問題PDF
以下のように、長方形から新たな長方形を作る操作を定めます。
〔操作〕
長方形ABCDの縦の辺ABと辺CDの真ん中の点をそれぞれE、Fとします。
下の図のように、E、Fを通る直線で長方形ABCDを切って2つに分けて、
辺AEを辺FCに重ねて新たな長方形EBFDを作ります。
たとえば、縦4cm、横5cmの長方形にこの操作をおこなうと、縦2cm、横10cmの長方形になります。
縦〔 ア 〕cm、横〔 イ 〕cmの長方形Rにこの操作を続けて何回かおこなうことを考えます。
〔 ア 〕、〔 イ 〕は整数であるものとして、次の問いに答えなさい。
(1)
長方形Rにこの操作を7回続けておこなったところ、正方形ができました。
〔 ア 〕:〔 イ 〕を最も簡単な整数比で答えなさい。
(2)
長方形Rにこの操作をおこなうごとにできた長方形の周の長さを計算したところ、
8回目の操作後に初めて周の長さが奇数になりました。
〔 ア 〕として考えられる整数のうち、3けたのものは何個ありますか。
(3)
長方形Rにこの操作をおこなうごとにできた長方形の周の長さを計算し、
操作前と操作後の周の長さを比べて増加しているか減少しているかを調べたところ、
4回目までの操作の前後ではすべて減少し、5回目の操作の前後では増加しました。
〔 ア 〕÷〔 イ 〕の商として考えられる整数は何個ありますか。
@解説@
(1)
操作後に長方形の縦が半分、横が2倍になる。
操作を1回戻すたびに、縦が2倍、横が半分になる。
操作7回後の正方形の1辺を①とする。
1回戻すと、縦:横=②:〇0.5=4:1
さらに1回戻すと、縦:横=⑧:〇0.5=16:1
横の比を1で統一すると、操作1回戻るごとに縦の比は4倍ずつ長くなる。
7回前の縦の比は、4×4×4×4×4×4×4=16384
縦:横=16384:1
ア…16384、イ…1
(2)
1回の操作で縦半分、横2倍。
1~7回目まで周の長さは偶数だった。
横は2倍されるので必ず偶数。
また、周の長さ=(縦+横)×2だから、8回目後の縦が奇数でも周の長さは偶数になる。
条件を満たす長方形は7回目後の縦が奇数(8回目後に小数点がつく)。
換言すれば、2の素因数を7個だけ含む数である。
2×2×2×2×2×2×2=128
128に奇数を小さい順にかけていく。
128×1=128、128×3=384、128×5=640、128×7=896
128×9は4桁だから終わり。
4個
(3)
周の長さが1~4回目までは減少、5回目に増加した。
基本的に長方形が縦長だと操作後に周が短くなり、横長だと長くなる。
縦長から横長に切り替わるタイミングを直接探るのは難しいので、
操作をしても周の長さが変わらない長方形を探し、その前後の長さに見当をつける。
辺の中点で切るので、正方形に区切ると見つけやすい。
左下の正方形を右上に移動させると、長方形の周の長さは変わらない。
縦:横=2:1→縦:横=1:2
操作前の横を1とすると、周の長さは縦が2より大きいと減少、2より小さいと増加する。
縦の最小値を探すには、4回目前後が減少ではなく等しい場合を考える。
(5回目後は1:2の横長からさらに横長で増加する。4回目で条件を崩す)
求めたいのはア÷イの商の個数。
横の長さ(イ)を1とおけば、縦の長さ(ア)を調べるだけで条件に合う商の範囲が絞れる。
また、横を1に統一すると、縦の長さの比は(1)より4倍すればいい。
操作をさかのぼると、2×4×4×4=128
最初の長方形が縦:横=128:1だと、4回目の前後で周が等しくなって条件不適合。
もし最初の縦が129であれば、3回目後の縦は129÷4÷4÷4で2よりちょっと大きくなる。
縦:横=2:1の長方形より縦長なので、4回目後は横長でも周の長さは減少するはずである。
5回目後は横長→横長で周の長さが増加する。
縦の上限はどうか?
今度は5回目前後で周の長さが変わらないケースを考える。
最初の長方形の縦は、128×4=512
もし、最初が511だと、4回目後の縦は511÷4÷4÷4÷4で2を下回る。
→4回目後は減少、5回目後は縦:横=1:2より横長で増加。
該当する式は、129÷1~511÷1の商。
⇒129~511の個数。
511-129+1=383個
@余談@
↑全部(縦:横)です。
辺を半分か2倍するので、2のベキ乗にターゲットを絞っても解ける気がする。
(1)より、正方形からさかのぼった操作前の長方形は周の長さが増えた。
正方形は縦と横の長さが等しいから、正方形の操作後も周の長さは増える。
つまり、正方形が作れたら、周の長さが最小となるのは正方形である。
4回目後に正方形になれば、1~4回目は減少、5回目から増加する。
(1)のように横を1で統一すると、最初の縦は4×4×4×4=256
縦:横=256:1の長方形は正方形を経由する綺麗な形で増加に転ずる。
1個手前の128:1を調べると、4回目の前後は16:8→8:16(和が24)で変わらない。
縦の長さだけを操作する。(横は1→2→4→8…で増加)
3回目後の縦が16より大きければ、横+8に対して縦は-8を超えるから4回目後も減少する。
最初の縦は128+1=129
1個後ろの512:1では5回目前後が増加しないので、
4回目後の32を小さくすれば増加する。512-1=511
縦は129~511→383個
(*2のベキ乗を並べて一方の列を÷2、他方の列を×2すると、256のように同数が登場するか、
128や512のように入れ違いが発生し、入れ違いだと前後の和が等しくなる)
難関中(算数科)解説ページに戻る
コメント