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2019年度 千葉県公立高校過去問【後期】理科解説

平均61.6点

問題はコチラ→PDFファイル

大問1(地層)-64.5%

(1)風化 75.1%
*岩石がボロボロになる現象。
岩石は石英や長石、輝石など多様な鉱物から構成されており、各々で膨張率が異なる。
昼夜の温度差で鉱物が収縮を繰り返すとスキマができ、
そこに雨水が垂れ込むことで岩石の結びつきが弱くなって崩れていく。
また、植物の根から分泌される酸でも岩石は風化することがある。

(2)イ 66.4%
*石灰岩はサンゴや貝など生物が堆積した岩石で、炭酸カルシウムを主成分とする。
塩酸をかけると二酸化炭素が発生する。

(3)ウ 79.4%
*思考型。
イの正断層か、ウの逆断層かで迷う。

条件によると、地層は水平に重なっており、褶曲がない。
凝灰岩の地層は1つしかない。→凝灰岩の地層を見る

地表からの深さをもとにプロット。上の赤い線が凝灰岩の層。
よって、地層が横から圧縮されてできる、ウの逆断層となる。
地点Aで凝灰岩が見られないのは削れちゃったから。
凝灰岩の地層は鍵層で、地層の新旧を判定するのに役立つ。

(4)3m 37.2%
*地点Cで泥岩は地表から7m下にある。
Dの地表はCのそれより4m下にあるので、
地点Dにおいて、7-4=3m下に泥岩がある。
海面からの高さは1目盛り2mであることに注意!

大問2(生物の採集)-68.1%

(1)イ・オ 48.6%
*単細胞生物を選ぶ。
ウニとクラゲは明らかな多細胞生物で外れる。

↑これがオオカナダモ。光合成の実験にもでてくる。
残るゾウリムシとアメーバが単細胞。
プランクトン=単細胞生物ではないことに注意!
プランクトンは水にプカプカ浮かぶ浮遊生物一般を指し、
ミジンコやワムシは多細胞生物である。

@細胞群体@

小中学生のためのプランクトン図鑑より。ボルボックス。
こいつは多細胞生物ではなく細胞群体といって、無性生殖で増えた個体同士がくっついている。
しかし、どうやら「細胞群体」という言葉は高校生物の世界だけらしい→BioHack
このサイトによりますと、研究者の間でも群体の取扱いはあやふやらしいのですが、
生物学者の福岡伸一氏はボルボックスよりも前に出現したシアワセ藻が多細胞生物であるから、
ボルボックスは多細胞生物であると明言しています。
また、このサイト主がおっしゃる通り、群体は単細胞生物から多細胞生物への移行時期である、
進化の流れの過渡期にあるのではないかとの見解があるようです。
単細胞からいきなり多細胞にはなれないので、その準備段階が群体であると。
確かに、多細胞の方が生物にとっては強くて多機能ですから、
単細胞生物が多細胞生物へランクアップしたい気持ちはあるかもしれません。
1つ1つは単細胞のように見えても、ボルボックスは不完全ながらも役割分担が見られるようで、
全体を有機的な結合とみなせば多細胞生物に入るのではないかと、素人ながら思いました。

(2)ウ 64.3%
*やや迷う。
ミカヅキモは取れたが、ミカヅキモ以外の微小な生物は取れなかった。
ミカヅキモ以外が取れなかったのはミカヅキモよりも体が小さく、
プランクトンネットの網目にひっかからなかったからかもしれない。
よって、明らかな誤答はその逆をいくウとなる。
アエのネットを引く深さや引く回数はプランクトンの採集では微妙な感じもするが、
可能性としてありえなくはない。

(3)ア 81.3%
*視野が狭くなり、入ってくる光の量が少なくなるので暗くなる。

(4)無性 78.0%
*生殖細胞による受精を伴わない、個体の増やし方。
親と子でDNAが共通するので形質が同じ。

大問3(電池)-77.8%

(1)m:H、n:Cl
4点-88.8% Hのみ-5.5% Clのみ-5.9%
*塩酸の電離。
HCl→H+(水素イオン)+Cl(塩化物イオン)
完全解答じゃない(p_-)

(2)イ 54.8%
*ボルタの電池。
銅よりもイオン化傾向(陽イオンへのなりやすさ)の大きい亜鉛が、
Zn2+亜鉛イオン)になって溶液中に溶け込む。
このとき、亜鉛板に電子を残し、電子は導線をつたって銅板に向かう。
電子の流れが電流となり、陽極の銅板から陰極の亜鉛板に電気が流れる。
(イオンになりにくい金属、ここでは銅が陽極(+)になる

