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2021年度 渋谷教育学園幕張中学過去問【理科】大問1解説

問題PDF
 天体の見かけの動きを考えるときに、「天球」という考え方を使います。図1のように、観察者を取り囲むような球を考え、その球の内側に、プラネタリウムのように、距離には関係なく天体が張り付いていると考えます。「天の赤道」は、地球の赤道を大きく広げて、天球に合わせたものです。「天の北極」と「天の南極」は、地球の北極と南極を結ぶ線を延長して、天球に交わった点です。天の北極の近くには北極星があります。
 観察者が立っている面を「地平面」と呼び、地平線を広げた面として考えてください。この面より上にある天体が空に見えます。逆に、この面より下にある天体は地平線下にあるので見えません。観察者の真上の点を「天頂」と呼びます。観察者にとって、「北」と「南」の方向は、天の北極と天の南極と天頂を通る円が地平面と交わる方向です。また、「東」と「西」の方向は、北と南の方向を結ぶ線に対して直角の方向です。この時、天の赤道は東と西を通る円となっています。天の北極と天の南極を結ぶ軸が回転して、天球が回転します。結果、太陽や星が東の方からのぼり、西の方へ沈むことを説明することができます。

2020年7月19日の天体の位置や動きについて、以下の問いに答えなさい。

(1)
図2に示したAは、東京での日の出の位置を表しています。解答用紙の図は、観察者が北を背にして、空を見上げた図です。東西南北の地平線まで見えているものとします。この日の太陽の動きをなめらかな曲線で書き、日の入りの位置をマーク(●)で表しなさい。
←答案。

(2)
この日の明け方に、地球からすべての惑星を一度に見ることができるという珍しいことが起こりました。図3は、観察者が北を背にして空を見上げている図です。天王星と海王星は肉眼では見ることができませんので、望遠鏡で見えた位置に印をつけてあります。この図で、7つの惑星の位置を結ぶと、なめらかな曲線になっていることに気がつきます。次の中から、この図と関係のある文を2つ選びなさい。

(ア)太陽の強い力で、惑星が一箇所の空間に集められている。
(イ)惑星は、大きさの順に並んで見えている。
(ウ)惑星は、太陽からの実際の距離の順に並んで見えている。
(エ)惑星の位置を結んだ滑らかな曲線の延長上に太陽がある。
(オ)実際に惑星が太陽の周りを回る道すじは、ほぼ同じ平面上にある。

(3)
この日に火星が昇ってくる位置は、地平線のどのあたりになると考えられますか。
解答用紙に示した図に濃くはっきりとマーク(●)を書きなさい。

(4)
図4のように、天の北極の方向から見ると、地球は太陽の周りを時計の針と反対向きに公転しています。地球の自転も時計の針と反対向きです。天の北極の方向から見た、この日のそれぞれの惑星(水星、金星、地球、火星、木星)の位置は、図5のどれですか。最も適するものを選びなさい。


 すい星は太陽系の天体で、惑星と同じように太陽の周りを公転しています。太陽系のかなり遠くの方から太陽に接近して急に明るくなり、遠ざかると急に暗くなって見えなくなってしまうことが特徴です。また、図6のように、長い尾をたなびかせて他の天体とは違った姿を見せます。すい星の尾は太陽と反対側に伸びます。

(5)
新しいすい星が発見され、この日の夕方に、太陽が沈んでからすぐに見えたとします。
すい星の尾の見え方を、1本の直線で表しなさい。

↑解答用紙。


@解説@
(1)下図参照。

夏至に近い日なので、北よりの東から昇り、北よりの西に沈む
南中で影は北にできるので、天頂の南側をカーブする。

(2)エ・オ
地球から空をながめると、7つの惑星がなめらかな曲線上にあった。
もし、7つの惑星の公転軌道がほぼ同一平面上にあるとするならば、
その平面がなめらかな曲線としてあらわれたと考えられる。

