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2016年度 神奈川県公立高校入試【理科】解説

平均46.5点
正確な知識を要求し、思考力型の問題多し。
リード文も長いので時間との勝負にくわえ、読解力がないと耐えられない。
去年の地獄から比べたら易化だが、それでも80オーバーは難。
問題はコチラから→PDFファイル

大問1(物理総合)

(ア)3 49.1%
*オームの法則から電流量を求める。
もしくは、電池1個の電流量1、明るさ1とおく。
直列の明るさは0.5、並列の明るさは1。
明るさ1を2つ分保つために、並列では電池1個で電流量2が流れる。

(イ)2 49.3%
*光の屈折なので1か2。
空気中→水中:入射角>屈折角、水中→空気中:入射角<屈折角
”コインからの光”がポイント。目からコインへの光ではない。

(ウ)3 39.7%
*B:定滑車はaと同じ、左右が釣り合う。C:動滑車で半分。定滑車で半分のまま。
D:角度が不明だが、物体Xの重力が斜面で分散され、斜面に平行な分力が動滑車で半分になる。
(この動滑車は上向きだが、上に引っ張られる力が床への糸と定滑車への糸で半分ずつになる)
よって、a=b>c>d

大問2(化学総合)

(ア)1 42.2%
*鉄+塩酸→水素発生
硫黄は無臭!
鉄+硫黄→硫化鉄となり、硫化鉄に塩酸を加えると硫化水素が発生する。
硫化水素は卵が腐ったような臭い(温泉街にありそうな臭いは硫黄ではなく硫化水素)。
ちなみに、硫化鉄になると鉄の性質がなくなり、磁石にくっつかなくなる。

(イ)8 48.1%
*ガスバーナーの使い方。選択肢が8つなので完全解答。
f:eのようにガスを出しながら火をつけると、ガスの充満から引火の危険がある。
d:下のガス調節ネジ。ネジは反時計回りでゆるめる
a:上の空気調節ネジ。炎を青色にする。

(ウ)4 38.9%
*電池の構造。亜鉛がイオン化してZn2+(亜鉛イオン)が溶液へ、電子が放出されて導線を伝って銅板にいく。塩酸はHCl→H+(水素イオン)+Cl(塩化物イオン) 銅板で電子がH+に受け取られ、原子H→分子H2となり水素が発生。電子の流れが亜鉛板→銅板。電流の流れは電子の流れと逆なので、銅板(陽極)→亜鉛板(陰極)。
基礎知識をしっかり定着させて、ここらへんは快速でいきたい。

大問3(生物総合)

(ア)3 47.3%
*間違いやすい。
動物も植物も細胞に核があり(真核細胞)、細胞膜もある
しかし、細胞壁は植物細胞のみにあり、動物細胞にはない。
よって、細胞壁のあるACは植物細胞、Bは動物細胞。
植物でも光合成しないところには葉緑体がない。
葉の断面図を参考書で調べると、葉緑体以外の細胞(表皮など)がある。
幹の中や根も光合成をしないので、植物細胞だからといって必ずしも葉緑体があるわけではない

(イ)4 66.0%
*条件は2つだけだが、ハマるとハマりっぱなし。
(あ)A×B→C(有性生殖)
(い)A→D(無性生殖)
1:AとBの半数ずつがCへ。
2:BとDは関連がない。
3:CはAとBの半数ずつ。
4:一見するとCとDは関係なさそうだが、Dは栄養生殖(無性生殖の1つ)なので染色体はA=Dとなる。CはAの半数が含まれるから、いいかえればDの半数の染色体が含まれている。

(ウ)4 100.0%
*出題ミスがあったようで、受験者全員に+3点が与えられた。
一応確認すると、微生物、哺乳類、魚類、両生類、無脊椎の順。
_________ゾウリムシ ザトウクジラ サケ アカウミガメ クルマエビ
外骨格   ×      ×     ×     ×(注)    ○
(注)・・カメの甲羅は外骨格のようにみえるが、内骨格が変形したもの。
多細胞   ×      ○     ○      ○      ○
肺呼吸   ×(注)   ○     ×      ○(注)   ×
(注)・・ゾウリムシには呼吸器官がない。身体全体から水中に溶け込んだ酸素を吸収している。
カメは基本的に肺呼吸だが、皮膚呼吸も発達している。
背骨    ×      ○    ○     ○     ×

