2022年度 灘中学過去問【理科】大問3解説

地球のまわりには空気が取り巻いており、この空気を地球の大気と呼んでいます。大気中の、特に地表に近い部分では、風がふいたり、雲ができて雨が降ったりと、さまざまな天気の変化が起こっています。地球の大気はどれくらいの高さまであるのでしょうか。

問1
雲は、できる高さと形などによって、10種類に分けられています。次の①~④の説明にあてはまる雲を、下のア~カからそれぞれ選び、記号で答えなさい。
①最も高い位置にできる雲のひとつである。雨を降らせることはない。
②うね雲とも呼ばれ、波打ったような形をしている。
この雲が次々と出てくると、その後の天気がくずれることがある。
③ひつじ雲とも呼ばれる。この雲がすぐに消えると、晴れることが多い。
④むくむくと空高くにわき上がる雲である。雷をともなった大雨を降らせることがある。
ア:高積雲、イ:乱層雲、ウ:巻積雲、エ:積乱雲、オ:層積雲、カ:層雲

問2
空気にも重さがあります。ある高さで、1m2の平面の上に乗っている空気の柱の重さを、その高さでの大気圧といい、高さが0mとなる海水面1m2の上に乗っている空気の柱の重さは10トン(10000kg)にもなります。一方で、大気圧は、その高さよりも上にある空気の柱の重さによって決まるので、高い場所ほど大気圧は小さくなります。図1に示すように、5.5km高くなるごとに、大気圧の大きさは半分になっていくことが知られています。地球の全表面が海水面と同じ高さであると仮定したとき、高さ11kmより下にあるすべての大気の重さは、地球全体の大気の重さのおよそ何%になりますか。整数で答えなさい。

問3
海水面付近では、空気1Lの重さは1.3gであることが知られています。実際には、上空ほど空気1Lの重さは小さくなりますが、もし、空気1Lの重さが1.3gのまま上空まで変わらないとしたら、地球の大気は、海水面からどれくらいの高さまであることになりますか。最も近いものを次のア~カから選び、記号で答えなさい。
ア:80m、イ:800m、ウ:8km、エ:80km、オ:800km、カ:8000km

問4
大気の高さが初めて推定されたのは、今から1000年ほど前と言われています。その方法を説明した次の文の①~③にあてはまる数値を整数で答えなさい。必要であれば、下図の直角三角形の3辺の長さの比を用いなさい。ただし、図は正確ではありません。

 地球の大気は、太陽の光を受けると明るくなるという性質があるため、日の出前に東の地平線付近の空が明るくなる「薄明はくめい」という現象が起こります。この「薄明」が始まってから日の出までの時間の長さを計測することによって、大気の高さを推定しました。ここでは、春分の日に、薄明が始まってから日の出までの時間を72分とします。

 図2は、地球の赤道上のGに人が立ったようすを、北極点の上空から見たものです。Gでの地平線はBCで表され、太陽がBにきたとき、Gでは日の出となります。一方で、Gで薄明が始まった瞬間の太陽の位置をAとします。Aから出た太陽の光は地上のEを通りDに達します。このDが大気の上の端であると考えたのです。
 太陽は24時間で地球のまわりを1周しますから、72分間では( ① )度回転します。したがって、地球の中心をHとすると∠EHG=( ② )度になります。地球の半径を6400kmとすると、FD=( ③ )kmとなり、この値が求める大気の高さとなります。


@解説@
問1:①ウ、②オ、③ア、④エ
覚えるのが憂鬱になる十種雲形(;´*`;)

日本気象協会より。層だの積だの紛らわしい名前が多い(´°ω°`;)
積乱雲が一番わかりやすい。夏の入道雲もこれで、下はとんでもない天候になる。
乱層雲は一般的な雨雲で、“乱”がつく雲は雨を降らす
”巻”がつくと上層にできる雲で、高度が高いからか分厚くない。
巻雲は「すじ雲」とよばれる。巻積雲は「いわし雲」や「うろこ雲」。
巻層雲はさっきの巻雲と一体何が違うのか(;°;ω;°;)
一般的に“層”がつくと横に広がり、”積”がつくと丸っこちい
“高”は”巻”の下。高積雲は「ひつじ雲」。うろこ雲やひつじ雲が大きくなると雨のサイン。
高層雲は”層”とあるので横に広がる。
層積雲が「うね雲」ともいうそうで、これが次々出てくると天気が崩れる可能性があるらしい…。
積雲は「わた雲」。層雲は最も下層にできる霧状の雲。
お手元の教科書で振り返ってください。