地球からの距離はそれぞれ異なるが、1つの平面を横から見ると並んでみえる。

また、太陽系は太陽を中心に7つの惑星が公転するので、
中心点となる太陽も同一平面上にあるものと推測できる。
(1)のA(日の出位置)が北よりの東だから、水星の延長線上に太陽があるはず。


太陽の近くで高速にクルクル回っているのが、火星までの地球型惑星
木星以降の木星型惑星がその遠くをまわっている。
一番外側を周回する、準惑星に降格された冥王星を除くと、同一平面上の軌道にみえる。

なぜ、同一平面で公転するのか?
この点、国立天文台のサイトによると、惑星のもととなる宇宙のガスやチリが重力で引き合い、互いにぶつかり合うと、《反対方向の運動がうち消されて平均化された結果、物質どうしはお互いにそれ以上ぶつからないように、1つの平面上を、ほとんど円軌道で、同じ方向に回転するようになりました》ということらしい…。
最初は無秩序にバラバラと漂い、密度の濃い部分に皆が集まって均整が取れていく感じでしょうか。
しかし、この説明だと密度の濃い部分がなぜ同一平面上にくるのかわからないヽ(´Д`; )ノ
ログミーBizさんの方では、もう少し詳しい説明がなされていました。
どうやら、角運動量保存の法則とやらでチリやガスからなる雲の自転速度が速まり、雲全体の速度が増すと、ちょうどピザの生地を回転させると平べったくなるように、チリガスの雲が皿状に広がって雲が晴れたようです。もっと知りたい方は自分で調べてみてね(´・∀・`)

困ったら消去法でも対処できる。
ア:太陽の強力な引力で集められても、なめらかな
曲線に整列するとは限らない。
イ:大きさを比較してみよう↓

アストロピクスより。木星型惑星は地球型惑星より圧倒的に大きい
太陽はさらにデカい(」゚Д゚)」
太陽系の全質量のうち、99.9%近くは太陽が占めているそうです…。
ウ:惑星の順番は渋幕受験生なら全員言えるはず。

(3)下図参照。

はじめの天球の説明にあったように、天球が回転して天体は東から昇り、西へ沈んでみえる。
天球の回転は地球の自転。
自転を巻き戻すと、火星は北よりの東から昇ってくる。

(4)オ
難しい(´~`)

自転方向に注意して朝夕判定。夜から昼に変わるのは上側。
明け方に観察しているので、地球の上側に地平線を描き、
7つの惑星が一度にみえる位置関係をさぐる。

アは地球をはさんで惑星が左右に分かれ、一度に全部見れない×。
ウは水星と木星が共に地平線のうえにこない。×
エも太陽がモロ出しで惑星が見えない。
カは7つの惑星が入るが、夕方の方向になる。
イとオが良い感じ。

イ・オの判定ですが迷いました(;´・ω・)
天球に張り付けても似たような位置関係になる。
(2)エ『惑星の位置を結んだ滑らかな曲線の延長上に太陽がある』とあったので、
ここからオと判断するしかないと思われる。
また、先ほどの動画のように太陽~火星までの距離と比べて、木星はだいぶ遠くをまわる。

(5)下図参照。

『すい星の尾は太陽と反対側に伸びます』とあるので、
(1)の日の入りの位置と反対方向に線をひく。
多少の角度のズレは許容範囲だと思う。

@彗星と流星@

彗星(すい星;ほうき星)の尾は進行方向の反対側ではなく、太陽の反対側にあらわれる。
これは太陽のコロナから吹く太陽風(電荷をもつ高温の粒子(プラズマ)の流れ)を受け、
彗星から放出されたチリやガスが尾に見える。
ちなみに、太陽風はオーロラや磁気嵐、デリンジャー現象(通信障害)の発生を引き起こす。

一方で、流星は彗星や小惑星から取れたチリが地球の大気との摩擦で光るので、
進行方向の反対側で発光している。
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