大問4(地学総合)

(ア)1 43.6%
*思考型。記号化する。値が大きくなると古いとする。
a<Ⅰ<b、d<Ⅱ、c<Ⅲ<d、b<Ⅳ<d
a<Ⅰ<b<  c   <  Ⅲ <d<Ⅱ
Ⅳの順位が不確定。

(イ)3 75.9%
*ありがたいことに1000hPaの等圧線が書かれている。
この線より東側は低気圧、西側は高気圧→冬型の気圧配置である西高東低

(ウ)4 50.6%
*どちらが乾球か湿球が書かれていないが、水で湿っている湿球の方が温度は低い
乾球→6℃  湿球→4℃  表から湿度70%
6℃(乾球が示す温度)で飽和水蒸気量は7.3g/m3
7.3×70%=7.3×0.7=5.11g/m3
1.0m3あたり5.11g

大問5(力学)

(ア)1 81.8%
*糸がおもりを引く力と浮力は上向き。
重力=糸がおもりを引く力+浮力

(イ)9cm 41.5%
*0.50Nで10cm伸びた。0.45Nでは、10×0.45/0.50=9cm

(ウ)解答例:おもりAと重さが同じで、体積が大きい(18字) 9.6%!
*実験2では、おもりの重さと体積を共に比例させて行うので、浮力の大きさは重さではなく体積に関係あることを確認できない。そこで、おもりAと重さを同じくして、体積だけを変える。おもりを完全に沈めて、ばねばかりの示す結果が小さくなる=より大きい浮力を受ける=体積を大きくする。アルキメデスの原理では、浮力は、物体が水をおしのけた分の水の重さに等しくなる。

(エ)0.01X 38.9%
Y=浮力の大きさ、X=おもりの体積なので、表から該当箇所のみをみる。
おもりの体積を0.01倍すれば浮力の大きさになる。

大問6(溶解)

(ア)105g 58.6%
*40℃で64g溶かす。80℃で169g溶ける。
よって、169-64=105g

(イ)2 51.7%
*図に溶解度のグラフを描いて、交点の温度を調べる。
溶解度が同じ温度は、溶ける量が一緒で濃度も同じ。

(ウ)i:解答例)物質Bを溶かす量が溶解度より小さい(17字) 16.3%!
ii:36 11.5%!  iii:4 21.9%!
*i:物質Bが20℃ですべて溶けたままである理由を述べる。
物質Bは20℃の溶解度が35g、溶かす量は30g。よって、Bは全て溶けている。
濃度は高い/低いと表すが、溶解度は溶媒100gに溶ける溶質の質量gで表すことが多いので、
溶解度が大きい/小さいともいう。
ii:溶けている量-溶解度=結晶として出る量
Aの結晶100-32=68g  Bの結晶38-3=35g
これらの結晶をろ過で取り出し、別に用意した100gの水にすべて溶解。
20℃まで冷却して再度の析出をする。
Aの結晶68-32=68g  Bは溶解度未満の溶質量なのでなし。
iii:いったん、落ち着く。焦ると解けなくなってしまうので。
混合物Ⅲは20℃の溶解度と同じ質量を溶かす。
20℃以下にしても溶解度は小さくなるので、A・Bともに析出する。→ア×
表1は水100gに溶ける質量。水を蒸発させると、その分だけ溶ける質量が減る。
1こずつ溶解度を計算。めんどい・・
A               B
イ:32×80/100=25.6   35×80/100=28.0
ウ:64×40/100=25.6   36×40/100=14.4
エ:109×50/100=54.5   37×50/100=18.5
溶けている量>溶解度で結晶が析出されるので、
溶解度が溶けている量A32gより大きく、B35gより小さいエとなる。
Bの溶解度は温度によってほぼ変わらないが、Aは大きく変わるので、
Bだけ析出するには、AがBの溶解度を大きく引き離す高温ではと推測はできる。

大問7(光合成)