(3)電解質 89.7%
*物質が水溶液のなかで電離をしなければ電気が流れない。
砂糖水やエタノールといった非電解質では電離しないので電池にならない。

(4)エ 72.2%
*思考型。
化学変化によって電気エネルギーを取り出す具体例を選ぶ。
エ:燃料電池は水素と酸素の化学変化を原料に電気をつくる。

ア:静電気がたまった下敷きからネオン管に電子が移動して放電した。
イ:電磁誘導による誘導電流
ウ:手回し発電機は運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。

@ジャイロ発電@
発電機といえばハンドル付きで手回しをするイメージがあるが、
最先端の発電機はハンドルがないという。。
どうやらジャイロ効果というものを使って発電しているらしい。
コマを高速で回すと、軸が少し傾いていもまた直立しようとする。
この元にもどる力がジャイロの源だそう。


すごい(*’ω’*)w
まだやるか!ていうくらい粘ってますね。
ジャイロの発電はハンドルを回さず、装置全体をシェイクするだけで多量の電気が生まれ、
波力発電の分野では実証実験が行われているようです。
以前、サイエンステレビにでていた東大の研究室に務める若手の女性研究家は、
発電効率を維持したまま、装置の小型軽量化に尽くしたいと仰っていました。
なんとジャイロ発電機を衣服に取り付けて、歩行の運動で電気を生み出したいんだとw(゚Д゚)w
科学者の発想は違いますね。

大問4(力学的エネルギー)-59.4%

(1)50cm/s 63.5%
*図2参照。
0.2秒のストロボ撮影で10cm移動している。
これを秒速に直す。
10cm×1/0.2=50cm
何度かでてるけど、そんなに正解率は高くない。

(2)ア 19.2%!
*小球に働く力を求める。
物体は【重力or物体と接しているもの】から力を受ける。
重力は物体の重心、小球の中心から鉛直方向(真下)に向かう。
小球は斜面に接しているので、斜面に垂直な力を受けている(垂直抗力)。
おそらく、ウに誤答が集中すると思われる。
運動の方向は物体にはたらく力ではない!!
小球ははじめに坂を転がり落ち、その惰性で坂を上っている。
坂を上っているときに、坂を上る力が小球に働いているわけではない。
ex.放物線の軌道で飛んでいる最中のボールに働く力は重力のみ

(3)ア 83.4%
*位置エネルギー+運動エネルギーの和は常に一定(力学的エネルギー保存則)。
一方が減少すれば、他方は増加する。
図4を上下に反転したアが正答となる。

(4)x:大きい、y:等しい 71.5%
*ようは小球がはじめにあった高さまで、小球は坂を上がるということ。
実験1では水平面2よりも高い位置から転がすので斜面2をかけ上がる。
実験2は水平面2よりも低いところからスタートするので、
坂の頂上まで行かず、Cのところで力尽きて下り始める。


2つの球と同時に離すと…?
同時には到達しません。
球が下にいくほど運動エネルギーは大きくなるので、
手前のレールは沈んでいるところが加速ポイントになります。

大問5(天体)―50.9%

(1)エ 97.9%
*日周運動=地球の自転から、1日で見える天体の動き。
イ:黄道は天球上で太陽の通り道。月だと白道。

(2)ア 45.6%
*日の出時刻を求める計算問題。
1時間で2.4cm。日の出~午前8時が8.6cmなので、
1時間×8.6/2.4=43/12=3と7/12時間=3時間35分
8時間の3時間35分前が答え→4時間25分

(3)エ 32.1%!
*季節が生まれるのは地軸が23.4°傾いているからと聞いたことあると思うが、
どこに対して23.4°かを正確に判定すること。

地球の交点面に対する垂線から23.4°である。
交点面に対して地軸は67.6°と傾く。
ウのように交点面に対して23.4°だと地球が大きく傾斜する。

(4)ウ 27.9%!
*赤道上の地点から観測できる、太陽の通り道を選ぶ。

シンガポール日本人会より。赤道では一年中、地平線と直角に移動する。
日本が夏至のときなので太陽は北寄りを移動し、ウが正答となる。

…なんでいつも地平線に直角なんだろう?

