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人々は大昔から太陽や月など天体の動きを観測して、時刻を定め、暦(カレンダー)をつくってきました。現在、時刻は天体の動きとは関係なく、より精度の高い時計によって定められていますが、日本をふくむ多くの国で使われている暦は、地球が太陽のまわりを1周する「太陽暦」とよばれるものです。
(1)
昨年(2018年)の春分の日は3月21日で、横浜での日の出は5時44分、日の入りは17時54分でした。この春分の日は昼の時間と夜の時間を比べた下記の文中の( )にあてはまる数字を入れ、{ }からは一番あてはある語を選びなさい。
昼の時間は( ① )時間( ② )分で、一方、夜の時間は( ③ )時間( ④ )分であるので、{⑤昼・夜}の時間の方が( ⑥ )分長いといえます。
春分の日にもかかわらず、昼と夜の時間が等しくならない原因は2つ考えられます。1つは、太陽の{⑦上辺・中心・下辺}の部分が、水平線(地平線)と重なったときを、日の出と日の入りの時刻としていることによります。もう1つの原因は太陽からの日から意が大気(空気)の中で少し曲がり、太陽の位置が実際の位置よりも少し{⑧上・下}に見えることも関係しています。
(2)
昨年(2018年)の春分の日は3月21日でしたが、春分の日が3月20日の年もあります。日本の祝日が定めている「国民の祝日に関する法律」によると、春分の日は「春分日」にもとづくとされています。「春分日」というのは天文学のよび名で、次のように定義されてます。
上図は、地球を中心に宇宙で「天球」という空間を考え示したものです。その球面上に地球から見た太陽の位置を1年間かけて結びました。それを「黄道」とよび、1年間の「太陽の通り道」を示しています。
また地球の赤道を天にまで延長したものを「天の赤道」といいます。黄道と天の赤道は、たがいにかたむいているため、2点で交わり、その交点のうちの一方を「春分点」とよびます。
そして、太陽が春分点の上を通過する時刻がふくまれる日を「春分日」としています。
表は2009年から2018年までの10年間に太陽が春分点の上を通過した日時を示しています。なお時刻は日本時間で通過時間に近い時刻です。
①
1年ごとの太陽の春分点通過の日時を、解答用紙のグラフに示しなさい。
どのように変化していくのか、グラフの日時を示す点を結びなさい。
なお、定規は使えませんので点を結ぶ線は曲がってもかまいません。
②
①のグラフからわかったことを下記の文にまとめました。
文中の( )にあてはまる数字を入れ、{ }からは一番あてはまる語を選びなさい。
太陽の春分点通過の日時は毎年( ① )時間ずつ{②早く・おそく}なるので、そのままの日付で「春分の日」を決めると、暦(カレンダー)と季節がずれてしまいます。そのため( ③ )年間に1回1日前の日付になるようにしています。
③
上記の下線部に関して、暦(カレンダー)では具体的にどのように調整しているか、
説明しなさい。
④
地球は太陽のまわりをいつも同じ速さで回っています。地球が太陽のまわりを1周する時間はおよそ365日ですが、③の調整を合わせると365日0時間よりも何時間長くなる、または短くなるでしょうか。長くなる場合は+(プラス)をつけて短くなる場合は-(マイナス)をつけて答えなさい。
(3)
キリスト教のイースター(復活祭)の日はクリスマスのように毎年決まった日ではなく、毎年変わるため、わかりにくいのですが、一部の教会を除いて、次の「 」のように決められています。
「春分の日の直後の満月の日の次にくる最初の日曜日」
なお、この取り決めでは、春分の日は毎年3月21日に固定され、暦(カレンダー)で春分の日が3月20日の年でも、3月21日を春分の日としてイースターの日を決めていきます。また、春分の日(3月21日)の曜日が日曜日以外で、その日が満月であれば、その直後の日曜日がイースターの日になります。
以上のことからイースターの日が、一番早い場合と一番おそい場合、それぞれ何月何日になるか下記のように考えました。解答用紙の□の中に月日の数字を、( )の中に曜日を書き入れなさい。
@解説@
イースターを出すとは、いかにもミッション系の学校。
(1)
昼の時間は、17:54-5:44=12:10
①…12 ②…10
夜の時間は、24:00-12:10=11:50
③…11 ④…50
昼は12時間10分、夜は11時間50分。
春分なのに、昼の方が20分長い。
⑤…昼 ⑥…20
春分は昼と夜の時間が同じといわれるのになぜなのか?
昼の時間が長いということは、昼の開始時刻が早く判定され、
昼の終了時刻が遅く判定されるということ。
ということは、太陽の上辺が地平線と重なったときを日の出・日の入り時刻としている。
⑦上辺
また、地平線より下にある太陽(A)の光が大気で屈折することにより、
見かけ上は地平線の上(B)に見える。
実際はもう沈んでいるのに地平線上に見えるから、昼の長さが長くカウントされる。
⑧上
②
表とグラフを観察。
6時間ずつ遅れていくが、4年に1度、急に18時間早くなる。
つまり、4年に1回、1日前の日付になるようにしている。
①…6 ②…おそく ③…4
③4年に1度うるう年を設定する。
*解答欄は2行あるが、これでいいと思う。。
本来は6時間遅くなるところ、24時間の調節日を設けることで、
春分点の通過が18時間早くなる。
④6時間長くなる
*平均で考えるのがポイント。
〔365日・365日・365日・366日〕が繰り返される。
うるう年の1日を均すと、1年あたり365.25日となる。
0.25日=6時間なので、6時間長くなる。
湘南高校の特色検査で、閏年の計算問題がでました。
(ウ)の問題です。暦のズレを修正するために1万年の間に何回閏年を増やすor減らすべきか。
小学生には厳しい内容ですが、チャレンジしてみてください。
(3)
イースターの日を求める。ほぼ読解問題です。
ありがたいことに情報整理用の空欄が用意されている。
【春分の日の直後の満月の日の次にくる最初の日曜日】
直後は”以後”という言い回しの方がわかりやすいかも。
以上・以下と同じで、春分の日を含むということ。
『春分の日は毎年3月21日に固定』されているので、春分の日は3月21日。
◆一番早い場合
『春分の日の曜日が日曜日以外で、その日は満月であれば、その直後の日曜日がイースター』
→春分の日が土曜日の満月であれば、翌日の3月22日がイースターとなる。
◆一番遅い場合
先ほどは満月を春分の日としたが、満月日を前日の3月20日とする。
すると、次の満月日は約1ヶ月後に繰り越される。
計算問題だが、月の満ち欠け周期が情報として与えられていない。
月は29.5日で満ち欠けをする。繰上げして次の満月日は30日後。
3月は31日まであるので、3月21日の30日後は4月18日。
これが日曜であれば、イースターはさらに1週間後の4月25日に延ばされる。
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