2)下図参照。

5つのふるいを1回で使うには、縦に積み重ねる。
穴の大きいふるいを上に持ってくること!
1番上のふるいには、2mmより大きい堆積物、
その下のふるいには1mmより大きく2mm以下の堆積物がふるい分けられる。
一番下のふるいの下には1/8mmより小さな堆積物が落とされるため、
床からサッと拾えるように紙を敷いておく。

②(2つの結果をくらべると、海岸の砂は)
1/4~1/8mmが多く、粒の大きさはそろっている。
(川原の砂は)1~1/2mmが多く、粒の大きさはまばらである。
(その原因として考えられることは、海岸では)
浸食された期間が長く、波の浸食作用が強いこと。
(川では)浸食された期間が短く、上流部から運ばれた岩石の大きさが異なること。

グラス1が川原、グラフ2が海岸。
はじめはグラフの結果だけを述べる。
最も表れているデータ(最頻値;モード)と、
最小値~最大値(範囲;レンジ)を指摘しておくのがベター。

次に考えられる原因を述べる。
砂は山地など川の上流部にあった岩石が風化で砕け、河川の流水作用(浸食・運搬・堆積)により、
次第に丸みを帯びて小さくなっていき、下流部へ運ばれる。
リード文の通り、礫・砂・泥の違いはサイズの違いであって、もとは同じ岩石である
川から海に出た砂は、さらに波の浸食にもまれ、より小さくなって粒の大きさも揃うようになる。
これが沿岸に堆積されることで、サラサラした砂浜海岸ができる。

【2】①
・ふるい分けの結果からわかること;
砂の大きさが、ある程度そろっているかどうか。
・自然環境から考えられること;
海岸の環境がきれいであるか、汚れているか。
*ふるいで分かるのは、サイズの違いによる分布状況。

グラフ3は1/2~1/4mmの割合が特に多いが、
グラフ4では範囲が1~1/16mmに拡大し、1/2~1/4mmの割合が少し減っている。
粒の大きさが揃っているか、まばらであるかの違いを指摘する。
自然環境はリード文からそのまま書けばОK。

鳴き砂はセキエイの摩擦から生まれるので、砂粒のサイズが均一で、
かつ砂の表面が綺麗であると、より擦れ合いやすくなり、鳴き砂が起こると思われる。

(2)
①川が凍結して流量が少なり、砂があまり運ばれないから。
②ダムの建設で流れがせきとめられ、砂の堆積量が減少したから。
*想像力が試される(;´・ω・)
『砂浜は川から流れてくる砂の量と海に流れ出ていく砂の量のバランスがとれている場所』
砂浜が減少する原因は、川から流れてくる砂の量が減少するか、
海に出ていく砂の量が増加するかのどちらか。
①冬という季節の条件が付くので、川の凍結か降水量の減少を挙げる。
②近年の日本の状況なので、全国的に起こっているだろう原因を見つける。

天竜川では水害対策のためにダムを建設したことで下流域への堆積量が減少し、
遠州灘の海岸侵食とあわせて、海岸線が後退する事態が起きている。→静岡県
自然は人間の思い通りにいかないもんですなぁ(´~`)


鳴き砂。
琴引浜(ことひきはま)は日本海に面する京都の丹後地域にある砂浜海岸。
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