(ア)2 73.7%
*光とあてる→光合成できる、光をあてない→光合成できない。
光合成ができればデンプン生成でヨウ素反応あり

(イ)i:二酸化炭素が不足すると反応が進まない(18字) 23.5%!
ii:Y)D Z)1 45.1%
*iiを先にやったほうがいいかも。
Aを基準に考えると、A-B(アルミ箔があるか)A-C(植物があるか)
A-D(炭酸水素ナトリウム・・だけでなく、Bと同じくアルミ箔でおおわれている)
実験は比較したい条件以外の条件は同じにしなくてはならないので、
光合成に二酸化炭素が必要であることを実験するにはDのアルミ箔をはずす。
iは、問題文の「~が一つでも不足すると反応が進まないことを確かめる目的」という文言を利用する。「光合成には二酸化炭素が必要である」などの趣旨でも正解にしてくれると思うが・・。

(ウ)3 29.8%!
*呼吸で出されたCO2量>光合成で使われたCO2
↑ここを正確に読解しないと間違う。
水だけの装置Eで二酸化炭素濃度は変化なし→二酸化炭素はほぼ水に溶けていない。暗所で光合成ができない装置Iの濃度が7→7-5.5=1.5%=呼吸で出されたCO2。実験前5.5%で、呼吸のみだと+1.5%で7.5%に増加。ここから、光合成で使われるCO2が-1.5%の5.5%になれば、呼吸で排出したCO2を光合成で回収できる。つまり、初期の5.5%よりCO2濃度が下回れば、呼吸での排出量より光合成で使用された量が多くなる。F・Gは5.5%を下回っているので、光合成で使われたCO2量が呼吸で排出した量を上回る。
結局、5.5より上か下かが重要で、細かい計算は不要であった。

大問8(天体)

(ア)4 41.2%
*図1だけをみると、太陽の黒点が移動している→太陽の自転では?と思った人もいたかもしれないが、問題文は実験1の最後の文章「投影されたは時刻とともに記録用紙の円から矢印の方向にずれていった」の原因を問う。
固定された天体望遠鏡から太陽の位置がズレるのは、地球が自転するから
1:地球の公転  2:地球の公転+地軸の傾き
3:2と同じ。夏至は北よりの東から出て、北よりの西に沈む
天球上では太陽の通り道が長くなり、日中時間も長い。

(イ)1 29.9%!
*地味にいやらしい問題。
まず、太陽投影板を知らないと方角がごちゃごちゃになる

神谷塾的勉強と受験と子どもの教育より。
太陽は直接観察すると目が危ないので、レンズで観察された太陽を太陽投影板に投影して観察する。望遠鏡を通してみると2回の屈折を経て上のようになる。観察者は太陽のある方向からみる(太陽を背にしてみる)ので、太陽投影板の方位は上が北、下が南、右が東、左が西となる
観測1(図1)では黒い矢印は左側をさしているので西。

太陽投影板に写る太陽は西にズレていく。

一方で、図4は「図のaの側を天頂側として模式的に示したもの」。
絵的に太陽投影板っぽいが、それではない。
南中した太陽が上なので、a=南、b=西、c=東。
よって、Xは西のbとなる。

太陽の自転は地球と同じく反時計回り
東→西なので、(あ)。
留意すべきは、地球と面している太陽の面で東西のどちらに動くかを考える。
観測者は地球にいるので、”地球からみてどっち方向に回るか”なので(あ)の方向になる

(ウ)2 24.8%!
*太陽に対し反対側の半球が影。地球から金星を眺めたときに、どこが光っているかを調べる。
半月(下弦の月)みたいな感じになる。東の空なので傾く。
”上下左右反対”を読み飛ばさないこと

(エ)2 28.5%!
*ここも難しい。
わかりやすいサイトがあったので、こちらを見てください。
りかちゃんのサブノートさん
太陽―地球、金星―地球を線で結ぶ、その角度に注目する。太陽の通り道を円とすると、金星―地球の線が円の接線にくるとき、いいかえれば、金星が半月のようにみえるとき、地球の観測者から金星をみたら金星の高度がMAXになる。この角度は最大離角といわれ、地球からみたときに太陽と金星が最も離れているようにみえるときでもある。(金星の最大離角は約45度)
前問では、ほぼ半月状態の11月7日の時点で最大離角に近いので、高度は徐々に下がっていく。

3つの惑星の位置関係は、地球を基点に視野角を調べる。

青が11月7日で、赤が12月24日。
下が地球で、上3つが左から金・火・木。
地球から左端の金星と右端の木星を結ぶ。
すると青より赤が広がる→3つの惑星は離れる。

易化とはいえ、教科書の知識を吐き出すだけでは対処できない設問が多い。
平均50点に届けばいいが・・。
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