問題PDF
二酸化炭素を石灰水に通すと、その溶液は白くにごります。
これは炭酸カルシウムができたためで、しばらくすると底に沈みます。
この底に沈んだものを沈殿といいます。
二酸化炭素2.4Lを十分な量の石灰水と反応させると、10gの沈殿ができます。
沈殿の量から呼気(ヒトが口からはく息)に含まれる二酸化炭素の割合を調べるために、
次の実験をしました。
実験1
二酸化炭素を石灰水に吹きこむと、一部が逃げましたが、残りは沈殿になりました。
沈殿をろ過によって取り出し、よく乾かして重さをはかりました。
吹きこんだ二酸化炭素の体積とできた沈殿の重さの関係は、次のようになりました。
実験2
息を1回はくと2Lはき出されました。石灰水に2Lの呼気を3回吹きこみました。
沈殿をろ過によって取り出し、よく乾かして重さをはかりました。
できた沈殿の重さは0.55gでした。
(1)
二酸化炭素1Lをどこにも逃げないようにして十分な量の石灰水と反応させたとき、
何gの沈殿ができますか。四捨五入して小数第1位まで求めなさい。
(2)
実験1より、二酸化炭素1Lを石灰水に吹きこんだときに逃げる二酸化炭素は何Lと考えられますか。
四捨五入して小数第1位まで求めなさい。
(3)
呼気全体の体積に対して、二酸化炭素の体積の割合は何%ですか。
四捨五入して小数第1位まで求めなさい。ただし、呼気を石灰水に吹きこむとき、
二酸化炭素の一部は逃げ、その割合は実験1と同じとします。
(4)
次の①~③のような誤った操作をした場合、(3)で求めたものはどうなりますか。
以下のあ~うからそれぞれ1つずつ選びなさい。
ただし、それぞれの誤った操作以外は正しく操作したものとします。
①実験2で、沈殿をろ過によって取り出すとき、沈殿はよく乾いていたが、
ろ紙に沈殿を残したまま重さをはかってしまった。
②実験2で、1回で息を2Lはいたのに、1.6Lはいたと記録してしまい、その数字で計算した。
③実験1で、石灰水の量が十分ではなく、次のようになってしまった。
実験2では、石灰水の量が十分だったので、できた沈殿の重さは0.55gで変わらなかった。
【あ:大きくなる い:小さくなる う:変わらない】
@解説@
(1)4.2g
本問はCO2が逃げない。
【CO22.4L=沈殿10g】
1LのCO2では、10×1/2.4=4.16…≒4.2g
(2)0.4L
表の数値が比例なので、吹き込んだCO2に対して逃げたCO2の割合は一定。
整数値である【CO22L=沈殿5g】に着目する。
5gの沈殿ということは、2.4×5/10=1.2LのCO2しか反応していない。
2Lの吹き込みのうち、空気中に逃げたCO2は2-1.2=0.8L
1Lの吹き込みでは0.4LのCO2が逃げる。
(3)3.7%
呼気の話なので、息を吐く実験2の数値を用いる。
呼気の合計は、2×3=6L
前問より1Lのうち0.4LのCO2が逃げるので、
6Lでは2.4LのCO2が逃げる。
残りの3.6Lが石灰水と反応して、0.55gの沈殿物ができた。
【CO22.4L=沈殿10g】
前半は石灰水と反応した3.6Lに含まれるCO2の量を算出。
これを×6/3.6倍して、6Lの呼気に含まれるCO2は0.22L。
呼気におけるCO2の割合は、0.22÷6=0.0366…≒3.7%
@@
今年の筑波大附属駒場中学・大問5より。
ポリエチレンの袋をかぶせた植物を使っておこなう実験で、
ヒトの呼気における二酸化炭素濃度が3~4%であるのを知らないと解けない設問でした。
(4)①い
間違った操作をしたら結果がどうなるかという面白い設問です。
『ろ紙に沈殿を残したまま重さをはかる』
どう解釈していいか迷ったが、ろ紙に乗せたまま沈殿をおもりにかけたのか、
それとも、ろ紙から取り出すときに沈殿の一部がろ紙に残ったのか(´・_・`)?
いずれにせよ、沈殿の重さは0.55gより小さくなる。
6Lの呼気に含まれるCO2は0.22Lより小さくなり、割合も小さくなる。
②あ
『1回で息を2Lはいたのに、1.6Lはいたと記録した』
呼気の合計が6Lから4.8Lに変わる。
1行目の×6/3.6は、呼気全体と石灰水と反応する分の割合で、
これは呼気4.8Lの場合でも変わらないから0.22Lはそのまま。
(吹き込んだ呼気を⑤とすると、②が逃げて③が石灰水と反応する)
しかし、2行目の÷6が÷4.8になるので、体積の割合は大きくなる。
③う
比べてみると確かに違うところがある…。
しかし、沈殿の重さが3gを超すと石灰水が不足して誤差が生じるが、
0.55gのときは石灰水が十分にあるので計算式のどの数値も変動せず、体積の割合は変わらない。
難関中学(理科)解説ページに戻る
コメント