春分と秋分はわかるが、それ以外は地軸の影響で赤道でも傾きそうに思える。

1つのアプローチは別の地点との比較。
北半球では東→南→西、南半球では東→北→西と南北に傾いて太陽が動くので、
その間にある赤道は太陽が南北に傾かないだろう=垂直に移動するだろう、と想像できる。

天球はその地点の地平線を底面にする。
赤道の地平線は地軸に対して平行の関係。これは地球が回転しても同じ。
そもそも太陽が動いて見えるのは、地球が自転しているから。
地軸と地平線が常に平行だからこそ、日周運動では太陽が南北方向にズレがない。
一方、赤道以外の地平線は地軸と平行ではないので、時間帯によって太陽が南北に傾く。

…もっと、単純に考えられるかも。。
そもそも天球は地球上のある場所から観測した天体の見え方を示すものだから、発想の出発点が観測地点にある。
我々が地平線の真ん中に立っているとき、地球が傾いていることを考慮せず
観測する物体が東西南北のどの方位にあるかを捉える
ということは、地軸を鉛直方向に引き直して天球を考えてもいいはず。

↑結局、こう考えるのと同じなんだと思う。

ちなみに、先ほどの青の矢印をみると赤道は昼と夜の長さ同じ。
つまり、昼夜の時間が一定である。

天球でいえば、太陽が隠れる地平線の下側と同じ長さとなる。
これは春分・秋分に限らず、夏至や冬至にも同じことが言える。

大問6(物質の分離)-54.2%

(1)エ 21.6%!
*蒸留は気化した気体を冷して液体にするのでウかエ。
ウのように栓をすると、気体がどんどん試験管に入ってくるので爆発の恐れがある。

(2)イ 89.7%
*前問と同様。蒸留

(3)解答例:エタノールは水と比べて沸点が低い。(17字) 76.5%
*水とエタノールの混合実験で最も言いたいこと。
エタノールの沸点は80°弱で、先に気化するからWとXの液体はよく燃える。
100°に達すると水が気化し、エタノールと水が混じり合う。

(4)70g 28.8%!
*濃度の計算問題。
水で薄めるので、エタノールの量が変わらない
エタノールの量は、10g×40%=4g
4gのエタノールが5%になるので、
混合物全体は、4×100/5=80g
よって、加える水の量は、80-10=70g

大問7(磁界)-50.6%

(1)ウ 63.9%
*右ネジ。

図2はいらないと思う。

(2)解答例:実験2と比べて全体の抵抗値が下がり、電流量が増加したから。
4点-39.3% 1~3点-8.3% 無答-13.7%
*抵抗を並列に置くと電流が流れやすくなる
電流を水流に例え、水を流しにくい装置を横に2個つなげると、
装置が1つのときより水流の幅が広くなるので、水は良く流れる。
電流量が増えるとコイルの磁場が強くなり、コイルが大きく動く。

(3)イ・ウ 44.3%
*過去問にもでた。

まず、アだけ調べる。
サボはフレミングを使わいません。

↑アを手前から見た図。
電流の向きから磁界は時計回り。N→Sに向けて磁力が向かう。
右側は2つの向きが等しいので、右側が強くなる。
よって、パイプは右から左に押し出されるのでX側に動く。

他の選択肢はアと比べる。
イは磁石を逆さに下から、アの逆でY側。
ウは電流の向きを変えたのでY側。
エは電流と磁石と変えたのでアと同じX側。

大問8(刺激と反応)-62.7%

(1)a:エ 78.7%、b:ア 84.6%
*a:網膜はカメラでいうフィルターの役割を担い、光を感じる細胞がたくさんある。
b:感覚器官→脊髄→大脳→脊髄→運動器官と信号が流れるが、
目・耳・鼻が刺激を受けた場合、信号は感覚器官から脊髄を経由せずに直接大脳へ向かう。
感覚神経と運動神経は末梢神経。大脳と脊髄は中枢神経

(2)ウ 27.6%!
*反応速度の計算問題。
5回の平均を求める。
(0.74+0.82+0.78+0.84+0.81)÷5=0.798…→0.80秒
注意書きをよく読むこと!
Eが右手を握る=Dの左手が握られたときがスタートになる。

左手が握られてから右手を握る反応速度の計測はA~Dの4名。
0.80÷4=0.20秒

(3)解答例:無意識に起こる。
4点-58.5% 1~3点-2.7% 無答-5.3%
*反射の説明。
反射は、生物が身を守るために生まれつき備わっている無意識の反応。
〔感覚神経→脊髄→運動神経〕と大脳の思考を経由せず、危険を回避する。
パブロフの犬のように、習慣を通じて後天的に獲得した反応は条件反射と呼ばれる。
梅干しを見たら唾液が分泌されるのは条件反射の例です。

2019年度(千葉)前期
数学…平均54.5点 社会…平均56.6点 理科…平均60.6点
英語…平均53.6点 国語…平均54.2点
2019年度(千葉)後期
数学…平均61.0点 社会…平均65.8点 英語…平均61.9点 国語…平均59.2点
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