問2:75%

高さが5.5km高くなるたびに大気圧の大きさは半分になる。
高さ11kmの大気圧を①とすると、高さ5.5kmでは②、高さ0kmでは④。
【大気圧=ある高さで1m2の平面の上にある空気の柱の重さ】

④が海水面1m2の上にある空気の柱の重さ10トンである。
『地球の全表面が海水面と同じ高さにある』と仮定する→全表面が0km
海水面1m2を地球の全表面に拡大して
地球全体の大気の重さを④とすると、
地球の全表面における高さ0~11km未満の大気の重さは③。
その割合は、③÷④=75%

@@

色と形で気象予報士!より。
対流圏の高度を11kmとする記載があるのは、大気圧が5.5kmごとでおよそ半分になるから。
対流圏と成層圏のあいだを対流圏界面という。地表の温度が高いと対流圏界面が上がるので、
季節や場所によって対流圏の高さは異なるが約10kmという認識で良いと思う。
地球全体の大気の質量の約75%が対流圏に集まっている。

問3:ウ
単位換算。
手際よく処理しないと桁ミスが発生するし、めまいがする(*_*)

空気の柱の質量は10t=10000kg
これは底面積が1m2あたりの重さである。
空気の質量は1L=1000cm3=1.3g
柱の高さを求めたい。

まず、1mあたりの空気の重さを求める。
1m3=100×100×100cm3なので…
1mあたりの空気の重さは、1.3g×(100×100×100)/1.000=1300g=1.3kg
1kmあたりの空気の重さは、1.3kg×1000=1300kg
空気の柱の高さは、10.000kg÷1300kg=100÷13=7.69…≒8km

問4:①…18、②…18、③…64

少しおさらいします。
太陽がAにくると、地点Gにいる人物の視界に太陽の光がはいるので薄明が起こる。
BCは地点Gの地平線で、Bに太陽がくると地点Gで日の出となる。
Dを大気の上の端と考えるので、大気の高さはDFで表される。

太陽は1時間(60分)で15°まわるから、72分間では15×72/60=18°回転する。

∠ADB=18°となるが、これは地球から見た太陽の見かけ上の動きである。
実際は太陽は動かず、地球が自転している。
図は北極側から見たもので、地点
Gが地点Eまで反時計回りして日の出となる。
∠EHG=18°

∠DHE=18÷2=9°
地球の半径6400kmをHE(HF)=【100】とすると、
大気の高さFD=【101】-【100】=【1】
FD=6400×1/100=64km

 

@大気の高さ@
問3では1L=1.3gが上空でも変わらないとの条件付きで8km。
問4では薄明を利用して64km。
値が全然違うんですけど、結局、大気の高さはどのくらいなのか?┐(´~`)┌

空と宇宙の境目はどこですか?(ファン!ファン!JAXA!)

上のページによりますと、結論からいえば一意的な定義はないそうです。
国際航空連盟という民間団体は高度100kmから上を宇宙としていますが(カーマンライン)、アメリカ空軍や連邦航空局、NASAでは80kmを境界線としています。しかし、NASAのなかでもミッションコントロールセンター(管制施設)では空気抵抗が大きくなる76マイル(およそ122km)を大気圏再突入としています。一方で、熱圏の外側にある
外気圏は高度500kmを超え、学術的にはスペースシャトルやISSが飛行する高度400kmでもまだ大気圏内らしいです。つまるところ、大気の高さは考え方によって変わる感じでしょうか。

ちなみに、宇宙条約2条では宇宙空間の領有が禁止されていますが、どこまでが各国の主権が及ぶ領空で、どこからが領有が禁止される宇宙なのか、いまだ明文化はされていません。人工衛星が軌道に乗る高度はとても高く、日本のJAXAが開発した超低高度の人工衛星「つばめ」でも高度が167.4kmらしいので、現段階では曖昧な状態でも差し迫った問題はありません。これから宇宙開発が進んで各国の利害対立がより鮮明になったとき、宇宙がどこから始まるかについて議論されると思います。そう遠い未来の話ではないかもしれませんね。
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